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「行財政改革実行プログラム」についての見解と態度
2006年8月10日
第36回都庁職執行委員会
T はじめに
東京都は、7月13日「行財政改革実行プログラム」(以下「プログラム」)を発表した。これは昨年11月、「21世紀型の新たな行政システムを構築する」として、自治制度から行財政全般にわたる一体的な改革の方向性を示した「行財政改革の新たな指針」に基づき、平成18年度から20年度の3か年に取り組む具体的な内容を示している。
「プログラム」は、新たに3年間で4,000人の職員定数削減、監理団体改革・東京都版市場化テストの導入など212項目に及ぶ具体的な取り組みの方向を示しており、今後の都政運営や都庁職の予算・人員闘争をはじめとした諸課題に大きく影響するばかりか、地方公共団体として都政が担うべき行政責任を放棄する重大な問題が含まれていることから、ここに見解と態度を明らかにするものである。
U 概 要
第1章「行財政改革実行プログラムの考え方」(総論部分)
1 東京都独自の行財政改革の必要性について
@東京では少子高齢化の影響が先鋭的に現れることが予想され、限られた資源の最大限効率的な活用と、都の行政のしくみを根本から再検討する必要がある、A近年の多様な経営改革手法の登場や、NPO等の民間主体の急成長、自治会・町会など「地域力」も注目される中、行政部門におけるコストに対する成果が厳しく問われ、「公」を行政だけが担うシステムを、原点に返り見直す必要がある、B地方自治制度について、国の対応を批判した上で、東京など大都市の実態や特性、役割を踏まえた「新たな自治の仕組み」の構築が喫緊の課題であるとしている。@〜Bを理由として、行政サービスの提供手法や行政組織自体の見直しはもとより、地方公営企業や監理団体を含めた都の行政のあり方の全体を見据え、従来の延長線上ではない21世紀型の新たな行財政システムの構築をめざした抜本的な改革が避けて通れないと方向づけている。
2 「行財政改革実行プログラム」の策定の考え方
行政の責任で実施すべき事業として、@政策立案、A公権力の行使、B都民の安全・安心の確保、C中立性の確保、D広域的事務、E基幹的なインフラ整備を掲げ、着実な実行と、指針で示した改革の方向性を具体化し、不断の行財政改革に取り組むための3か年計画としている。
さらに、第1の柱=多様な主体が関わる豊かな「公」の構築、第2の柱=政策対応力の高い執行体制の確立、第3の柱=スリムで効率的な行政運営の実現についてで構成されており、それぞれ「改革の方向性」「実施計画」を示している。
また重視した点として、@長期的・継続的な懸案課題の解決方向を示し、新たな課題に積極的・集中的に挑戦できる体制を整える、A公営企業・監理団体は、民間企業の手法を踏まえ、自立性・効率性の高い戦略的な経営を展開し、より都民に貢献できる体制の構築、B公務能率向上のため、職場の活性化にむけた職員の能力の十分な発揮と向上をはかるとともに、各局の自立性・機動性向上であるとしている。
3 都政改革の進め方と「行財政改革実行プログラム」の位置づけ
自治制度から行財政システム全般にわたる改革の内容を具体化して実行するとともに、東京の再生と都民サービスの充実に向け先進的な取り組みを展開し、都政の構造改革を進めるとしている。
さらにこの「プログラム」と「人材育成基本方針」「今後の財政運営の指針」によって総合的な行財政改革を推進する。「プログラム」のメニューは重点的に改革を行う施策を示すものであり、発展させた取り組みや実施計画の追加で、継続的な改革としていく。その実施計画は行政改革推進委員会により進行管理するとともに、対象事業の洗い出しや事業の追加を行い、改革を推進するとしている。
自治制度改革は平成18年度中に「東京発自治論」としてまとめ、「重要施策及び重点事業」は今後3か年の取組や方向性を示し、実施状況、効果の検証・改訂を毎年公表するとしている。
最後に、今後10年後の将来を見据えた「2016年の東京の都市像」を示すとし、その実現のためにも、「プログラム」に掲げた行財政改革の推進が不可欠と結んでいる。
第2章 実施計画
@豊かな「公」の構築、A政策対応力の高い執行体制の確立、Bスリムで効率的な行政運営の実現、C行財政改革実行プログラムを実現するための仕組みの項目に沿い、212の実施計画数を掲げ、概略的な方向性と3年間の年次計画を打ち出している。
主要な改革事項として、@都立病院などの新たな経営形態の検討(独立行政法人化)、A公営企業改革(直営部門をコア事業に特化し、他は監理団体・民間事業者を積極的活用して定数削減など)、B新たな定数削減(3年間で4,000人)と、C監理団体改革(統廃合・民営化・都派遣職員等の削減など)、D東京都版市場化テストの導入、E指定管理者制度の拡大等を掲げた。
V 都庁職の見解と態度
「プログラム」は、「はじめに」でふれているように、「行財政改革改革の新たな指針」の具体化として発表されたものである。「指針」は、すでに都庁職の「見解と態度」で、@道州制を前提とした大都市行政の構築、A都政の極限までのリストラ・構造改革をねらうものであり、容認できないことを明らかにしている。
1 豊かな「公」の構築
行政の役割分担論に基づき、@都が担う範囲の再構築−都民・地域団体・企業・NPOとの協働や事務事業の区市町村移管、A多様な経営改革手法の導入−地方独立行政法人・市場化テスト・指定管理者・民間委託・人材派遣の推進、B監理団体改革をあげている。
豊かな「公」の構築は、昨年3月に分権型社会に対応した「地方行政組織運営の刷新に関する研究会」が発表した「新しい公共空間の形成」をイメージに、「公」の仕事を「官」だけでやるのではなく「民」でできることはすべて「民」で、という小泉構造改革路線の「新地方行革指針」やこの間の「骨太方針」に基づいて地方行政の縮減をめざし、「公」の仕事から地方公共団体を極力撤退・縮小させ、民間企業へ新たな市場として開放するものである。
「新自由主義」をうたい、市場原理・競争社会などルールなき資本主義のもとで、これまで「改革」と称して推進された「規制改革民間開放」は、JR西日本の大惨事や耐震構造偽装事件等を引き起こすなど、人の命や安全より企業の利益が優先される本質が明らかとなっている。さらに格差社会の広がりも大きな社会問題になっており、「官から民へ」という公的責任の放棄は弱者を切り捨て、ふじみ野市営プールの事故でも幼い命を奪っている。東京都は豊かな「公」の構築といいつつ、都民に対する直接的な行政サービスの提供からさらに撤収し、スリムで効率的な行政運営を実現していくことを明らかにしている。これら都政リストラのさらなる徹底、都政の構造改革の具体化など、これ以上の責任放棄は許されない。すでに民間委託・公社化・独立行政法人化した施策についても、都民の目線に立って検証して見直し、直営に戻す等、都は行政責任を果たすべきである。
(1)都が担う範囲の再構築
@都民・地域・企業・NPOなどと協働した取組の推進
個人・地域団体・NPOを主眼としているものは、「子ども安全ボランティア活動の推進」「応急手当普及員の育成」等だが、多くの実例がないことが特徴である。東京都が、どこまで基本的役割を果たすのか検証する必要がある。
東京の台所を預かる中央卸売市場の施設整備に対する民間活力の導入では、協働といいながら、中央卸売市場の再編統合を視野に入れたもので、市場内の安全を揺るがし、職員定数削減につながるものである。
A自治制度改革の推進
21世紀の分権型社会にふさわしい「都市の時代」の新たな自治制度への改革を「東京自治制度懇談会」で検討し、東京発自治論を発信するとしているが、大都市中心の議論が行われることが必至であり、「指針」の柱の一つである特別区制度の再構築等大都市行政機構の構築をねらったものである。
B都区のあり方の検討
地方財政での「東京独り勝ち論」を背景に都・区の財源をねらう動きもある中、自治の拡充や効率的な都市経営の実現をめざした都区制度の抜本的見直しについては、「指針」で、従来の自治権拡充と逆行する論議が展開され、方向づけられているものである。
C区市町村との役割分担の見直し
区市町村立学校の都費負担事務職員の任命権を、区市町村の移譲をすすめるとしている。「三位一体の改革」で、学校教育に関わる教職員の任命権及び財政のあり方は、議論のあるところである。すでに事務の区市町村職員を引き上げ、都費職員のみの自治体も生まれている。任命権移譲は、区市町村の負担の増大・教育水準の低下など学校運営上支障をきたすもので、反対である。さらに建築指導事務所・保健所(八王子・町田)の市移管も、十分な市の執行体制の受け皿がなくては、行政サービスの後退をもたらすもので、充分な協議と準備が必要であり、一方的実施計画は避けるべきである。
(2)多様な経営改革手法の導入
@老人医療センターと老人総合研究所と一体化して、地方独立行政法人移行をめざすとしている。「都立病院マスタープラン」で、都立病院の統合・公社化(16カ所→8カ所)を掲げたが、老人医療センターは豊島病院との統合民営化は破綻し、板橋区移管も断念した。これは地元住民・自治体・医師会の反対によるものである。これに対する反省もなく、都立病院などの新たな経営形態の検討として、「マスタープラン」において直営で運営することが予定されていた病院も含めて、地方独立行政法人化も視野に入れた「第2次都立病院改革実行プログラム」策定、都立看護専門学校のあり方が盛り込まれている。今回それぞれ手法を変えているが、その本質は医療内容を無視し、「経費節減」「職員定数削減」だけをめざしていることは明らかであり、都直営を堅持すべきである。
A国に先行する「市場化テスト」導入は、東京都版のモデル事業として技術専門校が名指しされ、今年度に官民競争入札を実施し、平成19年度以降は「市場化テスト」の本格導入に向け、事業を洗い出し、民間開放を進めるとしている。新たな手法を用いた「改革」であり、公的責任の放棄を一層加速するものといえる。
B指定管理者制度の導入・拡大では、直営公園・文化施設・都営住宅を対象とし、PFI手法は豊洲新市場や都立病院で展開するとしている。今年2月に発表された「福祉・健康都市東京ビジョン」で掲げられた80施設も、民間移譲などを着実に推進するとし、北療育医療センター等(民間事業者などを活用した運営形態の検討)・心身障害者福祉センター等(あり方検討、統合・事業の見直し)など一部には、ビジョンより具体化した取り組みが示されている。福祉施設の廃止・民間移譲などで、東京都が公的責任を放棄し、直接的なサービスからの撤退は都民や利用者の生活実態に背を向けるものであり、容認できるものではない。
C民間委託の拡大のうち、公権力の行使に関する業務の委託では、固定資産税に係る土地評価事務や税務事務全般の委託拡大を掲げた。すでに一部民間委託が強行された職場では、個人情報の漏洩・委託業務が都職員に見えない「ブラックボックス化」による業務の空洞化・行政責任の所在など重大な問題点が指摘されている。民間委託がもたらした深刻な問題の総括が行われず、一方的に「公権力の行使」分野で民間開放等の道を推進することは、問題を一層深刻化させるものである。職場での検証を行い、問題解決を行うことをただちに求めるものである。
さらに、道路巡回業務や消防庁の整備工場業務等について、新たに業務委託対象を拡大し、用地取得事務や図書館業務とともに、技能系業務についても可能な限り委託を拡大していくことは、「効率化」の名のもとに公務として行うべき仕事を民間に投げ捨て、職員定数を削減するためのもので、許されるものではない。
(3)監理団体改革
@監理団体改革は、抜本的な経営改革が必要な団体の統廃合、民営化、事業再編を進めるとしつつ、効率的・効果的なサービス提供が可能な団体は、行政の支援・補完機能を拡大するとしている。この中で特徴的なのは、経営破綻した臨海関連第三セクター3社である。都は、経営破綻した臨海関連第三セクター3社(東京テレポートセンター・竹芝地域開発・東京臨海副都心建設)について、都が出資した資本金と貸付金約381億円を放棄して破綻処理を行い、3社を統合した新会社に約300億円相当の土地を現物出資して、引き続き三セク経営を維持するとしている。加えて、鰍艪閧ゥもめ、東京臨海熱供給梶A鞄結档rッグサイト、民営化後の(財)東京埠頭公社の全てを束ねる「持株会社」を平成19年度早期に設立し、この傘下に入れようとしている。「護送船団方式」で経営破綻した三セク3社を衣替えし、事業を継続させるものであり、これまでと同様に抜本的処理を先送りし、被害をさらに拡大する結果になると指摘せざるを得ない。
Aさらに「監理団体改革」における団体の統廃合は、1,000人を超える都派遣職員を抱える(社福)社会福祉事業団の廃止を視野に入れた検討、住宅供給公社の民営化も視野に入れた自主自立経営の確立に加え、(財)保健医療公社は経営効率の向上と民営化をめざすとしている。
B「今後の財政運営の指針」で「負の遺産」の一部とされる東京都道路公社のひよどり山有料道路と稲城大橋有料道路は、事業再編の項にあり方検討として盛り込まれた。また、環境科学研究所の環境整備公社移管も平成19年度と明記された。「人事給与制度」に踏み込んだ見直し・検討は、「(財)保健医療公社」「(財)生涯学習文化財団」に求められ、さらに固有職員の人事給与制度見直しにまで言及している。これらによって、都派遣職員約770人削減と都財政支出の120億円削減を図るとしているが、都民サービスの低下や切り捨てにつながることは明白である。
2 政策対応力の高い執行体制の確立
(1)効率的・効果的な事業執行
@継続的・長期的な課題などに的確に対応するとして、庁内の総合調整機能の強化とともに、臨海副都心開発の推進、さらに試験研究機関の見直し、職員定数の徹底した見直しで少数精鋭の人員配置を求めている。臨海副都心開発では、すでにその「先導的役割」を担うとされた第三セクターの3社の経営が破綻しているが、都が進めてきた臨海副都心開発等大型開発優先の都政が破綻したことでもある。このような状況の中、「東京港臨海地域開発」「臨海地域のまちづくり推進」のため、港湾局の本庁と事業所の組織再編を行い、トップダウンの組織を作る必要はない。今実施すべきは、臨海副都心開発そのものを見直し、職員や都民の参加で土地利用や既存施設の活用について議論し、これに基づき大胆な見直しを行うことである。
観光都市「東京」の確立に向け、東京オリンピックを視野に入れた観光振興プランを打ち出すとしているとしているが、これには10年後を見据えた「2016年の東京の都市像」とのリンクも想定される。このような観光や開発を優先させ、都民には自立自助を押しつける都政運営を直ちに転換させるべきである。
医療・福祉改革の推進では、改革の進捗状況などを踏まえ経営形態の変更や執行体制の再構築をはかるとしている。ここでは、都立病院の地方独立行政法人化等を視野に入れた検討を行い、平成19年度には「第二次都立病院改革実行プログラム」を策定する方向と、地元の直営要望を無視した豊島病院の運営形態について公社移管を視野に入れた再検討が打ち出された。「都立病院改革マスタープラン」での民営化や区移管を進めようとしたがうまくいかず、今回目先を変え、公社化を含めた再検討を打ち出しているが、医療内容の軽視、経費節減だけをめざす方向は、都民医療を切り捨て、医療破壊につながるものであり、許せるものではない。
生涯スポーツの振興では、平成25年度の国体開催やオリンピック招致に向けた取り組みが掲げられている。施設開放では都立学校施設の解放促進が検討されるが、厳しい職場実態のもと、学校現場に負担がかからないようにするべきである。
A簡素で効率的な執行体制の構築では、本庁組織の再編や事業所の見直しを不断に行うとして、17項目の例示を行っている。その中には、今年4月に開設したばかりの学校支援センターの項目もある。業務支援では、物品購入に2ヶ月も要する、契約額の高騰、契約不調のため授業に間に合わない等デメリットが浮き彫りになり、施設維持補修でも、住宅供給公社→業者→下請け→孫請けという業務体制のため時間がかかる等、業務執行上大きな問題が発生し、さらに定数削減で学校職員もセンター職員も長時間・過密労働を強いられるなど、混乱をきたしている。直ちに現場の声を聞き、これに基づいて制度全体の抜本的見直しが図られるべきである。
Bマンパワーの動向を踏まえた定数管理の実施では、「現場感覚を活かした政策対応力の高い執行体制の確立」をめざすとし、新たに3年間で4,000人の職員定数削減を掲げている。さらに人材育成と効率的・効果的な事業執行の中で公務能率向上のため、職員が生き生きと働く職場づくりに努めるとしている。これまでの第1次第2次都庁改革アクションプランで実に約11,000人以上の職員を削減している。その結果、職場は多忙を極め、超過勤務は改善されず、余裕がなくなり、メンタルヘルスケアが必要な職員の割合は上昇するばかりである。これまでの行き過ぎた職員定数の削減は、行政の最低限の役割さえ果たすことが困難な状況である。「構造改革路線」のツケが都民生活に深刻な影響を及ぼしており、それに対処するには、公務員の大幅増員など行政組織の拡充強化が必要である。現場からの要求に基づく定数復元・人員補充とともに、不払い残業を含む超過勤務の一掃を行い、誰もが生き生きと働き家庭生活とも両立できるよう、労働条件の改善は急務である。都は即効的な対応を行うべきである。
(2)都民の安全・安心の確保
治安・震災対策などについて今後も東京都の責任で実施するとしつつ、規制緩和政策の中で発生した耐震構造偽装事件に対しては、指定確認検査機関への指導強化や確認審査の厳格化等を検討・実施するとしている。しかし、この間の規制緩和と並行して職員定数削減が行われてきた。的確な建築確認業務ができるよう人員の適正配置及び人材育成を行い、組織の充実・強化をはかることは喫緊の課題である。また、指定管理者制度・市場化テストなど民間開放事業における評価の仕組みの構築で、サービスの質の向上や安全管理をおこなうとしているが、PFIによる仙台市営プールの屋上落下事件や、ふじみ野市の痛ましいプール事故を顧みれば、「官から民へ」の流れや、経済性・効率性を優先して経営主体を変える手法そのものを見直すべきである。
(3)人材育成を基軸に据えた人事制度改革・職場の活性化などの推進
少数精鋭の体制にむけた人材育成のため、経験者採用や採用試験見直し等に加え、新たなジョブローテーションの策定、管理職制度構築を掲げた。また、行財政改革の実効性を高めるための職場環境整備が必要としているが、健康管理策・メンタルヘルス対策の充実、年休の計画的取得促進に止まっている。「働きがい」を実感させ、公務能率向上をはかる面も職員提案制度・表彰制度の活用等で、これまで実施してきたことである。現在の人事制度や業績評価制度など人事考課制度は、職場に差別と分断を持ち込んでいると一貫して指摘している。ストレスの少ない働きやすい職場こそ、人材が育成できる土壌である。職員から信頼される管理職の育成とともに、積極的な職場環境改善に取り組むべきである。
3 スリムで効率的な行政運営の実現
「業務運営の効率化」「都有財産の利活用の推進」「入札・契約制度の改善」等を掲げたが、ほとんど目新しいものはなく、これまでの取り組みに対する検証や都庁職では一定の整理を行った特殊勤務手当の見直しなど、労使交渉が進行している課題も含まれている。
さまざまな問題が表面化しているIT執行体制は、システムの総点検と体制の見直しに取り組むとしている。とりわけセキュリティーの問題や視覚障害者への対応改善は急務であり、導入した以上は当局の責任持った対応が求められる。
福利厚生事業の見直しのうち、職員住宅は新たな位置づけの検討が求められているが既に都庁職と当局で検討委員会が設置されており、あり方見直しの議論では、一定規模の福利住宅を確保すべきである、という都庁職のこれまでのスタンスを堅持して交渉を進める。また、福利厚生事業の執行体制では、これまでも理事会などを通して意見反映を行っており、引き続き職員の立場に立つ見直しを求める。納得のいく事業をすすめるために人的配置は必要であり、民間委託による派遣職員の削減に反対するものである。
4 最後に
「プログラム」には、これまでの「財政再建」や「構造改革」がもたらした都民生活への影響、都政が果たすべき役割等の検証が行われず、都民の要求や生活実態に全くふれられていない。都民や職員の意見・要望を無視し、トップダウンで具体化されたものである。
都の役割は人権の保障・格差の是正・福祉の実現、公平公正な社会の実現、都民の安全の確保といった「都民が主人公」という理念のもと、都民福祉の増進にむけた公共的責任の遂行にある。しかし、今回さらに推進しようとする「構造改革」は、このような行政の本来の役割と矛盾し、国民や都民に「受益と負担」の明確化など「自立・自助」を押しつけ、都政が公的責任を放棄する「行政の民間開放」推進を一層加速させるものである。
21世紀にふさわしい都民本位の都政を「都政改革の基本認識」として明確にし、都が行うべき行政を民間企業のもうけの手段にせず、「民主的・効率的な行政施行」を基本にすべきである。そのために、必要な人員・予算の確保が求められている。
都民が納めた「税」が、大企業優遇の施策に重点的に配分されたり、不要不急のオリンピックに使われることは大きな問題である。都庁職は、福祉・医療・教育・雇用など切実で幅広い都民要望と、都民サービスの最前線で働く組合員が積み上げた人員・予算要求に応えた都政運営を強く望むものである。
都庁職は、憲法に規定されている「地方自治の本旨」に基づいた都民本位の都政に、大きく転換させることを運動の中心に据えて闘ってきた。しかしこの「行財政改革実行プログラム」は都政の果たすべき役割と責任を放棄し、都民の財産を民間企業に提供して、都民サービスを後退させる事は明らかであり、改めて全面的に反対の立場を表明する。
さらに、憲法を守り、都民が安心して生活できる東京をめざして、石原反動都政と対し、都民本位の都政確立を都民とともに求めていくものである。
以上
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