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健康 メンタルヘルス講座(12)

ネット時代のコミュニケーションスキル
−営業マンに学べ−

 仕事でも家庭でもプライベートでも私たちは日常生活の中で無数のストレスに囲まれています。もちろん、ストレスは悪影響を及ぼすものばかりではなく、適度なストレスは日常生活を張りのある有意義なものにしてくれます。しかしながら、ストレスが過度になってしまうと、心身の健康を害してしまうこともあるのです。
 同じストレスを受けた場合にも、その反応は人によって様々です。よく「あの人はストレスに強い人だ。」などという言葉を耳にしますが、多くの場合、ストレスに強いということはストレスとの付き合い方がうまい、すなわちストレス対処能力が高いということを意味します。つまり、現代社会のようにストレスを避けることのできない環境下では、ストレスに対しどのような対処方法を行うかが、心身の健康を大きく左右する鍵となるのです。
 ストレス対処能力は一般的に『外的対処能力』と『内的対処能力』の2種類があると言われています。ストレスがたまると、ストレス発散・解消のために、お酒を飲みに行ったり、買い物に出かけたり、スポーツをしたりと、自分の外に向けて何か対策をとる方が多いのではないかと思います。これが『外的対処能力』なのです。それに対し、問題点を客観的に見つめなおしたり、物の見方を変えてみたり、柔軟に物事を考えてみたりと、自分の内に向けてのアプローチが『内的対処能力』ということになります。
 もちろんこの両者はどちらも上手にストレスに対処していくうえではとても重要な能力です。特徴としては、『外的対処能力』はその場その場でのいやな感情を解消できる即効性があり、特別なトレーニングをしなくても誰にでも実行可能です。しかしながら、お金や時間が必要なことが多く、さらにはその効果が長続きしないという欠点があります。それに対して、『内的対処能力』は、習得の難易度に個人差があるのですが、一度習得するといつでもどこでも実施可能で、また効果も長く続きます。日頃忙しく、ストレスを発散する時間も少ない時にこそ有効な方法です。
 つまり、この2つのストレス対処能力をバランスよく、上手に用いることで不可避な現代社会のストレスとうまく付き合っていくことができるのです。来月号からは2つの対処方法の実例や習得方法等を具体的にお話していきたいと思います。

(産業医の立場から  筑波大学 吉野 聡)



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