都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
HOME 都庁職へようこそ 見解 都庁職新聞 ギャラリー リンク
HOME > 見解 > 不当かつ政治的な「2008年東京都人事委員会勧告」を糾弾する都庁職見解
見解
 

不当かつ政治的な「2008年東京都人事委員会勧告」を糾弾する都庁職見解

2008年10月16日
第45回都庁職執行委員会

 10月16日、東京都人事委員会は知事及び都議会議長に対し、職員の給与に関する勧告を行った。その基本的内容は、政府、財界の地方公務員賃金削減路線に沿うものである。道理も説得力もないきわめて政治的なマイナス勧告であり、引き続き給与構造改革を取り組み、職責の反映や昇給カーブをフラット化し管理職優遇、高齢職員を冷遇するものである。公務員が労働基本権を制約されている下で、その代償措置としての機能を自ら喪失するものとなっている。

 公民比較により例月給は民間と比較して372円(0.09%)高いとし、昨年に続き不当なマイナス勧告を行った。
 一時金についてはおおむね均衡しているとして、改定なしとしているが、成績率の適用範囲や査定幅の拡大など、制度の見直しについて言及している。
 地域手当については現行の14.5%を国と同様に1.5%引き上げて、16.0%とし、これに伴い給料月額を1.3%程度引き下げた。
 公民較差と地域手当の引き上げに伴う本給の引き下げ分を合わせ、平均1.4%の引き下げとなっている。
 さらに昇給カーブのフラット化を行い、公民較差相当分について若年層及び管理職層の引き下げを抑制し職責による上厚下薄の給与較差拡大をはかった。その結果、給料表について改定率は0.0%〜△1.8%(最高)となった。
 このように高齢層については公民較差と地域手当の引き上げに伴う本給の引き下げ分を上回る給与削減となる全く不当なものである。
 高齢層の職員の年金受給水準は引き下がり、退職金についても受給水準が較差水準以上に引き下がり、さらに退職手当調整額より支給較差は一層拡大することになる。
 さらに、地域手当の支給されない島しょに勤務する職員は大幅な賃金引き下げとなる。
 特別区が公民較差75円(0.02%)で据え置く中で、昨年に続いてのマイナス勧告となり、9年連続してプラスの勧告はなく、消費者物価が上昇する中で、職員の生活は年々厳しくなり、まったく不満なものである。
 国は本給、一時金とも据え置きとなっているが、大阪市、名古屋市など大都市ではマイナス勧告となっている。東京をはじめとした大都市の賃金引き下げを画策した政治的勧告であると言わざるを得ない。政府の地方公務員の賃金削減方針に追随して2006年から比較企業規模を100人以上から50人以上に改悪された影響が如実に反映されている。従前方式の100人以上の調査に直ちに戻すよう要求する。

 技能系職員の賃金について、人事委員会が不当にも都側の要請を受け入れて対象職種の追加独自調査を行い、都の現業職場の持つ専門性、特殊性等を考慮せず、単純比較をもとに、昨年以上に踏み込んで、国や民間との均衡を図る観点から賃金水準について見直しを言及した。
 もとより、現業賃金は勧告事項とせず、労使協議で決定してきた事項であり、人事委員会がこれに言及することはあってはならず、強く抗議する。

 職員の勤務時間について、今年の都内民間の平均所定内労働時間は1週当たり38時間27分、1日当たり7時間40分の調査結果を基に、1日15分の短縮が適当であるとして述べているが、すでに17政令市中10市が昨年度までに時短を実施している中で遅れた言及となっているばかりか、国と違い「勧告」とせず、「意見」にとどめ、実施時期も触れていないなど不十分なものとなっている。国の法改正を注視するなどとし、国におもねり、時短を政争の具とするもので許されるものではない。
 休暇制度について触れているが制度の周知や環境づくりにとどまっており、要請を受け止めたものとなっていない。

 教員給与について、小中学校と高等学校等の教員給料表を一本化し、新たに教育職給料表を設けた。
 また主任教諭については都教委の要望を追認し、新たに主任教諭に適用する職務の級の設置が適当とし、教育の現場にも一般行政職と同じ、職責による水準差の拡大を通じた分断政策が勧告された。この給料表の実施を許さない取り組みが重要となる。

 今後の人事制度のあり方について、今まで以上に、個に着目し、職員一人ひとりの意欲と能力を最大限に引き出し、組織活力を最大化する視点での人事制度を標榜しているが、実際は、適材適所への配置や能力を活用することが出来ていない現実がある。人事考課制度は物言わぬ職員を増やし、創意工夫の業務運営を妨げる制度として存在している。公正性、公平性、客観性、透明性、納得性のない中で、充実化を求めても組織の形骸化が進むだけである。評定者訓練で制度に対する不信感を払拭できるわけはないし、職員の勤労意欲はわいてこない。
 職員が納得できる人事考課制度への見直し、労使参加の実効ある苦情相談制度の確立がされる中で初めて一歩進むものと考える。
 業績評価と昇給・昇任が明確に関連し、所属課長による推薦枠も強化されるなかで競争主義がますます強化されている。公務に携わる者が競争社会に投げ出され、個々を重んじる少数精鋭の人事考課制度により、係としてチームとしての都民サービスがおろそかになっていく事も危惧される。
 人事管理強化の結果、差別と分断が存在し、職場の人間関係が希薄になり、業務に影響している。メンタルヘルス不全を引き起こし、病気休暇等を取得する職員は増え続けている。とりわけ30代の職員が多く占めていることは問題である。一部の首都公務員のためだけではない、こつこつと業務をこなしている多くのまじめな職員が報われる人事制度の改善が早急に求められる。

 人材育成については、大量退職の時代を迎え業務の継承をいかに進めるかの認識は持っているが、その方策は相変わらず、人事考課制度を利用したものや、技術系職員のOJTを通じた人材の育成を言うだけで、行政各分野における専門家養成を図るため複線型の人事制度の確立を要求している都庁職の要請に全く応えていない。
 各分野毎の専門家の育成のための方策と、責務に応える用意がないばかりか、業務、技術を伝える中高年齢層の処遇をないがしろにし、やる気を失わせているなかで人材育成や業務、技術、技能の継承はできない。
 高齢職員活用についてその重要性に触れているが具体的な方策はないし、定年制の引き上げについては今後の研究課題となっている。希望する者全員の多様な種類の高齢者雇用制度の実現を要求する
 国と、いくつかの政令市で言及している、非常勤職員の処遇改善について触れていないことは非正規労働者の処遇が社会問題化している状況下で遺憾である。
 とりわけ都に働く多くの専務的非常勤職員の雇用と労働条件の改善が早急に求められている。

 公務員の労働基本権の代償機関として存在すべき人事委員会は、私たちの要請を無視し、国及び都側の意向に追随し、第三者機関としての役割をまたもや放棄した。制度的限界に陥り、機能を失っている。労使交渉を強化するとともに、労働基本権の奪還の闘いを本気で取り組まなければならない時期にきている。
 都庁職は今次確定闘争で重点課題である現業給与・任用制度の改善要求について、都側の一方的な主張、姿勢である15%(地域手当含み21%)削減をただし、現業職員の職務に基づく任用制度の改善を早急に提起するよう求めていく。
 教員賃金については分断策動を許さず反撃していく。
 時間短縮については実施時期について国に先んじて一刻も早く、1月実施を決断するよう求めていく。
 さらに都庁職、都労連に寄せられた諸要求の実現をめざし都労連闘争の一翼を担って闘い抜く決意である。

ページのトップへ戻るページのトップへ戻る
 

Copyright (C) Tokyo metropolitangovernment laborunion.