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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2020年秋季年末闘争
コロナ禍の中で越年した闘いの決着にあたって

 

2021年1月15日
東京都労働組合連合会

 

 都労連は、11月13日に年末一時金要求の実現を中心とした闘いの決着を図った後、闘争体制を整えて闘いを継続し、12月18日の不当な人事委員会の例月給報告を経て、12月21日の団体交渉から、引き続き協議となった都労連要求と、報告の取扱いをめぐる賃金確定交渉を再開しました。
 年内の交渉については、感染防止対策を行った対面による専門委員会交渉や小委員会交渉を行うことができましたが、年末から年始へと日を追う毎に新型コロナウイルスの感染が拡大し、1日の感染者数が最多人数を更新し続け、1都3県への緊急事態宣言の再発出という事態の中で、1月の交渉については、専門委員会交渉を実施せず、対面しないリモート形式の小委員会交渉に一元化する形になりました。大衆的な行動についても、感染防止の観点から予定を変更せざるを得なくなり、第4波総決起集会と都庁包囲デモについては中止・見送りを判断するなど、大衆行動と労使交渉という都労連闘争の両輪がフルに稼働できないという困難な2020年賃金確定闘争の後半戦となりました。
 そのような厳しい状況の中、都労連と各単組は、可能な限りの行動を展開し、労使交渉を尽くす立場を堅持して交渉に臨み、都側に対して、平均21,000円以上の賃上げをはじめとする都労連要求の実現を求め、回答指定日の1月14日まで全力で闘い抜いてきました。
 コロナ禍の中で越年した闘いの経過とその到達点である都側最終回答をもって、2020年賃金確定交渉について労使合意を図り妥結することとし、各単組の批准を求めます。

 

[T]2020年賃金確定闘争、都労連要求の実現を求め越年した闘いの主な経過

 

(略)

 

[U]都側最終回答と都労連の判断

 

1 都側最終回答

 

(1)例月給の取扱いについて

○例月給について、人事委員会報告どおり改定を見送り

(2)退職手当制度の見直しについて

○退職手当について、基本額の算定に係る特例を導入
○対象:年度末年齢が56歳以降の在職期間中に希望降任等の理由で給料月額が減額され、かつ、当該減額前の給料月額のうち最も多いもの(ピーク時給料月額)が退職の日における給料月額よりも多い職員
○算定方法: 次に掲げる額の合計額
・ピーク時給料月額に、ピーク時までの勤続期間に対応する支給率を乗じて得た額
・退職の日における給料月額に、退職の日までの勤続期間に対応する支給率からピーク時までの勤続期間に対応する支給率を控除した割合を乗じて得た額
○実施時期:2021年3月31日以降の退職者に適用

(3)都側提案「勤務時間制度の見直し」について

○出先事業所における勤務時間制度について見直し
・「本庁職場のうち、時差勤務を導入している職場の全職員」を対象としている正規の勤務時間の割振り(午前7時始業から午前11時始業までの時間帯(9本))及び休憩時間(午前11時30分から午後0時30分まで、正午から午後1時まで、午後0時30分から午後1時30分まで及び午後1時から午後2時までの時間帯(4本))について、出先事業所に対象を拡大
・「本庁職場のうち、時差勤務を導入している職場の全職員」を対象としているフレックスタイム制について、出先事業所を含む「時差勤務を導入している職場の全職員」に対象を拡大
・なお、正規の勤務時間の割振り等については、公務の運営に支障がない範囲で所属長が割り振る
○実施時期:2021年4月1日

(4)都労連諸要求について

@夏季休暇の取得期間の拡大

○夏季休暇の取得期間について拡大
・「7月1日から9月30日まで」→「5月1日から11月30日まで」
・2021年7月1日から2021年9月30日までの間に取得可能である職員に適用
○実施期間:2021年度に限る

A会計年度任用職員の母子保健健診休暇等の見直し

○母子保健健診休暇及び妊婦通勤時間の報酬の取扱いについて見直し
・「無給」→「有給」
○実施時期:2021年4月1日

B会計年度任用職員の妊産婦休養の見直し

○妊産婦休養の報酬の取扱いについて見直し
・「無給」→「有給」
・医師等の指導により勤務時間短縮の必要があるとされた場合の妊産婦休養については、他の規定により勤務しないことを承認している時間との合計が一日に4時間を超えないものに限る
○実施時期:2021年4月1日

C会計年度任用職員(アシスタント職)の報酬区分の新設

○常勤職員が育児休業等により欠員となった場合に対応するため、会計年度任用職員(アシスタント職)の新たな報酬区分の設定について、本年度各局等に周知

D「ハラスメント防止連絡会議」の新設

○セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントについて、来年度「ハラスメント防止連絡会議」を新設

Eハラスメント関連

○セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントについて、来年度職員アンケートを実施

F「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」関連

○「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」の改訂について、本年度労使での意見交換を実施

(5)夏季一時金交渉の取扱い

○2021年度の夏季一時金交渉については、小委員会交渉で実施

 

2 闘いの到達点

 

(1)例月給の取扱い、業務職給料表について

 人事委員会の不当な据置報告によらず、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げ要求を掲げ、労使交渉での実現を迫りましたが、報告内容を尊重するという都側の姿勢を押し返し、勧告制度の壁を打ち破ることはできず、事実上5年連続の給料表改定なし・据置となりました。国家公務員を下回っている初任給についても改善がなく、格差が解消されませんでした。
 業務職給料表の作成方針を見直し、現業職員の賃金水準を引き上げることを求めていましたが、行(一)給料表が改定されなかったことに伴い、業務職給料表についても改定なし・据置となり、初任給の改善も図ることができませんでした。

(2)退職手当制度の見直しについて

 都労連は、退職手当の基本額及び調整額のあり方について検討し、退職手当の支給水準を引き上げることを要求していましたが、都側の提案は、昇給抑制措置の対象となっている56歳以降の職員が、介護や本人の健康上の理由などにより希望降任した場合、ピーク時特例を行って退職手当の基本額の減少を緩和するものです。困難な事情を抱えている職員の退職手当の支給水準の確保につながるものであり、要求の前進です。この特例措置は、国の制度とは異なり対象者を限定したもので、今後の課題となる定年年齢の引上げに伴う60歳を超えた職員の賃金水準の引下げに連動しないよう注意する必要があります。

(3)都側提案「勤務時間制度の見直し」について

 当初提案どおりの決着となりましたが、解明要求への回答を求めた交渉の中で、勤務時間等については、各任命や各局・職場における労使交渉で、職場の実情に応じて決めるのが原則であることや、職員の意向を無視した割り振りはありえないことを確認しました。今回の見直しは、あくまでも制度の大枠を決めるものであり、出先事業所において必ず導入しなければならないというものではありません。単組と任命権者による労使交渉、各局・職場段階での労使交渉により、当局に一方的な見直しを行わせず、労使合意により職場の実態にあった勤務時間制度とすることが必要です。

(4)都労連諸要求について

@夏季休暇の取得期間の拡大(労使合意済)

 今年度に引き続き、夏季休暇の取得期間を拡大することが実現しました。取得期間の拡大を単年度限りとせず、恒常的なものとするよう求めた都労連要求からすれば不満は残りますが、早い時期の拡大措置の決定により、計画的に連続して完全取得するための条件整備を行うことができました。来年度の夏季一時金交渉期に、引き続き日数増と取得期間拡大の制度改正を求める足がかりとします。

A会計年度任用職員の母子保健健診休暇等の見直し

B会計年度任用職員の妊産婦休養の見直し

 会計年度任用職員の常勤職員との均等待遇を求める都労連要求の中でも、重要な要求として都側に求めていた無給の特別休暇等の有給化について、母子保健健診休暇、妊婦通勤時間、妊産婦休養について実現することができました。特別休暇等の一部ではあっても貴重な前進です。引き続き、傷病欠勤の病気休暇への改善などを求め、均等待遇を実現する取組を強化する必要があります。

C会計年度任用職員(アシスタント職)の報酬区分の新設

 常勤職員の育児休業や産休の取得に伴う欠員補充措置として任用する会計年度任用職員(アシスタント職)に適用する新たな区分を新設することにより、時間単価を1,500円以上に引き上げることを求めた都労連要求が実現し、時給1,570円となる職の設置を可能とすることができました。具体的な職の設置は、各局事項となりますので、今後は単組と任命権者や局段階の労使交渉で、確実に新たな報酬区分の職を設置させることが必要です。

D「ハラスメント防止連絡会議」の新設

 現行の「セクシュアル・ハラスメント防止連絡会議」を包括的な「ハラスメント防止会議」とすることを求めた都労連要求が実現しました。セクシュアル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、パワー・ハラスメントが対象となっていますが、SIGIハラスメントも含めたあらゆるハラスメントを許さない職場づくりに対応できる「ハラスメント防止会議」へと改善することを追求する必要があります。

Eハラスメント関連

 新たな「ハラスメント防止会議」に対応する課題に関する職員アンケートを実施することは、今後のハラスメントを許さない職場づくりを進める上で、啓発と防止に有効であると考えます。防止会議での活用を行うとともに、労働組合に対してもアンケートの結果の情報を提供させて、単組の取組にも活かせるよう都側に求める必要があります。

F「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」関連

 「プラン」の改訂について、労使の意見交換にとどまっていますが、実効ある「プラン」の策定を実現するために、労使交渉に準じた議論を行えるよう都側に求める必要があります。

(5)夏季一時金交渉の取扱い

 新型コロナウイルスの感染の収束が見通せない状況にあっては、東京2020大会への対応も含め、やむを得ないものとしますが、あくまでも緊急避難的な措置であり、来年度に限った対応であり、感染症の収束や東京2020大会への対応が終わった後は、従来の団体交渉事項に戻すこととします。

 

3 都労連の判断

 

 2020年賃金確定闘争の第2段階とも言える都労連要求と例月給をめぐる越年した闘いは、12月18日の例月給報告を起点として本格的に開始しましたが、回答指定日の1月14日まで約1か月と短期間であり、その間に年末年始の休業期間もあり、なによりも新型コロナウイルスの感染が年末から年始へと拡大に歯止めがかからない状況のもとで、これまで経験したことのない困難な闘いとなりました。
 感染症の拡大は、その防止対策を万全にしなければならないことから、都労連が基本としてきた職場から組合員が結集する大衆的な行動を積極的に展開することができなくなったこと、また労使交渉においても、対面による交渉を制限せざるを得ない中で、労使交渉を尽くすという都労連闘争の基本を十分貫けなかったことは否めません。今後、十分な総括が必要です。
 都労連としては納得できない事実上5年連続の給料表の改定見送りという不当な人事委員会報告のもと、その報告内容を尊重するという都側の姿勢を突き崩すことができず、報告どおりの給料表の据置となったことは、コロナ禍の中で、懸命に働いている職員の期待に応えることができず、大変不満の残る結果となりました。また、11月に決着した年末一時金を中心とした闘いで引き続き協議となった都労連要求をめぐっては、都側が昨年秋においても対応が可能なものについて改善を行ったとし、要求の多くは実現が困難なものもあり、対応が困難である旨を繰り返したことに対して、都労連は、感染症から、まさに身体を張って都民の命を守っている都立病院や保健所等の職員、水道・下水道のライフライン維持や公共交通を守っている職員、感染症対策のため様々な業務支援で奮闘している職員、児童・生徒の安全を守りつつ授業を続けている教職員の賃金・労働条件を改善することは、都民の理解を十分得られると指摘し、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げを行い、一つでも多くの要求を実現するため粘り強く交渉を続けました。
 都側が示した最終回答では、多くの組合員に関わる要求の実現を勝ち取ることはできず、不満な到達点であると言わざるを得ません。しかし、一部とはいえ要求が前進したことは、都労連と各単組が困難な条件の下でも、最後まで闘い抜いた貴重な成果です。
 今回の闘いで実現できなかった賃上げ要求、現業要求、再任用要求、会計年度任用職員要求、4条任期付職員要求などの課題については、この確定闘争の総括を行うとともに、都労連要求を再構築し、春闘期の闘いから夏季一時金闘争、そして2021年賃金確定闘争で課題を解決し、前進を勝ち取るため、単組とともに準備を進めることが必要です。
 また、新型コロナウイルスの感染が収束しないもとでの、大衆行動についても、感染防止対策を講じた実施方法の検討を進め、新たな活動スタイルを確立することも求められます。
 越年して闘った2020年賃金確定闘争は、不満の残る厳しい結果となりましたが、これまで経験したことのない新型コロナウイルスの感染拡大という事態のもとで、可能な限りの取組を行い、1時間ストライキを背景にして労使交渉を行い、労使合意による自主決着を図るため、粘り強く闘い抜いた都労連と各単組の闘いの到達点として、1月14日の都側最終回答をもって労使合意を図って妥結する判断を行い、各単組に批准を求め、2020年秋季年末闘争の決着を図ることとします。

 

団体交渉発言骨子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、例月給の取扱いについて申し上げます。
 今年度は、人事委員会の報告どおり、例月給を据置きといたします。
 また、勤務時間制度や退職手当などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 以上の内容で、必要な議案を第1回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 さて、今期の交渉は、人事委員会勧告が二段階となり、年をまたぐ異例のスケジュールであったことに加え、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が発出されたことにより、労使にとっても、非常に厳しい状況下での交渉となりました。
 こうした中にあっても、これまで築き上げてきた労使の信頼関係をもとに、感染症対策を講じた上で協議を続け、最終的に、皆さんには、大変重い決断をしていただいたことで、一定の結論に到達できたものと考えております。
 感染症は極めて深刻な状況にあり、この難局を乗り越えるためには、全庁一丸となった対策が必要です。直面する課題に全力で取り組んでいる全ての職員の皆さんのご尽力に、心から感謝申し上げるとともに、都労連の皆さんの更なるご協力をお願いします。
 今後も、都政の構造改革の推進や定年引上げなどを見据え、職員が持てる能力を発揮するための基盤となる人事制度については、不断の検討を行っていく必要があります。
 引き続き、都民の理解と納得を得て、職員が安心して職務に精励できるよう、職員の勤務条件については、皆さんと真摯に協議を行い、課題を解決してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。

 

都労連

 ただ今、例月給の取扱いについて、人事委員会報告通り、据置きとするとの回答が示されました。
 回答は、実質5年連続の据置きであり、コロナ禍が続くなかで、日夜、懸命に職務に奮闘している職員の心情を察すれば極めて不満であります。
 しかし、都労連は、都民生活に責任ある立場から、これ以上対立を深めることは避けなければならず、収束を図ることとします。
 今期交渉は、異例の越年となったことに加えて、感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が発出されるなか、感染防止対策とはいえ、労使交渉の持ち方も変えざるを得なかったことは、議論が十分尽くされたとは言い難く、そのことは、労使双方が重く受け止めなければなりません。
 職員は、先が見えないなか、今も尚、都民の生命を守り、暮らしを支えるために、全力で職務に従事しています。非常事態とも言える医療の最前線をはじめ、現場実態を直視し、職員が安心して働き続けられるために、あらゆる方策を講じることを求めておきます。
 今後、定年年齢の引き上げをはじめ人事制度改善など、解決が求められている課題は多岐にわたって山積しているものと認識しています。
 都労連は、あくまで、労使交渉を尽くして解決する立場に、いささかも変わりはないことを申し上げておきます。
 最後に、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。
 私からは以上です。

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