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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

2010年人事委員会勧告作業に関する要請書

2010年3月9日

東京都人事委員会
委員長 関谷 保夫 殿

東京都庁職員労働組合       
執行委員長  河野 正


 本日、私たち都庁職は「2010年賃金・労働条件改善に関する要求書」を都知事に対して提出します。
 昨年、東京都人事委員会は、都内民間労働者の賃金と都職員の賃金に平均△0.35%、△1,468円の較差があるとして、地域手当引き上げに伴う本給水準引下げ分に加え、給与構造の見直しや「職責による水準差を拡大させる」などを理由に「昇給カーブのフラット化」を行うなど、あわせて最大で1.5%(行政職(一)表)にも及ぶ賃下げ勧告を行いました。
 一昨年の世界同時不況以降、民間の経済情勢は非常に厳しいものとなっていることは承知しています。しかし、昨年の民間賃金水準・春闘の妥結状況(連合調査)では平均賃上げ率は1.67%となっており、特別給の民間大手(千人以上)の支給月数も、人事委員会の資料でさえ年間4.44月となっています。さらに民間賃金の地域差は全国を100とすると東京は121.4と20%を越える較差があり、「公民比較方式」による勧告がいかに意図的なものかを露呈しています。
 この間、都労連・都庁職は「日本全体の労働者の賃金水準を引き下げるための、公務員給与引き下げの役割を積極的に果たしていると言わざるを得ない」と人事委員会を厳しく批判し、一方で労働者側の代表として要請等を行ってきました。しかし、人事委員会はこれらを一切無視し、都当局の主張に偏した言及を行い、労使協議へのあからさまな介入を行っています。
 このような東京都人事委員会の態度は、公務員労働者から労働基本権を奪った代償措置を行う第三者機関としての自らの役割と責任を放棄し、政府の公務員総人件費削減方針、言い換えれば、都職員の賃金をなんとしても引き下げようとする都当局と一体となった極めて政治的なものと断じざるを得ません。昨年の人事委員会の勧告や報告内容は、都当局と労働組合との厳しい労使交渉で意見が対立している事項に対しても、あきらかに当局よりに踏み込んだものであり、労働基本権制約の代償措置を行う第三者機関としての公平性・自立性を著しく欠く不公平なものです。
 東京都人事委員会が、本来の中立・公正な第三者機関としての役割にたちかえり、大都市東京で働く職員の生活改善につながり、都民のための職務に専念できる労働条件が実現するよう、次の事項を勧告作業の実施にあたって改善することを要請します。

2010人事委員会勧告作業に関する要請事項

 人事院に追随し、国の圧力に屈する形で見直しが行われた公民比較方式については、あくまで中立で公正な機関としての独自性を示し、以前の方式に戻すとともに、都における民間企業の給与水準を的確に反映した勧告を行うこと。
 現業賃金について、一昨年、国の不当な給与水準引き下げ攻撃の下で労使協議において自主的判断を行った。この結果を尊重し、一切労使協議に介入しないこと。
 勤務時間については、引き続き民間の所定内勤務時間・休日・休暇などについて正確に把握すると同時に、週35時間、年間総労働時間1,800時間以下に短縮するよう調査結果を確実に反映させること。
 本給と地域手当の配分については、都職員の実態を踏まえ、地域手当の本給への繰入を基本とする抜本的な改善を行うこと。また、島嶼や都外公署に勤務する職員にとって、制度的な矛盾が拡大している事態を解消するよう具体的な改善措置について勧告すること。
 民間給与の実態調査については、団体交渉によって賃金・労働条件を決定している企業とし、調査対象企業規模は1,000名以上とすること。また、追加較差については、賃金改定状況を正確に把握するために、積み残し事業所を追跡調査し、その較差を算入すると共に、定期昇給率調整をやめること。
 比較給与の範囲については、公民の実態が大きく異なる住居手当を除外すること。また、住居手当については、国及び民間の実態を正確に把握し、制度の抜本的改善と首都圏の住宅事情を反映した支給額の大幅な引き上げを行うこと。
 標準生計費については、実態と大きく乖離している現行の算定方式を改め、大都市東京の生活実態にあったものに改善すること。
 給料表の構造については、都職員の生計費保障を基本に改善を図ること。また、これ以上の昇給カーブのフラット化拡大は行わないこと。また昇格メリットについては、すべての職員の処遇確保の観点から、格差拡大や管理職優遇につながる改悪は行わないこと。
 都政における専門性の維持・向上、人材の育成・確保は急務となっており、その観点から行政各分野において一般職の専門職制度を確立し、専門職(スタッフ職)給料表を創設すること。
10  都における人事考課制度については、希望者全員に第一次評定の本人開示が行われることとなっているが、依然として業績評価の公平性・納得性・透明性や、苦情相談の実効性に対する職員の不信は払拭されていない現状である。また、最終評定(相対評価)が開示の対象とされていず、その評定の実態や活用方法は不明のままである。人事考課制度が労使協議事項であることを明確にすることとともに、評価の公平性・公正性・透明性・納得性を確保し、評定の全面開示と実効ある苦情解決システムの確立を図るよう、積極的な提言を行うこと。
11  一時金(特別給)については、都の職員数規模などからみて、企業規模1,000人以上の民間との比較とするとともに、給与と同様に「同種・同等」原則に基づき、同種・同等ではない従業員を比較対象から除外するよう早急に比較方法を改めること。また、民間における支給水準や臨時的給与等の支給実態を正確に把握し勧告に反映すること。
12  育児・介護を行う職員への超過勤務規制を含め、実効ある超過勤務規制を行うことや休暇制度等の取得促進のための条件整備は勿論のこと、更なる休暇制度等の拡充など、所要の措置を講じること。
13  再任用制度について、生活保障の観点にたって拡充をはかること。また、年金と雇用の連携、働く意欲のある職員が全員雇用されるよう、賃金・労働条件の改善を図ること。
14  都における人事給与制度については、労使協議事項であり、公正かつ自立的な機関として、労使双方の主張を十分踏まえた対応を行うこと。
15  短時間勤務制度については、賃金・労働条件及び雇用の保障、賃下げなきワークシェアリングの具体化など職場の意見・要望を踏まえ、十分な労使協議に基づく制度設計と合意を前提に検討を行うこと。
16  東京都における非常勤職員・臨時職員の賃金・労働条件については、抜本的な改善、職務の実態に見合った適正なものとなるよう具体的な改善の方策を勧告すること。
17  男女平等の公務職場の実現や福利厚生制度、福祉施策の拡充に向けて積極的な対応を行うとともに、「仕事と生活の両立支援」を進めるための具体的措置を講ずること。また、「次世代育成支援対策推進法」を踏まえ、不利益排除を図ると共に制度が利用しやすいよう、代替制度など職場環境の整備をワーク・ライフ・バランスに基づき制度の拡充を図ること。
18  メンタルヘルス対策について、都の職場における深刻な実態を踏まえ、具体的施策の検証を行い、使用者責任を明確に示した上で予防や円滑な職場復帰などに踏み込んで提言をすること。
19  公務員制度のあり方に関することは、国の動向に安易に追随せず、地方自治や地方公務員制度の理念、都の実態、労使交渉の到達点などを十分尊重し、労働基本権確立をはじめとした民主的公務員制度の実現に向けて検討を行うこと。
20  都職員の採用にあたっては、国籍条項を撤廃すると共に自主通勤の要件をはずす、V類に点字試験を導入するなど、障害者雇用枠と雇用領域を拡大すること。
21  勧告基礎作業及び勧告を行うにあたっては、労働組合と十分協議すること。
22  パワー・ハラスメント対策について、実態の検証を行い積極的な提言を行うこと。
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