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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2023年秋季年末闘争の決着にあたって

 

2023年11月16日
東京都労働組合連合会

 

 都労連は、10月6日に開催した第1回中央委員会で「2023年秋季年末闘争方針」を決定し、2023年賃金確定闘争を本格的に開始し、闘争方針に基づいて労使交渉を精力的に行うとともに、諸行動に取り組み、要求実現をめざし、組織の総力を挙げて闘ってきました。
 2023年賃金確定闘争は、例月給について、人材確保の観点から1級の初任層に重点を置きつつ、全級全号給の引上げ、一時金は0.10月勤勉手当での引上げとなりましたが、賃金抑制を強いられ続けている中高齢層職員にとっては到底納得できない各級の最高号給で0.2%程度の低率・低額の改定に加え、行(一)1・2級における昇給幅の是正などの不当勧告のもと、昨年から続く物価上昇分を踏まえた、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げ実現を目指す闘いとなりました。
 全単組の統一と団結の力で職場から闘いを展開し、組織の総力を挙げて、闘い抜いた2023年賃金確定闘争の経過と、その到達点である11月15日の都側最終回答を踏まえ、2023年の賃金確定交渉について、労使合意して妥結することとし、その批准を各単組に求め、2023年秋季年末闘争の決着を図ります。

 

[T]2023年賃金確定闘争の主な経過

 

(省略)

 

[U]都側最終回答と都労連の判断

 

1 都側の最終回答

 

人事委員会勧告の取扱いについて
○例月給
・勧告どおり給料表を全級全号給について引上げ改定
・行政職給料表(一)1級・2級の昇給幅を是正
・実施時期:2023年4月1日に遡及して実施

○特別給
・勧告どおり0.10月分引上げ(4.55月⇒4.65月)、勤勉手当に配分
※第4回都議会定例会で関係条例を議決後、できる限り速やかに支給


都側提案「勤勉手当の成績率の見直し」
○加算額(成績率の原資)について、以下のとおり見直し
・下位からの減額分6%⇒13%

○監督職層及び一般職層の職員を対象
※定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員を除く

○実施時期:2025年6月に支給する勤勉手当から適用


都側提案「フレックスタイム制の見直し」
○勤務時間の割振り後における職員からの変更申請の期限について、変更を希望する日の前日まで延長

○実施時期:2024年4月1日


業務職給料表の改定【都労連要求】
○行政職給料表(一)の改定内容を基本に、全級全号給について引上げ改定

○実施時期:勧告給料表の実施時期


給料の調整額の改定【都労連要求】
○給料表の改定率を踏まえて引上げ改定

○実施時期:勧告給料表の実施時期


帰住旅費の見直し【都労連要求】
○島しょ等赴任職員に係る帰住旅費の支給対象事由に、「任期付職員の任期が満了したことによる退職」を新たに追加

○実施時期:2024年3月31日以後に退職する職員から適用


旅費の支払におけるキャッシュレス対応【都労連要求】
○旅費の支払におけるクレジットカード等の利用について、自粛を求めない


主任級職選考の見直し【都労連要求】
○人事委員会とともに選考内容や受験資格等を見直すことに加え、今度の執行体制の変化を考慮しつつ、合格者数を適切に設定

○実施時期:2024年度選考から


課長代理級職昇任選考・統括課長代理認定選考【都労連要求】
○定年引上げの影響、更に高度化・複雑化する都政課題への対応等を踏まえつつ、昇任者数
・認定者数を適切に設定するとともに、引き続き、課長代理の専門区分や統括課長代理の政策区分を拡充

○実施時期:2023年度選考から


「勤務間インターバル」及び「連続勤務の禁止」の見直し【都労連要求】
○対象を、出先事業所を含む時差勤務が導入されている全ての職場に拡大

○勤務間インターバルの設定時間を変更
・「8時間から11時間(原則11時間)」⇒「9時間から11時間(原則11時間)」

○実施時期:2024年4月1日


育児時間の見直し【都労連要求】
○利用期間を「生児の出生日の1年6月後の前日の終わりまで」に拡大

○実施時期:2024年1月1日
※会計年度任用職員の育児時間についても、常勤職員に準じて見直し


災害休暇の見直し【都労連要求】
○取得要件に「職員及び当該職員と同一の世帯に属する者の生活に必要な水、食料等が著しく不足している場合で、当該職員以外にはそれらの確保を行うことができないとき」等を追加

○実施時期:2024年1月1日


夏季休暇の見直し【都労連要求】
○交替制勤務等職員の取得期間を拡大
・「7月1日から9月30日まで」⇒「6月1日から10月31日まで」

○実施時期:2024年4月1日


介護休暇の見直し【都労連要求】
○利用形態を中途変更することができる期間について、「連続する6月の期間内及び期間経過後における各承認期間につき1回」に見直し

○利用形態の中途変更について、「既に承認された期間を短縮する中途変更はできない」とする要件を撤廃

○実施時期:2024年1月1日


会計年度任用職員への勤勉手当の導入【都労連要求】
○支給対象・支給月数等
・基準日に在籍し、かつ、一会計年度において任用される期間が通算して6月以上の職員に支給・支給日、支給方法及び算定方法は、常勤職員の例による
・支給月数は、一般職員(定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員を除く)における勤勉手当の支給月数を適用(勧告後2.25月)

○成績率の段階
・標準:下位以外の者
・下位:前年度に業績評価の総合評価が最下位であった者のうち、局長が下位と認める者
※基準日時点で任用されている職と同一の職務内容と認められる職において、前年度に業績評価による評定がなされなかった者は、成績率対象外

○加算額(成績率の原資)
・勤勉手当3%及び下位からの減額分6%とし、全て標準に配分

○実施時期:2024年4月1日


会計年度任用職員への災害休暇の導入【都労連要求】
○災害休暇を導入

○実施時期:2024年1月1日
※休暇の内容は常勤職員の例による


会計年度任用職員の介護休暇の見直し【都労連要求】
○利用形態を中途変更することができる期間について、「連続する93日の期間内及び期間経過後における各承認期間につき1回」に見直し

○利用形態の中途変更について、「既に承認された期間を短縮する中途変更はできない」とする要件を撤廃

○実施時期:2024年1月1日


ハラスメント防止への意識醸成に関する取組【都労連要求】
○全職員を対象に、ハラスメントに関する法令、定義等の基礎知識及び具体的な事例等について取り扱う研修を定期的に実施

○ハラスメント防止月間において各職場でハラスメント事例について議論を実施

○ハラスメント防止啓発教材用DVDの充実

○実施時期:2024年度


ハラスメント防止等に係る標準職務遂行能力の見直し【都労連要求】
○部長・課長等の標準職務遂行能力にハラスメント防止や多様性の尊重に関する事項を明記

○実施時期:2024年4月1日


パワー・ハラスメントに関する取組【都労連要求】
○マネジメント力向上が必要な管理職を対象に、カウンセリング等を用いた研修を、サーバントリーダーシップ研修として位置付け、試行実施

○実施時期:2024年1月


カスタマー・ハラスメントに関する相談体制の整備【都労連要求】
○各局等が外部弁護士による助言等を受けられる体制を整備するとともに、職員が心身に影響を感じた場合、各相談室等を利用できることを改めて周知

○実施時期:2023年度


「東京都職員『ライフ・ワーク・バランス』推進プラン」関連【都労連要求】
○「東京都職員『ライフ・ワーク・バランス』推進プラン」の改訂に当たり、取組の進捗状況や今後の方向性について、今年度労使での意見交換を実施


ライフ・ワーク・バランス支援事業における「航路運賃特別割引」の見直し(東京都人材支援事業団実施)
○航路運賃特別割引における小笠原航路の割引額を増額

○実施時期:2024年4月1日


介護関係講座の見直し(東京都人材支援事業団実施)
○日曜日及び土曜日に開催している講座の一部を平日開催とし、職免による受講を可能に

○実施時期:2024年度

 

2 都労連の判断

 

 給与改定については、勧告どおりとなったものの、全級全号給の引上げ改定、一時金の支給月数増を判断させることができました。例月給については、特に中高齢層職員において、低率・低額の引上げ改定にとどまり、この間の物価上昇分にも満たず、到底納得ができるものではありません。一時金については、勤勉手当に配分したことにより、会計年度任用職員は引上げがなく極めて不満の残る結果です。
 都労連として、全ての職員の平均24,000円以上の賃金引上げ、一時金については2.7月分全額期末手当での支給を労使協議により実現できなかったことは忸怩たる思いと言わざるを得ません。
 都側が最後まで固執した勤勉手当の成績率見直し提案については、2回の修正を行わせ、実施時期を一年先延ばしとさせましたが、下位からの減額分の拡大を阻止することができず、厳しい結果と言わざるを得ません。今後は、成績率の運用・決定状況について注視し、労使で検証を行うよう求めていく必要があります。
 会計年度任用職員の一時金の取扱いについては、都側は成績率の導入だけを提案し、勤勉手当の支給に対して態度を明らかにしませんでしたが、労使交渉を尽くして解決を図るという原則的な都労連の交渉姿勢と、職場組合員が結集した大衆的な行動の力によって、支給対象は現行、期末手当が支給されている職員とし、支給月数については、一般職の勤勉手当の支給月数を適用させることができました。また、成績率の導入は阻止できなかったものの、段階は「標準」と「下位」の2区分とし、成績率の原資を全て標準に配分させたことは一定の成果と言えます。
 業務職給料表については、今勧告で全級全号給引上げとなっている行(一)給料表の改定状況と均衡を失することのないよう強く求めてきました。作成方針の改善は図れませんでしたが、1級職で7,900円から1,100円、2級職で3,900円から1,800円、3級職で2,800円から2,300円、4級職で2,700円から2,500円の引上げ改定となります。また、給料の調整額についても300円から200円の引上げ改定となります。
 今次確定闘争で実現できなかった、島しょ職員の賃金・処遇改善を求める切実な要求や定年年齢の引上げに伴う影響を踏まえ、55歳昇給抑制措置の廃止をはじめ、年齢別加算制度の改善、定年前再任用短時間勤務職員や暫定再任用職員の賃金水準改善、会計年度任用職員等の報酬額改定の実施時期の取扱いなど、2023賃金確定闘争の総括を行うとともに、都労連要求を再構築し、春闘期の取組や夏季一時金闘争、そして2024年賃金確定闘争で、要求の実現を勝ち取るため、単組とともに準備を進めることが必要です。
 総じて、一部要求が前進したものの、多くの要求については実現を図ることができず、厳しく不満の残る結果となりましたが、職場宣伝行動、総決起集会、対都要請行動などの大衆行動と統一1時間ストライキを背景に、あくまでも労使交渉による自主決着を図るため、粘り強く闘い抜いた都労連と各単組の闘いの到達点として、都側最終回答をもって妥結する判断を行い、各単組に批准を求め、2023年秋季年末闘争の決着を図ることとします。

 

団体交渉発言骨子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、人事委員会勧告の取扱いについて申し上げます。
 まず、勧告に示された給料表の引上げ改定については、令和5年4月1日から実施することといたします。
 特別給については、勧告の内容どおり、勤勉手当の年間支給月数を0.10月分引き上げて2.25月分とし、定年前再任用短時間勤務職員についても0.05月分引き上げて、1.10月分といたします。そのため、各期に支給する勤勉手当の月数は、6月期、12月期ともに1.125月分、定年前再任用短時間勤務職員についても、0.55月分とします。
 したがって、皆さんから要求のありました本年の年末一時金については、期末手当を1.20月、勤勉手当を1.175月、合計2.375月分を、定年前再任用短時間勤務職員については、期末手当を0.675月、勤勉手当を0.575月、合計1.25月分を支給いたします。
 その他、諸手当などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 以上の内容で、必要な議案を第4回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 なお、年末一時金の支給日は、12月8日といたしますが、今回の引上げに伴う増額分については、議決後、できる限り速やかに支給できるよう、手続きを進めてまいります。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 今期の交渉は、勧告の取扱いや勤勉手当の成績率の見直し、さらには会計年度任用職員に対する勤勉手当の取扱いなどを中心に、労使の考え方が鋭く対立する厳しい交渉となりました。
 職責・能力・業績に基づく処遇の徹底が不可欠とする私どもの姿勢に対し、現場の声を踏まえ見解を改めるよう、皆さんから再三強いご指摘もいただきました。
 しかし、皆さんには、解決困難な課題に対しても真摯に協議に応じていただき、労使双方が、これまで築きあげてきた信頼関係をもとに、労使協議により解決するという姿勢を最後まで貫くことで、この難局を乗り切ることができました。
 皆さんにも、大変重い決断をしていただいたと考えております。
 社会経済情勢や国際情勢が激変する中、都政を取り巻く状況も大きく変化し続けております。こうした中にあっても、日々都政を支えている職員の勤務条件については、都民の理解と納得が得られるよう、引き続き、皆さんと協議を尽くし、課題を解決してまいりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。

 

都労連

 ただいま、勧告の取扱いをはじめ、最終回答が示されました。
 今回の確定交渉も、勧告後、実質1カ月の短期間となる中で、労使が鋭く対立したのは、成績率制度見直し提案に最終局面まで固執する一方で、都労連要求に対しては否定的な回答を示し続けた都側の頑なな姿勢に起因したことは明らかだと申し上げます。
 最終回答は、3年を超える長期のコロナ禍を挟んで、公共サービス・公教育を後退させることなく、文字通り日夜懸命に職務に当たり、誇りと使命感をもって奮闘している職員の期待からすれば、極めて不満の残る内容と言わざるを得ません。しかし、都民生活に責任を持つ立場から、これ以上、対立を深めることは避けなければなりません。
 都労連としても、現下の厳しい情勢は認識しています。しかし、職員は、厳しい職場実態にあっても、日夜、都政を根底から支えています。職員が、意欲を持って、安心して働き続けることができる環境を整え、その処遇を確保して、改善を図るのは都側の責務だと申し上げます。今確定交渉で解決できなかった課題を含めて、多岐にわたる課題が山積しています。引き続き、労使交渉を尽くして解決することを求めておきます。
 その上で、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。
 私からは以上です。

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