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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2年連続の期末手当引下げ

 

事実上6年連続で給料表の改定なし
労使交渉事項の定年引上げ後の給与水準に言及

 

東京都人事委員会が10月15日に勧告等を行う

都庁職学習会で挨拶する斉藤執行委員長
 東京都人事委員会は、10月15日に都議会議長及び都知事に対し「職員の給与に関する報告(意見)」を行い、「職員の給与に関する勧告」をするとともに、「人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)」を行い、「定年の引上げに関する意見」を申し出ました。
 職員の給与については、職員の賃金が民間労働者を上回っているが、較差はかなり小さく、おおむね均衡している状況であり、給料表や諸手当に適切な配分を行うことは困難であるとして、事実上6年連続で給料表の改定を見送りました。昨年の公民較差は下回りましたが、2年連続でのマイナス較差となっています。また、定年前と同様の業務を担っていながら低い水準に抑制され続けている再任用職員の給与の改善も行われませんでした。
 特別給については、民間の支給割合が職員の支給月数を0・10月下回っているとし、年間支給月数を0・10月分引下げ、4・45月とする勧告を行いました。引下げの全てを期末手当で行うとしています。期末手当の削減が実施されれば、都職員の勤勉手当の割合は45・1%から46・1%へ増加することになります。また、再任用職員の支給月数は0・05月分引下げ、2・35月とし、一般職員と同様に引下げの全てを期末手当で行うとしています。さらに、勧告のとおりに職員の期末手当の引下げが行われれば、一時金の支給額そのものが少ない会計年度任用職員の処遇にも甚大な悪影響を及ぼします。
 定年の引上げについては、定年年齢を65歳とし、2年に1歳ずつ段階的に引上げることを求めつつ、定年年齢の引上げ後の60歳を超える職員の賃金水準は、定年前の7割水準とすることが妥当であるとの意見を申し出ています。これは、人事院の意見の申出をそのまま東京都に押し付けるものであり、容認できません。
 この間、都職員は2020東京大会関連業務や感染症対策などで必死に奮闘してきましたが、事実上、給料が据え置かれてきたことで、都職員の実質賃金は下がり続けており、処遇は悪化してきました。
 組合員の生活を、さらに悪化させることに繋がる今年の不当な勧告は許すことはできません。また、定年年齢引上げ後の賃金水準の引下げを求める意見は、都労連と都側が積み重ねてきた労使交渉に介入するものであり、断じて認めることはできません。
 都庁職は、都労連及び他の加盟単組とともに、3月そして8月に、都人事委員会に対して勧告作業に関する要請を行ってきました。また、都労連の「2021年東京都人事委員会勧告に関する要請署名」を様々な職場から集約し、東京2020大会関連業務や新型コロナウイルス対策などで奮闘してきた職員の処遇と生活改善を行うよう求めてきました。
 都人事委員会の勧告等は、第三者機関としての役割と責任を放棄し、能力・業績主義強化を進める東京都と一体となって、職責・能力・業績の賃金への更なる反映を追求するとともに、都職員全体の賃金を抑制していく立場を更に強める内容と言わざるを得ません。
 都庁職は、都人事委員会の不当な勧告・報告と意見の申出の押し付けを許さず、労使交渉と職場からの闘争の力で都労連要求を実現し、組合員の賃金・労働条件の改善を勝ち取るため、全ての職場からの闘いを展開し、組織の総力を挙げ奮闘していきます。

 

2021年勧告の解説と問題点

 

 今年の勧告は、全国で最も高い東京都の民間賃金事情を反映せず、東京2020大会や感染症対策に奮闘してきた都職員の努力と期待を無視する不当な勧告である。

 

例月給

東京の民間賃金水準を
精確に反映しない公民較差

 東京都人事委員会は、公民較差は△103円、△0・03%であり、公民の給与はおおむね均衡しているとして給料表の改定を見送った。給料表の改定見送りは実質的に6年連続となった。
 都人事委員会は、都職員と都内民間労働者の給与比較は単純な平均値による比較ではなく、職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較したと説明するが、そのデータは公表しておらず比較結果が示されるだけで、他の調査との乖離の明確な説明をしていない。現在の比較方式では、民間賃金水準を都職員の給与に精確に反映することはできない。
 また、給料表の改定がないため、都の初任給が国家公務員や民間労働者の初任給を大幅に下回わる点は改善されず、V類(高卒)の初任給は、基本給を時給に換算すると東京都の最低賃金を下回ることになる。

 

特別給

 一時金は、都内民間企業の支給割合が都職員の支給月数を0・10月分下回っているとして、都職員の年間支給月数4・55月から0・10月分(再任用職員0・05月分)引下げて4・45月(再任用職員2・35月)とし、引下げを全て期末手当で実施すると勧告した。
 一時金の引下げが期末手当のみとなると、期末手当だけが支給されている会計年度任用職員は、昨年の例で考慮すると、一般職員や再任用職員と比べて、著しく大きな削減率となる。

 

定年年齢の引上げ等

 60歳を超える職員の処遇については、すでに都労連と当局で労使交渉を行っている事項にも関わらず、具体的に定年引上げ後の60歳を超える職員の給料月額は60歳前の70%の額が適当とする賃金抑制に踏み込んだ勧告を行った。
 業務内容や勤務時間もそのままに、年齢のみを理由にした賃下げは、同一労働同一賃金の原則にも反し、当局の主張する能力業績主義から見ても矛盾がある。
 そもそも高齢期雇用の給与水準は60歳から支給が開始される年金との併給が前提で考えられていたが、現在、無年金になってしまったにも関わらず、再任用職員給与の金額はそのままになっている。現在の再任用職員の処遇を改善せずこれを基準に、新たに導入するとしている暫定再任用職員の給与を設定することは、高齢期職員の厳しい生活実態を無視したものである。

 

人事制度及び
勤務環境の整備など

行政職給料表(一)1級・2級の賃金抑制に固執

 今後の課題として、行政職給料表(一)1級・2級について、上位級よりも昇給幅が大きい号給があるとして、上位級とのバランスを考慮した視点から、課題の解決に向けた適切な対応について検討を進めるとし、現場を支えるベテラン層の給与抑制、昇給幅のフラット化に執着している。
 さらに定年年齢の引上げに伴い、60歳前後の給与水準が連続的になるよう給与制度を設計する必要があるとしているため、給料表の改定が不可避となる。この給与水準の連続化は、すべての職員に大きな影響を及ぼす課題となるが、行(一)1級・2級のベテラン層にとっては特に重要な課題となる。
 能力・業績を反映した給与制度についても、これまで同様、更なる進展を標榜している。民間企業では20年近く前から成果主義に対する反省、見直しの動きがみられたが、都におけるこれまでの成果の検証や反省は見られない。
 人事制度については「一層の構造改革を進めるため、有為な人材を確保し計画的に育成する」としている。しかし、キャリア採用や有期雇用職員の活用、人材の流動化とは、組織内での人材育成の放棄である。採用の面接をWEBで行うとしているが、給与や福利厚生、勤務環境などを改善し、都庁が魅力ある職場とならなければ、優秀な人材確保ができないのは当然である。しかし、人材の確保活用等に言及しているが、処遇改善には冷淡である。
 働き方改革、勤務環境整備についても、依然としてテレワークの推進、デジタル化による効率化と職員の意識改革が中心であり、長時間労働の根本的な原因と解決策からは目を背けている。「ライフ・ワーク・バランス」というのであれば、「ワーク」の質と量に切り込み、職員が「本当のライフ」を取り戻すことが出来る提言が必要である。ハラスメント対策、メンタルヘルスなどにも一通り触れているものの、その解決策に具体性や効果は乏しい。

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