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こんな職場、こんな仕事(第25回)


経済支部 産業技術研究所

中小企業支援を損なう地方独立行政法人化
中小企業から頼られる産業技術研究所

 7月28日(木)の暑い昼日中、北区にある産業技術研究所西が丘庁舎を訪問しました。
 材料技術グループの主任研究員で西が丘分会長の上野さんを訪ねると、中小業者の方が依頼試験の相談に来ているところでした。
 産業技術研究所では試験・普及指導・研究の3つの柱で事業が行なわれています。試験は製品にクレームが来たことに対する中小企業からの依頼試験や製品の安全性・耐久性に関する試験、JIS規格などに合致しているかなどの測定があり、公的試験機関の評価を求める利用者が多い。
 料金は民間より安く中小企業に利用しやすい産業技術研究所になっています。他の道府県に較べて東京は依頼試験が多いのが特徴です。普及指導は中小企業の技術の向上を図ってもらうため、各種の講習会を実施しています。

 
西が丘庁舎   中小企業者からの相談を受ける上野さん


成果拙速主義は試験研究の方向を歪める

上野さんの材料研究室
 研究には都独自の研究と中小企業と共同で行う共同開発研究があり、研究はサイクルが1年〜2年で成果を求められます。共同研究開発は1年間でその成果は相手先企業と特許取得を目標とするものが多く、中小企業に広く使ってもらうというかたちになりにくい。産業技術研究所で予算規模の大きな研究も期間は1〜2年間で任期付き研究員が担当しています。産業技術研究所として基礎研究をやっている余裕がまったくない状態です。試験研究は基礎研究が底流に据えられて、そのうえに様々な研究が芽生え育てられるものであり、現在の産業技術研究所は芽の段階の研究・テーマが軽視され、創造するために大地で種子から育てるのではなく、苗を仕入れてきてプランターで育てる方式になっています。
 しかも、産業技術研究所が地方独立行政法人化されれば、手数料も含め見直しされ、職員の身分も処遇も危惧されます。既に独立行政法人化された国の産業技術総合研究所では成果主義に冒されて職場の中がギスギスしていると聞いています。地方独立行政法人化されて、成果主義に冒され短期間に陽の当たる研究や成果の出やすい研究だけを追い求め、特許に傾斜するなど大企業のための研究機関になって、中小企業に対してサービス低下が起こるのではないかと心配しています。



24時間試験研究を支える現業職場

 
2台のボイラーが稼働している   産業技術研究所西ヶ丘庁舎別館
  
恒温恒湿が要求される
試験機器

 産業技術研究所西が丘庁舎は1966年〜70年に建設されました。試験研究をすすめていくためには一定の室内条件設定が必要であり、さまざまな恒温・恒湿の管理をボイラーの24時間365日稼働と24時間の機械管理体制で行っています。ボイラーを扱う機械管理は以前には正規職員が9人いましたが、現在は退職不補充で1人しかいません。そのため今年度から一部民間委託を導入していますが、機械の故障などの対応に苦慮しています。
 来年3月に機械管理の再雇用職員が退職されるので、24時間の勤務ローテーションをどうするのかまた再検討しなければなりません。現業職員が毎年じりじり減らされ、当局は現業職場をどうするつもりなんだと職場の怒りがはじけていました。

  
空調中央制御装置を説明する
機械管理の大田さん

 「試験研究機関に対する地方独立行政法人化攻撃との闘いへの全面的な支援を」と、「研究を支えている電話交換・機械管理などの現業職種と研究職、事務職が一体となって仕事をするところが試験研究機関です」と強調していた上野分会長のことばが印象的でした。最後に試験室やボイラー室などを案内していただき、上野分会長や現業の方に御礼を述べて産業技術研究所西が丘庁舎を後にしました。


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