新執行部に結集し闘争に全力
都労連が第77回定期大会を開催
7月7日、都労連第77回定期大会が開催され、2022年度運動方針・予算などが決定しました。
都労連西川委員長は、大会冒頭に挨拶し、この大会で退任することを明らかにした上で、新たな役員体制の下、都労連運動が更に強固になるよう大会での活発な討論を期待するとしました。(西川委員長の挨拶詳細は末尾記載)
大会では、まず2021年度の活動経過報告と決算報告が行われ、全体の拍手でその内容が承認されました。
続いての運動方針の提案では、私たちを取りまく情勢の特徴として、ロシアのウクライナ侵略に触れ、平和を求める国際世論の力がプーチン大統領を止める鍵であることが強調されました。
国政においては、新自由主義とアベノミクスを焼き直した「新しい資本主義」が岸田政権の特徴であり、新自由主義とアベノミクスで痛めつけられてきた労働者・国民の生活を一切顧みない政権であることが浮き彫りにされました。
都政においては、小池知事が未来の東京戦略とシン・トセイのバージョンアップを繰り返し、都政の構造改革を加速していることを明らかにしました。都民本意の都政実現のために、これらの小池知事の方針を警戒心を持って注視していくことが重要であるとの分析がありました。
こうした情勢の下での闘争課題として、大幅賃上げと労働条件改善、会計年度任用職員と任期付職員の処遇改善、高齢期雇用制度の改善、労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランスの推進、福祉関連要求の実現、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策、男女平等推進、福利厚生の充実、労働基本権の確立等が掲げられました。
賃金水準の引上げについては、物価の上昇などにより、職員の生活は厳しくなる一方であり、賃上げや初任給の引上げ、地域手当の本給繰入れ、一時金・諸手当の改善、人事給与制度の改善などを実現し、全ての職員の生活改善に繋げていくことを求めています。
そのためには、都人事委員会に対する取組を強化し、行(一)1・2級の賃金水準引下げを阻止し、都職員の生計費と都内民間労働者の賃金水準を的確に反映した賃上げ勧告を実現させる闘いが重要であることが提起されました。
また、会計年度任用職員と任期付職員の処遇改善では、会計年度任用職員の賃金水準の引上げ、生活関連手当相当額の支給、雇用の安定などを実現していくことが提起されました。特に一時金については、期末・勤勉手当の配分について労使交渉で議論することを求め、常勤職員との均等待遇の実現による処遇改善を求めることが提起されました。任期付職員については、賃金水準改善、昇給措置実施、常勤職員への任用切替制度の創設などが提起されました。
高齢期雇用制度改善では、2023年度から導入される定年前再任用短時間勤務制度や暫定再任用制度なども念頭において、処遇改善が課題であることを指摘。また、定年年齢の引上げに関する諸制度の見直しについては、情報提供や意思確認について、正確かつ丁寧に行うことを求めています。
また、労働時間短縮では、8時間労働制を破壊し、長時間労働やワーク・ライフ・バランスの実現に逆行する「1年単位の変形労働時間制」の問題点を指摘し、公立学校への導入を阻止し、国への提案要求も撤回させるために闘っていくことが明記されています。
加えて運動方針案では、ワーク・ライフ・バランス推進、福祉関連要求実現、メンタルヘルスやハラスメント対策、労働基本権確立、岸田政権の暴走を止め日本国憲法、平和と民主主義、民主教育を守る闘い、労働法制改悪反対、脱原発、エネルギー政策の根本的転換をめざす闘いへの取組みが提起されました。
提案に対する質疑では、六単組の6名の代議員から発言がありました。
都庁職の鎌滝代議員は「夏季休暇の取得期間拡大、結婚休暇や長期勤続休暇等の延期を感謝する。今、無理なデジタル化が現場に負担を掛けている。業務に加えて電力ひっ迫対策、未来型オフィスなど職員への負担は増加の一途。超勤時間は本庁一人当たり350時間超。テレワーク等が負担になり働き方改革は職場を蝕んでいる。係制廃止で職員の育成ができない。現場で育成できる組織を確立すべきだ。都庁職は本部委員会を開催し、闘争方針を決定する予定で、諸課題に取り組む。都立病院が地方独法化された。コロナ禍で医療業務等を担っている組織がリストラの対象とされたことは遺憾だ。今後も都労連に結集して共に闘う」旨の発言を行いました。答弁後、運動方針と予算は全会一致で決定しました。
第3号議案として、都労連2022年度役員が提案され、全会一致で決定しました。都労連常駐役員としては、都庁職出身の和田執行委員長、同じく都庁職出身の西村副執行委員長、東交出身の毛利副執行委員長、全水道東水労出身の中川書記長、都高教出身の平井書記次長が新たに選任されました。
大会は、新旧役員の挨拶の後、和田新委員長の団結ガンバローで終了しました。
委員長あいさつ
コロナ禍は第7波の様相を見せている。引き続き感染防止に留意して大会を開催していきたい。
ロシアによるウクライナへの侵略から4か月が経過した。これ以上犠牲者を出さないためにも、一刻も早く停戦をすべきだ。ウクライナへの武器支援は、火に油を注ぐもので、第二、第三の紛争を引き起こす火種にもなりかねない。
岸田政権はアメリカの言いなりで軍事物資の支援などで戦争の長期化に加担している。危機に乗じ、敵基地の攻撃や防衛費の増大など、国民生活を犠牲にしてまで軍備増強や憲法改悪に踏み込もうとしている。中国などへの敵視政策を止め、近隣諸国と平和的関係を築いていく事が、真に国益に適うことだ。
戦争による資源、食料の高騰は深刻さを増しており、市民が各国の政権を揺さぶっている。
日本でも原油高騰や物価上昇で、国民生活に深刻な影響が出ている。非正規労働者や生活保護受給者、年金生活者など経済的弱者の生活を直撃している。中小零細企業、個人事業者も苦慮している。一方、急激な円安が大企業を中心に莫大な利益をもたらし、株式や土地などの資産価格の上昇が富裕層を潤している。
この不条理な状況で国民生活の危機をいかに打開していくのかに、政治が果たすべき責任が問われているが、岸田政権にこうした国民の怒りは届いていない。いわゆる骨太の方針が閣議決定された。当初、賃上げを重要課題として、所得倍増、分配重視などを唱えていたが、すっかり消え失せ、貯蓄から投資と詐欺まがいの手口で国民の資産を吐き出させようとしている。こうした経済政策は、アベノミクスそのもので、安倍政治の継承である。
金融所得課税の強化や企業の内部留保への課税を含めて、大企業などに負担を求めることができない自民党政治の下では誰が総理になっても、労働者・国民の生活は苦しい状況に追い込まれる。
参議院選挙が終盤を迎えている。物価上昇への対策など、国民の命とくらしを守る政治への転換をしなければならない。憲法改悪、戦争への道にひた走る与党や維新などの勢力拡大を断固阻止しなければならない。
都政は、コロナ禍で、都民の命と暮らしを守る課題に直面している。これまで積み重ねた知見と経験を活かし、実効ある対策が求められる。医療体制の拡充は都立病院の地方独法化などで出来ていない。危機管理体制強化を言うが、ワクチン接種促進などの必要な経費で、医療ひっ迫に対応するための対策は不十分。
地震や水害から都民の命を守ることも重要な課題だ。首都直下型地震の被害想定が公表されたが、巨大地震に対する備えは不十分だ。危機に対する医療体制の脆弱さと困窮する都民への扶助の不足という公助の不備を総括し、教訓としていかなければならない。
都政の構造改革も、注視・警戒をしなければならない。業務の進め方は、迅速さを求めるあまり、現場事情を踏まえない業務の一方的な否定につながっている。重要な労働条件の一つとして、単組と連携し取組んでいく。
2年を超えるコロナ禍で、都民の命と暮らしを守り支えるために今も奮闘している職員の存在があってこそ、都政は支えられていることを都側は忘れてはならない。職員が正当に評価され、意欲をもって働き続けられるよう賃金・労働条件、勤務環境を改善する事が都側に課された責任だ。
今年も、賃金引き上げを始めとする諸要求の実現を目指していく。これから迎える勧告期、闘争期に向け、労使交渉を中心に取組みを進める。
昨年に労使決着をみた定年年齢の段階的引き上げは条例が成立した。速やかな職員への周知や情報提供を、当局の責任でしっかりと実施させなければならない。今後、65歳定年制に向けて給与カーブの更なるフラット化などの給与抑制攻撃が想定される。それと対置して、やりがいや意欲を失わないための適正な給与水準、昇給制度を始めとして給与制度がどうあるべきなか、要求を再構築して新たな闘いに臨む。
今季闘争では、事実上6年連続の賃金抑制の流れを断ち切って行かなければならない。民間の状況は、春闘結果では賃上げは概ね2%台だが、物価上昇もあって、実質賃金は下がり続けている。都職員も実質的には賃下げだ。職員の生活実感、コロナ禍での奮闘に見合った賃金引上げ要求を掲げて、今年こそ賃上げ実現を目指し闘う。
会計年度任用職員の一時金支給に係る不合理の解消や、処遇改善も重要な課題だ。さらに、人事制度改善、福祉関連、職場環境改善、労働時間短縮など、解決が求められている課題と要求は多岐に渡っている。
感染拡大が懸念されるが、都労連の歴史と伝統である労使交渉を中心として、組合員結集の大衆行動の力で対峙をしていく。団結と連帯の力で要求実現のために全力を尽くしていく決意だ。
私と掛川副委員長が退任するため、この大会は新たな役員体制を確立する大会でもある。役員選任案には、是非、代議員の満場一致でご承認頂けるよう皆さんにお願いする。
新たな体制の下、都労連の運動が更に強固になるようこれまで以上のご支援・ご協力をお願い申し上げ、活発な討論を期待し、挨拶とさせて頂く。
|