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「今後の財政運営の指針」および
「平成19年度予算」に関わる2つの副知事依命通達に対する
都庁職の見解と態度

2006年7月27日
第34回都庁職執行委員会

1 はじめに
 7月18日「平成19年度予算の見積もりについて」と「平成19年度重点事業の策定について」という2つの副知事依命通達、並びに「平成19年度組織及び職員定数方針並びに監理団体職員等調整方針について」(総務局長通知)、「平成19年度組織改正計画及び所要人員計画の作成について」(総務局人事部長依頼)など、来年度予算編成に係わる一連の文書が公表された。また同日に、副知事依命通達等の背景となる新たな財政運営の方向を示した「今後の財政運営の指針」も公表された。
 これらは今後の予算編成にかかわる方針であり、都庁職の2007年度予算人員要求闘争にも重要な影響を与えることから、都庁職の見解と態度を明らかにするものである。

2 公表された文書の概要
(1)「今後の財政運営の指針−新たなステージに移る都財政−」(東京都財務局)
 「財政再建推進プラン」に変わる新たな財政運営の方向を示す指針であり、「財政構造改革をさらに加速させる」としている。それは財政再建に「一つの区切り」をつけたが、新たな財政需要に積極的に対応できる強固で弾力的な財政基盤の確立にむけ、「質的転換を強力に進めるべき新たなステージに移った」としている。

@財政再建の状況
 これまで財政再建に向け、平成18年度までの7年間で11,526人の職員定数削減や4%給与削減などの内部努力、認証保育所制度導入や中小企業制度融資の再構築など施策の見直しなどの取り組みをすすめ、7年間で7,110億円の一般歳出減、都税の徴収率を引き上げるなど歳入の確保も行ったとしている。
 その成果として、「巨額の財政不足の解消」では、臨時的な財源対策なしに平成17年度・18年度の予算編成ができたとし、「経常収支比率の改善」で90%以下の水準まで改善したとして、財政再建推進プランで掲げた2つの数値目標を達成できたとしている。さらに他の財政指標についても、17年度決算で実質収支が黒字に転換し、「隠れ借金」をほぼ半減させるとともに、基金残高の確保に努め18年度末には6,000億円を超え、「隠れ借金」を上回る見込みとなり、財政再建に「一つの区切り」をつけることができたとしている。

A今後の財政運営にあたっての基本的な考え方
 財政再建に「一つの区切り」をつけたものの、今後増大する財政需要に対応し、東京の将来を展望する新たな取組にも積極的に対応できる財政基盤は、未だ十分確立したとはいえないという現状認識を行っている。都財政が抱える課題として歳出では、ァ)社会資本ストックの更新経費の増加、ィ)社会保障費の増加、ゥ)オリンピック招致等も見据えた将来に向けての社会資本の整備、ェ)「実質公債費比率」の基準に合わせた公債費負担の増加、ォ)「負の遺産」(当初計画と実績が大きく乖離し、いずれ事業の見直し・再構築が避けられないもの)の存在を掲げ、歳入ではァ)都税収入の不安定性、ィ)地方税財政制度見直しの影響を強調している。その上で財政運営にあたり、中長期的な視点の重視と各局の主体的取り組み(庁内分権)の推進を基本的視点としている。

B財政構造改革に向けた新たな取り組み
 基本的視点にたち、安定的に行政サービスを提供するためとして、中期財政フレームと財政運営の基本方針は、3年間の財政フレームの作成と財政運営の基本方針を明示している。これにより、都財政の質的転換を図るとしている。さらに「基金の積極的活用」で財源の年度間調整機能を強化し、「予算編成手法の見直し」では定型的・経常的経費について局裁量費を設定、平成19年夏までに「指定事業」を定めて翌年度から実施、大規模施設等の改築・改修の計画的実施、管理事務費等の弾力的な執行を行うとしている。さらに事務事業評価などのツールを活用した事後検証の徹底とその結果を施策の見直し・再構築や予算に反映する「マネジメントサイクルの確立」といった新たな取り組みを進めるとしている。

C平成19年度から平成21年度の財政運営
 平成21年度までの一般会計における中期財政フレームを示し、財政運営の基本方針を示している。今後3年間は都税が堅調に推移する見込みであり、強固で弾力的な財政基盤の礎を築く重要な時期とし、ァ)3年間ゼロ・シーリングを基本とし、スクラップ・アンド・ビルドを徹底し歳出を安定化、ィ)「負の遺産」に抜本的な対策、ゥ)基金の積立・取崩による財源の年度間調整の強化を基本方針とするものである。

 この方針の初年度として、「平成19年度」予算見積もり方針を作成するとしている。

(2)「平成19年度」予算の見積りについて(副知事依命通達)
 新たな財政構造改革の方針である「今後の財政運営の指針」が策定された背景を述べ、平成19年度はその初年度で強固で弾力的な財政基盤の礎を築く重要な年であるとしている。その上で以下の2点を基本方針として示している。
○都民の安全・安心の確保、少子高齢化への備え、中小企業の振興など、都政が直面する課題に応えるとともに10年先をもにらんだ東京のまちづくりに積極的に取り組む。
○スクラップ・アンド・ビルドの徹底、「負の遺産」の抜本的処理など課題の抜本的解決と財政の質的転換。

@経費の見積もりは、「今後の財政運営の指針」を踏まえ、施策の見直し・再構築、民間活力の積極的活用、コスト縮減と実績を踏まえた見積りを行うよう指示するとともに、重点事業の対応を述べている。
 経費は、A経費(政策的判断の対象とならないもので、給与関係費を除く)とB経費(A経費C経費以外)は特例的な扱いがあるものの、平成18年度予算額の範囲で所要額を見積もるというシーリングをかけ、重点事業(C経費)は後年度負担を精査して見積もるとしている。また経費の算定にあたって、従来の方針であった事務用の備品購入停止、印刷製本費、通信運搬費の節減などは記載されていない。

A新規事業及びレベルアップ事業は、徹底したスクラップ・アンド・ビルドを前提とし、新規事業は原則として期限の設定、既存事業も終期の明記を求めている。

B職員定数は、「行財政改革実行プログラム」の定数削減目標(さらに3年間で4,000名削減)を踏まえ、執行体制の整備や事務事業の見直し、アウトソーシングの活用で一層の削減を図るとしている 。

C東京都監理団体は存在意義の検証・不断の見直しと、経営改革推進に向けた適切な指導監督を求めている。団体に対する財政支出は経営の効率化・自立化の促進から必要な見直しを求めている。

D補助金は、時代状況の変化を踏まえた必要な検証などを行い、徹底的に見直すとしている。また都から区市町村への財政支援も見直しを徹底するとなっている。

E庁舎の新築や改築などは、真に必要とされるものに限ると、これまでの新規の施設建設の原則停止から一部緩和された。

F情報システムは、費用対効果を検証し、廃止を含め抜本的に見直すこととしている。

G歳入見積もりは、都税収入の徴税努力による収入確保、国庫支出金の積極的確保、使用料・手数料は、受益者負担の適正化から見直し、財産収入の確保などを掲げている。

(3)「平成19年度」重点事業の策定について(副知事依命通達)
 ここでも、「今後の財政運営の指針」に基づき、これまでの重点事業を検証し、都政の構造改革を再構築した上で、平成19年度以降の重点事業の展開を明らかにすることで、改革の着実な推進を図るとしている。

3 都庁職の見解と態度
(1)「今後の財政運営の指針」について
 東京都は、第1次財政再建推進プラン、第2次財政再建推進プランを通じて、「財政危機」「財政再建」を旗印として予算編成を行ってきた。しかし実態はその大義名分とは異なり、自治体責任を放棄し、福祉・医療、教育など都民生活関連予算の削減・抑制を行い、職員定数削減や職員の給与関係費の削減など都政リストラを中心とするものであった。そして都政リストラにより捻出された財源を、シーリング外の重点事業を始めとした大企業本位の大規模開発に投入し、さらに直接的な都民サービスから撤収しつつ、指定管理者制度やPFIの導入などNPMの手法により東京都の職場を民間企業の利潤追求の場として開放する「構造改革路線」の具体化を行ってきた。
 しかし、都税収入の大幅な好転を受けて、構造改革路線の旗印として「財政危機」「財政再建」を言えなくなった状況の下で「今後の財政運営の指針」が作成されている。都政の構造改革路線の更なる推進の方向は、「都財政の質的転換を図る」ことや、「中期財政フレーム」でも今後3年間のゼロ・シーリングを組み、スクラップ・アンド・ビルドの徹底などこれまでの手法も踏襲し、また7月13日この指針と連動する形で発表された「行財政改革実行プログラム」を見ても明らかである。今後の財政需要としても、社会保障費や社会資本ストックの更新経費の増加に都民本位で対応することは当然としても、オリンピック招致などを見据えた将来に向けた社会資本整備が強調され、さらにオリンピックだけで毎年1000億円の積み立てが計画されていることは問題である。このほとんどが、知事自身が所信表明でも明らかにしているオリンピックを契機とした都市再開発・大規模開発に投入されることは自明の理である。今、小泉構造改革の下で、格差の拡大が社会問題となっている。福祉の増進を目的とする地方自治体である東京都は、こうした不要・不急の基金積み立てを止め、社会的な問題解決のために今こそ有効な施策と財政を投入すべきである。
「今後の財政運営の指針」は、「財政危機」「財政再建」という言葉に代えて、「財政基盤の未確立」を使っている。要因として前項で触れた財政需要の増加に加えて、都税収入の不安定性、公債費負担の増加、地方税財政制度見直しの影響、負の遺産の存在などをあげている。
しかしこの指針で、今後3年間は堅調に推移することが見込まれる都税収入について、その不安定さを強調すること自体が意図的であり、公債費負担の増加も実質公債費比率の基準に合わせた積み立て方式の変更によるもので、都債の規模が変わったわけでもなく、また現状では起債が制限される水準ともなっていない。地方税財政制度の見直しの影響も、財源の再配分に関わる大都市とりわけ東京都を巡っての議論の段階であり、実行段階の話ではない。
 財政再建推進プラン等では隠れ借金の存在が強調されたが、都庁職は、隠れ借金の大半は減債基金の積立不足と他会計からの借入金で、借金と強調するものではないと指摘してきた。都税収入の大幅な伸びを反映して、9,000億円から5,800億円に圧縮されるとともに基金残高が隠れ借金の額を上回ることとなった。ここで新たに負の遺産が登場する。その中身は明らかにされていないが、「当初計画と実績が大きく乖離し、いずれ事業の見直し・再構築が避けられないものでありながら、未だに手をつけていないもの」とされている。この定義からすると、本年5月臨海副都心関連3法人の破綻に際し、300億円を超える財政支出を余儀なくされたことが想定される。まさに大企業本位の大規模開発のツケであり、都庁職としてこれまで早期に抜本的解決を求めてきたものである。
 都庁職は、「財政再建推進プラン」に対する見解等でも指摘してきたが、都財政を巡る不安要因をことさらに強調して財政の緊縮化を図るのではなく、都民本位の施策展開に有効に財源を活用すべきことを「今後の財政運営の指針」に対しても指摘するものである。

(2)「平成19年度」予算見積もりに関する副知事依命通達について
 この依命通達は、「今後の財政運営の指針」に基づき、「制度や事務事業の根本まで遡った、施策の見直し・再構築を図る」とし、それぞれの事務事業について、行政と民間の役割分担を原点から見直し、「民間でできることは民間へ」という原則のもと、アウトソーシングなど民間活力の積極的活用を図るとしている。まさに「行財政改革の新たな指針」や「骨太方針2006」の方針に則り、都政が都民サービスの最前線から撤収し、都政の役割を大きく変質させ、財政の質的転換を進めることを重視したものである。
 手法も、都税収入の好調なのびにも関わらず、昨年に引き続きゼロ・シーリングをかけるとともに、スクラップ・アンド・ビルドを前提に、各局に都政リストラの実行を迫っている。「今後の財政運営の指針」でも、財政再建の成果は都民に還元されるべきものとしている。この視点に立てば、来年度予算編成では都民生活を支える施策について、シーリングをかけずに求めるべきである。

 「行財政改革実行プログラム」では新たに平成19年度から21年度の3年間で4,000人の職員定数削減を目標に掲げた。依命通達ではこれを踏まえ、執行体制の整備やアウトソーシングの推進など、一層の削減を求めている。都はこれまでの8年間で、様々な行革の手法も駆使しながら、実に11,000人(実質13,000人)を超える職員定数削減を行ってきた。長期にわたる緊縮予算で疲弊した職場では、大幅な人員削減に加え、業績評価制度など人事考課制度の締め付けが一層厳しくなり、超過勤務は増え、疲労を抱える職員が増えている。メンタルヘルスを病む職員が年々増加し、30日以上の病気休暇者の第1位を続けている実態も看過できない。これらは都民サービスの低下、切り捨てにもつながっている。業務を立て直し、職員が都民要求に応える方向に逆行する予算編成方針であり、許せるものではない。

 監理団体についても「行財政改革実行プログラム」で、取り巻く環境の変化を踏まえ、
「存在意義」を問う改革の方向が示され、廃統合・民営化などとともに、都派遣職員の削減や固有職員の人事給与制度など経営に踏み込むものとなっている。さらに依命通達では「適切な指導監督」、団体に対する財政支出を見直しするよう求めている。監理団体の多くは都直営で行ってきた事業であり、これ以上の公的責任の放棄は許されない。まして財政的な締め付けを経営の効率化や自立化を口実に行うことは、直ちに都民サービスや業務に影響がでるものである。都政リストラの受け皿であった監理団体について、都は行政責任持った対応を行うべきである。

 9年続いた庁舎の新築・改築原則停止方針は、今回一部が緩和された。昨年発表された「都財政が直面する課題」で、バブル期に建設した大規模施設の施設設備更新費が膨大な額になることを強調していたが、ようやく着手することとしたものである。これもオリンピック招致がその背景にあることも危惧されるが、庁舎や施設の状況は安全性・効率性からみても看過できない状況であり、都庁職要求に基づく庁舎等の新築・改善を直ちに予算化すべきである。 

(3)「平成19年度」重点事業の策定の副知事依命通達について
 これまでの重点事業を検証し、新規の重点事業については3年先までの展開・方向性を明らかにするとしている。これまで実施されてきた重点事業の中には、都市再生など重要かどうか疑問な事業もあり、検証は必要である。都庁職は、政策的に重点を置くべき事業があることは否定しないが、石原都政の政策展開に基本的な問題がある以上、重大な関心を持たざるをえない。

(4)今日、都民の生活を守るという都政本来の役割が大きく変質している。職場では大量退職時代を迎え、業務を継承・維持すら困難な事態が生まれ、都政のために日夜働く職員の多くが疲弊している。
 第一次・第二次財政再建推進プランの根拠となった都財政危機は、すでに解消された。しかし当局は、来年度予算でも、ゼロ・シーリングを維持する引き締め方針を変えていない。都庁職はこれ以上の定数削減に強く反対し、大量退職に見合う新規採用と、都民生活の改善や庁舎改善など必要な予算をつけるよう求める。さらに不要不急の「東京オリンピック」に対し1,000億円ずつ4年間の基金の積み立てやオリンピック招致を口実としたあらたな都市開発に強く反対するものである。
 来春は都知事選挙である。都庁職は「都民本位の都政確立」のスローガンを高く掲げ、公的責任を投げ捨て、都政の変質につながる民営化・民間移譲・指定管理者制度の拡大・市場化テスト導入・地方独立行政法人化などの都政リストラに反対するとともに、職員定数削減反対、諸要求の実現に向け2007年度都庁職予算人員要求闘争を、都民の理解を得ながら、各支部と共に闘いぬく決意である。

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