都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2020年年末一時金闘争の妥結にあたっての都庁職の見解と態度

 

2020年11月13日
第21回都庁職執行委員会

 

1 主な妥結内容

 

◇人事委員会勧告の取扱い
○特別給
・勧告どおり0.1月引下げ(4.65月→4.55月)
・再任用職員は0.05月引下げ(2.45月→2.40月)
○実施時期:2020年12月期の期末手当から反映

◇旅行雑費の見直し
○近接地外の赴任を除き、旅行雑費の定額支給を廃止
・交通費相当分については、実費額を支給
・旅行中の公務に係る通話料金等については、必要な措置を講ずる
○実施時期:2021年4月1日以後に出発する旅行から適用

◇都教育委員会職員が加入する共済制度の見直し
○都教育委員会事務局の一般職員及び都立学校の現業系職員が加入する共済制度について見直し
・「都職員共済組合」→ 「公立学校共済組合」
○実施時期:2021年4月1日

◇帰住旅費の見直し【都労連要求】
○帰住旅費の支給対象事由に「東日本大震災に係る被災地支援の業務に従事することを目的とした都の区域外の在勤地における退職」を新たに追加
○実施時期:2021年4月1日以後に退職する職員から適用

◇介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し【都労連要求】
○介護休暇、短期の介護休暇、介護時間、介護を行う職員の深夜勤務の制限並びに超過勤務免除及び制限の対象となる要介護者の範囲について見直し
・「配偶者又は二親等内の親族」→ 「配偶者若しくは二親等内の親族又は同一の世帯に属する者」
○実施時期:2021年1月1日

◇会計年度任用職員の介護休暇等の対象となる要介護者の範囲の見直し【都労連要求】
○介護休暇、短期の介護休暇、介護時間、介護を行う職員の深夜勤務の制限並びに超過勤務免除及び制限、介護欠勤の対象となる要介護者の範囲について見直し
・「配偶者又は二親等内の親族」→ 「配偶者若しくは二親等内の親族又は同一の世帯に属する者」
○実施時期:2021年月1日

◇会計年度任用職員の時間単位の子どもの看護休暇及び短期の介護休暇の見直し【都労連要求】
○時間を単位とする子どもの看護休暇及び短期の介護休暇を取得する場合の承認について、1日の勤務時間が4時間以下の場合を除くとする要件を撤廃
○実施時期:2021年1月1日

◇慶弔休暇(結婚休暇)の特例措置【都労連要求】
○新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、結婚休暇の始期を2020年1月1日から同年12月31日までの期間内とすることができる職員について、始期を2021年1月1日から同年12月31日までの期間内の日とできるよう措置
○実施時期:2021年1月1日
※会計年度任用職員についても、常勤職員に準じて見直し

◇長期勤続休暇の特例措置【都労連要求】
○新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、長期勤続休暇の取得可能期間の終期が2020年12月31日の職員について、終期を2021年12月31日まで延長
○実施時期:2021年1月1日

◇会計年度任用職員の報酬の特例の見直し【都労連要求】
○新型コロナウイルス感染症の影響などを踏まえ、感染症に係る特殊勤務を行った場合に常勤職員の例により支給する特殊勤務手当に相当する報酬について、特例措置の期間の延長
○「2021年1月31日まで」→ 「2021年3月31日まで」

◇インフルエンザ予防接種利用助成の拡充【都労連要求】
○インフルエンザ予防接種の需要が高まることを見据え、利用助成を拡充
・「最大3万人」→ 「最大4万人」

◇「人事給与制度に関する改善要求書」ほか諸要求の取扱い
○人事委員会勧告全体を踏まえる必要があることから、引き続き協議

 

2 都庁職の見解と態度

 

[1]人事院勧告及び人事委員会勧告について

【人事院勧告】
 人事院は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の影響を考慮し、民間給与実態調査を例年より時期を遅らせ2回に分けて実施しました。10月7日に国家公務員給与の特別給、公務員人事管理について勧告・報告を行い、10月28日に月例給に関する報告を行いました。
 特別給については、民間との支給割合との均衡を図るため、0.05月分の引下げ、指定職を除く再任用職員は、改定なしとしました。月例給については、民間給与との較差▲164円(▲0.04%)と極めて小さく、改定が困難なため、改定なしとしました。
 人事管理に関しては、勤務環境について超過勤務命令の上限を超えた場合における要因の整理・分析・検証、恒常的に長時間勤務がある職域には要員を確保する必要があるとしています。また、定年の引上げについては高齢層職員の能力及び経験の本格的な活用に向けて、定年を段階的に65歳に引き上げるための措置が早期に実施されるよう改めて要請するとしています。

【都労連要求書の提出】
 10月15日の第1回中央委員会において、都労連2020秋季年末闘争方針が決定され、@大幅賃上げの実現、A行(一)1・2級の賃金水準見直し阻止、B会計年度任用職員、任期付職員の処遇改善、C高齢期雇用制度の改善、D労働時間短縮、ワーク・ライフ・バランス推進、福祉関連要求、Eメンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策、男女平等の取組等の推進、F福利厚生の充実、身分保障の改善が闘争の主要課題とされ、討論を受け、方針を確立しました。
 都労連は、10月22日の小委員会交渉で「人事給与制度に関する改善要求」、「現業賃金・任用制度に関する改善要求」、「島しょ職員の賃金・労働条件改善に関する要求」、「高齢期雇用制度に関する改善要求」、「臨時・非常勤職員及び任期付職員の処遇改善に関する要求」、「福利厚生事業に関する要求」、「業務上の事故に伴う身分保障に関する改善要求」、「同性とパートナー関係にある職員に関する改善要求書」の計8本の要求書を提出し、既に7月30日に提出した「労働時間短縮・休暇制度の改善要求」「福祉関連要求」「職場環境改善要求」の要求書も含め、職場組合員の切実な思いを真撃に受け止め、実現に向け検討し、今後の労使交渉で議論することを求めました。

【東京都人事委員会勧告】
 10月30日、東京都人事委員会は、都議会議長及び都知事に対し「特別給に関する報告及び勧告」を先行して行いました。特別給以外の給与に関しては、別途必要な報告及び勧告を実施予定となっています。
 特別給は、民間支給月数が4.57月であり、都の現行4.65月を0.08月分下回っていることから、年間支給月数を0.10月分引き下げ4.55月とし、再任用職員についても、0.05月分引き下げて2.40月分とし、民間従業員の特別給における考課査定分の割合及び国の勧告内容を考慮し、引き下げは期末手当で行うことが適当であるとしています。
 都労連は、特別給を全て期末手当で支給することを要求していますが、期末手当の引き下げ勧告は、定年前の常勤職員と同じ月数の期末手当のみ支給されている会計年度任用職員にとっては、より大きな問題となります。また、勧告が実施されれば年間の期末手当は2.50月、勤勉手当は2.05月となり、勤勉手当の割合が44.1%から45.1%に拡大するという、不満な内容となっています。
 都人事委員会の資料では、特別給の支給割合は、1,000人以上の企業で年間4.98月であり、私たちの要求からすれば、特別給の引き下げは到底納得できる内容ではありません。

【都労連戦術配置を決定】
 都労連は、人事委員会勧告を受けて、11月2日の団体交渉において、年末一時金2.5月分を12月10日までに支給すること、支給にあたっては全額を期末手当とすることを求め、回答指定日を11月12日としました。
 当局からは、まず、医療従事者をはじめ職員の尽力に、改めて感謝の意を述べました。そして都労連要求、勧告の取扱いを検討するにあたって、我が国の経済、都財政の厳しさを述べた上で、引下げ幅は国よりも大きいものの、支給月数は国を上回る状況であり、都民の理解を得ていく必要があるとの考えを示し、引き続き例月給についての報告・勧告を注視するとしました。また、都政が直面する課題に対し、より的確に対応できる組織へと変革を図るとし、「都政の構造改革」を強力に推進していく必要性を述べました。そして、人事委員会勧告を尊重しつつ、その取り扱いについて検討していくとし、異例の状況であるが、労使の信頼関係をもとに労使協議を尽くして解決を図る姿勢に変わりはなく、誠意をもって全力で協議に取り組んでいくとの姿勢を示しました。これに対して都労連は、引き続き感染症対策への協力は惜しまないとした上で、業務支援では一部に長時間労働が常態化しているとの報告も寄せられており、職員が健康を害することなく働き続けられるよう責任を果たすことを求めました。その上で、特別給の支給月数が国を上回ることを問題視する都側の姿勢に対して、職員の尽力を見ていないと言わざるを得ないと厳しく批判しました。また、効率性や生産性が目的化されていく「都政の構造改革」に対して、コロナ禍で明らかになった、生命を守り暮らしを支える公共が果たす役割と責任の重要性、その立て直しこそ急務だとし、一人一人の職員が都政を根底から支えていることを都側は決して忘れてはならないと強調しました。そして、勧告によることなく、都労連要求に対して踏み込んだ検討を行い、労使交渉で解決することを求めました。
 その後、都労連は17時から第1波総決起集会を開催し、不当勧告の押し付けを許さず、労使交渉による一時金の引上げと都労連諸要求の実現に向け全力で闘う。コロナ禍で奮闘する公務員の姿は多くの国民から好意的に見られている。職員の一時金を引き上げることに対する都民の理解は得られているなど決議しました。
 都労連は、今期闘争にあたって、新型コロナウイルスの影響で厳しい状況ではあるが、可能な限りの大衆行動の配置と11月13日の戦術配置を決定しました。

 

[2] 都労連要求実現と不当な当局提案に対する闘い

【旅費制度の見直しをはじめとする当局提案】
 人事委員会勧告に先立つ10月28日の小委員会交渉において、当局から「新型コロナウイルス感染症に係る長期勤続休暇の特例について」の提案があり、都労連要求の前進につながるため、その場で了解しました。
 人事委員会勧告後、都労連は、11月4日から全職場宣伝行動を実施し、一時金勧告の取扱いについての回答指定日を11月12日とする都労連一時金闘争を各単組に周知しました。
 11月4日の小委員会交渉では、当局は、人事委員会勧告を受けての基本的な考え方として、10年振りの引下げ勧告は、これまで同様尊重していくべきものとしました。
 旅費制度について、当局は、都の旅行雑費は旅行時間や距離等に応じて支給額が異なっており、約7割の旅行には支給されていない状況であり、旅費担当者にとって事務負担が大きい実態にあると説明した上で、「都政の構造改革」の視点も踏まえ、検討を進めていくべきものとの認識を示しました。
 続いて、都教育委員会職員が加入する共済制度について、地方公務員等共済組合法の規定と一部異なっている実態について、法律に則って適切に対応しなければならないとしました。
 当局は見直しを要するものについて検討を加速し、今回の改定交渉期に結論を得る必要があるとしたのに対し、都労連は、労使合意できるかどうかは要求に対する都側の対応次第だと改めて強調しました。今後の労使交渉に全力で臨む都労連の態度を示し、労使交渉を尽くして合意を図り、労使自主決着で課題を解決する立場に当局が引き続き立つことを改めて申し入れました。
 11月6日の小委員会交渉では、当局から「旅費制度の見直しについて」、「都教育委員会職員が加入する共済制度の見直しについて」の提案がありました。今回の提案としては、旅行雑費を廃止し、交通費相当分について実費額を支給すること、それに伴い、着後手当及び扶養親族移転料について、所要の見直しをするとしています。また、都教育委員会職員の共済制度について、都教育委員会事務局の一般職員、都立学校の現業系職員が都職員共済組合に加入している実態にあり、地方公務員等共済組合法に基づき、来年度より公立学校共済組合に加入することとするとして、具体的な交渉は、教育庁と関係単組との間の協議に委ねるとしました。
 都労連は、提案を急ぐ当局の交渉姿勢は誠実なものとは言えないと批判し、要求実現に向けて真剣に検討することを求めました。旅費制度の見直しについて、全面的に賛同することはできないとし、慎重な検討を求めました。旅行雑費の廃止提案については、都労連が求めた諸雑費の範囲等の精査をしないままでの提案は認められないとして、通信連絡費等を職員負担にする等の問題があり、提案を撤回して再検討することを求めました。
 11月9日の小委員会交渉では、旅費制度の見直しについて議論となり、当局は、旅費業務のデータを示しながら、旅費担当職員の負担軽減を理由として、旅行雑費を廃止する必要を強調しました。都労連は、旅費の実費弁償の原則を損ない、出張する職員に通信連絡費等自己負担させようとするもので、再検討を改めて求めました。
 当局から「会計年度任用職員の休暇制度の見直し」として会計年度任用職員の時間単位の子ども看護休暇及び短期の介護休暇の見直しについて提案されました。都労連は、常勤職員との均等待遇を求める都労連要求の前進につながるとして了解した上で、さらに、常勤職員と同様に有給扱いとすることを求めました。
 11月10日は、ビラ配布に代えてプラカードを掲げるスタンディングによる早朝宣伝行動を行うとともに、職場一斉宣伝行動も実施しました。
 19時からは、年末一時金要求実現対都要請行動が行われ、都庁職からは、会計年度任用職員の一時金削減反対、旅行雑費の廃止反対を中心に支部の代表が職場の実情を訴えました。

【労使自主解決を追求し精力的な交渉を実施】
 11月11日の小委員会交渉では、当局から新たに「新型コロナウイルス感染症に係る慶弔休暇(結婚休暇)の特例について」(始期を1年先送りする特例)の提案があり、その場で了解しました。
 「旅費制度の見直しについて」も修正案が示されました。修正案は、旅行雑費の廃止対象から近接地外の赴任を除外することとし、島しょ等への赴任の際の旅行雑費等は従来通り支給されるとするもので、当局は提案の趣旨を損なわず、都労連の指摘に応える踏み込んだ案であると説明しました。
 また、例月給の勧告が未だ実施されていない異例の状況でも都労連要求に対して対応が可能なものについては示してきたと述べ、都政を取り巻く環境が厳しい状況だからこそ職員の勤務条件については都民の理解と納得を得る必要があり、勧告は重く受け止めて最終的な回答の検討を行うとしました。そして、今回提案している見直し案も含め、労使における一定の到達点が導き出せるよう、都労連要求についても引き続き検討を進めるとしました。
 都労連は、今年の結婚休暇の始期を1年先送りできるとする提案については、都労連要求の前進につながるものであることから了解し、速やかに職場に周知するよう申し入れました。また、結婚休暇の日数増と分離取得を可能とする要求の実現に向けて更なる改善を検討するよう求めました。
 旅費制度見直し提案の修正案については、島しょ職員への影響を考慮したことは一定評価しましたが、この修正案では、見直しとは言えない内容であることを批判しました。そして、システム対象外や概算払いも含めた旅行雑費の支給状況を把握しないまま、都政構造改革を進めるためとして、拙速に旅費制度の見直し・旅行雑費の廃止を行おうとすることは認められないとし、旅費制度見直し提案は撤回し、再検討することを改めて強く求めました。
 最後に、都労連は、都労連要求に対して3つの提案以外に何ら示されていないことは納得できない。都民の理解と納得を引き続き得る必要があるなら、感染症対策に対する職員の奮闘を、自信を持って説明し理解を得ればいいと主張しました。そして、年末一時金を全額期末手当で2.5月分支給し、全ての職員の賃上げを実現することを強く求めました。残された僅かな時間の中でも、引き続き要求について全力で検討し、交渉の場で議論し、労使交渉を尽くすことを求めました。

 

[3]1時間ストライキを背景に最後まで労使交渉による解決を求めた最終局面

 11月12日は、11時15分に単組代表者会議が招集され、単組書記長による労務担当部長要請を設定し、13時15分から要請を行ないました。要請では各単組から一時金引下げを許さないことや旅行雑費廃止反対との主張をしました。
 15時からは、都労連第2波総決起集会が開催され、都労連は都側の強硬姿勢を断じて許さず全面的に対決する。都労連六単組は固く団結し、明日の一時間ストライキを背景に、都側の不当な交渉姿勢を糾弾し、行政系・現業系・教員系人事任用制度改善、島しょ職員の処遇改善、会計年度任用職員及び任期付職員の処遇改善、福祉関連要求、LGBTに関する諸制度改善等、都労連要求の実現に向け、全力をあげ最後まで闘い抜くと決議しました。
 19時22分から単組代表者会議が再開され、当局より都労連委員長と副知事の会談の要請を受けたことについて報告があり、戦術委員会で申入れを受ける判断をしたことが示され、単組代表者会議でも承認されました。
 19時50分から都労連委員長と副知事との会談が行われました。
 その後、22時30分から単組代表者会議が再開され、最終案の提案について議論し、23時04分にストライキ中止の決断を合意しました。
 都庁職は、23時15分から拡大闘争委員会を開催し、最終案の議論をした後、23時36分に拡大闘争委員会での確認を得ました。
 都労連は、14日0時から専門委員会交渉、0時30分より小委員会交渉を行い、交渉事項について最終的な回答が示されました。その後、0時50分から団体交渉が行われ、年末一時金の最終回答がありました。

 

[4]都庁職の取り組みについて

 都庁職は、都労連2020賃金確定闘争を担う六単組の一員として、他単組と共に、対人事委員会署名、早朝宣伝行動、職場宣伝ステッカー闘争、任命権者要請、一時金要求実現対都要請行動、2波にわたる総決起集会を積極的に取り組みました。
 今期の闘争は、勧告が大幅に遅れたことにより短期間の闘いとなりましたが、都庁職としても全力で取り組んできました。とりわけ人事委員会要請署名については、短期間の取組でしたが前年を上回る署名を集約することができました。
 都労連に提案のあった、都教育委員会職員の共済制度の見直しについては、教育庁と関係単組との交渉に委ねるとされたことから、都庁職は教育庁支部、都立学校支部とともに教育委員会との交渉を重ねてきました。

 

[5]2020年末一時金闘争期における到達点について

 2020賃金闘争は、新型コロナウイルス感染症の影響で人事院・人事委員会の民間給与実態調査が遅れ、東京都人事委員会は一時金のみを先行して勧告するというこれまでにない状況での闘いとなりました。
 国や特別区、他のほとんどの自治体で一時金0.05月の引き下げが勧告される中、その倍の0.10月の引き下げ、再任用職員についても引き下げるという不当な東京都人事委員会勧告の下、当局は一時金について、都政を取り巻く環境が厳しい状況だからこそ職員の勤務条件については都民の理解と納得を得る必要があり、給与勧告を重く受け止めて最終的な回答の検討を行うとし、不当な人事委員会勧告に固執する態度を変えませんでした。
 私たちは、厳しい環境の中での職員の奮闘に報いる賃上げを求めてきましたが、残念ながら一時金のマイナス勧告の壁を超えることはできませんでした。期末手当が引き下げられたことにより、常勤職員と同じ月数分の期末手当のみが支給されている会計年度任用職員に削減が波及したことは、残念でなりません。
 旅行雑費の廃止については、出張時の通信連絡費等が本人負担となることから提案の撤回と再考を求めてきました。妥結結果では、交通費実費を全額支給したうえで、旅行中の公務に係る通話料金等について携帯電話の公私分計サービス等により措置を講ずることとなり、実施時期を2021年度に先延ばしすることとなりました。これにより、今まで距離や出張時間数で旅行雑費が支給されていなかった場合やテレワーク時の連絡にも対応することが可能になります。
 都教育委員会職員の共済組合の見直しについては、法制度上の措置であることから制度移行はやむを得ないものであるが、約60年続いてきたものの見直しであり、短期給付にかかる掛金などに違いがあることから、円滑な制度移行と当該職員への丁寧な説明を行うことを確認したうえで合意しました。
 介護休暇等の対象者に同性パートナーを含めた同一世帯の者に拡大したことは要求の一歩前進ではありますが、異性のパートナーを持つ職員と同性のパートナーを持つ職員との区別をなくすことを求めている私たちの要求に対して不十分なものと言わざるを得ません。
 その他にも、会計年度任用職員の時間単位の子どもの看護休暇及び短期の介護休暇、慶弔休暇(結婚休暇)及び長期勤続休暇の特例措置等についても一定の前進を得ることとなりました。
 今回の妥結内容は私たちの要求からすれば厳しい内容ではありますが、都庁職として年末一時金等に労使合意を図って妥結する都労連の判断を受け入れるものです。
 今期の闘争は第一段階であり、今後、例月給勧告を受けて「人事給与制度に関する改善要求」等の諸要求について闘争が行われることとなります。
 都庁職として、引き続く賃金闘争と9月に提出した都庁職要求の実現に向けて、休むことなく進めていかなければなりません。都庁職は、支部・組合員のみなさんとともに、要求実現に向け闘いを進めていきます。

 

以上

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