令和4年人事委員会勧告等の概要
2022年東京都人事委員会勧告に対する都庁職の見解と態度
令和4年10月12日
東京都人事委員会
1 ポイント
○給料表は4年ぶりに引上げ改定、特別給は3年ぶりに引上げ
例月給
・公民較差(828円、0.20%)解消のため、給料表を引上げ改定
・初任層の引上げに重点を置き、若年層について引上げ改定
特別給(賞与)
・年間支給月数を0.10月分(4.45月→4.55月)引上げ、勤勉手当に配分
2 職員と民間従業員の給与比較
(1)比較の方法
・企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内10,918事業所を調査母集団とし、そのうち1,233事業所を無作為抽出して調査(調査完了788事業所調査実人員54,777人)
〈例月給〉
職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較
〈特別給〉
民間従業員に対する直近1年間(昨年8月から本年7月まで)の賞与の支給実績を調査し、職員と比較
(2)比較の結果
3 給与の改定
(1)改定の考え方
・民間従業員の給与が職員の給与を上回っていることから、給料表を引上げ改定配分[給料689円、はね返り(地域手当など)139円]
・特別給についても、民間の支給割合が職員の年間支給月数を上回るため引上げ
(2)改定の内容
ア 給料表
イ 特別給
・民間の支給状況を踏まえ、年間支給月数を0.10月分引上げ(再任用職員は0.05月分引上げ)
・引上げは勤勉手当で実施
(3)実施時期
・給料表の改定は、令和4年4月に遡及して実施
・特別給の引上げは、令和4年12月支給の期末・勤勉手当から実施
4 今後の課題
(1)職務給の更なる進展等
・行政職給料表(一)1・2級の給与水準について、上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の視点から、課題の解決に向けた適切な対応を引き続き検討
(2)能力・業績を反映した給与制度の更なる進展
(3)新たな給与制度の在り方についての検討
・定年引上げ完成後、60歳前後での給与水準が連続的になるよう、新たな給与制度の在り方について研究・検討
・人事院における社会と公務の変化に応じた給与制度の整備の動向を注視し、必要に応じて対応を検討
5 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)
・複雑化・高度化した課題に対応し、質の高い行政サービスを提供し続けるためには、都庁が持ち得る多様な人材の能力を最大限発揮することが不可欠
・人材獲得競争が激化する中において、働きたい職場として、多くの志ある人材に「選ばれる都庁」へと進化していくことを期待
(1)多様な人材の確保・育成・活躍の推進
ア 人材確保・育成に向けた取組
・若年労働力人口の減少に伴い人材獲得競争は激化。公務部門全体で採用申込者数が減少しており、都としても危機感を持って取り組んでいくことが必要
・T類A採用試験については、T類B採用試験とは別の試験区分として実施する必要性を含め見直しが必要
・採用試験に適性検査を導入することで、多様な人材がより一層チャレンジしやすい試験となることが期待される。適性検査の有効性や、育成や研修など採用後の人事管理の在り方についても検証した上で、拡大について検討する必要
・主任級職選考については、若手や中堅職員の受験者のモチベーションを維持・向上させる観点から、任命権者とともに早期に見直し
・管理職選考については、受験率の低迷が長年の課題。昇任後における不安感や管理職の働き方に対する抵抗感を払拭し、受験の負担を軽減するための取組を推進するとともに、自らのキャリアデザインを描いていける環境の整備が必要
・性別を問わず、管理職の働き方が魅力あるものと感じることのできる職場が、健全な「選ばれる職場」であり、職員が都庁で昇任したいと思えるような勤務環境を作り上げなければならない
・「東京都デジタル人材確保・育成基本方針」に沿って、デジタル人材の確保・育成が進められ、能力が十分に発揮されることを期待
・人材育成や能力開発は、OJT・Off−JT両面から取り組むべき。国や民間など多様な主体との交流も活発化させ、外部の知識やスキルを積極的に取り込んで職員の知見を向上させることが大切
イ 誰もが活躍できる都庁の実現
・様々な個性や事情が配慮され、全ての職員に活躍できる環境が公平に提供される、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)が尊重された都庁を実現することが重要
・「障害者活躍推進計画」に定めた取組を着実に推進し、障害を有する職員にとって働きやすい職場づくりが必要。障害を有する職員を受け入れる組織に対しても、サポートする取組を強化していくべき
・高齢層職員については、リスキリングを実施していくことが重要。定年の引上げに伴い適用される勤務条件などについて、丁寧な情報提供を行い、60歳以後の働き方に関する意思について確認するなど、きめ細かな対応をされたい
(2)働き方改革と勤務環境の整備
ア ライフ・ワーク・バランスの推進
・不妊治療等に係る病気休暇及び介護休暇の見直しを図ったことについて、生活と仕事の両立に資するものとして評価。制度の周知を図り、利用しやすい職場環境を醸成していくことが重要
・テレワークの推進については、ライフ・ワーク・バランスのみならず、業務プロセス変革やデジタル化の推進を通じた行動変容、非常時における業務継続の観点からも重要。業務の性質や都民サービスの維持を考慮しつつ、常に運用の改善を図っていく必要
・職員の休暇・休業、手当等について、「東京都パートナーシップ宣誓制度」を利用する職員にも適用できるよう改正したことは、これまでの本委員会が述べてきた意見の趣旨に合致。制度の趣旨を踏まえた着実な運用を図ることが重要
・昨年度の本庁における一人当たりの平均超過勤務時間数は4年連続の増加。感染症対策の長期化を前提とした長時間労働の是正に係る対策を講じる必要
・職員一人ひとりが、性別等によるアンコンシャス・バイアスの存在を自覚した上で、意識を見直し、お互いを尊重し誰もが働きやすく能力が発揮できる職場風土を醸成していく意識を持ち続けていくことが肝要
・都は「育業」を育児休業の愛称として周知・活用。これらの取組を契機に、職員の育児休業等取得の気運を高め、全ての任命権者において、育児休業等を取得しやすい勤務環境の整備を一層推進すべき
イ 職員の勤務環境の整備
・ハラスメントの防止に関する基本方針の下、意識啓発や相談窓口などの体制整備を実施。こうした取組を積み重ね、ハラスメントが行われることのない勤務環境づくりに着実に取り組むことを望む
・長時間労働の面接指導やメンタルヘルス対策など職員の適切な健康管理が必要。都では、精神疾患を理由とする長期療養者数が増加傾向であり、ストレスチェックの活用など、特にセルフケア(職員自身の健康管理)が適切に実施できるよう、引き続き支援をしていく必要
(3)公務員としての規律の徹底
・全ての職員が高い倫理観と高潔な使命感の下、公共のために働くという責任と誇りを持ち誠実かつ公正に職務に精励することを強く望む
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