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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
職場実態を踏まえて特勤手当を改善しろ

 

都民の命を守る行政的医療

 都立病院は、総合病院5施設、神経難病の専門病院1施設、小児病院1施設、精神科病院1施設があり、高水準で専門性の高い行政的医療を適正に都民に提供し、地域医療機関等と連携し、良質な医療サービスの確保を図ることを基本的役割としています。
 都立病院が担う行政的医療は、災害医療や感染症医療など法令等に基づき対応が求められる医療、救急医療や周産期医療、精神科身体合併症医療など社会的要請から特に対策を講じなければならない医療、小児がん医療など新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療です。
 新型コロナウイルスの感染爆発で、都内でも多くの感染者が入院できない状況となる中、公立病院して多くの感染者を受け入れ、治療を行い、都民の命を守ってきました。
 都立病院は、24時間365日医療を提供していますが、業務では取扱いに注意が必要な薬剤や機器を使用することがあります。また、24時間の医療体制を維持する勤務自体が心身に大きな負担になっています。

 

病院支部の要求

 医療従事者には、業務に伴う健康被害のリスクがあります。なかでもリスクとしてあげられるのは、夜勤と抗がん剤の使用です。
 夜勤は睡眠障害、狭心症や心筋梗塞等の循環器疾患、肥満や糖尿病等の代謝障害、消化器障害等に罹患するリスクを高めます。体内時計と睡眠時間帯にズレが生じ、がんを含めた心身の異常の原因となります。国際がん研究機関がグループ2a「ヒトに対する発がん性がおそらくある」に認定しており、リスクレベルは除草剤と同じです。
 月3回以上の夜勤に1〜29年間従事した看護師は、日中勤務だけの看護師と比較し乳がんの発症リスクが1・08倍ですが、30年以上従事した看護師のリスクは1・36倍で、期間が長いほど乳がんの発症リスクが高くなる傾向があります。デンマークでは、夜勤に30年以上従事した看護師が乳がんに罹患した場合は労災認定されています。
 抗がん剤は、患者さんには薬ですが、そうでない人には毒です。発がん性や催奇性など有害性があることが報告されています。日本看護協会も、抗がん剤を取り扱う医療スタッフの染色体異常、流産発生率の増加を指摘しています。曝露は薬剤の調剤、運搬や投与、患者の排泄物や汚染リネンの取り扱い、こぼれた薬剤の処置などで起こります。薬剤師だけでなく看護師もこの過程に関わっており、多くは女性であるため、妊娠・出産に影響する可能性があります。通院治療センターの看護師は、1日中抗がん剤を扱う業務に携わっており、健康被害は甚大です。
 特殊勤務手当とは「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を給料で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員に、その勤務の特殊性に応じて支給されるものである」と定められています。
 支部は、法律の附帯決議で定めている一定の回数の上限を超えた夜勤での業務に対する特勤手当の新設、交代制勤務者等に対する特勤手当の増額、都立病院等で抗がん剤を取扱う調剤業務や治療業務の特勤手当の対象への追加を求めています。

 

衛生局支部の要求

 衛生局支部の組合員は都民の命と生活を最前線で守っています。
 私達は、極めて危険な業務、極度に高ストレスな業務、高度な技術と熟練を必要とする業務など、一般の業務と著しく異なる業務に従事しています。そして緊急の事態が発生すると、その特殊性は更に高まります。
 職場の組合員は業務がどんなに危険であっても、どんなに高ストレスでも業務を放棄することなく持続させています。なぜなら私達は都職員であり、都民を守ろうとする使命感があるからです。
 この間の新型コロナウイルス感染症の蔓延時も、24時間365日、自分たちも感染するリスクを背負いながらフル防護具を着用し業務に従事しました。このように、身体的にも精神的にも相当なストレスがかかる業務です。
 特殊勤務手当は、危険で困難性の高い業務に対して支給されるものです。私達の従事している業務に対して特勤手当が支給されていることは、多くの都民の理解を得られていると考えます。
 支部は、小児の患者に対して麻酔ガスによる麻酔を行う業務に対する手当の新設、看護専任教員が行う教育活動に対する手当の復活、抗がん剤を取扱う業務の特勤手当の対象への追加等を求めています。
 小児患者に対する麻酔ガスの業務は、麻酔ガスを使用中に小児患者が暴れ、麻酔に使用するマスクが外れることにより、看護師が麻酔ガスを大量に吸引してしまい体調を崩す事例が多発しています。看護専門学校で看護専任教員が行う教育活動ではWebによる授業の準備など新たな業務も増えています。抗がん剤の調剤や抗がん剤治療の業務は、使用する抗がん剤の発がん性リスクが高く、防護具の着用や安全キャビネットを導入し、取扱いに十分配慮しているものの、被ばくリスクは無くならない危険な業務です。
 衛生局支部は東京都に対して、業務の危険性と困難性について実態を適正に認識し、特殊勤務手当の支給対象とすることを求め続けていきます。そのことが、支部組合員の労働環境を守ることであり、労使の信頼関係が都民の命と生活を守ることに直結すると考えています。

 

中央市場支部の要求

 中央市場支部は東京都の11市場で働く組合員の組織です。各市場には特徴があり、鮮魚や花き、食肉等独立した市場運営を行い、東京都の台所として安全、安心な食品を届けることを第一として日々努力しています。
 支部の職場では、予算、設備、人員の全てが足りてなく、超過勤務が恒常化し、病気休職者も増えています。2020年6月施行の市場法改正により業務運営が困難な状況下で職員は働いています。
 支部では、昨年1月に組合員に対して人事異動に関する異動希望調査を実施し、育児・介護の事情を抱えた職員への人事異動への配慮を申し入れ、当局に対して人事異動の基本方針、個別・具体的な問題点について説明を求めてきました。具体的には、新規採用職員の育成方針、長期在職者の異動、通勤時間、病気休暇、休職中の職員への配慮、欠過員状況、過員(実員)配置方針、欠員職場への対応などです。
 中央卸売市場は、現業職場が多く存在しており、公務災害の発生率が都庁でも高い職場です。特に食肉市場では数多くの公務災害が発生しています。安全と健康を確保するとともに快適な職場環境の確立は支部の大きな課題です。
 市場では、50名以上の事業所(豊洲市場・食肉市場・大田市場)と中央卸売市場に安全衛生委員会を設置しています。労働安全衛生法に基づき、支部から委員の半数を推薦し、労働災害及び健康障害等を防止し、超勤縮減の取組など、職員の安全と健康を確保するために取り組んでいます。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で安全衛生委員会等の開催が困難な状況であったため、今後の状況を踏まえて開催方法を考える必要があります。
 当局に対して2020年10月に2021年度勤務条件・職場改善要求を提出しました。要求は、事業部施設課、食肉、大田、淀橋、板橋、多摩ニュータウン、10職場(市場)から集約し、現役職員66名、会計年度任用職員5名、非常勤職員3名の人員要求をはじめ、各市場の切実な職場環境改善を求めています。支部は、職場からの人員要求に応えられない当局に抗議するとともに、欠員補充を強く要請し、職場環境改善の取組も働きかけました。
 中央卸売市場の36協定職場は食肉市場だけですが、超勤縮減のために定数増員を含めて要請を続けます。

 

将来を担う職員のためにも
中央市場の特勤手当改善を

 特勤手当対象職場の食肉市場は、市場にと場を併設しており、職員定数293名、約6万4千u(東京ドーム1・4倍)で、取引・と畜は全国最大規模です。
 令和2年7月に出された「食品の製造過程の管理の高度化に関する基本方針」の中で示されたHACCP(危害要因分析・重要管理点)は有効性が認識されて、義務化が国際的にも進んでおり、国においても、食品衛生法等の一部を改正する法律により、HACCPに沿った衛生管理が制度化されました。この導入にあたり、職員の業務量は格段に増加しました。
 特殊勤務手当に関する支部要求調査では、事故・怪我のリスク、劣悪な作業環境、人畜共通伝染病リスク、施設の老朽化と様々な不安要素があります。
 作業課獣医は、糞、尿、塵誇の中での検査、腐敗が進んだ患畜の検案等不快・危険な業務です。作業課生体受付は、人畜共通伝染病や動物の大型化による怪我のリスクがあり危険性が増えています。
 作業1課、2課と畜解体業務は、HACCP導入に伴う作業の煩雑さや作業量の増大、衛生対策のため熱湯消毒義務化により、と室内は高温多湿であり熱中症の職員が毎年発生しています。作業1課は、近年増え続ける大動物(牛)の大型化による作業の困難性、怪我、公務災害による休暇数の増大や、看護・介護休暇の増加に対して必要な定数増員を要求していきます。作業2課は、小動物(豚)の生体集荷が不安定で8年前から少しずつ増加傾向にありますが、職場環境が劣悪で職員は疲弊しており、安全で衛生的な職場を実現していく上で課題は山積みです。以前、と畜解体作業中に心不全の職員が出た事もあり、AEDをすぐに使えるように3分以内で作動できる場所に設置するよう求めています。
 水処理業務は、汚水を浄化するために硫化水素が発生する中での業務で、不快・劣悪な職場での仕事です。
 設備課は施設の老朽化、HACCPによる作業工程の困難性による業務量増大に疲弊しています。
 食肉処理業務に対しては差別や偏見があり、社会生活に不自由をきたすことが現実に起こっています。同和問題は、と畜解体に従事している人をはじめ食肉市場で働く全ての人に関わっています。この問題も注視しなければいけません。
 今回の特勤手当見直しに当たり、昨年12月に食肉市場において都庁職と当局がそれぞれ現場調査を行いました。現場調査では、と室内を見ていただき、作業職場の実態について職員が説明し、終了後に意見交換を実施しました。今後の交渉で現場職員の声を伝え、実情を訴えていきます。
 後に続く職員のためにも、と畜解体作業業務手当の改悪を許さないために、中央市場支部は支部一丸で取り組んでいきます。

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