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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

2010年人事委員会勧告に向けての要請書

2009年8月12日

東京都人事委員会委員長
      関谷 保夫 殿

東京都庁職員労働組合    
執行委員長 河野 正


 8月10日、人事院は2010年国家公務員の給与等に関する勧告・報告を行いました。内容については、定年延長を前提とした56歳以上の職員のうち6級(本省課長補佐・出先課長)以上職員に対する一定率削減として0.15%の引下げを勧告しました。
 その上で、給与全体の引下げ勧告を行いました、その内容は中高齢層(40歳台以上)に対する給与の平均0.1%引き下げ、指定職給料表の0.2%引下げと一時金の0.2月切り下げを柱とした労使交渉を無視した極めて政治的で不満な勧告となっています。
 特に看過出来ない点は、本来「雇用と年金の連携」に係る課題は国家的な年金制度改悪の結果であり、国家責任で解決されなければならない問題であるにも係わらず、定年年齢の65歳への段階的延長を勧告する一方で、「60歳前と同じ仕事を行っている場合もその給与水準を相当程度引き下げる制度設計」や「早期退職を支援する措置」や「定員上の経過的取り扱い」等について、労働組合との十分な協議も行わず意見を提出したことです。定年を延長することで、どうして労働者に我慢だけを強いるのか、到底納得がいくものではありません。
 昨年、東京都人事委員会は、都労連・都庁職が繰り返し行ってきた要請を無視して政府与党の政治的圧力に屈し、人事院に追随して「夏の一時金を減額支給」するという、これまで例のない「不当な臨時勧告」まで行いました。職員からは人事委員会が従来のルール・プロセスをも無視し、「労働者の総人件費を削減する政府・財界の思惑に従う代弁者機関」としか写っておらず、制度に対する不信と怒りはピークに達しています。
 人事院の「公務員白書」や「公務員人事管理に関する報告」では、人事院が果さなければならない役割を人事院創設から憲法の規定に触れつつ、変遷を振り返り、公務員制度の現実的課題について整理・報告がされています。しかし、ここ数年、政治的圧力に屈し、労働基本権制約の代償措置としての機能が果たされていないことを鑑みれば、都労連・都庁職が直ちに無条件で労働基本権を回復するよう求めることは至極当然のものです。もし、人事委員会「勧告制度」を是とするならば、第三者機関としての本来の立場に立ち返り、責任と役割、そして自主性と独立性を大いに発揮し、存在意義を果たすよう望みます。
 大都市東京に暮らす職員等の生活実態を踏まえ、東京都人事委員会が本年の勧告を行うにあたって「決断」をされるよう求め、都庁職は改めて下記の事項について要請します。

 「雇用と年金の連携」を行うための定年延長を含む、高齢職員の働き方と給与水準など生活設計は優れて労使交渉にかかわる事項であり、人事委員会として不当な勧告などを行わず、労使交渉を保障する立場に立つこと。
 本給と地域手当の配分については、都職員の実態を踏まえ、地域手当の本給への繰入を基本とする抜本的な改善を行うこと。また、島嶼や都外公署に勤務する職員にとって、制度的な矛盾が拡大している事態を解消するよう具体的な改善措置について勧告すること。
 民間給与の実態調査については、団体交渉によって賃金・労働条件を決定している企業とし、調査対象企業規模は1,000名以上とすること。また、追加較差については、賃金改定状況を正確に把握するために、積み残し事業所を追跡調査し、その較差を算入すると共に、定期昇給率調整をやめること。
 比較給与の範囲については、公民の実態が大きく異なる住居手当を除外すること。また、住居手当については、国及び民間の実態を正確に把握し、制度の抜本的改善と首都圏の住宅事情を反映した支給額の大幅な引き上げを行うこと。
 標準生計費については、実態と大きく乖離している現行の算定方式を改め、大都市東京の生活実態にあったものに改善すること。
 給料表の構造については、都職員の生計費保障を基本に改善を図ること。また、これ以上の昇給カーブのフラット化拡大は行わないこと。また、昇格メリットについては、すべての職員の処遇確保の観点から、格差拡大や管理職優遇につながる改悪は行わないこと。
 都政における専門性の維持・向上、人材の育成・確保は急務となっており、その観点から行政各分野において一般職の専門職制度を確立し、専門職(スタッフ職)給料表を創設すること。
 一時金(特別給)については、都の職員数規模などからみて、企業規模1,000人以上の民間との比較とするとともに、給与と同様に「同種・同等」原則に基づき、同種・同等ではない従業員を比較対象から除外するよう早急に比較方法を改めるとともに勤勉手当を廃止し、期末手当に一本化すること。また、民間における支給水準や臨時的給与等の支給実態を正確に把握し勧告に反映すること。
 都における人事考課制度については、希望者全員に第一次評定の本人開示が行われることとなっているが、依然として業績評価の公平性・納得性・透明性や、苦情相談の実効性に対する職員の不信は払拭されていない現状である。また、最終評定(相対評価)が開示の対象とされておらず、その評定の実態や活用方法は不明のままである。人事考課制度が労使協議事項であることを明確にすることとともに労使協議を行うことを制度運営の前提とし、評価の公平性・公正性・透明性・納得性を確保し、評定の全面開示と実効ある苦情解決システムの確立を図るよう、積極的な提言を行うこと。
10  都における人事給与制度については、労使協議事項であり、公正かつ自立的な機関として、労使双方の主張を十分踏まえた対応を行うこと。
11  勤務時間については、引き続き民間の所定内勤務時間・休日・休暇などについて正確に把握すると同時に、週35時間、年間総労働時間1,800時間以下に短縮するよう調査結果を確実に反映させて1日当たり所定労働時間の更なる短縮を勧告すること。
12  育児・介護を行う職員や短時間勤務制度導入に伴う超過勤務規制を含め、実効ある超過勤務規制を行うこと。
13  「次世代育成支援対策推進法」に基づく「特定事業主後期行動計画」の着実な実施のため具体的な条件整備に向けた対応を行うこと。
 短時間勤務制度の導入に伴う代替措置・公的負担金の軽減などについて職場の意見・要望を踏まえて検討すること。また、休暇制度等の取得促進のための条件整備し、とりわけ男性職員の育児休業をはじめとする子育て参加促進のため、具体的な措置を講じること。さらに、短期介護休暇の新設等両立支援の取組を一層推進すること。
14  メンタルヘルス対策について、都の職場における深刻な実態を調査し、具体的な対策について検討を行い、任命権者が行うべき方策について勧告すること。
15  セクシュアルハラスメントのない男女平等の公務職場の実現や福利厚生制度、福祉施策の拡充に向けて積極的な対応を行うとともに、「仕事と生活の両立支援」を進めるための具体的措置を講ずること。また、パワーハラスメントの定義付けを行い、防止にむけた具体的な対策について任命権者が行うべき方策を勧告すること。
16  人事院に追随し、国の圧力に屈する形で 一昨年・昨年と2年連続して労使協議事項である現業賃金について不当な言及を行ったが、二度と労使協議に介入しないこと。
17  再任用制度について、生活保障の観点にたって拡充をはかること。そのために、定年前職員に準じて、給料表や休暇制度などの改善を図ること。
18  東京都における非常勤職員・臨時職員の賃金・労働条件について、十分な実態調査を行い、職務の実態にみあった適正なものとなるよう非常勤職員の育児休業の制度化をはじめ具体的な改善の方策を勧告すること。
19  公務員制度のあり方に関することについては、国の動向に安易に追随せず、地方自治や地方公務員制度の理念、都の実態、労使交渉の到達点などを十分尊重し、労働基本権確立をはじめとして民主的公務員制度の実現に向けた検討を行うこと。
20  都職員の採用にあたっては、国籍条項を撤廃すると共に障害者雇用枠と雇用領域を拡大すること。
21  勧告基礎作業及び勧告を行うにあたっては、労働組合と十分協議すること。
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