都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

2010年賃金確定闘争の「妥結」にあたっての都庁職の見解と態度

2010年 11月12日
都庁職執行委員会


1.はじめに

 円高・ドル安、デフレ経済の下、公務員・民間労働者を問わず「総人件費削減」の低賃金化を労働者に強要し、財界戦略による大資本・大企業の「内部留保」など利潤・利益拡大が強まっています。
 その上、政府による公務員人件費削減により官民の賃金の引下げに拍車が掛っていますが、この負のスパイラルを断ち切ることが2010年賃金闘争の重要な課題となっています。
 都庁職は都労連6単組の仲間と共に、非正規労働などの不安定雇用労働者の拡大や貧困・格差などの拡大、毎年3万人以上の自殺者問題など日本社会の歪みがもたらす社会的諸問題を含め、労働者(人間)が人間らしく生活できる賃金や健康で文化的な生活の保障(生存権)の確保を求めて首都東京から取り組みを強化してきています。
 8月10日の人事院勧告をめぐって、菅政権は「人勧制度尊重」から一転して「勧告を上回るさらなる削減(深堀り)」を主張し、「公務員総人件費2割削減」の政策と相まって人事院勧告制度を否定するかのような不当かつ政治的なスタンスをとっています。全国的に6割を超える多くの自治体では独自の「給与減額措置」が実施され、人事委員会勧告制度を否定した動きが強まる中、都庁職は、労働基本権回復を勝ち取り、組織的な力量や職場段階からの組合員の結集力を高め、労使交渉による賃金・労働条件の改善の取り組みを進めていく立場で、2010賃金確定闘争を推進してきました。
 11月1日の給与関係閣僚会議、臨時閣議において、(1)2010年度の給与改定は人事院勧告通り実施する。(2)次期通常国会に、自律的労使関係を措置するための法案を提出するとともに、人件費削減措置について必要な法案を順次提出するという人事院勧告取扱方針を決定しました。
 このことを受けて、総務省は地方公務員法などの「技術的助言」と称して各地方自治体に対して、「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」(総務副大臣通知)を発し、異例ではありますが各地方自治体議会の議長にも発するなど、各自治体における確定闘争に不当にも介入し公務員賃金の引き下げを策動しています。
 このような政府の公務員総人件費削減の「不当なバックアップ」策動や公務員制度改革や定年制延長、労働基本権問題を背景に、都当局の交渉姿勢が頑ななものとなる中で、都庁職は都労連に結集し2010賃金確定闘争を取り組んできました。

2.主な取り組みの経過


(1)都労連は、3月8日に「2010年賃金・労働条件改善に関する要請書」を提出し、同時に「人事委員会勧告作業に関する要請書」を都人事委員会に提出し、3月30日に職員の賃金・労働条件に関した「引き続き協議事項」を都当局と確認しました。
 また、都庁職も3月9日に「2010年賃金・労働条件改善に関する要請書」を都当局に提出し、さらに都人事委員会に対して「人事委員会勧告作業に関する要請書」を提出しました。その後、都労連は、4月22日に都人事委員会要請を実施しました。
 5月13日の小委員会交渉で、都労連は、「一時金の『支給対象・割合・加算制度』の改善要求」((1)勤務実績等に基づく支給、(2)勤勉手当の除算をやめる、(3)職務段階別加算制度の抜本的改善)を提出し、「夏季休暇の改善要求」((1)日数増、(2)取得期間の延長、(3)取得できる環境の整備)を要求しました。
 都側は、一時金について、(1)業績の反映度合を高める、(2)職責に応じて加算する考えを述べる一方、「超過勤務の免除に係る制度の見直しについて(案)」、「超過勤務の制限に係る制度の見直しについて(案)」、「子どもの看護休暇の見直しについて(案)」、「短期の介護休暇の見直しについて(案)」の4提案を行ってきました。その内容は、「(1)超過勤務の免除及び制限について、配偶者が常態として子を養育できる場合でも申請できる、(2)子どもの看護休暇、短期の介護休暇について、対象者が複数いる場合の一人当たりの取得日数制限を廃止する」というもので、都労連の改善に応えたものであり、5月21日の小委員会交渉において、職員への周知徹底、取得しやすい職場環境改善を前提に了承することを回答しました。
 5月26日の団体交渉で都労連は、「(1)夏季一時金2.5月分を6月30日までに支給すること。(2)支給にあたっては、全額期末手当とすること。(3)以上の回答を、6月11日までに行うこと。」を要求しました。
 6月3日の小委員会交渉で、都労連は、「労働時間短縮・休暇制度の改善要求書」「福祉関連要求書」「男女平等に関する要求書」「セクシュアル・ハラスメント及びパワー・ハラスメント防止対策にかかわる要求書」の4つの要求書を提出しました。
 6月11日の小委員会交渉では、「2010年現業賃金・給与制度に関する要求書」を提出し現業系職員の切実な要求に応え、新制度導入を求めました。
 その後に団体交渉が行われ、「現行の条例、規則どおり、期末手当1.45月分、勤勉手当0.5月分、合計1.95月分を、また、再任用職員については、期末手当0.7月分、勤勉手当0.275月分、合計0.975月分を、6月30日に支給する」との回答を受け、都労連は今日の公務員を取り巻く厳しい状況の下、引き続き闘いを継続させ、都側との協議を通して解決することを前提に、夏季一時金については、昨年不当にも改悪された条例どおりの支給という内容ですが妥結するとし、改めて全組合員の総結集を訴え、夏季一時金闘争の決着にあたっての判断を表明しました。
(都庁職は、6月11日の拡大闘争委員会で妥結批准を確認しました。)

(2)7月28日に常駐部・単組代表者による都人事委員会要請を行い、「人事委員会勧告作業に関する要請署名」(35,350筆)を提出しました。
 8月10日に人事院は、「(1)民間との給与格差是正のため、国家公務員の給与を△0.19%(△757円)引下げ、具体的には、56歳以上・行(一)6級以上の月例給等の1.5%引下げ、40歳台以上の平均0.1%引下げ改定など、(2)期末・勤勉手当(ボーナス)を0.2月分引下げ3.95カ月とする、(3)平均年収は9.4万円(1.5%)減の633万9千円」などを内容とする月例給、ボーナスともに引下げる不当なマイナス勧告を行いました。

【人事院勧告:給与勧告のポイント】
 人事院は国家公務員一般職の2010年度給与について、月例給を0.19%、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.2カ月分引き下げるよう勧告した。
月例給と期末・勤勉手当のいずれも2年連続の引き下げ。
勧告通りに実施されれば、平均年間給与は勧告前より9万4,000円減(1.5%減)の633万9,000円となる。

【給与改定】

▽民間給与との比較
(1) 1万1,100民間事業所の45万人の給与を調査。
(2) 2010年4月公務員平均給与39万5,668円(平均年齢41.9歳)が、民間を757円(0.19%)上回った。
(3) 公務員のボーナス(期末・勤勉手当)は年4・15月分で、民間は年3.97月分。
▽給与改定などの内容
(1) 40歳以上の基本給を平均0.1%引き下げ。
(2) 2010年度中に56歳以上となる行政職俸給表(一)6級(本府省で課長補佐、出先課長)以上の職員の月給はさらに1.5%減。
(3) 30歳以下は据え置き
(4) ボーナスは年間3.95月分に引き下げ(1963年度以来47年ぶりに4カ月分を割り込んだ)。
(5) 43歳未満の若年・中堅層について、2011年4月にこれまで抑制していた昇給を1号俸回復。
(6) 公務員の超過勤務手当について、2011年度から、月60時間の超過勤務時間の積算基礎に法定休日(日曜日等)を勤務時間に含める。

【高齢期の雇用問題】
(1) 公的年金の支給開始年齢の引き上げに合わせ、2013(平成25)年度から定年を段階的に65歳まで延長することが適当。
(2) 2013年度から3年ごとに1歳ずつ段階的に定年を引き上げ。
(3) 一定範囲の管理職対象の役職定年制の導入。
(4) 定年延長の場合、60歳台前半の給与水準を相当程度引き下げ。
(5) 加齢による就労困難職種や特例定年の取扱いを検討。

【公務員人事管理に関する報告】
(1) 労働基本権制約の見直しは、広く議論を尽くして、国民の理解の下に成案を固め、実施することが必要。自立的労使関係制度の在り方の議論と検討の進め方を提示。
(2) 現行の1種・2種・3種試験を廃止し、試験体系の再編。
(3) 非常勤職員の育児休業の法改正を求め、介護休暇制度の導入も措置。
(4) 超過勤務の縮減。心の病で長期休職した職員について、復職前に試験的に出勤する仕組みを提示。病気休暇制度の見直し。

 2010年度人事院勧告は、(1)2年連続のマイナス勧告であり、2010春闘結果からしても意図的かつ政治的なマイナス勧告です。(2)特に公務と民間の50歳台後半の賃金逆較差や民間での高齢層低賃金化を理由に、当初よりその対象範囲を制限したとはいえ、職務給原則や「能力実績主義」と矛盾した年齢差別の56歳以上や40歳台の月例給等の一定率の引き下げは問題であり、勧告史上最悪な問題と言えます。(3)また、昨年の民間一時金の落ち込みを理由にした一時金の引き下げは公務員労働者の生活実態を無視するものであり、総人件費削減方針に基づく負の賃金スパイラルのさらなる強化と内需拡大に逆行するものです。(4)段階的に65歳定年延長の意見の申出に関して、年代に応じた生計費、生活実態を無視した60歳台の賃金水準引下げは高齢者の生活を否定し、その上50歳台後半層の給与のさらなる削減に言及するなど予断を許せない状況にあります。退職手当の取扱いなど不明な点もあります。(5)月60時間超の計算における法定休日(日曜日等)の算入、超過勤務縮減の取り組みなどが報告され、更なる超過勤務縮減の取り組みの強化が求められています。(4)非常勤職に対する育児休業・介護休暇などを適用するための育児休業法改正の意見の申し出は、この間の運動の到達点として評価できます。公務員人件費2割削減などの動きや衆参「ねじれ」国会の状況などの不透明な情勢下、今年における国家公務員の給与水準の特徴的な要素はありますが、前述のように地方公務員の賃金や労働条件に大きな影響を与えかねない課題を有しています。

 8月10日の人事院勧告を受けて、8月12日、9月10、21日に都労連、都庁職は都人事委員会要請を行い、9月30日にも都労連は都人事委員会要請を実施しました。

(3)10月7日、都人事委員会は、国や他団体に追髄し、2000年度以降、11年連続のプラス改定なしであり、ベア見送りや据え置き勧告を除き8度目の給料表のマイナス改定(▲1,235円、▲0.29%)、一時金の支給月数の大幅削減(0.2月分削減)、地域手当の支給割合を18%に引き上げ、給与カーブのフラット化などを勧告しました。

2010年10月7日
【2010年都人事委員会のポイント】
〜例月給は6年連続、ボーナスは2年連続引下げ、平均年間給与は▲10万5000円〜
(1) 公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(▲1,235円、▲0.29%)を解消するため、月例給の引下げ改定。
職責の反映と昇給カーブのフラット化を重視した改定0.0%〜△1.5%、平均改定率△1.2%(初任給付近の据え置き、若年層・管理職層の引下げを緩和)
(2) 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(▲0.20月分)⇒3.95月。
(3) 地域手当(17%⇒18%)
(4) 住居手当(・扶養親族有の加算廃止 9,000円⇒8,500円。・単身赴任手当受給世帯主も同様 4,500円⇒4,200円)
(5) 扶養手当(3人目以降の子等に係る手当額の引き上げ 5,000円⇒6,000円)

【給与構造・制度の改革】
(1)基本的な方針
ア. 業績の給与への反映の観点から特別給の見直し
イ. 特別給への業績反映(勤勉手当の割合の拡大・・・国と同程度まで引き上げが適当、指定職給料表適用者の特別給への勤勉手当の導入・・・国と同程度することが適当)
(2)各給料表の課題に応じた取組
ア. 医療職の給与の見直し
イ. 教員の給与への職務・職制の反映
ウ. 研究職給料表のあり方の検討

【高齢期雇用のあり方】
ア. 国の動向を踏まえ、高齢期の雇用のあり方について、検討、分析が必要である。
イ. 給与については、退職手当を含めた給与体系、給与水準など全般にわたる検討が必要である。

【人事制度及び勤務時間制度等に関する報告(意見)】
ア. 公務員制度の転換期にあたり、採用から退職までの人事制度全体の検証・分析、課題の整理。
イ. 多様な人材の確保・活用(多様で有為な人材の確保、行政専門職選考の見直し、昇任選考の選考区分)
ウ. 「個」に着目した人材の育成
エ. 職員の勤務環境の整備等(超過勤務の縮減、仕事と生活の調和、職員の心の健康保持、公務員倫理の確立)

 その内容は、給与月額は、公民格差0.29%と地域手当の1ポイント引き上げ相当分とあわせて、平均で1.2%引き下げとしています。
 また、初任給付近の据え置き、若年層及び管理職層の引き下げを緩和し、中高年層を中心に、0.0%から最大△1.5%の昇給カーブのフラット化するとし、2005年以降引き続き高齢層の職員に負担を強いる結果となっており、医師の医療職給料表(1)は改定なしとしています。その上、看護職などについて「人材確保、職務の専門性重視したフラットな昇給カーブへの転換」「初任給水準の確保」として、医療職(2)は△1.6%、医療職(3)は△1.7%と行政職(1)と比較し、高齢層の引き下げを強くし、「人材育成」どころか職場実態の無視した暴挙といえます。
 また、人事院勧告における56歳以降の職員に対する一律減額措置は、年齢による職員差別であり、職務給の原則や職場のチームワークなどに大きな影響を与える問題であり、断じて認める訳にはいきません。しかし、都人事委員会は5年間にわたる国に先行して中高齢者に対するフラット化の独自措置を強行しており、中高齢者を犠牲にした不当な賃金引き下げを実施してきています。今後、高齢者雇用制度や定年延長問題などの課題を残しています。
 今年も、本年4月からの公民較差相当分の解消するため、「所要の調整」を実施するとしており、「不利益不遡及の原則」を踏みにじっています。

(4)都労連は、10月7日に人事委員会勧告の説明会、団体交渉を実施し、10月13日には専門・小委員会交渉で今確定交渉における交渉項目整理を行い、10月20日に年末一時金要求の団体交渉を行いました。
 そして、10月19日の小委員会において、都当局は、「勤勉手当の成績率拡大」「義務特手当・給料の調整額引き下げ」「宿日直手当の見直し」を提案し、「メーデー職免の廃止」や人事委員会勧告に言及しました。
 10月20日には、年末一時金要求の団体交渉を行い、(1)年末一時金について、2.20月分を12月10日までに支給すること。支給にあたっては、全額期末手当とすること。(2)一時金の「支給対象・割合・加算制度」を都労連要求に基づき改善すること。(3)11月11日(木)までに回答することを求めました。

平成22年10月19日
一般職員に係る勤勉手当の成績率の見直しについて(案)
1.趣旨
 職員のモラールアップ及び組織の活性化を図るため、一般職員に係る勤勉手当の成績率について、成績率の適用対象職員及び加算額の見直しを行う。

2.改正内容
(1)成績率の適用対象職員
 現行の行政系・運輸系係長級以上(次席を含む。)に加え、以下の職員まで拡大する。
  (1)  行政系・運輸系係長級以上の職員のうち県費負担職員である小中学校事務職員等
  (2) 教育職員のうち主幹教諭
(2)加算額(成績率の原資)
 成績率の原資を以下のとおり見直す。
現 行 改正案
勤勉手当0.02月(年間)、扶養手当(はね返り含む。)及び下位からの減額分6% 勤勉手当0.06月(年間)、扶養手当(はね返り含む。)及び下位からの減額分6%

3.実施時期
 平成23年6月に支給する勤勉手当から適用する。

 都当局は、都人勧を尊重すると称して、「特別給に占める勤勉手当の割合を国と同程度まで引上げることとあわせ、勤勉手当の成績率についても、適用範囲や業績反映の度合いの拡大を行っていく」との主張をするなど業績評価による賃金差別の拡大、強化の不当な姿勢をあらわにしています。この間の都労連要求には全く応えることなく、自らの主張のみに固執する都当局の交渉姿勢を改めさせなければなりません。
 10月22日に福祉関連要求の対都要請行動、25日に専門委員会交渉、26日に人事給与制度の対都要請行動、27日に島しょ要求の対都要請行動を実施しました

平成22年10月19日
教員の給与制度の改正について(案)
1.趣旨
 国における人材確保法に基づく教員給与の優遇措置の見直しに伴う国庫負担金の縮減を踏まえた支給額の改正及び人事委員会勧告における給与改定を踏まえた給料の調整額の改定を行う。

2.改正内容
(1)義務教育等教員特別手当
 国庫負担金の取扱いが給料月額の2.2%から1.5%に縮減されるため、相当する引下げを行う(別紙1:略)。
(2)給料の調整額
    平成22年4月の公民較差に基づく改定
従前の例により改定する(別紙2:略)。
    国庫負担金の縮減を踏まえた改正
国庫負担金の取扱いが給料月額の4.5%程度から3.75%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う(別紙2:略)。

3.実施時期
(1)義務教育等教員特別手当
 平成23年1月1日
(2)給料の調整額
 別紙2のとおり

平成22年10月19日
宿日直手当の見直しについて(案)
1.趣旨
 年始に係る宿日直手当について、東京都職員の特殊勤務手当に関する条例第37条に定める交替制勤務者等業務手当との均衡を図る観点から、見直しを行う。

2.改正内容
現 行 改正案
勤務の全部又は一部が年始の日(1月1日から同月3日までの間をいう。)において行われる宿日直への加算
勤務時間 金 額
5時間以上 1,000円
5時間未満 500円
(勤務1回の額)
廃   止

3.実施時期
 平成22年12月31日

平成22年10月19日
特別給の見直しにかかる人事委員会勧告の内容について
○人事委員会勧告の内容
 ・「勤勉手当の割合の拡大等」抜粋
 しかしながら、本年の改定を行ってもなお、都の特別給への業績の反映度合いは、民間の賞与における考課査定の反映状況に比べて低い水準にあり、国や他団体と比べても不十分であることから、平成23年6月期の支給分から、勤勉手当の割合を国と同程度(3分の1程度)まで引き上げることが適当である。
 なお、特別給については、引き続き、成績率の適用範囲や査定幅の拡大など、業績の反映度合いを高める検討を行っていく必要がある。

平成22年度支給月数(平成22年人事委員会勧告)

区 分 期末手当 勤勉手当
平成22年 6月期支給分 1.45月(0.70月) 0.50月(0.275月)
平成22年12月期支給分 1.50月(0.85月) 0.50月(0.275月)
合 計 2.95月(1.55月) 1.00月(0.55 月)

平成23年度支給月数(平成22年人事委員会勧告)

区 分 期末手当 勤勉手当
平成23年 6月期支給分 1.225月(0.65月) 0.675月(0.325月)
平成23年12月期支給分 1.375月(0.80月) 0.675月(0.325月)
合 計 2.60 月(1.45月) 1.35 月(0.65 月)

※括弧内は再任用職員に支給される月数

【参 考】
国家公務員の平成23年度支給月数(平成22年人事院勧告)

区 分 期末手当 勤勉手当
平成23年 6月期支給分 1.225月(0.65月) 0.675月(0.325月)
平成23年12月期支給分 1.375月(0.80月) 0.675月(0.325月)
合 計 2.60 月(1.45月) 1.35 月(0.65 月)

※括弧内は再任用職員に支給される月数

平成22年10月19日
住居手当の見直しにかかる人事委員会勧告の内容について
○人事委員会勧告の内容
 ・「住居手当」抜粋
 住居手当については、世帯主等である職員を対象に、扶養親族の有無により支給要件を区分して支給している。これまで、扶養親族を有する職員に対しては、扶養なし区分に500円加算した9,000円の設定額としてきたところであるが、扶養手当と趣旨、支給要件が重複していることから、加算の位置付けが不明確となっている。
 ついては、扶養親族を有する職員に対する加算を廃止し、手当額を8,500円とすることが適当である。また、単身赴任手当を受給する世帯主等に対しても同様の見直しを行うことが適当である。
 なお、住居手当については、引き続き、その根幹に立ち返って検証し、今後の制度のあり方を検討していく。

 ・実施時期
勧告給料表の実施時期から
【現行】
  手 当 額
扶養親族あり 扶養親族なし
世帯主等 9,000円 8,500円
世帯主等(単身赴任手当受給者) 4,500円 4,200円

【平成22年人事委員会勧告】
  手 当 額
世帯主等 8,500円
世帯主等(単身赴任手当受給者) 4,200円

平成22年10月19日
扶養手当の見直しにかかる人事委員会勧告の内容について
○人事委員会勧告の内容
 ・「扶養手当」抜粋
 次世代育成支援の観点から、また、民間事業所における状況、国における支給状況等を踏まえ、3人目以降の子等に係る扶養手当の月額を1人につき1,000円引き上げて6,000円とすることが適当である。

 ・実施時期
勧告給料表の実施時期から
区 分 現 行 平成22年 人事委員会勧告
配 偶 者 13,500円 現行どおり
配偶者を欠く場合の子一人 13,500円 現行どおり
配偶者以外の扶養親族のうち二人 6,000円 現行どおり
そ の 他 5,000円 6,000円
16歳〜22歳の子一人につき加算 4,000円 現行どおり

平成22年10月19日
超過勤務手当に関する人事委員会勧告の内容について
○人事制度及び勤務時間制度等に関する報告(意見)の内容
 ・「超過勤務の縮減」抜粋
 なお、国においては、民間企業の実態を踏まえ、平成23年度から、月60時間の超過勤務時間の積算の基礎に日曜日又はこれに相当する日の勤務の時間を含めることとしている。都における「民間給与調査」では、同様の取扱いを行っている民間事業所の従業員割合は、過半数を超える結果(53.4%)となっている。今後、このような民間の実態を踏まえ、都においても、必要な措置を講じていく必要がある。

第17表 時間外労働の月60時間の積算に係る法定休日の労働時間の取扱い
時間外労働の月60時間の積算の基礎に法定休日の労働時間を含めるか否か 適用従業員割合
法定休日の労働時間を含める 53.4%
法定休日の労働時間を含めない 46.6%
(参考)
適用事業所割合
40.9%
59.1%

(5)10月27日の小委員会交渉において、都当局は、(1)現業系人事制度に矛盾が生じているとはいえない、可能な限りの対応を行ってきた、(2)成績率の適用範囲の拡大と勤勉手当の拠出月数を0.06月に拡大し国並みに業績反映したいなどと主張しました。
 都労連は、(1)現業系任用制度は、矛盾が露呈し、現行人事任用制度の破綻は明らかである。(2)教育職場の特殊性を顧みない勤勉手当の成績率の適用拡大・原資拡大は断固反対であり、撤回などを求め、都労連要求の検討状況を求めました。
 都庁職は、10月26日を基準日にストライキ批准投票を実施し、高率の81.31%を勝ち取り、28日の第43回定期大会で闘う方針を決定しました。
 10月31日より、都庁職本部は待機態勢に入り、11月1日には、都労連として現業賃金任用制度の総決起集会と対都要請行動、2日には都庁職として、都庁職独自集会、各支部代表による総務局要請行動、現業要請行動を実施しました。
 都労連は、11月2日、専門委員会交渉、小委員会交渉を行い、都当局は提案事項に関して、勤勉手当の支給割合と成績率の適用範囲の拡大、住居手当についてあらためて勧告を踏まえて実施する必要であることやメーデー職免廃止を主張し、都労連は、都当局の主張は断じて認められず、主幹教諭への適用は学校現場の実態と特殊性を無視したものであり都労連要求に基づく改善の必要性を求め、メーデー職免廃止には反対である立場を強調しました。
 また、10月27日の島しょ要求実現に向けた要請、11月1日の現業賃金・給与制度改善要求実現の要請を踏まえた検討状況を明らかにすることを求めましたが、都当局は、要請で厳しい切実な意見を聞くことができたが、「現在鋭意検討中であり、今しばらく時間をいただきたい」と具体的な検討状況を示しませんでした。

(6)11月1日に国家公務員の給与改定に関して、人事院勧告どおり実施するとの閣議決定を受け、総務省が各都道府県などに対して「地方公務員の給与改定に関する取り扱い等について」等の副大臣通達や事務連絡を発しました。そのような情勢下、都当局や議会がさらに強硬的な姿勢を強める状況にあることを踏まえ、単組代表者会議を開催し、交渉状況を報告し新たな統一行動を提起し闘争態勢の強化を図っていくことを確認しました。
 11月4日に早朝宣伝行動、単組組織部長会議を行い、専門委員会交渉を実施しました。都労連は、都労連要求の検討状況を求め、都当局は「鋭意検討を進めてきたが、いくつかの要求について精査を進めた状況を示したい。」として、「人事給与制度改善要求」、「福祉関連要求」、「ハラスメント防止対策に係る要求」に関する具体的な要求項目のうち数点について、検討状況を示しました。
 しかし、示された検討内容は、すでに実施済みであることや慎重に検討を要する課題もあること、法的な制約もあり困難であるなど、この間の要請を踏まえて鋭意検討したとは言い難い見解を示しました。
 都労連は、都当局に対して交渉姿勢をあらためるよう申し入れました。その内容を賃対部長会議で報告し機関待機を解除しました。
 11月5日には、第4波総決起集会を開催しました。集会後、6日に専門委員会を開催することを都当局と確認しました。
 11月6日に専門委員会交渉、7日に専門委員会・小委員会交渉を実施しました。7日の小委員会交渉において、都当局は、人事給与制度改善要求、現業要求、島しょ要求、福祉関連要求に関して基本的な認識と現時点での検討状況を示してきましたが、個別・具体的内容を一切示さず自らの提案の正当性を執拗に繰り返し、都労連要求に応えない不当な回答に終始しました。都労連は、要求に応えず要請を反映していない検討状況に抗議し、政治的・不当な勧告は認められないという立場を表明し、直ちに再検討を行うよう強く求めました。
 また都当局は、給与法改正案の閣議決定後の「人件費削減のための措置を検討すること」を明記などの国の検討姿勢をとらえ、「公務を取り巻く環境」の情勢認識の厳しさ強調し、さらに10月20日の団体交渉での「取り巻く情勢の変化を踏まえれば、これまで多年にわたり協議を重ねてきた課題について、一定の整理をすべき時期にきている」という認識を再度表明するなど不当な態度、交渉姿勢に終始しました。
 その後、都労連は、各単組の実情に応じた統一行動を実施し、全組合員に闘争の状況とストライキ体制への協力を求めました。そして、11月8日、9日と専門委員会交渉を実施し、10日には交渉の正常化と都労連要求に対する踏む込んだ回答を求め単組書記長による労務担当部長に対する要請行動を行いました。

3.最終局面での交渉状況

(1)交渉の正常化を求めた結果、都労連は11月11日に専門委員会交渉、小委員会交渉を実施しました。しかし、都当局は、「技能主任職昇任選考の見直しについて(案)」「特地勤務手当の見直しについて(案)」「へき地手当の見直しについて(案)」「再雇用職員及び専務的非常勤職員の子どもの看護休暇の見直しについて(案)」「再雇用職員及び専務的非常勤職員の短期の介護休暇の新設について(案)」「超過勤務手当の見直しについて(案)」「教員の給与制度の改正について(修正案)」などの「見直し・修正提案」から示されましたが、都労連要求とは程遠いものであり、再度踏み込んだ回答を引き出すため、単組委員長による総務局長要請を実施しました。

11月11日 小委員会交渉で示された都当局の修正・見直し提案内容
■技能主任職昇任選考の見直しについて(案)
1.趣旨
 意欲と能力のある職員の活用をこれまで以上に積極的に図っていく観点から、技能主任職昇任選考の受験資格について見直しを行う。

2.改正内容
 受験資格の年齢を以下のとおり改正する。
(1)受験資格
現 行 改正案
・1級職歴:16年以上
・年齢:58歳未満
・1級職歴:16年以上
・年齢:60歳未満

(2)経過措置
 改正案の円滑な移行と安定的な運用を図るため、次の経過措置を設ける。
選考年度 23年度 24年度
年  齢 59歳未満 60歳未満(本則)

3.実施時期
 平成23年度選考(平成24年4月1日以降に昇任する者の選考)から実施
■特地勤務手当の見直しについて(案)
1.趣旨
 離島その他の生活の著しく不便な地に所在する公署に勤務する職員に支給される特地勤務手当の趣旨及び島しょ地域の実態を踏まえ、三宅島内に所在する公署に係る特地勤務手当の支給割合の見直しを行う。

2.改正内容
 三宅島内に所在する公署に係る支給割合を引き上げる。
現 行 改正案
19% 23%

3.実施時期
 平成23年4月1日
■へき地手当の見直しについて(案)
1.趣旨
 平成22年4月1日、へき地教育振興法施行規則の一部を改正する省令(以下「改正省令」という。)が施行となり、へき地学校等指定基準が見直されたことに伴い、へき地学校等について算定を行った結果、級地の一部見直しを行う。

2.改正内容
 三宅島内に所在するへき地学校等に係る級地を引き上げる。
現 行 改正案
3級地(支給割合19%) 4級地(支給割合23%)

3.実施時期
 平成22年4月1日(改正省令附則に規定する級地指定の実施日にあわせ、遡及して適用する。)
■再雇用職員及び専務的非常勤職員の子どもの看護休暇の見直しについて(案)
1.趣旨
 再雇用職員及び専務的非常勤職員の仕事と子育ての両立を支援する観点から、子どもの看護休暇について見直しを行う。

2.改正内容
 9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が複数いる場合の日数を以下のとおり見直す。
(1)再雇用職員
 1年につき6日以内で必要と認められる期間
(2)専務的非常鋤職員(月15日〜16日勤務)
 1年につき6日以内で必要と認められる期間
(3)専務的非常勤職員(月11日〜14日勤務)
 1年につき4日以内で必要と認められる期間

3.実施時期
 平成23年4月1日
■再雇用職員及び専務的非常勤職員の短期の介護休暇の新設について(案)
1.趣旨
 再雇用職員及び専務的非常勤職員の仕事と介護の両立を支援する観点から、要介護状態にある家族の介護や通院の付き添い等を行うために使用できる短期の介護休暇を新設する。

2.内容
(1)要介護者の範囲
 配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は二親等以内の親族で疾病、負傷又は老齢により日常生活を営むことに支障がある者
(2)承認事由
 ・要介護者を介護する場合
 ・要介護者の通院等の付添いをする場合等
(3)日数
 (1)再雇用職員
  1年につき3日(要介護者が複数の場合は6日)以内で必要と認められる期間
 (2)専務的非常勤職員(月15日〜16日勤務)
  1年につき3日(要介護者が複数の場合は6日)以内で必要と認められる期間
 (3)専務的非常勤職員(月11日〜14日勤務)
  1年につき2日(要介護者が複数の場合は4日)以内で必要と認められる期間
(4)使用単位
 1日を単位とする。
 ただし、任命権者が職務に支障がないと認めるときは、1時間を単位として使用することができるものとする。
(5)報酬
 勤務しない時問について減額する。

3.実施時期
 平成23年4月1日
■超過勤務手当の見直しについて(案)
1.趣旨
 民間の実態を踏まえ、超過勤務手当の算定について所要の見直しを行う。

2.改正内容
 月60時間の超過勤務時間の積算の基礎に日曜日又はこれに相当する日の勤務の時間を含めることとする。

3.実施時期
 平成23年4月1日
■教員の給与制度の改正について(修正案)
1.趣旨
 国における人材確保法に基づく教員給与の優遇措置の見直しに伴う国庫負担金の縮滅を踏まえた支給額の改正及び人事委員会勧告における給与改定を踏まえた給料の網整額の改定を行う。

2.改正内容
(1)義務教育等教員特別手当
 国庫負担金の取扱いが給料月額の2.2%から1.5%に縮減されるため、相当する引下げを行う(略)。
(2)給料の調整額
  ア. 平成22年4月の公民較差に基づく改定
従前の例により改定する(略)。
  イ. 国庫負担金の縮減を踏まえた改正
国庫負担金の取扱いが給科月額の4.5%程度から3.75%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う(略)。

3.実施時期
(1)義務教育等教員特別手当
 平成23年4月1日
(2)給料の調整額
 平成23年4月1日

 その後、第5波総決起集会、都庁包囲デモを整然と実施し、執行委員会、拡大闘争委員会、本部委員会を開催し、最終局面の対応などを確認しました。
 20時すぎに、都労連に対して、都労連委員長と副知事のトップ会談の申し入れがあり、単組代表者会議で副知事とのトップ会談を受けていくことの提起を受け全体で確認し、21時40分からトップ会談が実施されました。その中で、次のような副知事発言があり、都当局としての最終の回答が示され、都労連委員長として要求に基づく反論などを行い、一定の回答を引き出し会談を終了しました。

<副知事・都労連委員長会談での副知事発言(メモ):(22.11.11)>
公務運営を取り巻く厳しい諸情勢の中、今年の給与改定交渉は、将来を見据えながら、多年にわたる協議課題のi整理を行う必要があるなど、大変厳しい協議となりました。
職員の皆さんにとっては、昨年に引き続き、例月給や特別給の引き下げなど、厳しい内容をお願いすることになりますが、都民の理解を得ていく観点から、ご理解いただきたい。
現業系職員の人事制度については、都労連の皆さんからの強い要求も踏まえ、第一線の現場で日夜、頑張っている職員の努力に応えていく観点から、可能な限りの見直しを行うこととします。
また、勤勉手当については、皆さんに大変重い判断をいただくことになりますが、是非とも、ご理解いただきたい。
今後、改めて、現行入事制度の検証・分析・課題整理を行い、皆さんとも協議すべき事項については十分に協議をしてまいります。
委員長からお話のあったこれらの事項以外についても、交渉責任者として、最終の判断をしましたので、ご理解いただきたい。

 12日の1時から開催された単組代表者会議において、副知事との会談内容と都労連戦術委員会の判断が示されました(詳細は、都労連の見解を参照してくだい)。
 各単組からは、最終回答が非常に厳しいものであり、不満が残るものである旨の表明がありましたが、都労連委員長の引き続き要求を組み立て直し、本格的な労使交渉を通して都労連の統一と団結で勝ち取っていこうとする決意表明を全体で確認し、2時15分にストライキを中止しました。
 都庁職は、執行委員会、拡大闘争委員会で都労連の「妥結」を受け入れていくことを確認し、11月12日を基本とした職場報告を職場の実情にあわせて実施していくこと確認しました。

4.妥結内容(骨子)

■2010年給与改定
人事委員会勧告で示された例月級の改定については、公民較差(▲1,235円、▲0.29%)と地域手当の支給割合の引き上げ(17%→18%)に伴う引き下げ分と合わせて引き下げ、平成22(2010年)年12月1日から実施し、「所要の調整」は12月期の期末手当において実施する。
職責の反映と昇給カーブのフラット化を重視した改定0.0%〜▲1.5%、平均改定率△1.2%(初任給付近の据え置き、若年層・管理職層の引下げを緩和)

■2010年末一時金
2010年12月の取り扱い 期末手当 勤勉手当
職 員 1.500月 0.500月 2.000月
再任用 0.850月 0.275月 1.125月

職 員 現 行 勧告(2011年6月以降)
6月期 12月期 6月期 12月期
期末手当 1.45月 1.70月 3.15月 1.225月 1.375月 2.6月
勤勉手当 0.50月 0.50月 1.00月 0.675月 0.675月 1.35月
1.95月 2.20月 4.15月 1.9月 2.05月 3.95月

再任用 6月期 12月期 6月期 12月期
期末手当 0.700月 0.950月 1.650月 0.650月 0.800月 1.45月
勤勉手当 0.275月 0.275月 0.550月 0.325月 0.325月 0.65月
0.975月 1.225月 2.200月 0.975月 1.125月 2.10月

■地域手当の支給割合
区部・多摩公署における地域手当の支給割合を17%から18%に引き上げる。

■住居手当
扶養親族有の加算廃止 9,000円⇒8,500円。・単身赴任手当受給世帯主も同様 4,500円⇒4,200円)

■扶養手当
3人目以降の子等に係る手当額の引き上げ 5,000円⇒6,000円

■宿日直手当
年始加算額の廃止。
実施時期:平成22年12月31日

■一般職員に係る勤勉手当の成績率の見直し
成績率の適用対象職員
現行の行政系・運輸系係長級以上(次席を含む。)に加え、以下の職員まで拡大する。
行政系・運輸系係長級以上の職員のうち県費負担職員である小中学校事務職員等
加算額(成績率の原資)
勤勉手当0.04月(年間)、扶養手当(はね返り含む。)及び下位からの減額分6%
実施時期:平成23年6月に支給する勤勉手当から適用する。

■教員の給与制度
義務教育等教員特別手当
 国庫負担金の取扱いが給料月額の2.2%から1.5%に縮減されるため、相当する引下げを行う(詳細略)。
給料の調整額
  ア. 平成22年4月の公民較差に基づく改定
従前の例により改定する(詳細略)。
  イ. 国庫負担金の縮減を踏まえた改正
国庫負担金の取扱いが給料月額の4.5%程度から3.75%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う(詳細略)。
実施時期
(1)義務教育等教員特別手当   平成23年4月1日
(2)給料の調整額   平成23年4月1日

■勤勉手当(成績率)の見直し
主幹教諭については、現段階では、現行どおり、成績率の適用対象外
勤勉手当の拠出月数を見直し(0.06月⇒0.04月)

■技能主任職昇任選考の見直しについて
受験資格を「1級職歴:16年以上、年齢:60歳未満」とする
経過措置
 改正案の円滑な移行と安定的な運用を図るため、次の経過措置を設ける。
選考年度 23年度 24年度
年  齢 59歳未満 60歳未満(本則)
実施時期:平成23年度選考(平成24年4月1日以降に昇任する者の選考)から実施

■現業系職員の「認定技能職員制度(仮称)」の創設
任用制度とは別に、技術・技能の習熟等を評価する仕組みとして、いわゆるマイスター制度の現業職員版を創設
特に高度な技術・技能と豊富な経験を有する職員を「認定技能職員(仮称)」として認定
一定の経験(勤続25年程度)を積み重ねた技能主任級以上の職員を対象
認定規模は全庁で最大300名程度(段階的に認定)
局長名による認定書を交付
実施時期:平成23年度以降順次実施

■現業系職員の給与(業務職給料表の号給増設・昇給調整措置の見直し)
(業務職給料表の号給増設)
若手・中堅・ベテラン職員を問わず、勤務成績が良好な職員に対する将来の昇給の余地を確保するため号給を増設(1級:12号、2級20号、3級4号)
実施時期:勧告給料表の実施時期
(昇給調整措置の見直し)
勤務成績が優秀な職員に対して、時機を失することなく、昇給効果を反映させるため、昇給号給数から減ずる調整号給数は毎年度4号(55歳超は1号)を限度とし、それを超える号給数については、当該年度に昇給(1号又は2号昇給)
実施時期:平成23年4月1日以後の昇給に適用

■特地勤務手当の見直しについて
○三宅島内に所在する公署に係る支給割合を引き上げる。
○支給割合:23%
○実施時期:平成23年4月1日

■へき地手当の見直しについて               
三宅島内に所在するへき地学校等に係る級地を引き上げる。
4級地(支給割合23%)
実施時期:平成22年4月1日(改正省令附則に規定する級地指定の実施日にあわせ、遡及して適用する。)

■再雇用職員及び専務的非常勤職員の子どもの看護休暇の見直しについて
9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が複数いる場合の日数を以下のとおり見直す。
日数
(1)再雇用職員
 1年につき6日以内で必要と認められる期間
(2)専務的非常鋤職員(月15日〜16日勤務)
 1年につき6日以内で必要と認められる期間
(3)専務的非常勤職員(月11日〜14日勤務)
 1年につき4日以内で必要と認められる期間
実施時期:平成23年4月1日

■再雇用職員及び専務的非常勤職員の短期の介護休暇の新設について
要介護者の範囲
配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は二親等以内の親族で疾病、負傷又は老齢により日常生活を営むことに支障がある者
承認事由
・要介護者を介護する場合
・要介護者の通院等の付添いをする場合等
日数
(1)再雇用職員
 1年につき3日(要介護者が複数の場合は6日)以内で必要と認められる期間
(2)専務的非常勤職員(月15日〜16日勤務)
 1年につき3日(要介護者が複数の場合は6日)以内で必要と認められる期間
(3)専務的非常勤職員(月11日〜14日勤務)
 1年につき2日(要介護者が複数の場合は4日)以内で必要と認められる期間
使用単位
1日を単位とする。(ただし、任命権者が職務に支障がないと認めるときは、1時間を単位として使用することができるものとする。)
報酬  勤務しない時問について減額する。
実施時期:平成23年4月1日

■超過勤務手当の見直しについて
月60時間の超過勤務時間の積算の基礎に日曜日又はこれに相当する日の勤務の時間を含めることとする。
実施時期:平成23年4月1日

■島しょ公署・都外公署へ異動する職員に対する異動保障措置
異動の実情等を考慮して、支給年限を延長(最大6年⇒最大8年)
実施時期:平成23年4月1日以後に異動する職員から適用(ただし、実施時期の前日において異動保障措置を受ける職員についても適用)

■人事制度検討会(仮称)の設置
定年延長となる可能性も見据え、現行の人事制度全体についての検証・分析、課題の整理を行うにあたり、交渉とは別に、労使が意見交換を行うための場として、「人事制度検討会(仮称)」を設置(既設の「人事考課制度に係る意見交換会」を吸収し、統合)
実施時期:平成23年度から設置(時限設置)

■メーデー職免
「平成23年度の給与改定交渉期までに結論を得られるよう引き続き協議」

■メンタルヘルズ対策
「発生の予防、早期の発見・対応、職場復帰・再発予防の支援策については、実態の分析を行いつつ、引き続き、より効果的な対策を検討」

■パワーハラスメント対応
「国・他団体・民間の動向を参考にしながら、事例研究等を実施」

5.都庁職としての見解と態度

 都庁職は、労使交渉、自主決着・解決を基本とする都労連2010賃金確定闘争の中心となって、他の5単組と共に早朝宣伝行動、ステッカー闘争、第5波にわたる総決起集会を積極的に取り組み、独自に総決起集会、ステッカー闘争、総務局要請行動(11月2日)等を展開してきました。
 都庁職は、拡大闘争委員会や組織部長会議を開催し意思統一を図り、高率の81.31%のストライキ批准を勝ち取り、組織の総力を挙げて闘い抜く闘争体制を構築してきました。
 都労連、都庁職は、11月12日の1時間ストライキや大衆的な諸行動を背景に賃金交渉を進め、都当局の「鋭意検討中、もうしばらく時間を」という不誠実な交渉姿勢を正し、11日の山場のぎりぎりまで職場組合員の切実な声、生の声を尊重すべく都当局との交渉による解決をめざしてきました。
 最終段階での都労連委員長と副知事会談などの結果、次のとおり都労連要求に一部応え、都当局提案を一部押し返えしましたが大変不満の残る結果となりました。
 この間、各職場の代表による要請行動や署名活動など諸行動を積み重ねてきましたが、当局の最終回答は、職場や支部、組合員の理解と納得が十分に得られる到達点とはなっていません。菅政権の「公務員賃金2割削減」、総務省の不当な「助言指導」、議会などの介入を許さず、労使交渉による自主決着を図る立場で都庁職としては止むを得ないものと判断し、都労連の「妥結合意」の判断を受け入れるものです。以下「妥結」にあたっての見解と今後の取り組みの態度を明らかにします。

1.都人事委員会勧告は、国や他団体に追髄し、2000年度以降11年連続のプラス改定なしであり、ベア見送りや据え置き勧告を除くと8度目の給料表のマイナス改定(▲1,235円、▲0.29%)、一時金の支給月数の0.2月分の大幅削減という不当な内容となっています。
 都人事委員会による公民較差については、2010春闘結果や地域別民間給与との較差(東京都ではプラス1.08%という人事院調査結果)から昨年に引き続きマイナスなどあり得ません。
 都人事委員会は、人事院の56歳以降の管理職層の職員などに対する年齢差別による一定率の減額措置を勧告しませんでしたが、2005年以降中高齢層をターゲットにした給与カーブのフラット化が実施され、今年の勧告では2級主任は最大で▲1.5%、3級係長で最大▲1.4%、4級課長補佐で最大▲1.3%となっています。職場の中核的な存在となっている中高年層をターゲットにした賃金削減をこの5年間強行し、「都独自の措置」とするなど許しがたいものです。
 その一方で、2007年、2008年、2009年と「管理職層の引き下げは緩和」優遇されており、今年の管理職層の緩和は▲1.1から1.2%となっており、「職責差」を理由とした給料の特別調整額(給料月額の25%以内)の上に、さらに管理職層を優遇する措置は認めがたいものといえます。まさに、このことが「都民の理解を得られない」事実そのものではないでしょうか。
 また、今回も、医療(二)、(三)表の適用職員である薬剤師等、看護師等の仲間たちに対して、「人材確保、職務の専門性重視の昇給カーブの転換」と称して全く職場の実情や採用実態を無視し、「人材確保」どころか行政水準の維持、運営そのものに混乱や支障を招く状況を作りだすものであり、都庁職としてはその是正を求めるものです。
 結果として、2010年賃金については、マイナス給与勧告、一時金の引下げ、「所要の調整」の実施などを受け入れざるを得ず、年末一時金に関しては都人事委員会勧告どおり、12月10日支給という不満な内容となりました。
 総務省の「助言指導」が強化される中、それに追随した都当局の総人件費削減攻撃による都庁労働者の生きる権利を否定する低賃金スパイラル攻撃に満身の怒りと激しい憤りを感じざるを得ません。負の賃金スパイラル攻撃を断ち切るため、都労連に結集し取り組みを再構築し、職場の声に率直に耳を傾けて闘いを進めていきます。

2.一時金への業績反映として、勤勉手当の割合拡大とあわせて成績率の適用範囲と拠出原資の拡大が提案されました。交渉事項である一時金の勤勉手当の拡大を人事委員会が不当にも介入し、そのことを錦の御旗として都当局の不当な提案は断じて認める訳にはいきません。
 結果として、主幹教諭は対象外とし、拠出原資も0.04月に圧縮する結果を得ましたが、不満の残るものとなりました。現在、業績評価に基づく人事管理の強化が、職員のモチベーションを低下させ、組織の活性化に水を差す状況になっているにも関わらず、「職責管理の徹底」「少数精鋭」などが叫ばれ、職場における競争と差別化の施策によって組織が疲弊化している現状にあり、都庁職のアンケートでも「成績率は廃止すべき」が約4割となっています。引き続き人事考課制度の労使協議を求め、差別と分断を許すことのない闘いを都労連各単組ととも新たに設置される「人事制度検討会(仮称)」の中で追求していきます。

3.次に手当関係についてです。扶養手当については、第3子以降の扶養手当を1子2子と同額に引き上げたことは一定の評価はできますが、その一方で住居手当について「扶養手当との重複支給」を理由に、扶養親族ありの9,000円の手当を扶養親族なしの8,500円の水準に引き下げ、単身赴任手当についても扶養の有無の区分を廃止し扶養なしの水準となりました。
 今回は国に追随することなく独自の措置としていますが、大都市首都圏における住居にかかる経費や扶養家族を含めた家族数による必要な住環境の違い、国における職員住宅の整備状況との違いを無視したものであり、超過勤務手当にも影響すること、給与費と福利厚生費との関連など検討すべき問題が多くあり、引き続き住居手当のあり方を含めその改善を求めていきます。
 次に、宿日直手当の年始加算の廃止については、特殊勤務手当の年始手当の廃止を理由にしていますが、現場調査の実施後たった2日後に廃止提案を行うなど露骨な都当局の不当性を糾弾してきた経緯があります。また、病院・福祉施設を中心に1年365日通年で業務を行っている職場は、都民の生命に関わる医療・看護の業務を遂行し、都民からはむしろ公的施設で担う必要性がより高まっています。例えば、看護師の離職率が高く充員も困難になっている現状を考慮すれば、年始という時期的な特性ばかりではなく、人材流出を防ぎ人材を確保する観点から改善を図るべきです。このようなことを一切無視した「宿日直手当の年始加算の廃止」には反対であり、当該職場の実態や特性を考慮した対応・処遇改善に努力していきます。

4.現業系人事任用制度の課題については、2005年11月15日の「級格付廃止」の妥結時に、都労連は「1級の足のばし、任用枠の拡大や基準の改善などについて、級格付廃止に伴い、処遇の水準を確保するために協議するもの」と受け止めてきた経緯があります。また、2008年11月18日の現業賃金8%削減の妥結時には、「現業系職員の任用については、今後、職場実態の変化に応じて新たな取扱いの必要性が生じた場合があれば、その内容を検討し、必要に応じて協議を行う」とした上で、副知事の現業系職員の役割を認め、評価し、感謝の意を表明した発言がありました。
 しかし、都当局は、このような経緯や副知事発言の重みを一切無視かつ否定するかのように、「職員の任用は、職の必要性を基本とし、能力・業績に基づき選考すべきもので、経験年数や技術・技能の習熟状況等を基準とした任用の制度化については、大きな課題がある」とか、「職員の職については、職務とその複雑性及び責任の度合いに基づき設置することを基本とし、それに相応しい職務の級が定められることが大原則で、経験年数や技術・技能の習熟状況等を基準とした任用を制度化することは、極めて困難」と私たちの切実な要求に応えることなく、理不尽な回答を繰り返してきました。
 今交渉の中で、私たちは「退職不補充方針に基づく人員構成のゆがみに加え、現行任用制度や級格付制度廃止により1級在職者の増大を解消すること」や「技術・技能の維持・継承、人材育成という職務を正当に評価し、そのことを「職責」と位置付けた新たな任用制度を確立することで、2級、3級、4級に行ける制度を構築すること」を強く求めてきました。
 結果として、現業系職員の「認定技能職員制度(仮称)」の創設と現業系職員の給与(業務職給料表の号給増設・昇給調整措置の見直し)というものに止まりました。
 引き続き、現業人事任用制度の要求を再構築し、「認定技能職員制度(仮称)」を足がかりにして実現を求めていきます。今回の副知事発言と人事制度検討会(仮称)の場を活用し取り組みを強化していきます。
 行政系人事給与制度改善要求については、何ら前進的な回答を得ることができませんでしたが、引き続き職場要求を練り上げるなど取り組むとともに、都労連要求に単組意見を反映させていきます。

5.島しょにおける賃金・労働条件改善要求に関して、地域手当が支給されていない島しょ勤務の職員等については、今回の勧告内容が大幅な年収減、退職手当に直結するものであり、物価水準や家族等の二重生活に伴う生計費の増に対する何らかの措置を講ずることを含めて、この矛盾を解消するよう強く求めてきましたが、勧告では何ら要求には応えていません。
 11月11日の小委員会交渉では、三宅島に関して「特地勤務手当の見直しについて」「へき地手当の見直しについて」の提案がありましたが、島しょ支部全体の地域手当と本給との矛盾の根本的な解決を図ることになっていません。しかし、長期赴任者や連続赴任者に対する異動保障については、最大6年が8年となり一定の改善が図られました。今後とも島しょ支部に対するオルグを実施し、島しょ支部や関係支部との意見や要望を集約しつつ運動を展開していきます。

6.福祉関連要求や休暇等要求に関しては、「再雇用職員及び専務的非常勤職員の子どもの看護休暇の見直しについて」「再雇用職員及び専務的非常勤職員の短期の介護休暇の新設について」の2提案があり、一部要求に応えてものとなっていますが、現在、非常勤職員についは国において育児休業等法改正案が国会に提出されている情勢下にあり、地方自治体に同様の措置が講じられるか厳しい状況にあります。時間休制限が導入される中で、休暇制度の改善を求めてきましたが、前進させることはできませんでした。
 また、メンタルヘルス対策やパワーハラスメント対策など一定の回答を引き出しましたが、引き続きその具体化や対策、対応を求めていきます。

7.定年制延長や高齢者雇用制度に関して、人事院は、今年12月までに国家公務員の定年を2013(H25)年度から段階的に65歳まで引き上げる意見の申出を行うことになっています。
 具体的には、高齢者雇用のあり方、60歳超えの給与水準、退職手当等の問題もあり、公務員総人件費2割削減などの攻撃もあり、さらなる50歳代後半の給与削減問題も加わり、組合員としての生涯賃金に大きな影響を与える重要な課題となっています。
 このような情勢を踏まえ、定年延長の課題については、単組における職場の特性や職務の事情などもあり単純延長とはならない側面も有しおり、都労連と単組との検討の場を早急に設定し交渉を進めていきます。

8.超過勤務手当の見直しについては、この間の都労連要求を踏まえたものであり、国の人事院勧告(都人勧は報告に止まる)もあり、当たり前といえる措置であり、引き続き超勤縮減の取り組みと合わせ精力的に取り組みを進めていきます。

9.教員の給与見直しについては、昨年に引き続き国庫負担の削減に伴う「義務教育等特別手当」「給料の調整額」の見直し提案であり、教育に関わる人材の確保や処遇の改善の上からすると逆行した提案だといえます。またこの課題は教員の固有の制度であり、当該単組の協議として取り組まれましたが、結果として提案を押し返すことはできませんでした。引き続き都労連に結集する都教組、都高教に連帯した闘いを取り組んでいきます。

10.今後、総括議論を旺盛に展開するとともに、引き続き協議事項となった課題をはじめ要求の再構築を図り、2011年度予算要求、超過勤務縮減などの取り組みを進めていきます。
 また、争議権を含む労働基本権回復の闘いやその動向に注視しつつ、ひとつ一つの闘いや運動を積み上げていく中で、組織としての組織力、団結力を鍛えあげていきます。
 
以上
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