都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2020年賃金確定闘争の妥結にあたっての都庁職の見解と態度

 

2021年1月15日
第29回都庁職執行委員会

 

1 主な妥結内容

 

◇例月給の取扱い
○例月給について、人事委員会報告どおり改定を見送り

◇退職手当制度の見直し【都労連要求】
○退職手当について、基本額の算定に係る特例を導入
○対象:年度末年齢が56歳以降の在職期間中に希望降任等の理由で給料月額が減額され、かつ、当該減額前の給料月額のうち最も多いもの(ピーク時給料月額)が退職の日における給料月額よりも多い職員
○算定方法:次に掲げる額の合計額
・ピーク時給料月額に、ピーク時までの勤続期間に対応する支給率を乗じて得た額
・退職の日における給料月額に、退職の日までの勤続期間に対応する支給率からピーク時までの勤続期間に対応する支給率を控除した割合を乗じて得た額
○実施時期:2021年3月31日以降の退職者に適用

◇勤務時間制度の見直し
○出先事業所における勤務制度について見直し
・「本庁職場のうち、時差勤務を導入している職場の全職員」を対象としている正規の勤務時間の割振り(午前7時始業から午前11時始業までの時間帯(9本))及び休憩時間(午前11時30分から午後0時30分まで、正午から午後1時まで、午後0時30分から午後1時30分まで及び午後1時から午後2時までの時間帯(4本))について、出先事業所に対象を拡大
・「本庁職場のうち、時差勤務を導入している職場の全職員」を対象としているフレックスタイム制について、出先事業所を含む「時差勤務を導入している職場の全職員に」対象を拡大
・なお、正規の勤務時間の割振り等については、公務の運営に支障がない範囲で所属長が割り振る。
○実施時期:2021年4月1日

◇夏季休暇の取得期間の拡大【都労連要求】
○夏季休暇の取得期間について拡大
・「7月1日から9月30日まで」→ 「5月1日から11月30日まで」
・2021年7月1日から2021年9月30日までの間に取得可能である職員に適用
○実施期間:2021年度に限る

◇会計年度任用職員の母子保健健診休暇等の見直し【都労連要求】
○母子保健健診休暇及び妊婦通勤時間の報酬の取扱いについて見直し
・「無給」→ 「有給」
○実施時期:2021年4月1日

◇会計年度任用職員の妊産婦休養の見直し【都労連要求】
○妊産婦休養の報酬の取扱いについて見直し
・「無給」→ 「有給」
・医師等の指導により勤務時間短縮の必要があるとされた場合の妊産婦休養については、他の規定により勤務しないことを承認しない時間との合計が一日に4時間を超えないものに限る
○実施時期:2021年4月1日

◇会計年度任用職員(アシスタント職)の報酬区分の新設【都労連要求】
○常勤職員が育児休業等により欠員となった場合に対応するため、会計年度任用職員(アシスタント職)の新たな報酬区分の設定について、本年度各局等に周知

◇「ハラスメント防止連絡会議」の新設【都労連要求】
○セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児休業に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントについて、来年度「ハラスメント防止連絡会議」を新設

◇ハラスメント関連【都労連要求】
○セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント及びパワー・ハラスメントについて、来年度職員アンケートを実施

◇「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」関連【都労連要求】
○「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」の改訂について、本年度労使での意見交換を実施

◇夏季一時金交渉の取扱い
○2021年度の夏季一時金交渉については、小委員会交渉で実施

 

2 都庁職の見解と態度

 

[1]人事院勧告及び人事委員会勧告について

【人事院勧告】
 本年、人事院は勧告の基礎となる民間給与の実態調査について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を考慮し、例年より時期を遅らせた上で、2回に分けて実施しました。
 先行して調査を実施した一時金については10月7日に、0.05月引下げる勧告となり、一時金(4.45月に改定、引き下げ分を期末手当の支給月数に反映)は7年ぶりの引下げとなりました。
 月例給については10月28日に、民間給与との較差 △164円(△0.04%)が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定が困難であることから改定を見送る報告を行いました。月例給の改定なしも7年ぶりとなり、その結果、行政職(一)職員の平均年間給与は△2.1万円(△0.3%)となりました。

【東京都人事委員会勧告・報告】
 東京都人事委員会も人事院と同様に、勧告の基礎となる民間給与の実態調査について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を考慮し、例年より時期を遅らせた上で、2回に分けて実施しました。10月30日に特別給について、民間支給割合が4.57月であり、都の現行4.65月を0.08月分下回っていることから、年間支給月数を0.1月分引下げて4.55月とし、再任用職員についても、0.05月分引き下げて2.40月分とし、引き下げは、期末手当とする勧告を行いました。また、2021年度も、国と同様に6月期及び12月期の期末手当、勤勉手当ともに均等配分するとしています。その結果、行政職(一)職員の平均年間給与は△4.0万円(△0.6%)となりました。
 12月18日に例月給については、本年4月における都職員行政職給料表(一)適用者(新卒採用職員を除く。)の平均給与が402,038円(平均年齢40.9歳)であるのに対し、民間給与実態調査により対応する民間従業員の平均賃金が401,843円であるとし、例月給の公民較差が△0.05%、△195円となり、較差は小さいため、改定を見送るとする報告を行いました。
 職員と民間従業員の給与比較(例月給)の方法については、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の都内10,910事業所を調査母集団とし、そのうち1,228事業所を無作為抽出して調査(調査完了726事業所調査実人員45,371人)を行い、職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較したとしています。
 今後の課題として、@高齢層職員の給与について、定年引上げに係る国における法改正等の動向を注視しつつ、都のこれまでの取組や実情を十分に考慮して、都における給与水準等について検討する、A職務給の更なる進展等について、行政職給料表(一)1級・2級について、上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の視点から、引き続き適切な対応を検討する、B能力・業績を反映した給与制度の更なる進展をしていくとしています。
 本年の東京都人事委員会勧告・報告は、特別給が7年ぶりで引下げとなり、引下げ分を期末手当月数に反映させ、例月給については、実質5年連続で据え置き、初任給も据え置きとされ、国との格差がより広がる極めて不当な内容となっています。
 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)については、人材の確保と活用、「新しい日常」における働き方改革と勤務環境の整備、公務員としての規律の徹底を3本の柱としています。
 人材の確保と活用では、「都政の構造改革」等の新たな展開も踏まえた上で人事制度全般を検証し、未来の東京を見据えた魅力的な制度を構築、採用試験及び昇任選考におけるオンラインの活用、オンラインによる採用PRの充実といったデジタルトランスフォーメーションの取組を着実に推進、ICT 職の育成・昇任・配置管理等のキャリアパスの構築などや多様な人材の活躍推進として、ダイバーシティ、インクルージョンが尊重された都庁を実現するためには、各々の持つ個性や事情にかかわらず、全ての職員がその能力や経験を発揮することができる環境整備、障害者雇用については、組織として受け入れ支える環境や障害者活躍推進計画で定めた取組を着実に実施し働きやすい職場づくり、定年引上げに関しては、検討を着実に進めるとともに、今後の法改正を見据え、必要な見直しには速やかに対応していくことが重要としています。
 「新しい日常」における働き方改革では、「ライフ・ワーク・バランスの推進」として、「ポスト・コロナ」社会を見据え、管理職のマネジメント意識等の向上、職員一人ひとりが働き方を見直すこと、時差勤務及びフレックスタイム制については制度導入職場の拡大を含めた検討、女性活躍推進については、個別の事情へのフォロー体制を強化すること、男性職員の育児休業等取得促進の取組については、育児休業等を当たり前に取得できる職場環境づくり、勤務環境の整備として、パワー・ハラスメントが行われることのない勤務環境づくり、セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントについて、引き続き防止に向けた取組の推進、性自認及び性的指向にかかわらず活躍できる勤務環境の整備に向けてどのような取組が可能であるか検討、メンタルヘルス対策は、一次・二次・三次予防の対策を継続的に実施し、ストレスチェックを職場の勤務環境改善に役立てていくこととしています。
 公務員としての規律の徹底では、管理職は、リーダーシップを発揮し、職員を適切に指導・助言して職場におけるマネジメントを強化するとともに、自ら職員の範となるよう努めること、全ての職員が高い倫理観と使命感の下、公共のために働くという責任と誇りを持ち誠実かつ公正に職務に精励することとしています。

 

[2] 都労連要求実現を求める闘い

【東京都人事委員会への取組】
 11月12日の一時金闘争収束後、都労連は例月給の勧告に向けて11月19日に今期5回目の人事委員会要請を行ない、@職員の生活改善につながる賃上げ勧告、A再任用職員の賃金水準の抜本的引き上げ、定年前職員と同様の生活関連手当の支給勧告、B行(一)1・2級の給与水準の見直しについて言及しないこと、を要請しました。
 都庁職も同日、人事委員会要請を行ない、期末手当の0.1月引き下げ勧告に遺憾であることを表明し、4年連続改定見送りの人事委員会勧告で、国や他自治体との格差が生じていること、コロナ禍で都民の命を守るために奮闘している職員の期待に応える勧告を求めました。
 都労連は、12月1日及び7日にも、人事委員会要請を行ない、勧告日程を明らかにするとともに新型コロナウイルス感染症拡大の中で奮闘する職員が安心して働けるよう、賃金・労働条件の改善を勧告することを強く、求め続けました。

【人事委員会報告を受け団体交渉】
 12月18日の都人事委員会報告を受け、都労連は、12月21日に団体交渉を行いました。職務に奮闘する職員の思いを踏まえ、人事委員会報告によることなく、賃金引上げをはじめ都労連要求について労使交渉で解決を図るよう踏み込んだ検討を行うことを求め、回答指定日を1月14日としました。
 都側は、7年ぶりにマイナスに転じた公民較差について報告内容を尊重しつつ都民の理解を得られるよう、報告の取扱いを検討するとしました。コロナ禍において都政を取り巻く環境が一層厳しくなる中、より高い価値を生み出す都政へと進化させるために、都政の構造改革の取組を力強く推し進めていくとし、働き方改革や職責・能力・業績に基づく処遇の徹底により職員の能力を引き出し、都庁の組織力強化を進める必要があるとの認識を示しました。その上で、労使の信頼関係をもとに労使協議を尽くして解決を図る姿勢に変わりはなく、異例のスケジュールだが、誠意を持って全力で協議に取り組んでいくとしました。
 これに対して都労連は、コロナ禍が拡がるなかで、生命を守り暮らしを支える確かな公共と公務員労働者の果たしている役割の重要性が、都民の理解はもとより、広く認識・評価されているとして、要求に対して踏み込んだ検討を求めました。職責・能力・業績主義偏重に対して都労連は反対の立場にあり、働き方改革と併せて、改めて現場実態を踏まえるべきだとし、困難な情勢の下、職務に従事している全ての職員の頑張りに応えることが、都側の責務であると強調しました。
 その後、都労連は18時から第3波総決起集会を開催し、不当報告を糾弾するとともに、要求実現に向けて越年して闘う意思統一を図りました。

【勤務時間制度の見直し当局提案】
 都労連は12月24日14時より専門委員会交渉を、引き続いて小委員会交渉を行い、今給与改定交渉期における協議事項の項目整理を行い、勤務時間制度の見直しについて提案を受けました。
 都側は、@給与制度について都民の理解を得られるよう、職員の給与の取扱いについて検討を進めていく。A定年引上げについて、再任用職員の状況、多様な職種から構成される都職員の実態を踏まえ、国の動向にも注視して改正法案を参考に検討を進めていく。B勤務時間について、職員の「ライフ・ワーク・バランス」の推進に取り組む観点から、出先事業所における勤務時間制度の見直しを提案しました。また、フレックスタイム制について、出先事業所においても導入できるよう対象を拡大する。これらを示した上で、人事委員会の報告を尊重しつつ諸課題について検討を進め、誠意をもって都労連と協議していくとしました。
 都労連は、都側の示した考え方に対する見解と交渉に臨む態度を表明しました。@不当な人事委員会報告によらず、要求の実現を求めて今後の交渉に臨む。A定年年齢の引上げに関しては、改正法の成立を待つことなく交渉を進める必要がある。B出先事業所における勤務時間制度の見直し提案については、今後提案内容について解明を求めた上で議論し、その後判断することとする。
 最後に、コロナ禍の中、感染症対策で働く職員の心身の健康を保持し長時間過密労働から守るために、必要な人員増も含めた職場体制を確立することが重要であると強調し、賃金・労働条件の改善のため、要求の実現に向けて精力的に交渉に臨むことを表明しました。

【新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受けた労使自主解決の取組】
 1月7日に1都3県で新型コロナウイルス感染に対し、緊急事態宣言が発出されました。
 都労連は、1月7日13時より単組代表者会議を開き、緊急事態宣言後の都労連の取り組み方について、議論しました。1月14日に予定している第4波総決起集会、都庁包囲デモについては、中止・見送りにすることを確認しました。
 8日15時から、都労連は、リモート形式によって小委員会交渉を行い、都労連要求に関わって議論を行いました。
 都側は、国より新型コロナウイルス感染症について緊急事態宣言が発出され、今後の交渉の持ち方についても感染状況を踏まえ引き続き検討していくとしました。その上で、都側の現状認識や考え方を次のように示しました。@人事給与制度全般について、本年の人事委員会の報告内容を尊重していく。A都労連要求には、更なる改善が困難なものも多く含まれているが、都民の理解と納得を得られるかといった視点から引き続き検討を進めていくとしました。
 都労連は、@人事給与制度の改善に関わって、人事委員会と一体となって能力・業績主義を強化しようとする都側の態度は認められない。賃金・労働条件を決めるのは、あくまでも労使交渉で、都労連要求の実現を決断するよう求める。A要求等に対していきなりゼロ回答を示すような発言は認められない。現業職員、地域手当が支給されず本給水準が引き下げられ続けた島しょの職員、期末手当の支給月数の削減となった会計年度任用職員の要求など速やかに実現すべきである。B同性とパートナー関係にある職員の要求に正面から応え、要求の実現を決断することを求めるとし、都側に対して改めて強く求めました。
 1月11日15時より、リモート形式によって小委員会交渉を行い、都労連要求に対する現時点での都側の考え方が示され、議論を行いました。
 都側は、都労連要求の検討状況に関連して、@昇給制度については、本年の人事委員会の意見も踏まえ、業績のきめ細かな昇給への反映の観点から、見直しに向けて具体的な検討を進めていく。A高齢期雇用制度については、昨年3月閣議決定された国家公務員法等改正案の概要を示し、給与について、60歳を超える職員の俸給月額を当分の間60歳前の7割とする規定、人事評価を給与等へ適切に反映するための措置についての人事院における検討について言及。退職手当については、都の制度は国と異なるが、都の実情や国の取扱い、改正法案の内容を踏まえた制度を引き続き検討していく。B労働時間の短縮・休暇制度については、都の年休取得実績は高水準を維持しているが、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮しながら、引き続き計画的な取得を促進していく。
 最後に、都労連要求についてはこれまでも最大限対応してきたが、要求の多くは法制度上の制約や民間・国・他団体との均衡等の観点から実現が困難なものもあるとした上で、緊急事態宣言下の異例の交渉ではあるが、労使の信頼関係をもとに協議を尽くす考えに変わりはなく、真摯に協議を行い、提案について理解を得たいとしました。
 都労連は、都労連要求に対して事実上のゼロ回答を示した都側を批判し、要求に真摯に向き合い、何ができるかという観点で全力で検討を続けるよう求めました。@昇給制度について、現行制度では、昇給区分が固定化し、奮闘している全ての職員に応えるものとなっていない。昇給制度の見直しの具体的な検討は到底認められない。A高齢期雇用制度について、定年引上げの改正法案の内容として都側が言及した7割賃金水準について、都の職員に導入することに都労連は反対である。人事評価制度の給与等への反映など、更なる職責・能力・業績の賃金への反映にも反対する。退職手当については、都労連は支給水準の引き上げを求めており、今後の交渉で議論を深めたい。B年休取得については、完全取得のために何が必要か、継続して検討を行うべき。勤務時間制度の見直し提案については、都労連の解明要求に応え回答を示すことが先決。今回の都側提案は交替制勤務職場を含めた全ての職員のワーク・ライフ・バランスの推進につながっていない。人的措置を含めた職場環境の改善について、真剣に検討することを求めた。
 1月12日11時から都庁職は、2020年賃金確定闘争に関する任命権者要請行動を行ない、医療現場、保健所の職場はもちろん、全ての職場で、感染症対策等による幾重もの負担増の中、奮闘する職員が安心して業務に取り組めるよう、賃金引き上げを含め、都労連要求に対して大きく踏み込んだ検討結果を示すようにと発言し、特に5点について、都庁職として強く要請しました。
 1月13日15時より都労連は、リモート形式で小委員会交渉を行い、都側は、勤務時間制度の見直しについて、解明要求に対する回答を中心に説明しました。今回の見直しは、コロナの感染状況を踏まえつつ、職員のライフ・ワーク・バランスの推進を目的としたものであり、職員アンケートの結果や時差勤務等の利用状況も踏まえ、出先事業所においても本庁職場と同様の勤務時間帯等を設定できるよう環境整備を行うものだとしました。
 夏季休暇の取得期間の拡大については、感染症対策及び東京2020大会開催に伴う業務への影響等を踏まえ、来年度に限り取得期間を5月1日から11月30日までに拡大するとする見直し案を提案しました。なお、夏季一時金交渉について現下の情勢を踏まえ、来年度も小委員会交渉で実施するとし、都民の理解を得て職員が安心して働くことができる環境の整備に繋がるよう、例月給の取扱いを含め最終的な回答の検討を行っていくとしました。
 都労連は、冒頭、回答指定日前日にも関わらず、都労連要求に関わって示したのは夏季休暇の取得期間拡大だけという都側の不誠実な交渉姿勢を批判し、一つでも多くの要求の実現を決断することを求めました。勤務時間制度の見直し提案に対して、都労連は、出先事業所の職員のワーク・ライフ・バランスの推進に繋がるのであれば、それを拒むものではないとしながら、職場における労使交渉で職場の実情に応じて決めるのが原則、職員の意向を無視した割振りはありえない、個々の職場の実態については導入の可否を交渉する際に職場段階の労使で確認すべきであると指摘しました。
 そして、解明要求への回答を持ち帰り、先の説明とあわせて検討し、見直し提案について判断することとしました。次に、休暇制度の改善要求に関わって、夏季休暇の取得期間拡大の都側提案については了解した上で、年休の取得促進、夏季休暇完全取得できる職場環境の整備のため、必要な取組を進めることを求めました。また、来年度の夏季一時金交渉についての都側の意向については、やむを得ないものであると受け止めつつ、来年度に限った対応であることを求めました。最後に、コロナ禍の中、懸命に働いている職員の賃金・労働条件を改善することは、都民の理解を十分得られると確信しているとし、可能な限り交渉を行って要求実現に向けて議論を深めることを求めました。

 

[3]1時間ストライキを背景に最後まで労使交渉による解決を求めた最終局面

 回答指定日である1月14日、11時00分に単組代表者会議が設定され、続いて11時35分から、異例であるが、総務局長の日程調整ができなかったため、単組代表者による人事部長要請行動を実施しました。
 13時50分から、単組代表者会議が再開され、13時00分にトップ会談の要請を報告され、受けることを確認し、14時05分からトップ会談が行われました。
 その後、16時30分から単組代表者会議が再開され、最終案の提案について議論し、17時06分にストライキ中止の決断を合意しました。
 都庁職は、18時30分から拡大闘争委員会を開催し、最終案の議論をした後、18時54分に拡大闘争委員会での確認を得ました。
 都労連は、14日18時15分から専門委員会交渉、18時30分から小委員会交渉を行い、交渉事項について最終的な回答が示されました。その後、19時00分から団体交渉が行われ、賃金確定闘争に関する最終回答が出されました。

 

[4]都庁職の取り組みについて

 都庁職は、昨年の一時金闘争、越年となった賃金闘争を通じて、都労連2020賃金確定闘争を担う6単組の一員として、他単組と共に、対人事委員会署名及び要請、早朝宣伝行動、全職場一斉宣伝行動、ステッカー闘争、任命権者・所属長要請、単組代表者による要請、通算3波にわたる総決起集会等に積極的に取り組みました。

 

[5]2020賃金確定闘争の到達点について

 私たちは都人事委員会の勧告・報告によらない大幅賃上げを求めてきましたが、例月給の取扱いについて、人事委員会報告どおり据置きとするとの回答で、残念ながら今回も勧告の壁を超えることはできませんでした。都労連は、交渉をもって要求解決を求めましたが、当局は最後まで、都労連要求に対する踏み込んだ提案を行わず、トップ会談で、ようやく最終案を提案することになりました。
 しかし、都労連は、都民生活に責任ある立場から、これ以上対立を深めることは避けなければならず、収束を図ることとしました。
 今期交渉は、異例の越年となったことに加えて、感染拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言が発出されるなか、感染防止対策とはいえ、労使交渉の持ち方も変えざるを得なく、議論が十分尽くされず残念でした。
 退職手当制度の見直し提案については、56歳以降の在職期間中の希望降任等の理由で減額された場合に、ピーク時給料月額が退職の日における給料月額よりも多い場合に算定の基礎となり、退職金の増額が見込まれる制度です。
 勤務時間制度の見直し提案については、出先事業所における勤務時間制度についての見直しで、現行6本の勤務時間帯を9本にするもので、現場の業務を乱す可能性があり、都庁版フレックスタイム制導入と合わせて、職場の一体感の破壊につながるものです。ワーク・ライフ・バランス推進というのであれば、これまで改善されてきた休暇制度等が活用できない交替制職場などで制度が活用できる体制を確保することこそが本来のワーク・ライフ・バランスの考え方です。
 時差勤務の設定は、所属長の判断で行うとされており、今後、支部・局交渉により、職場実態に応じて設定することになります。
 会計年度任用職員の母子保健健診休暇等、妊産婦休養の無給職免を有給へ見直したことは前進です。
 また、アシスタント職の報酬区分の新設では、常勤職員の欠員を補完すべき人材の確保が期待されます。
 ハラスメント防止連絡会議にパワー・ハラスメントが加えられましたが、実効性のあるものにしていかなければなりません。また、都労連が今年度新たに要求したLGBTについて、差別を解消すべきとの主張に対しては、今後の課題として冷ややかな対応でした。
 2021年度限定で、夏季一時金交渉の持ち方については、東京2020大会やコロナ対策に向けてとして小委員会交渉で行うこととされました。
 今期確定闘争では、都労連要求を越年で追求しましたが、当局は本論から外れた提案や、都労連要求への回答を行わず、短期間での交渉に終始する姿勢が見られましたが、最終的に一定の回答を引き出すことができました。
 今回の妥結内容は私たちの要求からすれば厳しい内容ではありますが、都庁職としても、今期闘争を収束するという都労連の判断を受け入れることとします。
 勤務時間制度の見直し提案やアシスタント職新区分の設定については、今後単組・支部による取り組みとなりますが、賃金確定闘争が終結しても、都庁職としては、引き続き取り組んでいきます。8月に提出した都庁職要求の実現に対する取組についても、休むことなく進めていかなければなりません。都庁職は、支部・分会の組合員のみなさんとともに、要求実現に向け闘いを進めていきます。

 

以上

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