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こんな職場、こんな仕事(第34回)


科目選択から就職先の開拓など総合的対応が必要

労働支部 東京障害者職業能力開発校

左から工藤さん、高橋さん、栗原さん、川島さん、嵯峨さん
本館正面

 梅雨の晴れ間6月29日(木)に西武国分寺線小川駅から歩いて5分のところにある東京障害者職業能力開発校(国立・都営)を訪問しました。建物玄関で嵯峨さんに声をかけられて会議室に案内され、労働支部副支部長の工藤さん、分会長の川島さん、書記長の高梨さん、副分会長の栗原さんからさっそくお話を伺いました。この施設は国立・都営なので施設・土地等は国が所有し、都が運営しています。職員は60名で非常勤講師も含めて146名います。

障害者訓練について研修もなく
指導員まかせ

 対象者は身体障害者、知的障害者の方たちです。ここで学ぶ生徒の障害の特性は下肢障害が最も多く、次いで聴覚障害、上肢障害となっています。また、重度障害の方の入校が多くなってきています。複合的な障害を持っている方もいます。聴覚障害者、障害の重い人と軽い人など様々な方がいますが一律に訓練せざるを得ない状態で指導する側に苦労が多い職場です。全体で約200人の生徒のうち約50人の聴覚障害者がおり、各科目で1割以上はいるので訓練の進め方が難しくなっています。聴覚障害者をどう訓練すればよいのか研修体制もありません。国は重度障害者も受け入れるとしていますが、職員は何の研修も受けていません。問題点を挙げても何ら対策がとられず、指導員任せになっています。生涯訓練が必要であるにも関わらず本校修了後は在職訓練などが一時的なものでほとんどない状況です。企業の障害者雇用義務は1・8%ですが未達成です。景気がよいと言われながら昨年より落ちています。解雇は真っ先にさせられ本校に戻ってくる生徒もいます。社会の受け皿が少ない現状です。

障害者への配慮を欠く施設と国の貧弱な予算

 各教室を案内してもらいました。まず知的障害者の教室は別館にあり車椅子に乗っていきましたが、道路から建物の敷地に入るところでほんのちょっとした段差で車椅子が止まってしまいました。さらに車椅子で動くには距離も短くなく屋根も高いため雨の日には直接雨に打たれるような状況です。障害者施設なのにバリアフリーが問題になっています。教室はものづくり、リサイクル、アパレル・インテリア、ワークアシストの4コースがあります。本校の敷地に入ると駐車場があるのですが本館に入るまでにかなり距離があり屋根も何もなく車椅子に対する配慮は全然なされていません。駐車場や通路の屋根対策が急務になっています。本館に戻ってから情報系、ビジネス系、医療・福祉事務系、グラフィックメディア系、機械・図面系、ものづくり系、アパレル系、オフィスワーク系の教室を案内していただきました。各教室では講師の他に手話通訳の方が配置されていました。しかし手話通訳は7割の配置です。本校には生徒が全国から来ており、生徒が入校するための寮が設置され、50名前後の寮生がいて食堂もあります。障害者職業能力開発校は全国で13校ですが、国の施設予算は3千万円しかありません。

国や都の無策と企業の冷たい対応

 本校の就職率は72%、求人の80%は事務・情報系で、ものづくり系は1割程度になっています。就職先を開発しなければなりませんが、現状は指導員まかせになっています。科目選択から就職先の開発、企業訪問、採用依頼など総合的にやっていかないと今の社会に対応できません。   国は介護が必要な人も受け入れなさいとしていますが、現場の体制については何の策もありません。現場の訓練指導員が専門性を持って、障害者の訓練に取り組んでいるにもかかわらず、都当局は特勤手当の改悪を強行してきました。障害者はスピードは欠けますが理解力、感性はすばらしいものがあります。しかし、企業は受け入れる体制がなく、聴覚障害者は企業の中で孤立してしまいます。最後に訓練指導員でお忙しい分会役員の方にお礼を述べて、国・都の無策や冷たい企業の対応に怒りを感じながら、職場をあとにしました。

カラーDTP科の教室 カラーDTP科 04年度生の作品
ワークアシストコースの教室 機械製図課
全国から来る生徒のために寮が併設されています
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