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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 


2012年3月9日

東京都人事委員会
委員長 関谷 保夫 殿

東京都庁職員労働組合
執行委員長 阿部 孝宣


2012年人事委員会勧告作業に関する要請書


 昨年、東京都人事委員会は、例月給については7年連続となるマイナス勧告、一時金については据置きとする勧告を行いました。この勧告は、被災地支援を含めて懸命に都政の第一線で日夜業務に精励する都庁職員の期待を大きく裏切ったばかりでなく、東京都職員の給料表を使用する多くの労働者に影響し、生活に大きな打撃を与えています。
 この間、都労連・都庁職は、人事委員会に対し、「日本全体の労働者の賃金水準を引き下げるための、公務員給与引き下げの役割を積極的に果たしていると言わざるを得ない」と厳しく批判し、公正な勧告を行うよう要請等を行ってきました。しかし、人事委員会はこれらを一切無視し、都当局の主張に偏した言及を行い、労使協議へのあからさまな介入を行っています。
 このような東京都人事委員会の態度は、公務員労働者から労働基本権を奪った代償措置を行う第三者機関としての自らの役割と責任を放棄し、政府の公務員総人件費削減方針や能力業績主義を拡大しようとする都当局と一体となった極めて政治的なものと断じざるを得ません。昨年の人事委員会の勧告や報告内容は、都当局と労働組合との厳しい労使交渉で意見が対立している事項に対しても、あきらかに当局よりに踏み込んだものであり、労働基本権制約の代償措置である第三者機関としての公平性・自立性を著しく欠くものです。
 また、国においては、2月29日の第180回通常国会において、「国家公務員給与削減臨時特例法案」が不当にも可決・成立され、2011年度の人事院勧告に基づいて昨年4月1日までに遡って国家公務員給与を平均0.23%引き下げ、さらに本年4月から2年間にわたって、平均7.8%削減するというものです。
 また、附則として「地方公務員の給与については、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」との内容が規定され、同日、各都道府県、政令指定都市等に対し、総務副大臣通知が出されました。
 これらは、地方への強制、介入であり、また公務員の労働基本権の回復と切り離した給与削減は、これまでの総務大臣発言を反故にし、まったく道理のあるものではありません。地方自治体の行政運営に関わる事項は、国が指示できるものではなく、地方自治体の判断に基づくもののはずであり、国からのこうした不当な介入に屈するべきではないと考えます。
 東京都人事委員会が、本来の中立・公正な第三者機関としての役割に立ち返り、大都市東京で働く職員の生活実態を勘案し、都民のための職務に専念できる労働条件を実現するよう、以下の事項を勧告作業に反映するよう強く要請します。



  1.  人事院に追随し、国の圧力に屈する形で見直しが行われた公民比較方式については、あくまで第三者機関として中立で公正な機関としての独自性を示し、以前の方式に戻すとともに、都における民間企業の給与水準及び都職員の生計費を的確に反映した勧告を行うこと。
  2.  民間給与の実態調査については、団体交渉によって賃金・労働条件を決定している企業とし、調査対象企業規模は100人以上に戻すこと。
  3.  一時金(特別給)については、都の職員数規模などからみて、企業規模1,000人以上の民間との比較とするとともに、給与と同様に「同種・同等」原則に基づき、同種・同等ではない従業員を比較対象から除外するよう早急に比較方法を改めること。また、民間における支給水準や臨時的給与等の支給実態を正確に把握し勧告に反映すること。
  4.  本給と地域手当の配分については、都職員の実態を踏まえ、地域手当の本給への繰入を基本とする抜本的な改善を行うこと。また、島嶼や都外公署に勤務する職員にとって、制度的な矛盾が拡大している事態を解消するよう具体的な改善措置について勧告すること。
  5.  現業賃金について、国の不当な給与水準引き下げ攻撃の下で労使協議において自主的判断を行った。この結果を尊重し、一切労使協議に介入しないこと。
  6.  比較給与の範囲については、公民の実態が大きく異なる住居手当を除外すること。また、住居手当については、首都圏の住宅事情を反映した支給額の大幅な引き上げを行うこと。
  7.  標準生計費については、実態と大きく乖離している現行の算定方式を改め、大都市東京の生活実態にあったものに改善すること。
  8.  給料表の構造については、都職員の生計費保障を基本に改善を図ること。また、これ以上の昇給カーブのフラット化拡大は行わないこと。また昇格メリットについては、すべての職員の処遇確保の観点から、格差拡大や管理職優遇につながる改悪は行わないこと。
  9.  東京都における非常勤職員・臨時職員の賃金・労働条件については、正規職員との均等待遇を図るなどの抜本的な改善にむけ、職務の実態に見合った適正なものとなるよう具体的な改善の方策を勧告すること。
  10.  都政における専門性の維持・向上、人材の育成・確保は急務となっており、その観点から行政各分野において一般職の専門職制度を確立し、専門職(スタッフ職)給料表を創設すること。
  11.  定年延長を含む高齢職員の雇用問題については、高齢者雇用制度や任用、昇任制度、職種や勤務体制が大きく違う国とは異なる実態にあることを踏まえて、安易に国に追随することなく、現行の都における再任用制度を含めて、どのような制度設計を行うべきか再構築する必要がある。労使間で設置された人事制度検討会における議論も開始されているため、労使協議に介入する勧告・意見は行わないこと。
  12.  都における人事考課制度については、希望者全員に第一次評定の本人開示が行われることとなっているが、依然として業績評価の公平性・納得性・透明性や、苦情相談の実効性に対する職員の不信は払拭されていない現状である。また、最終評定(相対評価)が開示の対象とされておらず、その評定の実態や活用方法は不明のままである。人事考課制度が労使協議事項であることを明確にするとともに、評価の公平性・公正性・透明性・納得性を確保し、評定の全面開示と実効ある苦情解決システムの確立を図るよう、積極的な提言を行うこと。
  13.  都における人事給与制度については、労使協議事項であり、公正かつ自立的な機関として労使双方の主張を十分踏まえた対応を行うこと。
  14.  再任用制度について、生活保障の観点にたって拡充を図ること。また、年金と雇用の連携、働く意欲のある職員が全員雇用されるよう、賃金・労働条件の改善を図ること。
  15.  短時間勤務制度については、賃金・労働条件及び雇用の保障、賃下げなきワークシェアリングの具体化など職場の意見・要望を踏まえ、十分な労使協議に基づく制度設計と合意を前提に検討を行うこと。
  16.  勤務時間については、引き続き民間の所定内勤務時間・休日・休暇などについて正確に把握すると同時に、週35時間、年間総労働時間1,800時間以下に短縮するよう調査結果を確実に反映させること。
  17.  育児・介護を行う職員への超過勤務規制を含め、実効ある超過勤務規制を行うことや休暇制度等の取得促進のための条件整備は勿論のこと、更なる休暇制度等の拡充など、所要の措置を講じること。
  18.  男女平等の公務職場の実現や福利厚生制度、福祉施策の拡充に向けて積極的な対応を行うとともに、「仕事と生活の両立支援」を進めるための具体的措置を講ずること。また、「次世代育成支援対策推進法」を踏まえ、不利益排除を図ると共に制度が利用しやすいよう、代替制度など職場環境の整備をワーク・ライフ・バランスに基づき制度の拡充を図ること。
  19.  メンタルヘルス対策について、都の職場における深刻な実態を踏まえ、具体的施策の検証を行い、使用者責任を明確に示した上で予防や円滑な職場復帰などに踏み込んで提言をすること。
  20.  パワー・ハラスメント対策について、実態の検証を行い、防止に向けた実効性のある意見を行うこと。
  21.  都職員の採用にあたっては、国籍条項を撤廃すると共に自主通勤の要件をはずし、V類に点字試験を導入するなど、障害者雇用枠と雇用領域を拡大し雇用率を上げること。
  22.  公務員制度のあり方に関することは、国の動向に安易に追随せず、地方自治や地方公務員制度の理念、都の実態、労使交渉の到達点などを十分尊重し、労働基本権確立をはじめとした民主的公務員制度の実現に向けて検討を行うこと。
  23.  勧告基礎作業及び勧告を行うにあたっては、労働組合と十分協議すること。
 
以上

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