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東京都人事委員会報告に抗議する都庁職見解

2004年10月7日
第52回都庁職執行委員会

 

許せぬ!国に追随し、月例給・特別給とも改定を見送った都人委

1.

 都庁職は、人事院勧告が出された8月6日、「労働基本権の代償措置機能を投げ捨て、給与構造改悪に踏み込んだ勧告及び報告に抗議する」声明を発表した。以降、都労連闘争の一環として、東京都人事委員会に対し「人事院勧告に追随することなく人事委員会の自主性を発揮し、首都東京圏で暮らす都職員の生活実態を反映した勧告」を行うよう重ねて要請してきた。とりわけ、人事院も認める東京の官民較差の解消や、調整手当の本俸繰り入れ、国の査定昇給等を拙速に先取りすることのないよう求めてきた。都労連指令による全組合員署名は45,225筆(都庁職20,085筆)となり、都庁職が独自に取り組んだ団体署名は207団体に及んだ。
  しかし、人事委員会は、正確な公民比較で勧告を行うとしつつ、年功的な給与上昇の抑制や給与構造の見直し、能力・業績を反映させる人事制度の構築など、国や都当局の方針を踏襲する発言に止まる不誠実な態度をとってきた。

   

2.

 10月7日、人事委員会は、給料表及び一時金とも改定を行わず6年ぶりに前年水準維持とする、都職員の給与等に関する報告(意見)を、知事及び都議会に対し行った。「勧告」がなく「報告(意見)」のみは現行制度発足以来初めてである。
  その内容は「月例給は官民較差0.17%(729円)であり、較差が小さく世代間格差の適正化や職責に応じた配分ができないため改定しない。特別給(一時金)についても民間の支給割合が公務の支給月数(都4.40月・民間4.42月)と概ね均衡しており改定しない」というものである。
  月例給については、仙台市や北九州市のように給料表の改定を行わないものの、扶養手当等で較差是正を勧告している都市がある中で、「給料表構造見直しの原資たり得ないから改定を行わない」という人事委員会の対応は不当なものである。
  8月の人事院勧告では、今年4月時点での全国を100とした東京の地域民間賃金は116.5とされた。これに対し昨年6月時点の数値として示された人事委員会の報告では119.6とされている。また、人事院の都のラスパイレス方式による官民較差は103.72%であるのに対し、人事委員会は2%給与減額後の比較(昨年4月時点)として102.5%としている。国とともに調査を行っている人事委員会の数値が、何故1年前なのか疑念である。いずれにしろ、調整手当を勘案しても歴然とした官民較差は明白であり、賃金改定に至らないとする数値をどのように導き出したのか、極めて不明確で不満な内容である。
  一時金比較方式は、前年冬と当年夏に変更されているが、好調を伝えられた昨年夏の民間実態が反映されていないにも関わらず、報告(意見)によれば1000人以上の企業の一時金は4.87月と昨年より0.01月増加している。都職員との支給較差はますます拡大しており、企業規模の比較方式を改善せず、意図的に給与水準の低下をもたらすものとして、月例給と同様に許し難いものである。
  この2年間人事委員会は、明確な公民較差を無視し、国と歩調を合わせた政治的なマイナス勧告を行ってきた。今回の報告もまた、「官」を下げ「民」を下げ、また「官」をさげるという財界が進める賃下げの「悪魔のサイクル」を固定化するものと断ぜざるを得ない。今回、報告(意見)の冒頭で、自らの役割を「労働基本権制約のもとでその代償措置としての機能」としているが、もはや「労使当事者以外の第三者機関としての役割」を喪失し、財界方針及び使用者側にスタンスをおいていることは明白である。


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