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に対する都庁職見解と態度

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3、都庁職の見解

 (1)「はじめに」で述べられている内容について
@ 「はじめに」では、「戦後の高度経済成長を支えた社会システムはすでに有効性を失っている」という日本経団連など財界と同じ主張をしている。そして「深く傷を負ったわが国経済はようやく立ち直りの兆しが見られるようになった」と述べているが、実態は大企業中心のリストラ景気であり、雇用不安や賃下げを背景にした中小企業や労働者の犠牲の上に成り立っていることを全く見ようとしない記述となっている。
 さらに、「民間部門に比べ公的部門は依然として中央集権・一律の統治システムから脱却できず、構造的な改革が不十分」として、公的部門へ無批判的に民間のリストラ手法や市場原理に基づく採算性優先のシステムを導入しようとしている。
 本来、地方自治体と民間企業では果たすべき役割は全く違うものであるにもかかわらず、このような行政責任を放棄する無原則な「官から民」を是とする態度は問題である。
A「三位一体の改革」について
 「三位一体の改革」については、「真の地方分権につながる抜本的な改革を達成し、地方が住民の公平・公正な負担の下、それぞれの地域の実情にあった質・量ともに適切なサービスを提供していくことであり、税財政制度に関しては自主・自立の体制を構築する」と評論家的なコメントをしている。
 本来「真の地方分権」は、憲法の精神・理念である地方自治の本旨を実現する上で欠くことのできない問題であり、地方自治体の大小による差別はあってはならない。もちろん国・県・市町村各々の段階に応じた役割が発揮されることが前提であるが、国と地方自治体間は対等平等の関係にある。しかし今進められている「三位一体改革」は、6月9日全国市長会の緊急決議「地方財政に大きな打撃を与え、予算編成に重大な支障を及ぼした」とあるように、真の地方分権には程遠く、国庫補助負担金の廃止・削減だけが残るものになりかねない。そのような中で、国から自治体へ自治体から個人への自己責任論が強調され、行政責任を自己責任・自立・自助に押し付ける構造改革として強行すれば、地方自治体自体が崩壊しかねないばかりか、国民への痛みの強要はさらにひどいものになる。

 (2)都財政の現状について
 「依然として大きい税収・歳出のギャップ」として、ことさらに都財政赤字を強調した記述がされている。この間石原都政は、都財政危機を強調し職員に対する給与削減、5年間9100名の都職員の削減をはじめとする徹底的な内部努力を含む都政リストラを進めてきた。一方2004年度予算では、新銀行への出資1000億円(うち起債700億円)や骨格幹線道路や東京湾臨海道路整備、丸の内・大手町の再整備などの都市再生プロジェクトに巨額の投資的経費を投じており、財政危機といいながらも石原知事独自の施策には大きな財源を捻出できることを証明している。
 さらに2003年度最終補正予算で424億円を財政調整基金に積み立てている事実や他会計からの借入金の返済繰り延べをしているといっても、所詮東京都内部の会計でのやりくりであり、赤字を強調するために数字の調整で政治的に財政危機を煽っているといっても過言ではない。

(3)区市町村財政と都財政との関係
 「都は税収が減少するなかにあっても他の道府県に比べて手厚く支出金を交付している」とのべ、「高率補助、小額補助、長期継続補助が多数存在する」として補助金を問題にしている。さらに「高率補助金、特に都が全額を負担する補助金はコスト意識を弱めるなどの弊害を生じさせる懸念がある」「小額補助金は費用対効果や行政効率の面で問題が多い」「長期継続補助については、補助金創設時の必要性が薄れていないか見直しが十分に行なわれてきたとは言い切れない」として住民の生活に身近な施策に対する671項目に及ぶ区市町村への補助金の見直しを公言している。このことは、国を批判してきた都自らが、区市町村に対して国と同じ立場で財政的な締め付けを行っていることに他ならない。さらに区市町村への補助金の削減は、行政が行なってきた都民サービスを「官から民」に行わせる「小泉・石原構造改革」により拍車をかけるものになるといわざるを得ない。


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