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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
令和6年人事委員会勧告等の概要

 

令和6年10月18日
東京都人事委員会

1 ポイント

 

○例月給、特別給ともに3年連続の引上げ改定
 例月給
 ・公民較差(10,595円、2.59%)解消のため、給料表を引上げ改定
 ・初任層に重点を置きつつ、人材確保の観点から初任給を大幅に引上げ
 ・職務の級の職責差を一層給与へ反映させる観点から、各級においてメリハリをつけた改定
 特別給(賞与)
 ・年間支給月数を0.20月分(4.65月→4.85月)引上げ、期末手当及び勤勉手当に配分

 

2 職員と民間従業員の給与比較

 

(1)比較の方法

・企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内11,178事業所を調査母集団とし、そのうち1,241事業所を無作為抽出して調査
 (調査完了770事業所調査実人員54,633人)
〈例月給〉
 職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較
〈特別給〉
 民間従業員に対する直近1年間(昨年8月から本年7月まで)の賞与の支給実績を調査し、職員と比較

 

(2)比較の結果

 

3 給与の改定

 

(1)改定の考え方

・民間従業員の給与が職員の給与を上回っていることから、給料表を引上げ改定配分[給料8,811円、はね返り(地域手当など)1,784円]
・特別給についても、民間の支給割合が職員の年間支給月数を上回るため引上げ

 

(2)改定の内容

ア 給料表


イ 特別給

・民間の支給状況を踏まえ、年間支給月数を0.20月分引上げ
 (指定職給料表適用職員は0.15月分引上げ)
・引上げは期末手当及び勤勉手当で実施

ウ 初任給調整手当

・医師等の処遇を確保する観点から初任給調整手当の支給限度額を315,200円に引上げ

 

(3)実施時期

・給料表及び初任給調整手当の引上げは、令和6年4月に遡及して実施
・特別給の引上げは、令和6年12月支給の期末・勤勉手当から実施

 

4 諸手当等の制度改正

 

(1)地域手当

・人事院は、特別区の地域手当は引き続き1級地(20%)とする一方、特別区を除いた東京都の地域手当は2級地(16%)とするよう勧告
・都においては、区部・多摩地域は地域の連続性・一体性から、区部・多摩地域を同率の支給割合(20%)に設定しており、その状況に変化はないため引き続き一律20%とすることが適当
・その他の地域については、地域の区分に応じて支給される関連手当も考慮し、所要の調整を行うことが適当

 

(2)扶養手当

・人事院は、配偶者に係る扶養手当を廃止し、これにより生ずる原資を用いて、子に係る手当額を13,000円に引き上げることを勧告
・都においても、配偶者に係る扶養手当を廃止し、子に係る手当額を13,000円に引き上げることが適当
・配偶者に係る手当の廃止は、受給者への影響を考慮し、行政職給料表(一)4級相当職員を除き、2年をかけて実施し、子に係る手当額の引上げも同様に2年をかけて実施

 

(3)通勤手当及び単身赴任手当

・人事院は、通勤手当の支給上限の引上げ、新幹線等の利用に係る特別料金等の支給要件及び単身赴任手当の支給要件の見直しを勧告
・都においても、人材確保が喫緊の課題である点や働きやすい職場環境の整備が求められている状況を踏まえ、国と同様の改正を行うことが適当
・通勤手当の支給限度額を新幹線等の特別料金等の額を含めて1か月当たり150,000円に引上げ、この支給限度額の範囲内で新幹線等の特別料金等の額についても全額支給
・採用時から新幹線等に係る通勤手当及び単身赴任手当を支給
・新幹線等の利用要件の廃止
・育児・介護等の事情により転居した職員にも新幹線等に係る通勤手当を支給

 

(4)管理職員特別勤務手当

・人事院は、管理職員特別勤務手当について、支給対象時間帯を午後10時から翌日の午前5時に拡大するなど勧告
・都はこれまで、本手当の支給要件について、国と均衡を図ってきており、同様の措置を講じていくことが適当

 

(5)特定任期付職員の勤勉手当

・人事院は、特定任期付職員の特別給について、特定任期付職員業績手当を廃止し、勤勉手当の支給が可能となるよう勧告
・都においても特定任期付職員業績手当を廃止し、勤勉手当を支給することが適当
・特定任期付職員の期末手当及び勤勉手当の支給割合については、在職実態を踏まえ、常勤の管理職の支給割合を考慮して設定(期末手当1.6月、勤勉手当2.25月)

 

(6)在宅勤務等手当

・昨年人事院は、在宅勤務等手当の新設について勧告
・令和5年11月に地方自治法が改正され、地方公務員においても今年度より在宅勤務等手当の支給が可能に
・都においても、在宅勤務等手当を新設し、本手当の額及び支給要件については、国に準ずることが適当
・本手当の支給に当たっては、通勤手当の取扱いについても対応を検討すべき

 

(7)医師の給与

・現在都における医師の人材確保が困難な状況
・特に保健所等に勤務する公衆衛生医師について、充足率が急激に低下
・また、民間の医師においては、診療報酬の改定に伴う賃上げに向けた動きがあり、このような民間の医師と競合関係にある臨床を主とする医師の人材確保については困難な状況が想定
・都民の健康を支えるとともに将来にわたり安定的な医療サービスを提供していくために、確実な人材確保が必要であり、その処遇を検討する必要
・本委員会においても医師の処遇について、引き続き研究・検討

 

(8)実施時期

諸手当等の制度改正は、令和7年4月1日から実施することが適当

 

5 今後の課題

 

(1)職務給の更なる進展等

・引き続き、職責の給与への反映を徹底するため、あるべき給与制度について研究・検討
・都における管理職に係る職務や職責等を改めて検証し、これに見合った給与水準、給与制度について、研究・検討

 

(2)能力・業績を反映した給与制度の更なる進展

・昇給制度について、定年引上げの影響を含めた運用実態等の分析を行うとともに、能力・業績が反映された給与制度となるよう、研究・検討を進めていく必要

 

(3)新たな給与制度の在り方についての検討

・人事院が進める65歳定年を見据えた給与水準の在り方や給与カーブの在り方の検討状況を注視し、都における定年引上げ等に伴う任用実態の変化や民間における高齢層の給与の状況を継続的に把握し、新たな給与制度の在り方について研究・検討

 

6 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)

 

・人材獲得競争が激しさを増す中、都が適切な行政サービスを提供し続けるため、引き続き転職市場から有為な人材を確保していくことが必要であり、採用された職員が能力や経験を生かして活躍できるよう体制を充実していくことが重要
・やりがいや成長を実感しながら日々の業務に取り組み、意欲に応じたキャリア形成が実現できる職場づくりを進めるとともに、都の職員として働く魅力を効果的に発信することで「選ばれる都庁」を目指していくことが必要・ライフスタイルや働き方が多様化している状況では、誰もが働きやすい環境づくりに向けた取組をより一層進めるほか、個々の職員の違いを認め、多様な人材を生かし、個人の能力を最大限に発揮できるようにすることが重要

 

(1)多様な人材の確保・育成・活躍の推進

ア 人材確保・育成に向けた取組

・人材獲得競争は激化しており、採用試験の申込者数が減少。都においては、10年前の3分の1程度の水準に落ち込んでいる状況が続いており、依然として危機的状況
・都の職員という職業は、首都としての先進的な取組を通じ、社会的な貢献を果たすことのできる意義深い仕事であり、自らの成長とキャリアアップに着実に生かすことができるもの
・このような都庁の魅力が広く、深く認識されるようターゲットごとに効果的な情報発信・コミュニケーションを重ねることが有効・採用制度については、都への就職を希望する多様な人材にとって更に受験しやすくなるよう試験方法の見直しやより有為な人材が確保できる制度となるよう取組を進める
・多様で有為な人材を着実に確保していくため、経験者採用の拡大など、採用市場の状況に迅速かつ的確に対応した柔軟な採用制度となるよう見直しを進めていくことが必要
・経験者採用など職歴のある職員に、採用後の職務内容やキャリア展望が示されるとともに、都庁以外で培われたキャリアも十分に尊重され、適切に処遇される制度を整備することが重要・主任について、基礎力確認テストの導入や選考内容の見直し等を行ったところであるが、今後、制度改正の効果検証を行い、改善を図っていく
・管理職について、行政専門職選考の見直しを行ったところであるが、今後、有為な人材が積極的に管理職を目指すよう、管理職になることの魅力の発信やキャリアへの不安の払拭などの取組を行うことに加え、選考方法や任用、研修など管理職制度の在り方について検討を進めていくことが必要
・全ての職員が意欲や能力を最大限発揮するとともに、技術やノウハウを継承していくためには、意見交換などを通じて、本人の希望を踏まえるとともに、職員のスキル・経験などに即した配置管理等を行うことにより、職員の意欲や能力に応じたキャリア形成を実現していくことが必要
・国や民間など多様な主体との交流を更に活発化させ、職員の意欲に応じて、学び・挑戦・成長ができる環境整備をより一層進めることも重要
・若手のうちから成長を実感でき、一人ひとりのキャリア形成を支援する人材育成や能力開発に引き続き積極的に取り組むことを望む

イ 女性の活躍推進

・男女問わず、職員の希望に応じて、家庭での時間も確保でき、仕事でも活躍できる職場を目指していかなければならない
・管理監督職における女性比率の向上のため、不安感や抵抗感を払拭するとともに、管理職選考への挑戦を促す取組のほか、育児・介護等と仕事を両立しやすい管理職選考への見直しなどをより一層進めていくことが求められる。そのため、職員のキャリアアップを組織全体で後押ししていくことが必要

ウ 誰もが活躍できる都庁の実現

・様々な個性や事情が配慮され、全ての職員に活躍できる環境が公平に提供される、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)が尊重された都庁を実現することが重要
・本年度改定される「障害者活躍推進計画」をもとに、取組を着実に推進し、障害を有する職員にとって働きやすい職場づくりが必要。周囲の職員が相談しながら実践できる環境をはじめ、サポートを充実していかなければならない
・高齢層職員については、職場での新たな立場における役割などについて、研修で理解を深めるとともに、リスキリングの実施により、業務スキルの維持、向上を図ることも重要

 

(2)働き方改革と勤務環境の整備

ア ライフ・ワーク・バランスの推進

・柔軟で多様な働き方の推進は、育児、介護、治療等の事情のある職員を含め誰もが活躍できる勤務環境を整備し、生活と仕事の両立を図る上で極めて重要・テレワークが当たり前の働き方の一つとして定着するため、職場のマネジメントとして、テレワーク可能な業務を拡充する観点から、業務の進め方を見直す必要
・昨年度の本庁における一人当たりの平均超過勤務時間数は2年連続で前年度より減少したものの、引き続き高い水準。人的資源が限られる中で、BPRの徹底や先端技術の活用といった都庁全体のDXの推進により、業務の効率化を積極的に進めていくことで長時間労働を是正することが不可欠
・長時間労働の是正に向けては、原因を分析し、その対策を講じていくことが肝要・都は、令和7年度の男性職員の1週間以上の育業取得目標を90%に上方修正。また育業等の欠員補充に活用している臨時的任用職員制度の対象職種等を拡大したところであり、この制度により職員の育児と仕事との両立等に更に寄与することを期待
・少子高齢化の進展に伴う要介護者の増加や、介護の担い手の確保は、日本社会全体が抱える課題。男女を問わず働く人が介護事情を抱えた際、介護に適切に対応しながら仕事を続けられる環境を整備することが重要

イ 職員の勤務環境の整備

・ハラスメントは、心身の健康を害して意欲低下を招く要因となり貴重な人材の損失と行政サービスの低下や都政の信用失墜にもつながりかねない。組織としてハラスメントを防止し、根絶する強い意志を持って取り組むことが必要・精神疾患を理由とする長期療養者数が増加傾向。メンタル面の不調は、誰でも抱え得る問題であることを前提に、引き続き支援が必要

 

(3)公務員としての規律の徹底・職員が求められる行動

・全ての職員が都民の信頼に応える高い倫理観と高潔な使命感の下、誠実かつ公正に職務に精励することを強く望む
・都ではDXの推進等を通じてサービスの質の向上を進めている。引き続き取組を強化し、職員が公共のために働くという責任と誇りをもって主体的にQOSを向上させる行動をとることを望む

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