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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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見解
 

「新銀行東京」への追加出資に対する都庁職コメント

2008年3月28日
東京都庁職員労働組合

○石原知事は、新銀行東京の経営破綻の救済策として「400億円の追加出資」を都議会第1回定例会に提案した。2月4日に発表されたばかりの「平成20年度予算案」の補正は異例であり、新銀行東京からの追加出資依頼を受けてわずか半日で、補正予算案が作成提案されたことも異様な事態である。都議会では経営状況に関わる「調査報告書」の全面開示もなく、不十分な情報の下ではあったが、新銀行東京の経営破綻の原因や責任、追加出資の是非について、様々な角度から議論が行われた。結果として都議会自民党・公明党が付帯決議を付けて、賛成にまわり、新銀行への追加出資が行われることとなった。付帯決議は(1)更なる追加出資は許されない、(2)今回の400億円を棄損させない、(3)経営の支援・監視の専門組織を設けるという3項目だが、再建に向けた実効性は担保されていない。

○「新銀行東京」は、大銀行による「貸し渋り、貸しはがし」に対抗し、中小企業への融資を行うという大義名分により、都が母体となって設立した。これは第2期石原都政の目玉として、都知事選挙の公約で出されたものであり、当初から政治的性格の強いものであった。石原都政はこの計画を後に副知事となる大塚出納長を始め、側近だけの密室で作成し、トップダウンで実行した。
 当時は不良債権処理を終了した大手銀行が融資先を求め中小企業への融資幅を拡大しつつあり、設立主旨に対する疑問や中小企業制度融資など、東京都との施策との整合性が問われ、また、素人商法でうまくいくのかとの議論も行われた。

○東京都の出資した1,000億円(うち700億円は起債による出資で、都負担は総額約1,100億円に上る)をもとに、資本金1,184億円で、新銀行東京は設立された。しかし開業から3年間の累積損失は1,016億円にのぼり、都が出資した1,000億円のほとんどが失われた。融資先企業のうち、今年1月までに2,300社が経営破綻し、累積で285億円が焦げ付く状態である。

○融資先以外でも40億円に上る有価証券の損失や124億円をかけたコンピューターソフトも無駄となり、12億円をかけたATM151台も126台を撤去するなど、累積損失の40%近くは物件費や人件費等の営業経費である。

○石原知事は新銀行の経営破綻の原因について「旧経営陣の非常識な運営」に問題があったとしている。しかし新銀行は9,300億円という過大な融資・保証残高目標を設定し、東京都自身が旧経営陣をあおり新銀行マスタープランに沿った対応を求め、高利で預金を集め、ひたすら融資の拡大を図ってきた。「スコアリングモデル」「3日以内の融資決定」の押しつけを行い、その融資の契約額に応じて営業担当者へ年額200万円に及ぶ報奨金支給制度などの導入し、不良債権の拡大が図られた。また、物件費・人件費もマスタープランに基づく営業規模を確保するためのものである。新銀行東京に対する石原都政の責任は、設立のみならず経営破綻につながる経過にも及ぶものであり、自らの責任を回避するべきではない。

○今回の「新銀行東京」に対する400億円の追加出資は、根拠があいまいで、2012年3月期には最終黒字化を見込むとされているが、その実現性を疑問視する見方は少なくない。再建の見通しもないまま、都民の莫大な税金を投入するものである。マスコミの世論調査(3/25朝日新聞)を見ても、追加出資反対は73%に及び、賛成は17%に止まる。精算すべきという声は61%に及ぶ。

○都庁職は、融資先の50%が大企業という実態は中小企業支援の役割を果たしておらず、莫大な赤字を抱え、再建計画では中小企業融資から撤退する「新銀行東京」に対して400億円を追加出資することに強く抗議するとともに、都が都民の声を真摯に受け止め、撤退を決断することを求める。あわせて「新銀行東京」を経営不振に至らしめた石原知事の責任を追及するとともに、石原都政の反都民的な性格を明らかにして、都民本位の都政の実現に向け、都民とともに奮闘するものである。

以上

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