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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

特殊勤務手当交渉妥結にあたっての都庁職の見解と態度

2010年1月28日
東京都庁職員労働組合執行委員会


1 はじめに

  今次特殊勤務手当闘争は、7月28日当局から、賃金部窓口に対して改定交渉開始の申し入れがあり、8月6日に開催された第1回専門委員会で交渉の開始を確認し、スタートすることとなった。
  今回の特勤手当改定交渉は、前回1年前倒しで「総点検」として交替制勤務者等手当をはじめ大幅な廃止・減額で厳しい決着を余儀なくされる中、最終的に確認されたとおり、3年ごとの改定交渉という従来ルールに戻しての改定交渉であることを冒頭確認した。

2 交渉の経過

@ 交渉開始の申し入れ・見直し交渉開始
   当局は、「改正のポイント」を明らかにし、見直しに当たっての二つの大きな柱を示した。
第一は「一律的に支給されている手当については、手当本来の趣旨や他団体の状況を踏まえながら、支給範囲・水準の見直しを行う」という考え方で、具体的に見直しの検討対象とする手当として、税務事務特別手当、職業訓練指導員手当、福祉等業務手当、交替制勤務者等業務手当の4手当をあげた。
   第二に「前回の改正以降、勤務環境等が大きく変化したものについては、必要な見直しを行う」として、死体取扱・解剖等業務手当、防疫等業務手当、精神神経疾患診療等業務手当、放射線・有害物質等取扱業務手当、交替制勤務者等業務手当の5手当の特定の区分及び支給対象職場を見直しの検討対象とした。
A 労使合同現場調査
   労使合同の現場調査については、まず9月28日から10月7日まで11ヶ所実施し、人事委員会勧告以後都労連確定闘争の期間の中断を経て、後半は11月26日築地市場での調査で再開し、小笠原の父島・母島の職場を含め、1月3日の松沢病院まで11ヶ所、合計22ヶ所について実施した。
B 都庁職要求の提出
   今回の見直し交渉は、当局提案に対する協議だけでなく、各支部の特殊勤務手当改善要求の実現を求める闘いとして位置付けて取組みを展開し、各支部から集約した当局に対する反論及び改善要求については、12月22日の第7回専門委員会において整理・取りまとめの上提出し、その実現を強く求めた。
C 当局の不当提案
   第1回都議会定例会において条例改正を行おうとする当局は、最後に予定されていた松沢病院の現場調査終了前の段階で、見直し提案の打診をしてきた。都庁職は、現場調査を形骸化する当局の対応を厳しく窓口において批判し、あくまでも現場調査終了後、調査結果並びに都庁職要求を踏まえた交渉をすすめるべきであると求めたが、12月24日の第8回専門委員会交渉において職業訓練指導員手当の廃止をはじめとする見直し提案を強行した。
   1月3日の松沢病院の現場調査終了後、わずか2日後の1月5日には、交替制勤務の年始手当について廃止提案が行われ、年末の提案とあわせて、当局の見直し提案が出揃うこととなった。
D 当局提案の撤回・都庁職要求実現を求める取組み
   都庁職は、これに対して、1月8日の第9回専門委員会以降、全面的に反論を行うとともに、1月18日・20日の2日間にわたって各支部による総務局に対する要請行動を実施し、1月21日には、税務連合支部による前段集会の後に都庁第二本庁舎前で22支部502名が結集した「特殊勤務手当改悪阻止・支部改善要求実現都庁職総決起集会」を開催した。決起集会終了後には、各支部代表と都庁職執行部による総務局要請行動を実施し、当局提案の撤回と支部要求実現を当局に対して迫る取組みを展開した。
E 交渉の最終局面
各支部要請行動・都庁職要請行動実施後、都庁職は当局に対して、窓口を通じて提案の再考を迫り、25日第13回専門委員会で「修正案」を示させることとなったが、その内容は全く不十分で、都庁職の交渉メンバー全員が厳しく当局に反論し、支部改善要求の実現を求めるとともに、「修正案」では専門委員会として交渉は行えないとして、あらためて再考を求めて交渉を終えた。
当局が交渉期限とした26日は、交渉窓口において再考状況を当局にただしたのに対して、当局は「修正案」を変更するつもりがないとの主張に終始し、また専門委員会が開けない状況を打開するため三役による担当部長要請を求めたことに対しては、再考する考えのない現状で部長は出せないとし、交渉は大詰めの段階でデッドロック状態に陥った。
その後27日の未明に至ってようやく当局から連絡があり、「最終案をまとめたので、事前に三役にお示ししたい」としてきた。示された「再修正案」は、「修正案」のごくわずかしか見直していないことから、対応した三役は、再考が極めて不十分であるとして突き返し、当局にさらなる再考を迫った。
その後、あらためて書記長及び専門委員会交渉責任者により、当局に再考を迫る折衝を行った結果、午後になって当局から、「検討した結果、最終案をまとめたので三役に事前説明を行う」旨連絡があり、最終案が示されるに至った。

3 交渉の到達点と都庁職の見解と態度

妥結に至った最終案は、廃止項目8、減額項目5等の厳しい内容であり、とりわけ交替制勤務者等業務手当の年始看護等業務については、都庁職は繰り返し反論しその必要性について主張を繰り返したが、当局はもはや都を含め3団体しか当該手当がないとして廃止を強行する形となった。都庁職はこのことを最後の専門委員会と団体交渉において強く抗議したが、職場の不満は極めて大きいものであり、都庁職としてはこれまで主張してきた「年末年始」に勤務する特殊性について、例えば、「休日給」の支給割合の改善など要求に関する議論も進めながら、職場要求に応える取り組みを検討する必要がある。
また、税務事務特別手当については、前回改定交渉において当局が「もはや過去の経緯」として抹消しようとした「国税税務職俸給表見合いの調整額的手当」という基本性格に関して、今回も最終局面までその性格を否定しようとする当局との鋭い対立となった。しかし最終局面において当局が最終案を三役に示す際に、労務担当部長から「平成18年5月に合意を経た、前回の交渉の経緯及び当時の我々の発言については、承知しております。また、前回の交渉経緯については、この間の交渉でも尊重してきたところです」、「これまで特殊勤務手当として措置してきた経緯とその性格を踏まえながらも、支給範囲や水準について精査していくことが重要だと考えております」と認めさせることとなった。
また、税務事務特別手当の性格を無視して現行加算職場に限定し、区分・支給範囲を大きく縮小する当初提案に対しては、最終的にほぼ押し返したものの、区分(1)イの廃止を変更させることができず、また大幅に減額される結果となり不満を残すこととなった。
職業訓練指導員手当に関しては、「他の類似業務と比較して、当該業務の著しい特殊性が認められない」として廃止とする極めて不当な提案であったが、廃止された教務手当との比較を持ち出した当局に対して、専門委員会での反論や支部要請における追及を重ねた結果、区分(1)については最終的に当局に「産業教育手当の支給状況等を踏まえる」ことを認めさせ、大幅な減額となったが廃止を撤回させることができた。
この両手当については、本来であれば別建ての給料表が適用されるか、調整額として措置されるべきところ、特殊勤務手当として措置されてきたという経緯及び性格を共通して持っている。これに対する当局の攻撃は執拗であるが、今後それを許さない取組みが重要となっている。
これらに対して、福祉等業務手当の3区分、職業訓練指導員手当(2)(その他指導員)については、廃止を撤回させることができず、該当する支給対象職場と組合員にとって、極めて厳しい結果となり大きな不満を残すこととなった。また、死体取扱・解剖等業務手当(6)の対象業務見直し(搬送作業を対象から除外)、精神神経疾患診療等業務手当(2)の廃止(梅ヶ丘病院閉鎖病棟の病棟作業等の現業系職員を対象とするが、統合後は見込まれない)、放射線・有害物等取扱業務手当(1)の廃止(同手当(3)による支給を可とする)、小笠原業務手当(2013年3月31日まで時限延長)については、見直しによる不利益が事実上ないものと判断される。
一方で、支部改善要求との関係では、防疫等業務手当(2)(結核患者の治療等)の全都立病院・保健所・健康安全衛生センターへの拡大、と畜解体作業等業務手当(3)の増額、交替制勤務者等業務手当(2)(深夜看護業務)の2交替制勤務に対応した支給額の増額、助産師を対象とした分べん介助業務手当の新設を実現した。また、支部要求ではなかったが、看護師の給与改善などを盛り込んだ昨年の人事委員会勧告を考慮した特定看護分野従事手当(1)(2)が新設されている。
これらは、各支部の改善要求全体からすればごく一部に留まっている。職場から強く要求されていたと畜解体作業及びと畜衛生業務(6)(食肉市場・ボイラー室)の増額や、以前廃止された危険現場等作業手当の旧区分(9)(建設事務所・道路巡回点検業務)の復活要求などいずれも切実な要求として、交渉においてその実現を追求した。また放射線・有害物等取扱業務手当(都立病院・抗ガン剤ミキシング業務)の区分新設要求については、当局が施設整備及び作業環境面で安全性を高めることが可能のため措置する必要がない旨主張したことに対して、その非科学性を批判しつつ最後までその実現を求めた。今回結果として実現できなかった要求については今後も追求し取組むことが必要であり重要である一方、一部とはいえ、業務内容や勤務条件の変更に伴う困難性・危険性等の増大に対応して手当改善をかち得たことは大きな成果として確認したい。

当局の最終案は、職場の要求と困難性が増しているその実態等からすれば、納得できず不満なものといわざるを得ないが、交渉の最終局面で修正案の再修正の時点では、事実上交渉が決裂しながらも、粘り強く当局に再考を迫って当初提案を一定押し返し、また廃止・減額項目について経過措置をとらせるなど、ぎりぎりの到達点として判断し、これを受け入れることとした。
今次の特殊勤務手当闘争は、交渉申入れから妥結まで約6ヶ月と短期間の交渉となった。このため、現場調査を含めた交渉スケジュールは過密なものとなり、また交渉において、現場調査結果の検証が不十分となったことなど、取組みに不十分な点を残した。
その一方で、最終盤における各支部の職場実態を踏まえた切実な総務局要請と原局に対する要請や、労働支部の2回にわたる独自集会であわせて約300名の結集、税務連合支部の都庁職総決起集会前段集会への約400名の結集等の力強い行動や、年始手当廃止の当局提案以後、ごくごく短期間に3000筆を超える署名を集約した病院・衛生局・養育院の3支部合同の取組み等に特徴的に現れているように、職場からの闘いを構築することができた。
こうした闘いが交渉の背景となり、当局の不当な当初提案を押し返す大きな力となったことは確実であり、今次特殊勤務手当闘争の大きな成果として今後の取組みにつなげなければならない運動の財産である。
都庁職は、この闘争に結集した支部・分会と組合員の闘いを、今後の賃金闘争、予算人員要求闘争など引き続く課題に結びつけ、闘いを展開していくことを決意するものである。

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