都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
HOME 都庁職へようこそ 見解 都庁職新聞 ギャラリー リンク
HOME > 都庁職新聞 > 2020年11月号
都庁職新聞
 
2020年秋季年末闘争
年末一時金の決着と闘いの継続にあたって

 

2020年11月13日
東京都労働組合連合会

 

 都労連は、10月15日に開催した第1回中央委員会で「2020年秋季年末闘争方針」を決定し、2020年賃金確定闘争を本格的にスタートしました。今年の闘いは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人事委員会の勧告が遅れた上に、10月30日に先行して期末手当の引下げ勧告が行われ、例月給の勧告が先送りとなる異例な事態となったため、一時金の決着と例月給の決着を切り離し、年末一時金要求の実現を中心とした闘いを先行させることとなりました。
 回答指定日を11月12日とした年末一時金の闘いは、一時金勧告から回答指定日まで約2週間という短期間の取組となるとともに、新型コロナウイルスの感染拡大という事態の中、総決起集会などの大衆的な行動について、規模の縮小や実施方法の変更を余儀なくされたこれまでにない闘いとなりました。そのような状況のもと、都労連は、各単組と意思統一を図りながら、感染防止対策を行った諸行動を展開し、要求実現に向けて全力で闘ってきました。
 年末一時金要求の実現と諸要求の前進のため全力で取り組んだ闘いの経過とその到達点である11月12日の都側回答を踏まえ、2020年の年末一時金等について、労使合意して決着を図り、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げをはじめ都労連要求の実現を目指して賃金確定闘争を継続することとし、各単組の批准を求めます。

 

[T]2020年賃金確定闘争、年末一時金を中心とした闘いの主な経過

 

(略)

 

[U]一時金交渉期における都側最終回答と都労連の判断

 

1 都側最終回答

 

(1)一時金に関する人事委員会勧告の取扱い

○特別給
・勧告どおり0.10月引下げ(4.65月→4.55月)
○実施時期:2020年12月期の期末手当から反映

(2)旅行雑費の見直し

○近接地外の赴任を除き、旅行雑費の定額支給を廃止
・交通費相当分については、実費額を支給
・旅行中の公務に係る通話料金等については、必要な措置を講ずる
○実施時期:2021年4月1日以後に出発する旅行から適用(当初提案2021年1月1日)

(3)都教育委員会職員が加入する共済制度の見直し

○都教育委員会事務局の一般職員及び都立学校の現業系職員が加入する共済制度について見直し
・「都職員共済組合」→「公立学校共済組合」
○実施時期:2021年4月1日

(4)都労連要求について

@帰住旅費の見直し

○帰住旅費の支給対象事由に「東日本大震災に係る被災地支援の業務に従事することを目的とした都の区域外の在勤地における退職」を新たに追加
○実施時期:2021年4月1日以後に退職する職員から適用

A介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し

○介護休暇、短期の介護休暇、介護時間、介護を行う職員の深夜勤務の制限並びに超過勤務免除及び制限の対象となる要介護者の範囲について見直し
・「配偶者又は二親等内の親族」→「配偶者若しくは二親等内の親族又は同一の世帯に属する者」
○実施時期:2021年1月1日

B会計年度任用職員の介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し

○介護休暇、短期の介護休暇、介護時間、介護を行う職員の深夜勤務の制限並びに超過勤務免除及び制限、介護欠勤の対象となる要介護者の範囲について見直し
・「配偶者又は二親等内の親族」→「配偶者若しくは二親等内の親族又は同一の世帯に属する者」
○実施時期:2021年1月1日

C会計年度任用職員の子どもの看護休暇及び短期の介護休暇の見直し(労使合意済)

○時間を単位とする子どもの看護休暇及び短期の介護休暇を取得する場合の承認について、1日の勤務時間が4時間以下の場合を除くとする要件を撤廃
○実施時期:2021年1月1日

D慶弔休暇(結婚休暇)の特例措置(労使合意済)

○新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、結婚休暇の始期を2020年1月1日から同年12月31日までの期間内の日とすることができる職員について、始期を2021年1月1日から同年12月31日までの期間内の日とできるよう措置
○実施時期:2021年1月1日
※会計年度任用職員についても、常勤職員に準じて見直し

E長期勤続休暇の特例措置(労使合意済)

○新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、長期勤続休暇の取得可能期間の終期が2020年12月31日の職員について、終期を2021年12月31日まで延長
○実施時期:2021年1月1日

F会計年度任用職員の報酬の特例の見直し

○新型コロナウイルス感染症の状況などを踏まえ、感染症に係る特殊勤務を行った場合に常勤職員の例により支給する特殊勤務手当に相当する報酬について、特例措置の期間を延長
・「2021年1月31日まで」→「2021年3月31日まで」

Gインフルエンザ予防接種利用助成の拡充

○インフルエンザ予防接種の需要が高まることを見据え、利用助成を拡充
・「最大3万人」→「最大4万人」

H人事給与制度に関する改善要求書」ほか諸要求の取扱い

○人事委員会勧告全体を踏まえる必要があることから、引き続き協議

 

2 闘いの到達点

 

(1)一時金に関する人事委員会勧告の取扱い

 今期闘争の最大の課題であった不当な期末手当引下げ勧告の取扱いについては、年末一時金要求を対置し、2.5月分を全額期末手当で支給することを求め、最後まで労使交渉での解決を迫りましたが、都側の勧告尊重の頑なな姿勢を押し返すことができず、勧告の壁を打ち破ることができませんでした。また、そもそも支給月数の少ない再任用職員の0.05月分の引下げや、期末手当のみの支給である会計年度任用職員の0.10月分の引下げを阻止できなかったことは、当該職員からすれば極めて厳しい結果となりました。

(2)旅行雑費の見直し

 最後まで労使の主張が激しく対立した旅費制度見直し提案については、旅行雑費の定額支給の廃止となったものの、公務に係る通話料金については必要な措置を講じることとなりました。具体的には、携帯電話の公私分計サービスを利用可能とするもので、携帯電話番号を登録しなければなりませんが、業務上必要な場合は、職員が通話料を負担せず、携帯電話を利用することが可能となります。これにより、これまでは旅行雑費が支給されない出張で、通信連絡費を負担していたようなケースについても、公費負担が可能となります。旅費制度の中での解決とはなりませんでしたが、出張する職員の本人負担とならない解決を図ることができました。

(3)都教育委員会職員が加入する共済制度の見直し

 教育委員会事務局の一般職員と都立学校の現業職員が加入する共済組合を地方公務員等共済組合法の規定に則り、都職員共済組合から公立学校共済組合に変更する見直しについては、約60年間にわたって続いてきた運用を見直すこととなり、短期給付の掛金率や給付事業、利用できる施設の違いなどがあります。具体的な交渉については、関係する都庁職及び都高教と教育庁の交渉に委ねていましたが、単組交渉が調ったため都労連として合意することとします。今後は、当該職員に対する丁寧な説明と円滑な事務処理や組合員証の交付などについて、十分配慮するよう都側に求めていきます。

(4)都労連要求について

@帰住旅費の見直し

 東日本大震災の被災地支援業務に従事するため福島県内で働いている職員が現地で退職した場合、これまで帰住旅費が支給されていませんでしたが、島しょ赴任職員の帰住旅費と同様に支給されることになります。該当する職員は少ないものの、重要な成果です。

A介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し

B会計年度任用職員の介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し

 介護関連休暇等の対象となる要介護者の範囲を拡大する見直しであり、都労連要求の前進です。また、今年初めて提出した「同性とパートナー関係にある職員に関する諸制度の改善要求」の前進にもつながり、法律上の親族ではなくても、同性パートナーを含めて同一世帯の者を介護者の範囲とすることができます。LGBT要求実現の足がかりとし、要求実現に向けて取組を進めます。

C会計年度任用職員の子どもの看護休暇及び短期の介護休暇の見直し(労使合意済)

D慶弔休暇(結婚休暇)の特例措置(労使合意済)

E長期勤続休暇の特例措置(労使合意済)

 いずれも交渉において提案があり、7月に提出した労働時間短縮・休暇制度の改善要求の前進に繋がるものであると判断し、その場で了解しました。しかし、長期勤続休暇や結婚休暇の特例措置については、取得期限が12月末日までと迫っており、都側の提案は遅きに失したと言わざるを得ません。

F会計年度任用職員の報酬の特例の見直し

 常勤職員の特殊勤務手当の特例措置期間の延長に伴うもので、感染症に係る業務に従事した会計年度任用職員に対する特殊勤務手当相当の報酬を措置するもので、均等待遇の観点から妥当な対応であると判断します。

Gインフルエンザ予防接種利用助成の拡充

 インフルエンザ予防接種の要求の前進につながるものであり、希望する職員が自己負担なしで予防接種を受けられるには至っていませんが、予防接種費用の助成件数を拡大することは、新型コロナウイルスの感染拡大と同時並行してインフルエンザが流行する可能性が高い中で、緊急性のある重要な成果です。

H「人事給与制度に関する改善要求書」ほか諸要求の取扱い

 都労連は、諸要求の検討にあたっては、人事委員会の勧告待ちとせず、速やかに実現に向けて検討を進めるよう都側に求めてきましたが、交渉の中で労使合意した3つの事項以外については、検討状況も示されませんでした。最終回答では、新たに5つの事項について、要求の前進がありましたが、多岐にわたる多くの要求については実現に至っていません。残された要求については、引き続く確定交渉の中で、一つでも多くの事項について解決を図る必要があります。

 

3 都労連の判断

 

 2020年賃金確定闘争の一時金交渉期の闘いは、一時金勧告から回答指定日まで約2週間という短期間の取組となるとともに、新型コロナウイルスの感染拡大という事態の中、総決起集会などの大衆的な行動について、規模の縮小や実施方法の変更を余儀なくされた、これまでにない闘いとなりました。
 都側は、人事委員会の不当な期末手当引下げ勧告について、勧告を尊重する姿勢を示しながら、一方で、勧告を実施してもなお、国や他団体を上回る一時金の支給月数であることをことさら強調し、都民の理解を得ていく必要があると述べ、コロナ禍の中で、自らの感染リスクを負いながらも、献身的に働いている職員の生活を顧みない態度をとり続けました。また、都政の構造改革の実施方針を踏まえ、人事制度や給与・旅費等の事務についてゼロベースで見直す必要があるとし、その手始めとなる旅費制度見直しに最後まで固執し、当初提案から2度にわたる修正を行ったものの、旅行雑費の定額支給の廃止については頑なに譲りませんでした。
 都労連要求については、都労連が勧告待ちとせず、速やかに検討を進めることを求めたにも関わらず、多岐にわたる要求事項のごく一部について、前進につながる提案をするにとどめ、多くについては、例月給の勧告を含め勧告全体を踏まえて判断するとして、検討状況すら示さない不誠実な交渉姿勢をとり続けました。
 不誠実な都側に対して、都労連は、たとえ遅きに失した提案であっても、都労連要求の前進につながるものについては、提案を受けた交渉の場で了解し、労使交渉により課題の解決を図るという原則的な姿勢を貫きました。不当な旅費制度見直し提案に対しては、交渉の都度、実費弁償の性格を損なう見直しは認められないと主張し続け、そのことが旅費制度の外ではありますが、公務に係る通話料金等の公費負担措置の実現に繋がりました。
 しかし、今期闘争の最大の課題であった不当な期末手当引下げ勧告の取扱いについては、勧告の壁を打ち破ることがでず、組合員からすれば大きな不満の残る結果となりました。特に会計年度任用職員については、休暇等の処遇面で均等待遇が実現できていない一方で、一時金の引下げだけは常勤職員と同じ月数という理不尽な状況となっており、会計年度任用職員の一時金のあり方について、真剣に検討する必要があります。
 一時金交渉期で実現できなかった課題については、引き続く例月給をめぐる闘いにおいて要求の解決を目指して、速やかに闘争体制を再構築し、まずは人事委員会に対して、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げ勧告を求める取組を再始動し、手を緩めることなく働きかけを強化しなければなりません。都側に対しては、都労連要求に対する検討を勧告待ちとせず、速やかに労使交渉を再開することを追求する必要があります。
 この一時金交渉期の闘いは、組合員にとっては、大変厳しい不満の残る結果となったことは重く受け止めるものです。しかし、これまで経験したことのない新型コロナウイルスの感染拡大という事態のもとで、職場宣伝行動や総決起集会の新たなスタイルも工夫して取り組み、可能な限りの大衆行動を行いました。そして、1時間ストライキを背景に、労使交渉を尽くし、労使合意による自主決着を図るため、粘り強く闘い抜いた都労連と各単組の闘いの到達点として、11月12日の都側最終回答をもって、2020年の年末一時金等について労使合意を図って妥結し、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げをはじめ都労連要求の実現を目指して、2020年賃金確定闘争を継続することとします。

 

団体交渉発言骨子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、人事委員会勧告の取扱いについて申し上げます。
 特別給については、勧告の内容どおり、期末手当の年間支給月数を0.1月分引き下げて2.5月分とし、再任用職員については0.05月分引き下げて、1.4月分といたします。そのため、各期に支給する期末手当の月数は、6月期、12月期ともに1.25月分、再任用職員についても、0.7月分といたします。
 なお、この引下げ分について、今年度は、12月期の期末手当の支給月数に反映いたします。したがって、皆さんから要求のありました年末一時金については、期末手当を1.2月、勤勉手当を1.025月、合計2.225月分を、再任用職員については、期末手当を0.675月、勤勉手当を0.5月、合計1.175月分を、12月10日に支給することといたします。
 その他、旅費制度などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 以上の内容で、必要な議案を第4回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 なお、例月給については、現時点で人事委員会勧告が実施されていないため、引き続き、勧告の動向を注視していくことといたします。
 また、小委員会交渉の場で皆さんから頂いている諸要求につきましては、勧告全体を踏まえて判断すべき事項が多いことから、引き続き協議を行っていきたいと考えております。
 今期の交渉は、勧告の実施時期が例年より遅れ、またその内容も特別給のみ先行して実施されるという異例の状況の中、特別給の勧告の取扱いや旅費制度の見直しなどを中心に、労使の考え方が鋭く対立する厳しい交渉となりました。
 しかし、皆さんには、解決困難な課題に対しても真摯に協議に応じていただき、大変重い決断をしていただいたことで、一定の結論に到達できたものと考えています。
 感染症の動向をはじめ、都政を取り巻く情勢は予断を許しません。こうした中にあっても、感染症対策をはじめ、直面する課題に全力で取り組んでいる全ての職員の皆さんのご尽力に、改めて、感謝申し上げたいと思います。
 今後も、都民の理解と納得を得て、職員が安心して職務に精励できるよう、職員の勤務条件については、皆さんと協議を尽くし、課題を解決してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。

 

都労連

 ただ今、人事委員会勧告の取扱いと併せて、年末一時金要求に対する回答が示されました。
 回答は、勧告どおりの引き下げであり、コロナ禍のなかで懸命に奮闘している職員にとっては、極めて不満と言わざるを得ません。
 都労連は、異例かつ短期間の交渉となるなか、真摯に労使交渉に臨んできました。労使が鋭く対立した原因は、勧告尊重の姿勢を最後まで崩さず、また、旅費制度見直し提案に固執する一方、賃金改善をはじめとする、都労連要求に応えない、都側の姿勢にあると申し上げます。
 職員は、今も尚、都民の生命を守り、暮らしを支えるために、全力で職務に従事しています。そうした職員が意欲をもって、職務に従事できるようにすることが都側の責務であると申し上げます。
 賃金引き上げをはじめとする、都労連諸要求につきましては、引き続き協議とするとの考え方が示されました。全ての職員の切実な要求であり、勧告を待つことなく、速やかに労使交渉での解決を求めます。
 そのうえで、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。
 私からは以上です。

ページのトップへ戻るページのトップへ戻る
 

Copyright (C) Tokyo metropolitangovernment laborunion.