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健康 メンタルヘルス講座(3)
快適職場づくりとしての対人関係ストレスマネジメント
―誉め言葉の上手な活用で、対人関係のストレス軽減を―
私が産業医としてメンタルヘルスの相談に関わっていると、対人関係のトラブルが大きなストレスの要因となっている事例に多く遭遇します。その中には、ただ単にコミュニケーション不足が原因となる事例も多く存在します。
私は今年、内閣府『第17回世界青年の船』の心理担当指導官として、世界各国の青年達の指導にあたりました。その中で、痛切に感じたことは日本人のコミュニケーション能力の低さです。船上での43日間を通して、英語を母国語としない外国人と日本人との間にどのような違いがあるのかを観察していました。すると誉め言葉の使い方が決定的に違うのです。海外の参加青年は、面白いパフォーマンスに対しては“wonderful!”と拍手を送り、かわいい衣装には“so cute♪”と一緒に写真を撮るのです。それに対して多くの日本人は拍手もするし、写真も撮る、しかしながらその簡単な一言がなかなか出てこないのです。
突然ですが、皆さん、紙とペンを準備して、その紙に1分間で思いつく限りの誉め言葉を書き綴ってみてください。
多くの日本人は途中でペンが止まり、7〜8個くらいで終わってしまうことが多いようです。この実験をしてみると、我々日本人は普段からいかに人を誉めていないかを痛感するのです。
実際に誉め言葉は『会話の潤滑油』とも言われるほど、コミュニケーションにとって重要なスキルなのです。しかしながら元来、言葉に出して誉めることが苦手な我々日本人は、努力無しにこのスキルを身につけることは困難です。そこで私はコミュニケーションをテーマとした講演では、そのスキルを磨くために、しりとり形式で誉め言葉を連想する“誉め言葉しりとり”の実施や、「あ」から順に誉め言葉を書き連ねていく“誉め言葉50音表”の作成を勧めています。誉め言葉は以下の要点を押さえながら用いると、さらに一層の効果が見込まれます。
(1)具体的な言葉で誉める(2)他人と比較する言葉は使わない(3)自分を主語にして誉める(例『その資料について、私は素晴らしいと思います』)
皆さんも誉め言葉を上手に用いるスキルを磨いて、職場のストレスを少しでも減らしてみませんか?
(産業医の立場から 筑波大学吉野 聡)
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