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「住民」を守る観点から、自治体独自の
「住民保護」施策を政府に対案として提示すべきだ

神奈川県が独自に行なった「イラク住民への援助」

 13年前の湾岸危機の時、イラクは国連決議によって経済制裁を受けていた。イラクの住民には汚染された飲料水しかなかった。その時、神奈川県が県企業庁水道局の職員2名をバクダッドに派遣し、国際ボランティアセンター(JVC)とともに、自治体独自の緊急援助を行ったのである。 当時、フセイン政権は国連の経済制裁を受けていたが、イラク新赤月社(赤十字にあたる)からの要請にこたえた「イラク住民に対する援助」は可能だという判断にもとづくものである。
 渡辺美智雄外相(当時)は、国として対イラク制裁をやっているときに援助をするとは何事だと不快感をあらわにしたが、神奈川県は長年の「民際協力」の蓄積の上に、イラク住民に対する援助を続けた。結局、300万人が3カ月暮らせるだけの消毒剤(カルキ)を送り、飲み水を浄化した。その時、神奈川県の職員は、ユニセフが一トンコンテナで消毒剤を送り込んでいたのを、60キロ袋に小分けして送ることを提案した。援助が集中するバクダッドではなく、より過酷な状況にある地方都市や村に対応できるように配慮したものだ。これによりコレラや赤痢の蔓延を一時的にせよ防ぐことができたという(『世界』92年8月号参照)。

国家の論理を越えた自治体協力の思想の萌芽が

 国連は国家の連合体である。日本は国連加盟国であるから、国連安保理決議による対イラク制裁には協力しなければならない。しかし、神奈川県が13年前に行ったことは、住民を守るという自治体の任務にもとづき、バクダッドなどの住民に飲料水を供給することであった。他方、JVCはNGOであるから、国家の論理ではなく、市民の視点からイラク市民に援助を行ったわけである。渡辺外相は神奈川県やJVCの援助活動に不快感を示したが、これを止めることはできなかった。イラク制裁決議が人道援助を禁止していなかったこともあるし、何よりも自治体が他国の自治体の住民の窮状を救う活動に正当性があるからである。国家の論理を越えた、越境的自治体協力の思想の萌芽がそこに見られる。
 昨今、「国民保護法制」という形で、国家の論理にもとづく「有事」対処に自治体を協力させる動きがある。そうしたときだからこそ、「国民」ではない在留外国人をも含めた「住民」を守るという観点から、地方自治体が独自の「住民保護」の施策を構想して、中央政府に対案として提示していく必要があるだろう。

 

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