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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2024年秋季年末闘争の決着にあたって

 

2024年11月14日
東京都労働組合連合会

 

 都労連は、10月4日に開催した第1回中央委員会で「2024年秋季年末闘争方針」を決定し、2024年賃金確定闘争を本格的に開始し、闘争方針に基づいて労使交渉を精力的に行うとともに、諸行動に取り組み、要求実現をめざし、組織の総力を挙げて闘ってきました。
 2024年賃金確定闘争は、例月給は、人材確保の観点から1級の初任層に重点を置きつつ、一般職、監督職及び管理職において職務の級の職責差を給与へ一層反映させた上で全級全号給の引上げ、一時金は0.20月分の引上げとなりましたが、これまで賃金抑制を強いられ続けている中高齢層職員にとって到底納得ができるものではなく、一昨年から続く物価上昇分にも満たず、生活改善には遠く及ばない不当勧告のもと、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げ実現を目指す闘いとなりました。
 全単組の統一と団結の力で職場から闘いを展開し、組織の総力を挙げて、闘い抜いた経過と、その到達点である11月13日の都側最終回答を踏まえ、労使合意して妥結することとし、その批准を各単組に求め、2024年秋季年末闘争の決着を図ります。

 

[T]2024年賃金確定闘争の主な経過

 

(省略)

 

[U]都側最終回答と都労連の判断

 

1 都側の最終回答

 

人事委員会勧告の取扱い
○例月給
・勧告どおり給料表を全級全号給について引上げ改定
・実施時期:2024年4月1日に遡及して実施

○特別給
・勧告どおり0.20月分引上げ(4.65月→4.85月)、期末手当及び勤勉手当に配分
※第4回都議会定例会で関係条例を議決後、できる限り速やかに支給


業務職給料表の改定【都労連要求】
○行政職給料表(一)の改定内容を基本に、全級全号給について引上げ改定

○実施時期:勧告給料表の実施時期


給料の調整額の改定【都労連要求】
○給料表の改定率を踏まえて引上げ改定

○実施時期:勧告給料表の実施時期


初任給調整手当の改定
○給料表の改定率を踏まえて、医師・歯科医師の手当額を引上げ改定

○実施時期:勧告給料表の実施時期


初任給調整手当の見直し
○公衆衛生医師や、療育センター、精神保健福祉センター等の施設に勤務する医師・歯科医師の支給区分を引上げ
○大学卒業後40年を超えた職員についても、特別の事情があると認められるものについては、実際に手当を支給される期間が40年を超えない範囲内において、手当の支給を可能に
○実施時期:2025年4月1日


扶養手当の見直し
○配偶者(パートナーシップ関係の相手方を含む。)に係る手当を廃止し、子に係る手当額を引上げ
・配偶者6,000円→2025年度:3,000円、2026年度:廃止
・子9,000円→2025年度:11,500円、2026年度:13,000円

○実施時期:2025年4月1日


地域手当、特地勤務手当及びへき地手当の見直し【都労連要求】
○支給地域と支給割合(本則)
・区部・多摩公署:20%(据置き)
・島しょ公署:16%
・都外公署:16%

○異動保障(本則)
・区部・多摩公署から都外公署へ異動:20%(据置き)
・区部・多摩公署から島しょ公署へ異動:20%
・都外公署から島しょ公署へ異動:廃止
・定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員にも適用(2025年4月1日以降の異動から適用)

○新規採用職員に対する特例措置の支給割合(本則)
・都外公署:20%(据置き)
・島しょ公署:20%

○異動保障措置及び新規採用職員に対する特例措置が適用される職員について、改正前後で月収を均衡させる観点から、支給割合の引上げにより地域手当が増加する分を、特地勤務手当等から減額(2027年度以降)

○実施時期:2025年4月1日から2028年4月1日まで段階的に実施


通勤手当の見直し
○1月当たりの支給限度額を引上げ(55,000円→150,000円)
○新幹線等を利用した場合の特急料金等に係る支給について見直し
・支給限度額の範囲内で全額の支給を可能に
・新規採用職員、定年前再任用短時間勤務職員、暫定再任用職員及び育児、介護等のやむを得ない事情により転居して新幹線等による通勤を必要とする職員にも支給を可能に
・新幹線等の利用により通勤時間が片道当たり30分以上短縮されること、異動後の通勤時間が異動直前の1.5倍以上になることという支給要件を廃止

○実施時期:2025年4月1日


単身赴任手当の見直し
○新規採用職員にも支給を可能に

○実施時期:2025年4月1日


在宅勤務等手当の導入
○在宅勤務に伴う光熱・水道費等の費用負担を軽減する観点から、在宅勤務等手当を導入
・3か月以上の期間において、1月当たり平均10日を超えて終日テレワークを実施する予定の職員に月額3,000円を支給
・在宅勤務等手当が支給されている期間の通勤手当については、1か月当たりの平均通勤所要回数分の運賃額(自転車等を利用している職員は、定額の半額)を支給
・会計年度任用職員については、在宅勤務等手当に相当する報酬を第一種報酬として、常勤職員の例により支給

○実施時期:2025年4月1日


宿日直手当の改定
○勧告による給料表改定を踏まえて引上げ改定
○実施時期:勧告給料表の実施時期以後に始まる宿日直勤務から適用


宿日直手当の見直し
○勤務時間に応じて手当額を決定する取扱いを見直し
・5時間未満の区分を5時間以上の区分に統合

○実施時期:2025年4月1日以後に始まる宿日直勤務から適用


旅費の取扱いの見直し【都労連要求】
○公務旅行の前又は後に連続する私事旅行をした場合についても、公務旅行に要する旅費の支給を可能に
○実施時期:2024年12月1日以後に出発する旅行から適用


複線型人事制度の推進【都労連要求】
○課長代理級職昇任選考・統括課長代理認定選考について、定年引上げの影響や、更に高度化・複雑化する都政課題への対応等を踏まえつつ、昇任者数・認定者数を適切に設定するとともに課長代理の専門区分や統括課長代理の政策区分を拡充
○実施時期:2024年度選考から


超過勤務の免除に係る制度の見直し【都労連要求】
○超過勤務の免除の対象となる子の範囲を拡大
・「3歳未満の子」→「小学校就学の始期に達するまでの子」
○実施時期:2025年4月1日


子連れ出勤の本格実施
○働き方の選択肢の一つとして、現行制度の範囲内で、本庁職場において本格実施
・対象職員:0歳から小学3年生までの子供を養育する職員
・実施要件:緊急一時的な措置として、子供を職場に帯同することが業務上の必要性と利用職員の希望の両面において有効な選択肢であると所属長が判断した場合
・子連れ出勤ワークスペースの利用時間は、原則として午前9時から午後5時45分までに拡大

○実施時期:2025年1月1日


フレックスタイム制の見直し【都労連要求】
○週休日の追加に係る取扱いを見直し
・「4週間ごとの期間につき1日限り」→「1週間ごとの期間につき1日限り」

○実施時期:2025年4月1日


子どもの看護休暇の見直し【都労連要求】
○取得事由に「子の行事参加(入園・入学式、卒園式等)や感染症に伴う学級閉鎖等」を追加

○名称を「子どもの看護等休暇」に変更

○実施時期:2025年4月1日


子育て部分休暇制度の導入【都労連要求】
○対象職員:小学校第三学年までの子を養育する職員(育児短時間勤務を行う職員、部分休業を取得することができる職員を除く。)

○取得単位:正規の勤務時間の始め又は終わりにおいて、30分を単位として、1日につき2時間以内で取得可能

○給与の取扱い:無給

○昇給基準の取扱い:欠勤等として取り扱わない

○勤勉手当:勤務期間の算定に当たり、日に換算し30日を超える場合には、その勤務しなかった期間を除算(期末手当・退職手当は除算せず。)

○実施時期:2025年4月1日


夏季休暇の取得期間の見直し【都労連要求】
○全職員※(会計年度任用職員を含む。)の取得期間を拡大
・「7月1日から9月30日まで」→「6月1日から10月31日まで」
※交替制勤務等職員は2024年度から実施済

○実施時期:2025年4月1日


会計年度任用職員の報酬額の改定時期に係る取扱いの見直し【都労連要求】
○原則として、各年度の4月1日に決定する。ただし、常勤職員の給与に改定があった場合は、その改定時期に準じて決定することを基本とする。
・引上げ時は、4月1日に遡及適用、差額を支給
・引下げ時は、12月1日適用、差額を期末手当から減じて支給(所要の調整)

○実施時期:2024年12月1日以降に常勤職員の給与の改定が実施された場合に適用


会計年度任用職員の超過勤務の免除に係る制度の見直し【都労連要求】
○超過勤務の免除の対象となる子の範囲を拡大
・「3歳未満の子」→「小学校就学の始期に達するまでの子」

○実施時期:2025年4月1日


会計年度任用職員の子どもの看護休暇の見直し【都労連要求】
○取得事由に「子の行事参加(入園・入学式、卒園式等)や感染症に伴う学級閉鎖等」を追加

○名称を「子どもの看護等休暇」に変更

○実施時期:2025年4月1日


会計年度任用職員の子育て部分休暇制度の導入【都労連要求】
○対象職員:小学校第三学年までの子を養育する職員で、次の要件をいずれも満たす職員(部分休業を取得することができる職員を除く。)
・1週間の所定の勤務日数が3日以上、1月の所定の勤務日数が11日以上又は1年間の所定の勤務日数が121日以上
・1日につき定められた勤務時間が6時間15分以上である勤務日がある

○取得単位:定められた勤務時間の始め又は終わりにおいて、30分を単位として、1日につき2時間以内で取得可能

○報酬の取扱い:無給

○勤勉手当:勤務期間の算定に当たり、日に換算し30日を超える場合には、その勤務しなかった期間を除算(期末手当は除算せず。)

○実施時期:2025年4月1日


カスタマー・ハラスメントに関する取組【都労連要求】
○職場におけるカスタマー・ハラスメントの防止に関する基本方針やマニュアルを作成するとともに、「ハラスメント防止連絡会議」の場で職員の代表との意見交換を実施

○実施時期:2024年度から順次実施


介護と仕事との両立に関する取組【都労連要求】br /> ○家族の介護の必要性が生じた職員への両立支援制度の周知・意向確認や、介護と仕事との両立支援制度に関する職員への早期の情報提供及び職場環境の整備を任命権者に義務付け

○実施時期:2025年4月1日


「東京都職員『ライフ・ワーク・バランス』推進プラン」関連【都労連要求】
○「東京都職員『ライフ・ワーク・バランス』推進プラン」の進捗状況や今後の方向性について、今年度中に労使での意見交換を実施

 

2 都労連の判断

 

 給与改定については、勧告どおりとなったものの、全級全号給の引上げ改定、一時金の支給月数増を判断させることができました。一方で、例月給については、一般職、監督職及び管理職において職務の級の職責差を給与へ一層反映させた不当な勧告により、行(一)1級の105号給以上、2級の76号給以上の改定率は0.3%であり、中高齢層職員にとっては、この間の物価上昇分にも満たず、生活改善に繋がらないものであり、到底納得ができるものではありません。都における中長期的な人材確保の観点や都政の継続性・安定性に大きく影響することが懸念されます。また、勧告事項であるとは言え、配偶者に係る扶養手当を廃止するとしたことは、働きたくても働くことができない配偶者がいる実情を顧みないものであり、到底納得できるものではありません。
 地域手当、特地勤務手当及びへき地手当については、都労連の要求も踏まえたとして、定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員を常勤職員同様に地域手当の異動保障措置の適用対象としたものの、制度改正前後における年収水準を均衡させる見直しにより給与月額水準引下げとなる当初提案でした。都労連は、地域手当の支給による給与月額水準引下げは認めないという態度を貫き、交渉は膠着状態となりましたが、都側に地域手当の支給と併せて給与月額水準を確保させることを判断させました。
 会計年度任用職員の報酬額の改定時期に係る取扱いの見直しについて、当初提案では、一会計年度において任用される期間が3月以内の職員及び1当たり勤務時間が15時間30分未満の職員の取扱いを遡及適用の範囲外としていました。均等待遇の観点から到底認められないと反論し、当初提案を修正させ、全ての会計年度任用職員の報酬額の改定時期を常勤職員と同様の取扱いとすることを都側に判断させ、要求を実現することができました。
 いずれの最終案も、都側が各単組職場代表からの対都要請行動をはじめ、各単組の委員長・書記長の要請を受け止め実現に繋がったものです。
 育児・介護等と仕事の両立支援に関わり、部分休業を補完する制度として、子育て部分休暇を新たに導入させたことは、都労連要求の前進であり取組の成果と言えます。また、一方で休暇制度については、制度を活用できない、又は活用しにくい職場があることが喫緊の課題であり、全ての職場において、希望する職員が活用できるよう、制度改善と合わせて、職場環境の整備を求めていく必要があります。
 業務職給料表については、今勧告で全級全号給引上げとなっている行(一)給料表の改定状況と均衡を失することのないよう強く求めてきました。作成方針の改善は図れませんでしたが、1級職で29,300円から2,500円、2級職で13,600円から3,500円、3級職で7,400円から4,500円、4級職で6,900円から5,500円の引上げ、また、給料の調整額についても1,000円から900円の引上げ改定となります。
 全ての職員の夏季休暇の取得期間を拡大したことや旅費制度の見直しなど要求が前進したものもありますが、今次確定闘争で実現できなかった、55歳昇給抑制措置・60歳超職員の給料月額7割水準措置の廃止をはじめ、定年前再任用短時間勤務職員や暫定再任用職員の賃金水準改善、会計年度任用職員と常勤職員の均等待遇実現など、2024年賃金確定闘争の総括を行うとともに、都労連要求を再構築し、春闘期の取組や夏季一時金闘争、そして2025年賃金確定闘争で、要求の実現を勝ち取るため、単組とともに準備を進めることが必要です。
 総じて、一部要求が前進したものの、全ての職員の平均30,000円以上の賃金引上げ、一時金については2.75月分全額期末手当での支給をはじめ、多くの要求については実現を図ることができず、厳しく不満の残る結果となりましたが、職場宣伝行動、総決起集会、対都要請行動などの大衆行動と統一1時間ストライキを背景に、あくまでも労使交渉による自主決着を図るため、粘り強く闘い抜いた都労連と各単組の闘いの到達点として、都側最終回答をもって妥結する判断を行い、各単組に批准を求め、2024年秋季年末闘争の決着を図ることとします。

 

団体交渉発言骨子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、人事委員会勧告の取扱いについて申し上げます。
 まず、勧告に示された給料表の引上げ改定については、令和6年4月1日から実施することといたします。
 特別給の年間支給月数については、勧告の内容どおり、期末手当を0.10月分引き上げて2.50月分とし、勤勉手当を0.10月分引き上げて2.35月分とします。定年前再任用短時間勤務職員についても0.05月分ずつ引き上げて、期末手当1.40月分、勤勉手当1.15月分といたします。そのため、各期に支給する月数は、6月期、12月期ともに期末手当1.25月分、勤勉手当1.175月分、定年前再任用短時間勤務職員についても、期末手当0.70月分、勤勉手当0.575月分とします。
 したがって、皆さんから要求のありました本年の年末一時金については、期末手当を1.30月、勤勉手当を1.225月、合計2.525月分を、定年前再任用短時間勤務職員については、期末手当を0.725月、勤勉手当を0.60月、合計1.325月分を支給いたします。
 その他、諸手当などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 以上の内容を踏まえ、給与改定に係る議案を第4回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 なお、年末一時金の支給日は、12月10日といたしますが、今回の引上げに伴う増額分については、議決後、できる限り速やかに支給できるよう、手続きを進めてまいります。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 今期の交渉は、勧告の取扱いや地域手当等の見直しなどを中心に、労使の考え方が鋭く対立する厳しい交渉となりました。
 こうした中、皆さんには、困難な課題に対しても真摯に協議に応じていただき、大変重い決断をしていただいたことで、難局を乗り切ることができたものと考えています。
 今後も、日々都政を支えている職員の勤務条件については、都民の理解と納得が得られるよう、皆さんと協議を尽くし、課題を解決してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。

 

都労連

 ただいま、勧告の取扱いをはじめ、最終回答が示されました。
 今回の確定交渉は、勧告後4週間に満たない極めて短期間の中で、労使が鋭く対立しました。一昨年から続く急激な物価高騰のもと、実質賃金は低下を続け生活不安が高まり、それに対して労働基本権の代償措置である人勧制度では、物価高騰に賃金・制度改善が追い着かないという勧告制度の機能不全が明らかになるなか、都労連要求の実現を願う職員の切実な想いに対して、一部要求の前進はあったものの、都側が要求実現に困難な姿勢を示したからです。
 最終回答は、長期のコロナ禍をくぐった後も続く感染症対策や、地震や豪雨等頻発する自然災害に対して被災者の支援・被災地の復興に携わり、公共サービス・公教育を後退させることなく、文字通り日夜懸命に都政を支え、誇りと使命感をもって奮闘している職員の期待からすれば、不満の残る内容と言わざるを得ません。一方、都民生活に責任を持つ立場から、これ以上、労使間で対立を深めることは避けなければなりません。
 都労連としても、現下の厳しい情勢は認識しています。しかし、職員は、厳しい職場実態にあっても、日夜、都政を根底から支えています。職員が、意欲を持って、安心して働き続けることができる環境を整え、その処遇を確保して、改善を図るのは都側の責務だと申し上げます。今確定交渉で解決できなかった課題を含めて、多岐にわたる課題が山積しています。引き続き、労使交渉を尽くして解決することを求めます。
 その上で、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。
 私からは以上です。

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