組合員の闘いと粘り強い労使交渉によって決着
会計年度任用職員に勤勉手当支給
勤勉手当の成績率見直しは1年先延ばし
- 例月給は勧告どおりの引上げ改定を実施
- 特別給0・10月分の引上げは勤勉手当に配分
- 業務職給料表は行(一)の改定内容を基本に改定
- 帰住旅費の支給対象事由を新たに追加
- 育児時間の見直し(利用期間の拡大)
- 行(一)給料表1・2級のフラット化は実施
2023年賃金確定闘争は、大幅な物価上昇が続く中で、全職員の賃上げを目指す闘いとなりました。都労連は、労使交渉を尽くしての解決を追求してきましたが、交渉において、都側が勤勉手当の成績率改悪を提案するなどしたため、労使が激しく対立しました。都労連は、都側の不当な態度を糾弾し、最終提案で一定の要求が前進したことを踏まえ、労使合意による決着となりました。
都人勧は、引上げ率平均0・9%、行(一)1・2級を中心に賃金カーブがフラット化されており、各級の高位号給の職員では0・2%の改定にとどまりました。特別給は、勤勉手当0・10月の改定が勧告されました。都労連は全職員の平均24、000円以上の賃金引上げ、年末一時金の2・7月分の期末手当での支給を求めてきました。
10月16日の団交では、都労連と都側が労使交渉を尽くして課題の解決を図ることを確認しました。
都労連は、第2波総決起集会を開催し、不当勧告によることなく、都労連要求の実現を目指して全力で闘い抜く意思統一を図り、その後、ストライキ体制確立の準備を進めながら、ステッカー闘争、総決起集会・都庁包囲デモ、職場宣伝行動、任命権者・所属長要請行動などを実施してきました。
都労連は、10月27日の団交で、年末一時金要求書を提出し、11月15日までに回答するよう求めました。
しかし都側は、11月2日の交渉で、勤勉手当の成績率の見直し提案を示しました。都労連は、要求への検討結果を示さず、一方的な課題認識に基づき、見直しを提案した都側の態度に抗議し、提案を撤回することを求めました。その後も都側は自らの提案・主張を押し付ける態度を続け、都労連は要求の実現なしには労使合意によって課題の解決は図れないと主張しました。
11月10日の交渉で、都側は勤勉手当の成績率の修正案を提示しましたが、都労連は、引き続き撤回を求めました。
11月13日の交渉で都側は、勤務間インターバル及び連続勤務の禁止の見直しを提案しました。都労連は、見直し提案は要求の前進に繋がると受け止めましたが、成績率の見直しの修正案及び会計年度任用職員の勤勉手当の取扱いに改めて反対を表明し、不当提案の撤回を求めました。
11月14日には、単組書記長による労務担当部長要請を行いました。
回答指定日である11月15日には、各単組委員長による総務局長要請が実施され、都労連要求に基づいた全職員の大幅賃上げ、勤勉手当の成績率見直し修正案の撤回と会計年度任用職員の一時金の取扱いについて速やかに態度を明らかにすることなどを迫りました。
都労連は、第6波総決起集会と都庁包囲デモを実施し、11月16日のストライキを背景に、都側の不当な交渉姿勢を質し、都労連要求実現に向け、全力をあげる決意を示しました。
その後、副知事と都労連委員長の会談の打診があり、都労連は単組代表者会議に諮って会談に臨むことを確認し、都労連委員長と副知事の会談で最終回答が示されました。
今期闘争では、勤勉手当の成績率の見直し提案、会計年度任用職員の勤勉手当の取扱が大きな課題となりました。勤勉手当の成績率の見直しは、撤回を勝ち取れませんでしたが、減額分を圧縮させ、実施時期を1年先送りとさせました。会計年度任用職員の勤勉手当は、一般職員と同月の支給月数を勝ち取りました。
今回の妥結内容は、大幅賃上げの要求からすれば厳しい結果となりましたが、都労連要求の一定の前進を受け止め、ストライキ中止を決定し、都庁職も、都労連からの批准の求めを受けて、都庁職として年末一時金等について労使合意により妥結を判断しました。
都庁職は、都庁職3要求の実現等、労働条件の改善に向けて、支部・組合員とともに、要求実現の闘いを進めます。
主な到達点
■人事委員会勧告の取扱い
○例月給
◇勧告どおり給料表を全級全号給について引上げ改定
◇行(一)1級・2級の昇給幅を是正
◇2023年4月1日に遡及して実施
○特別給
◇勧告どおり0.10月分引上げ(4.55月→4.65月)、勤勉手当に配分
※第4回都議会定例会で関係条例を議決後、できる限り速やかに支給
■業務職給料表の改定
○行政職給料表(一)の改定内容を基本に、全級全号給について引上げ改定
○勧告給料表の実施時期に実施
■給料の調整額の改定
○給料表の改定率を踏まえて引上げ改定
○勧告給料表の実施時期に実施
■勤勉手当の成績率の見直し
○加算額(成績率の原資)の見直し
◇下位からの減額分6%→13%
○監督職層及び一般職層の職員を対象
※定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員を除く
○実施時期:2025年6月に支給する勤勉手当から適用
■フレックスタイム制の見直し
○勤務時間の割振り後における職員からの変更申請の期限について、変更を希望する日の前日まで延長
○実施時期:2024年4月1日
■都労連要求事項
○帰住旅費の見直し
◇島しょ等赴任職員に係る帰住旅費の支給対象事由に、「任期付職員の任期が満了したことによる退職」を新たに追加
◇2024年3月31日以後に退職する職員から適用
○旅費支払におけるキャッシュレス対応
◇旅費の支払におけるクレジットカード等の利用について、自粛を求めない
○主任級職選考の見直し
◇人事委員会とともに選考内容や受験資格等を見直すことに加え、今後の執行体制の変化を考慮しつつ、合格者数を適切に設定
◇実施時期:2024年度選考から
○課長代理級職昇任選考・統括課長代理認定選考
◇定年引上げの影響、更に高度化・複雑化する都政課題への対応等を踏まえつつ、昇任者数・認定者数を適切に設定するとともに、引き続き、課長代理の専門区分や統括課長代理の政策区分を拡充
◇実施時期:2023年度選考から
○「勤務間インターバル」及び「連続勤務の禁止」の見直し
◇対象を出先事業所を含む時差勤務が導入されている全ての職場に拡大
◇勤務間インターバルの設定時間を変更
◇実施時期:2024年4月1日
○育児時間の見直し
◇利用期間を「生児の出生日の1年6月後の前日の終わりまで」に拡大
◇実施時期:2024年1月1日
※会計年度任用職員の育児時間についても、常勤職員に準じて見直し
○災害休暇の見直し
◇取得要件に「職員及び当該職員と同一の世帯に属する者の生活に必要な水、食料等が著しく不足している場合で、当該職員以外にはそれらの確保を行うことができないとき」等を追加
◇実施時期:2024年1月1日
○夏季休暇の見直し
◇交替制勤務等職員の取得期間を拡大
◇「7月1日から9月30日まで」→「6月1日から10月31日まで」
◇実施時期:2024年4月1日
○介護休暇の見直し
◇利用形態を中途変更することができる期間について、「連続する6月の期間内及び期間経過後における各承認期間につき1回」に見直し
◇利用形態の中途変更について、「既に承認された期間を短縮する中途変更はできない」とする要件を撤廃
◇実施時期:2024年1月1日
○会計年度任用職員への勤勉手当の導入
◇支給対象・支給月数等
・基準日に在籍し、かつ、一会計年度において任用される期間が通算して6月以上の職員に支給
・支給日、支給方法及び算定方法は、常勤職員の例による
・支給月数は、一般職員(定年前再任用短時間勤務職員及び暫定再任用職員を除く)における勤勉手当の支給月数を適用(勧告後2.25月)
◇成績率の段階
・標準:下位以外の者
・下位:前年度に業績評価の総合評価が最下位であった者のうち、局長が下位と認めるもの
※基準日時点で任用されている職と同一の職務内容と認められる職において、前年度に業績評価による評定がなされなかった者は、成績率対象外
○加算額(成績率の原資)
◇勤勉手当3%及び下位からの減額分6%とし、全て標準に配分
◇実施時期:2024年4月1日
○会計年度任用職員への災害休暇の導入
○会計年度任用職員の介護休暇の見直し
○ハラスメント防止への意識醸成に関する取組
○ハラスメント防止等に係る標準職務遂行能力の見直し
○パワー・ハラスメントに関する取組
○カスタマー・ハラスメントに関する相談体制の整備
○「東京都職員『ライフ・ワーク・バランス』推進プラン」関連
■その他(東京都人材支援事業団実施)
○ライフ・ワーク・バランス支援事業における「航路運賃特別割引」の見直し
○介護関係講座の見直し
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