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「今後の地方財政を考える」(東京都財務局 04年7月発表)
に対する都庁職見解と態度
2004年9月2日
都庁職第回執行委員会
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1、 はじめに
東京都財務局は7月22日、@地方財政の危機A都財政の現状B都と区市町村財政と都財政との関係C数値でみる地方自治体の状況などを主な内容とする「今後の地方財政を考える」を発表した。当局発表によると、この冊子を発行した目的は、国を挙げて進めている「三位一体の改革」を真の地方分権につながる抜本的改革として速やかに達成するために現状を正しく認識し、今後の地方財政を考える広範な議論のきっかけとするためとしている。
この間石原都政は小泉構造改革と連動した形で、都民要望の高い福祉・保健・医療など社会保障関係予算や教育予算を削減し、環境破壊の都市再生や都民が要求もしない新銀行の設立などに都財政をつぎ込んできた。そしてNPM(ニューパブリックマネージメント)などの手法を使って本来行政が行うべき事業を民間に移行するなど、自治体本来の役割を投げ捨てる都政運営を展開している。
すでに都庁職は、同日発表された「来年度予算編成に関する副知事依命通達」「重点事業」に対する「見解と態度」を明らかにしたが、毎年繰り返される都庁リストラと都民施策の切り捨ての推進を内容とする依命通達と、同時に発表されたこの「今後の地方財政を考える」が、都当局のいう単なる「議論のきっかけとする」ことではないことは明らかであり、ここに都庁職の見解と態度を明らかにするものである。
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2、「今後の地方財政を考える」の概要
@ 破綻寸前の財政
国と地方とをあわせた財政状況は、税収と歳出との間に巨大なギャップが生じ、年々拡大している。
A 地方交付税の膨張
地方財政において、税収と歳出のギャップを埋めるため、地方交付税の増額が続けられたが、地方交付税制度の実質的な破綻を招く結果となった。
B 地方財政の借入金依存体質
地方財政はこの10年間で借入金依存を強めており、借入金の償還がピークを迎える平成25年度には、償還経費が交付税原資の役4分の3を占め、膨脹した借入金が今後の財政運営を大きく圧迫する。
C 今後の財政運営を圧迫する長期債務
国も地方も借入金に頼った財政運営を続けているため、国と地方を通じた長期債務は残高は700兆円にものぼっている。
(2)都財政の現状
@ 依然として大きい税収・歳出のギャップ
都は財政再建に取り組んでいるが、都税収入と歳出との間には大きなギャップがあり、実質収支も赤字が続いている。
A 大都市に特有の財政需要
行政、情報通信・サービス産業や金融などの機能が集中し、多くの人々が住み働く場である大都市は、特有の財政需要を抱えている。
B 限界を超えた財政の対応能力
都財政は、都債などの長期債務だけでなく、減殺基金の積み立て不足など「隠れ借金」を抱えており、財政の対応能力は限界を超えている。
C 将来を見据えた財政運営
財源不足の解消とともに、財政の対応能力を回復していく中で、強固で弾力的な都財政の確立に向けた取り組みが必要である。
(3)区市町村財政と都財政との関係
@ 実質的な税収・実質収支の推移
都と区市町村を比較すると、都では都税収入が減少し赤字が続いているが、区市町村は総体として税収・実質収支とも都に比べて良好な状況にある。
A 主な財政指標の対全国比較
B 都道府県支出金の状況
都は税収が減収しても、他の都道府県に比べて区市町村に手厚く支出金を交付している。
C 補助金の現状
都から区市町村への補助金には、高率、小額、長期継続補助など課題を有する補助金が多数存在する。
D 財政補完的補助
地方分権の観点からみて、区市町村の自立性や自助努力を妨げるものにならないように注意を払う必要がある。
E 都区財政調整制度
調整三税等の配分割合は、中期的に安定的なものとされている。特別区は基礎的自治体として、簡素で効率的な行政運営を行うことが求められている。都区財政調整制度の運営にあたっては、不断の検証を行い、一層の適正化を図っていく必要がある。
(4)数値でみる地方自治体の状況
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