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「行財政改革実行プログラム実施状況報告(平成20年度)」
に対する都庁職のコメント
2009年6月11日
東京都庁職員労働組合
東京都は5月26日「行財政改革実行プログラム実施状況報告(平成20年度)」を発表した。これには2006年7月13日に発表した「行財政改革実行プログラム」(以下、「実行プログラム」)及び追加項目について、3年間の最終年度にあたる昨年度の実施状況が報告されている。
今回の「実施状況報告(平成20年度)」は、189項目のうち、計画通りの実施が173項目、一部実施は16項目、未実施はゼロとしている。一部実施には、東京都版市場化テストの本格導入、豊洲新市場へのPFI手法の導入、福利厚生事業の執行体制の見直し等が含まれている。
「行財政改革の新たな指針」(2005年11月)に基づくこの「実行プログラム」は、3か年計画で、行財政改革にむけた具体的な取り組みを200項目以上掲げた。「行政サービスの提供や課題解決に、多様な主体が関わる仕組みの構築を前提」とし、「スリムで仕事ができる効率的な都庁を実現し、」「都庁改革を新たな段階に進め」るとしてきた。年度ごとに実施状況が報告されたが、項目毎にプラスの評価が簡潔に記載されるのみで、その検証は全く不十分である。
「実行プログラム」により3年間で4,006人もの職員定数削減、福祉施設や病院・公園などの監理団体等への移管・移譲などが強行され、受益者負担を口実に使用料等を値上げし、都民サービスを低下させた。職員には、厳しい締め付けや過酷な労働を強いて、大量退職の時期も重なったにも関わらず、社会経済状況の急激な変化や、都民が求めるサービスの多様化などに、弾力的に対応できる人材を、十分育成していない。改革の柱としている「スリムで効率的な行政運営」や「豊かな『公』の構築」等は、公的責任の放棄で行政のあるべき姿を歪め、職員のモチベーションが上がらない状況を作り出した。
石原都政による絶え間ない「行政改革」は、100カ所以上の事業所を廃止・移譲・移管するなど、福祉・教育・医療・住宅をはじめ都民生活に直結する部分を切り捨てた。一方で、新銀行東京の設立は目的とする中小企業対策とならず、オリンピック招致と「10年後の東京」に向けた施策では、大企業本位の都市基盤整備を推進し、各種基金にも莫大な税金を投入した。生活の改善を願う都民要望から見ると、かけ離れた施策の推進である。
都庁職は、石原都政が都民に「自立・自助」を押しつけ、公的責任を放棄する「行政の民間開放」や、実態を無視した職員定数削減など「構造改革」推進に、強く反対している。 セーフティネットとしての福祉・医療・教育や住宅・雇用をはじめとして、財界や大企業の要望ではなく、多くの都民が求める施策の充実を求める。また、都政の最前線で働く都庁職組合員の声を聴き、長時間過密労働の解消や労働条件の改善にむけ、必要な予算措置や人員配置を行うことを求める。この視点に立ち行財政を執行することこそ、今の都政に求められている。
以上
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