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2009年賃金確定闘争の「妥結」にあたっての都庁職の見解と態度
2009年 11月17日
都庁職執行委員会
1.はじめに
アメリカの金融危機を発端して2008年後半から景気が悪化し、世界的規模での同時不況の進行により、雇用や賃金、生活を取り巻く情勢はあらゆる国で厳しいものになっています。
日本において、財界・大企業は、自らの社会的責任を放棄して目先の利益追求を優先し、リストラや人件費削減策を強行し、自公前政権はその意を受けるかのように規制緩和や民営化などの新自由主義に基づく政策を行い、「自助努力」「自己責任」の名の下にすべての労働者、低所得層の弱者等の勤労国民に犠牲を強い、国民生活を破壊し、格差や貧困を拡大させてきました。
8月30日に行われた第45回衆議院選挙において、民主党が単独過半数を獲得し政権交代を実現し、9月16日に民社国による鳩山連立内閣が誕生しました。しかし、公務員労働者に対する攻撃は弱まることはない情勢にあり、公務員賃金の引き下げをテコにした総人件費削減の攻撃が、多くの働く民間・中小の労働者、非正規労働者などに大きな影響を与えています。
私たちは、このような低賃金スパイラルの攻撃を官民、正規・非正規を問わず断ち切り、私たち労働者の生活破壊を許さず、私たちが人間らしく生活できる賃金の引き上げを獲得するために2009年賃金確定闘争をその第一歩として全力で取り組んできました。
2.主な取り組みの経過
(1)都労連は、3月4日に「2009年賃金・労働条件改善に関する要請書」を団体交渉時に提出し、同時に「人事委員会勧告作業に関する要請書」を都人事委員会に提出しました。また、都庁職も3月5日に「2009年賃金・労働条件改善に関する要請書」を都当局に提出し、さらに都人事委員会に対して「人事委員会勧告作業に関する要請書」を提出しました。
その後、都労連は、4月15日、23日と都人事委員会要請を実施しました。
5月1日、人事院は「夏季一時金0.2月凍結勧告」を行い、そのことを受けて夏季一時金闘争に突入しました(2009年5月26日付「2009年夏季一時金闘争を一旦、収束し、引き続き秋の闘いにつなげた闘いとする都庁職の見解と態度」を参照)。
結果として、2009年夏季一時金闘争を、引き続く2009賃金確定闘争に連動させていくことになりました。
都労連は、6月4日の小委員会交渉において、「2009年度労働時間短縮・休暇制度の改善要求書」「2009年度都労連福祉関連要求書」「2009年度男女平等に関する要求書」「2009年度セクシュアル・ハラスメント防止対策にかかわる要求書」の4要求書を提出しました。
その後、7月22日に常駐部・単組代表者による都人事委員会要請を行い、「人事委員会勧告作業に関する要請署名」(41,491筆)を提出しました。
(2)8月11日に人事院は、「@公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(△863円、△0.22%)を解消するため、月例給の引下げ改定(俸給月額の引下げ、自宅に係る住居手当の廃止)、A期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.35月分)、B超過勤務手当等について、時間外労働の割増賃金率等に関する労働基準法の改正を踏まえた改定、C年金支給開始年齢の引上げに合わせて、平成25年度から、定年年齢を段階的に65歳まで延長することが適当など」を内容とする月例給、ボーナスともに引下げる不当なマイナス勧告を行いました。
2009年人事院勧告は、@4年ぶりの月例給引き下げであり、勧告史上最大となる一時金の引き下げとなっています。このことは、総人件費削減方針に基づく低賃金スパイラルの強化であり、景気回復に向けて求められている内需拡大に逆行するものです。A自宅に係る住居手当について廃止されたが、国家公務員と地方公務員の住宅事情の違いがあり、同様の廃止・引き下げは認めることはできません。B労基法改正に伴う時間外勤務手当の割増率の引き上げとなっていなすが、労基法上の「休日」の取扱い(法定休日と所定内休日)などの協議が必要となっています。C高齢者雇用に関して、65歳まで段階的な定年延長の意見申出が明らかにされたが、「60歳台前半の給与水準・体系の設計」「60歳前の給与カーブや昇給制度のあり方の見直し」などに言及し、更なる賃金の引き下げや昇給カーブのフラット化につながる危険性が大となっており、ますます地方公務員の賃金や労働条件に大きな影響を与えかねない状況となっています。
その後、8月25日に自公政権は、総選挙の期間中に人事院勧告の完全実施の閣議決定を強行するなどの暴挙に転じました。また、そのことを受けて、総務省は「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」の総務事務次官通知を各地方公共団体に発しました。
8月11日の人事院勧告を受けて、8月14日、9月10日に都労連、都庁職は都人事委員会要請を行い、9月24日、10月2日にも都労連は都人事委員会要請を実施しました。
2009年8月11日
【人事院勧告:給与勧告のポイント】
〜月例給、ボーナスともに引下げ〜
〜平均年間給与は▲15.4万円(▲2.4%)〜
@公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(▲0.22%)を解消するため、月例給の引下げ改定、住居手当廃止。
A期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(▲0.35月分)。
B超過勤務手当等について、時問外労働の割増賃金率等に関する労働基準法の改正を踏まえた改定。
【人事管理に関する報告のポイント】
@労働基本権は、幅広い観点から慎重な検討を行った上で判断。
A勤務環境の整備等では、非常勤職員制度の適正化・超過勤務の縮減・両立支援の推進に触れ、特に職員の健康保持では、心の疾病予防のため相談体制整備、パワハラについて情報提供、病気休暇の検討について言及。 |
(3)10月1日の小委員会交渉において、都労連は、「2009年度人事給与制度改善要求」「2009年度現業賃金・給与制度に関する改善要求」「2009年島しょ職員の賃金・労働条件改善要求」「2009年高齢者雇用制度の一層の充実を求める都労連要求」「2009年メンタルヘルスケアに関する都労連要求」「2009年都労連福利厚生事業に関する要求」「2009年公益法人等派遣法に基づく派遣制度の改善要求」「2009年業務上の事故に伴う身分保障に関する改善要求」を提出しました。 10月1日早朝宣伝行動、第3波総決起集会、専門委員会・小委員会交渉を実施しました。
2009年10月9日
【都人事委員会のポイント】
〜月例給、ボーナスともに引下げ、平均年間給与は▲17.6万円〜
@公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(▲1,468円、▲0.35%)を解消するため、月例給の引下げ改定。
A期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(▲0.35月分)。
【給与構造・制度の改革】
(1)基本的な方針
職責・能力・業績をより一層反映した給与構造・制度の実現に向けた改革を推進
給料月額と地域手当との配分変更が終了する2010年度には、この間の取組の効果を分析・検証し、改めて課題を整理
ア.特別給への業績の反映・・・勤勉手当を国と同程度まで引き上げ
イ.住居手当制度のあり方の検討・・・人事院は自宅に関わる住居手当の廃止を勧告したが、国と都では手当の趣旨や支給要件、職員の住宅事情等が異なることから本年は見直しを行わないと判断。
国の見直しを契機に今後の制度のあり方を検討。
(2)各給料表の課題に応じた取組
ア.医療職の給与の見直し適切な処遇を確保するための手法を検討
看護職等の給料表人材確保の観点から、職務の専門性をより重視したフラットな昇給カーブへ転換する中、効果的な初任給水準を確保
イ.教員の給与への職務・職責の反映主任教諭等が導入目的にかなうよう運用されることが重要
【人事制度及び勤務時間制度等に関する報告(意見)】
ア.看護人材の確保採用区分の統合、受験資格の拡大、試験・選考内容の簡素化など
イ.高齢職員の活用再任用職員の能力発揮に適した職場への積極的配置、人事管理の研究
ウ.超過勤務の縮減労基法の改正趣旨を踏まえ、月60時間を超える手当の支給割合の引上げ
エ.職員の健康保持パワーハラスメント問題について、研究や検討を進めていくことが必要 |
(4)10月9日、都人事委員会は、国や他団体に追髄し、2000年度以降、10年連続のプラス改定なしであり、ベア見送りや据え置き勧告を除き7度目の給料表のマイナス改定(▲1,468円、▲0.35%)、一時金の支給月数の大幅削減(0.35月分削減)、地域手当の支給割合を17%に引き上げ、給与カーブのフラット化などを勧告しました。
具体的には、給与月額は、公民格差0.35%と地域手当の1ポイント引き上げに相当分とあわせて、平均で1.2%引き下げとしています。
また、初任給付近の据え置き、若年層及び管理職層の引き下げを緩和するとして、0.0%から最大△1.5%の昇給カーブのフラット化が行われ、2005年以降高齢層の職員に負担を強いる結果となっており、医療職給料表(一)表は改定なしとしています。しかし、看護師や助産師の不足が全国的な問題となっており、人材の確保が急務の課題の情勢下、勧告では、「職務の専門性をより重視したフラットな昇給カーブへの転換を図る。」「専門分野について優れた知識・技術を有すると認められ、医療現場に還元している職員を、給与上処遇できる仕組みを設けていく」としていますが、看護師、薬剤師を始めとする医療職(二)表及び(三)表の適用を受ける職員に対して、給与上の抜本的な改善が図ることなく、医療職(二)表で最大△1.6%、(三)表で△1.7%の昇給カーブのフラット化の暴挙を行っており、「給与上処遇できる仕組みを設ける」どころか、不当かつ非情な昇給カーブのフラット化を認める訳にはいきません。
まら、今年も本年4月からの公民較差相当分の解消するため、「所要の調整」を実施するとしており、「不利益不遡及の原則」を踏みにじっています。
(5)都労連は、10月14日の小委員会交渉で、今給与改定交渉期における協議事項の項目整理を行いました。都側は、@勧告の取り扱いについて、A退職手当制度について、B旅費制度について、C勤務時間・休暇制度について、Dメーデー職免についての考え方を表明しました。
平成21年10月20日
退職手当制度の見直しについて(案)
1.趣旨
公務に対する都民の信頼を確保するため、退職手当制度について所要の見直しを行う。
2.改正内容
(1) 支給制限・返納処分の拡大
退職後、まだ退職手当が支払われていない場合において、在職期間中に懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと認められたときは、当該退職者等に対し、退職手当を支給しないことができるものとする。また、退職手当支払後であれば、当該退職者等に対し、退職手当を返納させることができるものとする。
(2) 支払差止処分の拡大
在職期間中に懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと疑われるときは、当該退職者等に対し、退職手当の支払いを一時差し止めることができるものとする。
(3) 適用範囲
処分の対象となる退職者等には、死亡退職又は退職後に死亡した場合の遺族、相続人を含むものとする。また、再任用職員が、退職手当の算定基礎となる在職期間中の行為に関し懲戒免職処分を受けた場合も対象とする。
(4) 一部不支給等の新設
非違の内容や程度等において特に斟酌すべき事情がある場合には、一部不支給及び一部返納とすることができるものとする。これに伴い、現行の減額支給の規定(退職手当条例第8条)は廃止する。
(5) その他
懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと認定して支給制限を行う場合、及び返納を行う場合は、聴聞手続きに準じた意見聴取を行うとともに、処分案を人事委員会に諮問するものとする。
3.実施時期
平成21年12月 (改正条例の施行日以降の退職者に適用) |
平成21年10月20日
旅費制度の改正について(案)
1.趣旨
社会状況の変化や他団体の見直し状況等を踏まえ、旅費制度の見直しを行う。
2.改正内容
(1) 内国旅行の旅費
@ 日当
日当を廃止する。
【現行】 4級職以下 2,200円
【改正後】 廃止
A 近接地外における旅行雑費(新設)
近接地外旅行における諸雑費その他目的地内の交通費を賄うための旅費として、旅行雑費(1日当たり1,100円)を新設する。
B その他
上記改正に伴い、着後手当及び扶養親族移転料について所要の見直しを行う。
(2) 外国旅行の旅費
@ 支度料
支度料を廃止する。
【現行】
区分 |
出張 |
赴任 |
1月未満 |
1月以上
3月未満 |
3月以上 |
支給額
(4級職以下) |
61,990円 |
75,270円 |
88,550円 |
150,000円 |
【改正後】 廃止
A その他
支度料廃止に伴い、扶養親族移転料について所要の見直しを行う。
3.実施時期
平成22年4月1日以後に出発する旅行から適用する。
4.その他
上記の改正に伴い関係する諸制度に影響がある場合は、所要の見直しを検討する。 |
平成21年10月20日
教員の給与制度の改正について(案)
1.趣旨
国において、人材確保法に基づく教員給与の優遇措置の見直しが進められていることに伴い、国庫負担金の縮減を踏まえた支給額の改正を行う。
2.改正内容
(1) 義務教育等教員特別手当
国庫負担金の取扱いが給料月額の3.0%から2.2%に縮減されるため、相当する引下げを行う。
(2) 給料の調整額
国庫負担金の取扱いが給料月額の6%程度から4.5%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う。
3.実施時期
平成22年1月1日 |
そして、10月20日の小委員会交渉において、都側は、@時間単位の年次有給休暇の取得については、改正労基法において、時間単位で与えることができる有給休暇の日数が「5日以内に限る」とされたことを踏まえ、全庁的に統一を図る方向で見直し、5日以内で認め る。A退職手当制度については、非違行為に関わる支給制限、返納、支払いの一時差止めの要件拡大する。B旅費制度に関して、内国旅行では、近接地外旅行の日当を廃止し、新たに旅行雑費を支給し、外国旅行では、支度料を廃止する。C教員給与については、国庫負担金が引き下げに伴い、義務教育等教員特別手当と調整額について引下げる。Dメーデー職免については、廃止することなどの5項目について提案を行ってきました。
都労連は、基本的に反対の立場を表明し、具体的に解明等を行っていくことを明らかにしました。
平成21年10月20日
年次有給休暇の取得単位等の見直しについて(案)
1.趣旨
平成22年4月1日から施行される労働基準法の改正において、「時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)」とされた。
このことを踏まえ、職員の年次有給休暇の取得単位等について全庁的に統一を図る方向で、以下のとおり見直しを行う。
2.見直しの内容
(1) 年次有給休暇の取得単位
年次有給休暇の取得単位については、日単位が原則であるが、職務に支障のない範囲において時間単位の年次有給休暇を認めるものとする。
(2) 時間単位の年次有給休暇
時間単位の年次有給休暇の日数については、5日以内での取得を認めるものとする。
(3) 時間単位の年次有給休暇の日への換算
時間単位で取得した年次有給休暇の日への換算については、8時間をもって1日とする。
(4) その他
再雇用職員及び専務的非常勤職員の年次有給休暇の取得単位等については、正規職員の見直し内容に準じて見直しを行う。
3.実施時期
平成22年4月1日 |
平成21年10月30日
年次有給休暇に関する取得状況調査の結果について
概要
◎平成20年において、時間単位の年次有給休暇を合計41時間以上取得した職員
⇒約18,000人中7,400人、全体の41.1%
※対象局:知事部局、行政委員会、議会局、教育庁(校含)
※実施方法:庶務事務システムのデータを基に集計
また、庶務事務システムが導入されていない職場については、サンプル調査を実施
(7局)
調査結果
○官庁執務型勤務職員 (単位:人)
職員数 |
時間休の取得時間の合計 |
41時間以上の割合 |
0〜40時間 |
41時間以上 |
15,849 |
9,101 |
6,748 |
42.5% |
○交替制勤務等職員 (単位:人)
職員数 |
時間休の取得時間の合計 |
41時間以上の割合 |
0〜40時間 |
41時間以上 |
2,169 |
1,496 |
673 |
31.0% |
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(6)都労連が11月17日を最大の山場と位置付け、交渉を推し進めていくことを10月21日の単組代表者会議で確認したことを受けて、都庁職は10月22日の拡大闘争委員会で意思統一を図り、10月28日の拡大闘争委員会において、高率のストライキ批准81.43%を確認し闘争体制を強化していくことを確認しました。
(7)都労連は、10月30日の小委員会交渉において、都労連要求に対する検討状況を質しました。
都当局は、「鋭意検討中」とした上で、「現業系職員の任用制度の改善について、経験年数や技術・技能の習熟状況等を基準とした任用の制度化は大きな課題がある」「勤務時間の短縮について、休憩時間は1時間が基本で、それによりがたい職場や職員単位については慎重に検討していく」ことを表明しました。
都労連は、「人事給与制度改善要求」や「勤務時間の短縮」について早期実現に向けたスピードある協議を求め、「時間単位の年次有給休暇の取得」は、職員の生活や業務の執行自体に非常に重大な影響を及ぼし、年休取得を後退させ都政運営に支障をきたすものであり、提案を撤回する」こと等を強く求めました。
その後の団体交渉で、都労連は、年末一時金要求を提出し、勤務時間短縮や都労連要求に前向き答え、具体的に踏み込むよう追求しました。
都労連要求や一時金要求
1.年末一時金について、夏季一時金凍結分を含む2.35ヵ月分を12月10日までに支給すること。(年間支給月数は条例通り4.5月として支給すること)
2.一時金の「支給対象・割合・加算制度」を都労連要求に基づき改善すること。
3.以上の回答を、11月16日(月)までに行うこと。 |
(8)11月6日の小委員会交渉において、都当局は、@時間単位の年休取得については、労基法改正の趣旨を踏まえた見直しする。Aメーデー職免は、一刻も早い廃止が必要。B住居手当は、勧告において道府県の3割、政令市の2割が廃止し、残る団体も大半が今後検討中であり、今後必要な協議を行うとし、「私どもの提案の趣旨を理解いただき解決を図りたい、都労連の各要求については、現在、鋭意検討をすすめている」と発言しました。
都労連は、@時間単位の年休取得について、特に育児、介護、通院等を要する職員にとって死活問題であり、提案は改正労基法の趣旨の「仕事と生活の調和」に逆向し、現行を維持すること。Aメーデー職免の廃止は断じて容認できない。B住居手当は、国との制度趣旨や住宅環境が、国や他団体と全く異り抜本的な改善が必要だと主張しました。
都側は、自らの提案について繰り返し主張し、提案を押しつけるのもであり、都労連要求について「鋭意検討中」と回答し不誠意な交渉態度を取り続けおり、都労連は交渉態度を改めることを求めました。
11月7日(土)、8日(日)と単組三役待機をとり、窓口折衝、専門委員会交渉が行われ、11月10日に小委員会交渉が行われました。都当局は「鋭意検討中でしばらく時間をいただきたい」と発言し、都労連は「残された時間はわずかであり、早急に回答すること。都労連要求に回答すること。」を強く求めました。同日、第6波総決起集会を開催し、都庁職は、早朝宣伝行動、独自の総決起集会、総務局要請行動を実施し、都労連交渉を側面から支える行動を展開しました。
11月16日の回答指定日が迫る中、都労連は12日早朝宣伝行動と専門委員会交渉、13日に専門委員会・小委員会交渉、単組代表者会議を実施しました。
13日の小委員会交渉では、@勤務時間短縮について、官庁執務型職場では全庁統一的に一時間の休憩とし、新宿本庁舎の特例措置は必要ない。交替制勤務職場は、現行の拘束時間を維持する。A人事給与制度改善要求について、給与構造及び給与制度のあり方は人事委員会勧告を踏まえ検討し、人事考課制度は法的に労使交渉の対象ではない。B現業賃金・給与制度改善要求について、業務職給料表は昨年度の妥結に基づき水準を引き下げる。任用制度要求は、職務給の原則とは相容れない。C島しょ賃金・労働条件改善要求について、状況として大変厳しいと認識。D福祉関連要求について、鋭意検討、休暇制度は民間、国、他団体と比較し総体として充実している。Eメンタルヘルスケア要求について、着実に制度を充実させている。F年休の時間取得制限について、労基法改正内容を説明し、育児・介護等は看護休暇や介護休暇が国より充実している。G旅費制度について、管理職も一般職同様に見直すなど現時点での基本認識、検討状況を示しました。また地公法改正案にふれ、級別に職名ごとの職員数を公表する規定が盛りこまれたなど職務給の原則、人事行政の強化を主張しました。
都労連は、都労連の考え方を全面否定し、都当局の自らの提案に固執する主張や交渉姿勢を改め、都労連要求に真面目に再検討し回答することを強く求めました。
3.最終局面での状況・経過
(1)都労連は、11月15日(日)に専門委員会交渉、単組書記長会議を行い、その後正常な交渉・協議を行うことを求めて、人事部長・労務担当部長に対する単組書記長による要請行動を実施しました。都当局は、「鋭意検討中、しばらく時間をかしてほしい」と繰り返し回答し、最終的に窓口折衝で今後の交渉に関して整理することになりました。
そして、16日午前中に専門委員会交渉、小委員会交渉を実施し、午後1時から単組代表者会議を開催しました。
同日の小委員会交渉で、都当局は、「子どもの看護休暇の付与日数の見直し(案)」、「短期の介護休暇の新設(案)」、「赴任に係る旅費制度の見直しについて(案)」「再雇用職員及び専務的非常勤職員の骨髄提供に係る取扱いについて(案)」「教員の給与制度の改正について(修正案)」を提案してきましたが、都労連は、「育児・介護休業法」の改正に基づく見直しなどに止まっており都労連要求に全く応えていないとして、単組委員長による総務局長要請を実施し、総務局長は「副知事と相談し回答する」とし、都労連は踏み込んだ回答を行うことを申し入れました。
平成21年11月16日
子どもの看護休暇の見直しについて(案)
1.趣旨
職員の仕事と子育ての両立を支援する観点から、子どもの看護休暇の日数について子の数に配慮した日数に見直しを行う。
2.内容
小学校就学の始期に達するまでの子が複数いる場合には1年につき10日以内、9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が複数いて、かつ、小学校就学の始期に達するまでの子が複数いない場合には1年につき6日以内で必要と認められる期間を取得できるものとする。
ただし、子1人につき5日を限度とする。
3.実施時期
平成22年4月1日 |
平成21年11月16日
短期の介護休暇の新設について(案)
1.趣旨
職員の仕事と介護の両立を支援する観点から、常態的には介護に携わっていない職員が、主に介護を行っている家族の病気等により一時的に介護を行う場合に使用できる有給の特別休暇として、短期の介護休暇を新設する。
2.内容
(1)要介護者の範囲
現行の介護休暇と同様(配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は二親等以内の親族で疾病、負傷又は老齢により日常生活を営むことに支障がある者)
(2)承認事由
・主として介護を担当している職員以外の者が疾病等にかかった場合に、職員が一時的に代わって介護を担当する場合
・要介護者の入退院の際に付添いをする場合
(3)使用単位
1年において1日を単位として5日(要介護者が複数の場合は10日とし、要介護者1人につき5日を限度とする。)以内で必要と認められる期間(ただし、任命権者が職務に支障がないと認めるときは、1時間を単位として使用可能)
3.実施時期
平成22年7月1日 |
平成21年11月16日
赴任に係る旅費制度の見直しについて(案)
1.趣旨
島しょ等への職員の赴任に伴う扶養親族の移転の際の交通費について、実費弁償の観点から、見直しを行う。
2.内容
内国旅行の扶養親族移転料における12歳未満の者の交通費について、実費支給とする。
【現行】
区分 |
12歳以上 |
6歳以上
12歳未満 |
6歳未満 |
鉄道賃及び船賃 |
職員相当の実費額 |
職員相当の実費額の1/2相当の額 |
3人以上随伴するときは
2人を超える1人ごとに職員相当の実費額の1/2相当の額 |
航空賃 |
職員相当の実費額の1/2相当の額 |
車賃 |
― |
【改正案】
区分 |
12歳以上 |
12歳未満 |
鉄道賃及び船賃 |
職員相当の実費額 |
年齢に応じた実費額 |
航空賃 |
車賃 |
3.実施時期
平成22年4月1日以後に出発する旅行から適用する。 |
平成21年11月16日
再雇用職員及び専務的非常勤職員の骨髄提供に係る取扱いについて(案)
1.趣旨
再雇用職員及び専務的非常勤職員の骨髄提供に係る取扱いについて、職員が自らの犠牲を顧みず協力することを考慮し、以下のとおりとする。
2.内容
骨髄バンク事業に係る骨髄提供に要する日又は時間について、職務専念義務を免除する。勤務しない時間について第一種報酬を減額する。
3.実施時期
平成22年4月1日 |
平成21年11月16日
教員の給与制度の改正について(修正案)
1.趣旨
国において、人材確保法に基づく教員給与の優遇措置の見直しが進められていることに伴い、国庫負担金の縮減を踏まえた支給額の改正を行う。
2.改正内容
(1)義務教育等教員特別手当
国庫負担金の取扱いが給料月額の3.0%から2.2%に縮減されるため、相当する引下げを行う。
(2)給料の調整額
ア.平成21年4月の公民較差に基づく改定
従前の例により改定する。
イ.国庫負担金の縮減を踏まえた改正
国庫負担金の取扱いが給料月額の6%程度から4.5%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う。
2.実施時期
(1)義務教育等教員特別手当 平成22年4月1日
(2)給料の調整額
ア.平成21年4月の公民較差に基づく改定 給料表の実施時期から適用する。
イ.国庫負担金の縮減を踏まえた改正 平成22年4月1日 |
その後、都労連第7波総決起集会が開催され、最終局面を控えた交渉状況と要求貫徹の闘う意思統一を全体で確認しました。
18時から拡大闘争委員会、18時30分から本部委員会を開催し、この間の経過を報告し、20時20分から都労連単組代表者会議が行われ、都労連委員長と副知事との会談(最終的に21時40分から実施)の都当局の申し入れを受け入れていくことを確認しました。20時30分から拡大闘争委員会、21時から本部委員会を開催し、都労連単組代表者会議の報告を確認し、本部委員会については、17日15時から再開することを確認しました。
(2)11月17日(火)0時20分から単組代表者会議が開催され(一時中断)、都労連委員長と副知事との会談の内容が報告されました。副知事発言は次のとおりです。
○夏期特別給の一部凍結時にお話したとおり、都労連の皆さんとは期末・勤勉手当の年間支給月数も含めて協議を進めてまいりました。
○職員の皆さんにとっては、厳しい内容をお願いすることになり、我々としても大変苦慮してまいりましたが、民間の賃金・雇用情勢が厳しさを増す中で、都民の理解を得ていく観点から、何とかご理解いただきたい。
○また、皆さんと実施に向けて協議してまいりました勤務時間の短縮については、平成22年4月から実施することとします。
○単組委員長、そして武藤委員長からお話のあった時短以外の事項についても、交渉責任者として、最終の判断を行いました。是非とも、ご理解願います。
その他、妥結に関する事項について最終回答が示されましたが、勤務時間短縮、時間単位の年休取得制限、現業系人事任用制度などに関して、各単組から意見や質問が多く出されました。
都労連としては、苦渋の判断を各単組にお願いせざるを得ないことや勤務時間短縮や子どもの看護休暇など一定の成果がある反面、時間単位の年休取得制限や現業系人事任用制度や島しょ要求については前進した結果を得ることができず、今後総括議論を踏まえ引き続き取組を強化していきたいとの見解が示され、2時35分に「妥結し、ストライキを中止する」ことを確認しました。
都庁職は、このことを受けて、執行委員会(2時50分〜)、拡大闘争委員会(3時30分〜)を開催し、今次2009賃金闘争の到達点を説明し、都労連の妥結批准を本部委員会に提案していくこととストライキを中止し各職場実情に応じた職場報告を実施していくことを確認しました。2009賃金闘争は、非常に厳しい妥結結果となりました。都庁職として苦渋の判断を求められましたが、引き続き総括議論や単組協議を精力的に取り組んでいくこととします。
4.妥結内容(骨子)
■2009年給与改定
○人事委員会勧告で示された例月級の改定については、公民較差(▲1,468円、▲0.35%)と地域手当の支給割合の引き上げ(16%→17%)に伴う引き下げ分と合わせて引き下げ、平成22(2010年)年1月1日から実施し、「所要の調整」は3月期の期末手当において実施する。
■2009年末一時金
○次に、特別給につきましては、期末手当の年間支給月数を0.35月引き下げて3.15月とし、再任用職員については、0.15月引き下げて1.65月とする。
この削減分については、今年度は、6月期の期末手当における凍結分を削減して支給せず、3月期の期末手当を0.15月削減し、再任用職員については、0.05月削減して支給する。
○来年度以降は、3月期の期末手当を廃止し、6月期と12月期の支給月数を、それぞれ0.05月引き上げ、再任用職員については、6月期の支給月数を0.05月引き上げる。
○今次年末一時金については、現行の条例、規則どおり、期末手当を1.65月、勤勉手当を0.5月、合計2.15月分を、再任用職員については、期末 手当を0.95月、勤勉手当を0.275月、合計1.225月分を、12月10日に支給する。
【現行】
職員 |
6月期 |
12月期 |
3月期 |
計 |
期末手当 |
1.60月 |
1.65月 |
0.25月 |
3.50月 |
勤勉手当 |
0.50月 |
0.50月 |
― |
1.00月 |
計 |
2.10月 |
2.15月 |
0.25月 |
4.50月 |
【2009年度の調整】
職員 |
6月期 |
12月期 |
3月期 |
計 |
期末手当 |
1.40月 |
1.65月 |
0.1月 |
3.15月 |
勤勉手当 |
0.50月 |
0.50月 |
― |
1.00月 |
計 |
1.90月 |
2.15月 |
0.1月 |
4.15月 |
【2010年度以降】
職員 |
6月期 |
12月期 |
3月期 |
計 |
期末手当 |
1.45月 |
1.70月 |
― |
3.15月 |
勤勉手当 |
0.50月 |
0.50月 |
― |
1.00月 |
計 |
1.95月 |
2.20月 |
― |
4.15月 |
■地域手当の支給割合
○区部・多摩公署における地域手当の支給割合を16%から17%に引き上げる。
■退職手当制度の改正
○改正内容
(1)支給制限・返納処分の拡大
退職後、まだ退職手当が支払われていない場合において、在職期間中に懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと認められたときは、当該退職者等に対し、退職手当を支給しないことができるものとする。また、退職手当支払後であれば、当該退職者等に対し、退職手当を返納させることができるものとする。
(2)支払差止処分の拡大
在職期間中に懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと疑われるときは、当該退職者等に対し、退職手当の支払いを一時差し止めることができるものとする。
○適用範囲
処分の対象となる退職者等には、死亡退職又は退職後に死亡した場合の遺族、相続人を含むものとする。また、再任用職員が、退職手当の算定基礎となる在職期間中の行為に関し懲戒免職処分を受けた場合も対象とする。
○一部不支給等の新設
非違の内容や程度等において特に斟酌すべき事情がある場合には、一部不支給及び一部返納とすることができるものとする。これに伴い、現行の減額支給の規定(退職手当条例第8条)は廃止する。
○その他
懲戒免職処分を受けるべき非違行為があったと認定して支給制限を行う場合、及び返納を行う場合は、聴聞手続きに準じた意見聴取を行うとともに、処分案を人事委員会に諮問するものとする。
○実施時期 平成21年3月 (改正条例の施行日以降の退職者に適用)
■旅費制度の改正
○改正内容
(1)内国旅行の旅費
@日当 日当を廃止する。
【現行】 7級 3,000円、6・5級 2,600円、4級職以下 2,200円
【改正後】 廃止
A近接地外における旅行雑費(新設)
近接地外旅行における諸雑費その他目的地内の交通費を賄うための旅費として、旅行雑費(1日当たり1,100円)を新設。
Bその他
宿泊料(7級以下甲地方11,000円、乙地方10,000円)、食卓料(7級以下2,200円)の見直しを行う。
(2)外国旅行の旅費
@支度料 支度料を廃止する。
Aその他 支度料廃止に伴い、扶養親族移転料について所要の見直しを行う。
○実施時期
平成22年4月1日以後に出発する旅行から適用する。
○その他
上記の改正に伴い関係する諸制度に影響がある場合は、所要の見直しをする。
■教員の給与制度
○内容
(1)義務教育等教員特別手当
国庫負担金の取扱いが給料月額の3.0%から2.2%に縮減されるため、相当する引下げを行う(詳細略)。
(2)給料の調整額
ア.平成21年4月の公民較差に基づく改定
従前の例により改定する(詳細略)。
イ.国庫負担金の縮減を踏まえた改正
国庫負担金の取扱いが給料月額の6%程度から4.5%程度に縮減されるため、相当する引下げを行う(詳細略)。
○実施時期
(1)義務教育等教員特別手当 平成22年4月1日
(2)給料の調整額
ア.平成21年4月の公民較差に基づく改定 給料表の実施時期から適用する。
イ.国庫負担金の縮減を踏まえた改正 平成22年4月1日
■勤務時間短縮
○勤務時間の長さは、1日当たり15分の短縮。
○休憩時間及び休息時間
・官庁執務型勤務職場における休憩時間は1時間。ただし、学校に勤務する職員の休憩時間は45分。
・交替制勤務等職場における休憩時間は、概ね4時間の勤務時間について、15分の休憩時間又は15分の休息時間を置く(1回の勤務において置く休息時間と15分の休憩時間の回数差は1回まで)。ただし、学校に勤務する職員についは、現行のとおり。
○実施時期は、平成22(2010)年4月1日。
■子どもの看護休暇の見直しについて
○内容
・養育家庭(里親制度)を対象に追加。
・9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子が複数いる場合には、1年につき10日以内で必要と認められる期間を取得できるものとする。
ただし、子1人につき5日を限度とする。
○実施時期 平成22年4月1日
■短期の介護休暇の新設について
○内容
(1)要介護者の範囲
現行の介護休暇と同様(配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は二親等以内の親族で疾病、負傷又は老齢により日常生活を営むことに支障がある者)
(2)承認事由
・主として介護を担当している職員以外の者が疾病等にかかった場合に、職員が一時的に代わって介護を担当する場合
・要介護者の入退院の際に付添いをする場合
(3)使用単位
1年において1日を単位として5日(要介護者が複数の場合は10日とし、要介護者1人につき5日を限度とする。)以内で必要と認められる期間(ただし、任命権者が職務に支障がないと認めるときは、1時間を単位として使用可能)
○実施時期 平成22年7月1日
■再雇用職員及び専務的非常勤職員の骨髄提供に係る取扱いについて
○内容
骨髄バンク事業に係る骨髄提供に要する日又は時間について、職務専念義務を免除する。勤務しない時間について第一種報酬を減額する。
○実施時期 平成22年4月1日
■再雇用職員及び専務的非常勤職員の介護欠勤の取扱い
○雇用更新時における欠勤日数の換算方法は、時間を単位として承認した場合、7時間45分をもって1日と換算。ただし、平成22年4月1日の更新については8時間をもって1日と換算。
○実施時期 平成22(2010)年4月1日以降の更新について適用。
■時間単位の年次有給休暇の取得について
○時間単位の年次有給休暇の日数は、5日以内での取得。ただし、学校現場における勤務の特殊性により、学校職員のうち教育職員等は従来どおり。
○半休制度を全庁的に導入。
○半休については、時間単位の年次有給休暇の取得日数に含めない。
■赴任に係る旅費制度の見直しについて
○内容
内国旅行の扶養親族移転料における12歳未満の者の交通費について、実費支給とする。
【現行】
区分 |
12歳以上 |
6歳以上
12歳未満 |
6歳未満 |
鉄道賃及び船賃 |
職員相当の実費額 |
職員相当の実費額の1/2相当の額 |
3人以上随伴するときは
2人を超える1人ごとに職員相当の実費額の1/2相当の額 |
航空賃 |
職員相当の実費額の1/2相当の額 |
車賃 |
― |
【改正案】
区分 |
12歳以上 |
12歳未満 |
鉄道賃及び船賃 |
職員相当の実費額 |
年齢に応じた実費額 |
航空賃 |
車賃 |
○実施時期
平成22年4月1日以後に出発する旅行から適用する。
■赴任旅費の支給対象事由の追加
○島しょ地域での臨時的任用職員の任期満了に伴う退職に引き続き正式任用職員として採用された職員がその採用に伴う移転のため旅行する場合。
○実施時期
平成22(2010年4月1日以降に正式任用職員として採用される職員から適用。
■メーデー職免
○引き続き協議とする。
■労働基準法及び地方公務員法改正関連
○超過勤務手当の支給割合の見直し及び代替休の取扱いについて、今交渉期以降、協議。
■育児・介護休業法及び地方公務員育児休業法改正関連
○その他の事項の見直しについて、今交渉期以降、協議。
5.都庁職としての見解と態度
1.都庁職は、都労連早朝宣伝行動、ステッカー闘争、総決起集会、都人事委員会要請行動、を積極的に取り組み、単独で早朝宣伝行動、総決起集会、ステッカー闘争、総務局要請行動(11月5日、10日)等を取り組んできました。
都庁職は、拡大闘争委員会や組織部長会議を開催し意思統一を図り、組織の総力を挙げて闘い抜く闘争体制を構築してきました。
都労連は、労使交渉に基づく、労使合意による自主解決をめざして粘り強い交渉等を繰り広げ、11月17日の1時間ストライキを背景とした最終段階の都労連交渉や都労連委員長と副知事会談などの結果、次のとおり都当局提案を一部押し返えしましたが不十分な結果となりました。
2.2009年賃金については、マイナス給与勧告、一時金の引下げ、「所要の調整」の実施などを受け入れざるを得ず、年末一時金に関しては都人事委員会勧告どおり、12月10日支給という内容に止まりました。
都人事委員会による公民較差については、2009春闘結果や地域別民間給与との較差(東京都ではプラス1.39%という人事院調査結果)からマイナスなどあり得ません。
その上、2005年以降中高年齢層の職員に対して、一昨年(最大△1.8%)、昨年(最大△1.7%)の「給与カーブのフラット化」を実施し、今年も平均で△1.2%を引き下げ、行政職(一)で初任給付近を据え置き、若年層及び管理職層の引き下げを緩和し、0%から最大△1.5%の給与カーブのフラット化が行われています。
しかしそれにとどまらず、栄養士、薬剤師、保健師、看護師を始めとする医(二)及び医(三)の適用職員に対して、人材確保・維持のための給与上の改善を図らず、医(二)で最大△1.6%、医(三)で△1.7%もの不当な給与カーブのフラット化するなど現場を支え、若手を指導している中高年齢層などに対して非情な低賃金を強要する不当かつ政治的な都人事委員会勧告です。これを許す訳にはいきません。都庁労働者の生きる権利を否定する、総務省の指導に追随した都当局の総人件費削減・低賃金スパイラル攻撃に対して満身の怒りと激しい憤りを感じます。
3.勤務時間短縮の課題については、2008年11月18日妥結事項整理の小委員会で、「人事委員会の勧告意見の趣旨を重視し、実施上の課題に対する検討を図りつつ、今交渉期以降、早期の実現に向け、速やかに皆さん方と協議していく。」とし、また、夏季一時金交渉(2009年5月25日)の都労連委員長・副知事会談で、「今後、速やかに私どもの考え方を示し、協議を進めていくよう、事務方に指示する」と副知事は発言した経緯があり、合意から1年を経過するなど都当局の遅延行為の対応は許されるものではありません。国や特別区、他団体では2009年4月から実施されている課題であり、一定の取組みの到達点として来年4月1日からの実施を勝ち取りましたが、特例設定の維持・拡大や交替制職場の実感できる時間短縮を勝ち取ることはできませんでした。今後単組協議となる休息・休憩時間の配置など精力的な協議を進めていきます。
4.年休の時間単位取得5日以内の制限問題は、来年4月より労働基準法が改正されることを踏まえ、その主旨を捻じ曲げた都当局の不当かつ理不尽な提案そのものです。都当局の突然の年次有給休暇の改悪や平然と現行水準を後退させ、管理強化を図ろうとする意図的な労務管理の強化に断固抗議するものです。
労基法の趣旨は、民間において年休の取得を促進するために時間休暇の取得を認めるものですが、都当局の提案はその趣旨を踏みにじり子育て、介護、看護、通院などで時間休を活用せざるを得ない実態や1日の年休が取得できない交替制勤務職場等の職場実態を一切無視しものとなっています。結果として、半休制度を全庁的に導入したとしても数%の職員には影響が出る問題点があり、死活問題であると位置付け引き続き問題解決に向けて取り組んでいきます。半休制度は時間休暇とは別に取り扱うことを確認していますが、その概念や取扱い等については単組協議となり、引き続き各支部の意見等を踏まえ前向きに対応していきます。
5.現業系人事任用制度の課題については、2005年11月15日の「級格付廃止」の妥結時に「現業系職員の給料表の水準及び任用給与制度のあり方については、19(2007)年度の給与改定交渉期までに一定の結論が得られるよう引き続き協議とする。」との回答を受けて、都労連として「1級の足のばし、任用枠の拡大や基準の改善などについて、級格付廃止に伴い、処遇の水準を確保するために協議するもの」と受け止め、確認してきた経緯があります。2007年賃金確定闘争では、「級格付廃止に至った交渉経過を踏まえつつ、現業系人事給与制度については、平成20年度給与改定交渉期までに結論が得られるよう引き続き協議する」を確認し、2008年11月18日の現業賃金8%削減の妥結時には、「現業系職員の任用については、今後、職場実態の変化に応じて新たな取扱いの必要性が生じた場合があれば、その内容を検討し、必要に応じて協議を行う」として、引き続き協議になりました。その上、副知事は「@現業系職員の皆さんが、第一線の現場で、日夜、ご尽力いただいていること、都政の様々な分野において大きな役割を果たされていることは十分に承知しており、そのことに深く感謝しております。A今後も、皆さんのご協力を是非ともお願いします。」と発言しました。
都当局は、このような経緯や副知事発言の重みを一切無視かつ否定し、「職員の任用は、職の必要性を基本とし、能力・業績に基づき選考すべきもので、経験年数や技術・技能の習熟状況等を基準とした任用の制度化については、大きな課題がある」と回答し都労連要求に全く応えていません。
この間の現業職場実態調査、要請行動を行う中で、現業の仲間たちが、日々、経験年数や技術・技能の習熟、熟練、継承、向上に基づき都政の第一線で業務を遂行し、人材を育成し、都民サービスの向上を図っていること自体が「能力・業績」に結び付くものであり、現業の仲間たちの努力や奮闘、都政運営への貢献に対して応えていくべきだと主張してきました。
最終的には、今回も引き続き協議となりましたが、都庁職現評、各支部現評とともに総括を踏まえ引き続き要求の実現をめざしていきます。
行政系人事給与制度改善要求については、何ら前進的な回答を得ることができませんでしたが、引き続き職場要求を練り上げるなど取り組むとともに、都労連要求に単組意見を反映させていきます。
6.退職手当の見直しに関しては、国の改正内容を踏まえる結果となっていますが、民主的な制度の運営をめざし、問題点があれば引き続き改善を求めていきます。
また、旅費制度の見直しに関しては、平成11(1999)年度以来の見直しとなりましたが、今後とも各支部の意見を踏まえつつ旅費制度の改善要求を形成し取組を進めていきます。
なお、住居手当に関しては、国では自宅に係る住居手当が見直されましたが、都と国との制度上の違い、大都市の住宅事情などを考慮し、そのような実態に基づきた要求を集約しつつ今後改善を求めていきたいと考えています。
7.島しょ改善要求に関しては、「扶養親族移転料についての見直し」(実費弁償の観点から、12歳未満の扶養親族の移転にかかる鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃について、当該扶養親族の年齢に応じた実費額を支給し、平成22年4月1日以後の旅行から適用)や「赴任旅費の支給対象事由の追加」が図られましたが、地域手当との矛盾の解消や島しょに働く労働条件の抜本的な改善には一つも踏み込んでおらず、不満の残る結果となっています。今後とも、島しょ支部や関係支部との意見や要望を集約し、運動を進めていきます。
8.福祉関連要求に関して、「子どもの看護休暇の付与日数の見直し」(現行は、小学校3年生までの子が2人以上いる場合に年6日としている。平成22年4月より、9歳までの子が2人以上いる場合に限り年10日とする。なお子1人についての付与日数の限度は、従前どおり)、「短期の介護休暇の新設」(職員が、一時的に要介護家族の介護を担当する場合などに、有給の年5日の特別休暇を付与。要介護家族が2人以上いる場合には、1人につき5日を限度として年10日まで認める。実施時期は、平成22年7月1日。)があり、これは、2009年7月に制定された「育児・介護休業法」の改正を踏まえたもので、施行日の決定に先立った点は評価でき、都労連要求に一部応えたものでありさらなる改善を求めていきます。
9.「高齢雇用制度の一層の充実を求める要求」に関しては、再雇用職員及び専務的非常勤職員が骨髄提供を行う場合の対応(平成22年4月から、再雇用職員及び専務的非常勤職員が骨髄提供を行う場合に要する日又は時間について、無給の職免を認める)や「再雇用職員及び専務的非常勤職員の介護欠勤の取扱い」(雇用更新時における欠勤日数の換算方法は、時間を単位として承認した場合、7時間45分をもって1日と換算。)の回答がありましたが、骨髄提供の条件(登録時の年齢は18歳から54歳まで(提供は20歳から55歳まで)、体重、血圧など)には多くの課題があり、無給職免であることや具体的な対象者がどのくらいいるかなど不明な点もあり、解明も含めさらなる改善を求めていきます。
10.「労働基準法及び地方公務員法改正関連」や「育児・介護休業法及び地方公務員育児休業法改正関連」を今交渉期以降、協議としましたが、条件の整備が整った段階から対応していくこととなります。単組で対応する課題については、精力的に取り組みを進めていきます。
今後、引き続き総括議論を旺盛に展開し、2010年度予算要求、特殊勤務改善要求を取り組んでいきます。 |