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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
2019年秋季年末闘争の決着にあたって

 

2019年11月14日
東京都労働組合連合会

 

 都労連は、10月3日に開催した第1回中央委員会で、2019年賃金確定闘争を“不当な人事委員会勧告のもとで3年連続の給料表の改定見送りとなり、職員の実質賃金が減り続けている状況を打開し、全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げの実現を都側に迫る闘い”と位置付けた「2019年秋季年末闘争方針」を決定し、方針に基づいて労使交渉と諸行動を展開し、組織の総力を挙げて2019年賃金確定闘争を全力で闘ってきました。
 2019年賃金確定闘争に全力で取り組んだ闘いの経過とその到達点である11月13日の都側最終回答を踏まえ、2019年の賃金確定交渉について、労使合意を図り妥結することとし、各単組の批准を求めます。

 

[T]2019年賃金確定闘争の経過

 

(略)

 

[U]都側最終回答と都労連の判断

 

1 都側の最終回答

 

(1)人事委員会勧告の取扱いについて

○ 特別給
 ・勧告どおり0.05月引上げ(4.6月→4.65月)
 ※第4回都議会定例会で関係条例を議決後、できる限り速やかに支給

(2)都側提案「勤務時間の振分け割合の見直し」について

○ 本庁職場における勤務時間の振分け割合を見直し
 ・9本の勤務時間帯(7:00始業から11:00始業まで)を設定している職場の場合、公務の運営に支障がない範囲で、所属長が勤務時間を割振り
 ・A班(8:30始業)及びB班(9:00始業)に振り分ける職員の割合「最低6割程度」→「設定なし」
○ 実施時期:2020年1月1日

(3)都労連要求について

@栄養教諭制度の見直し

○栄養教諭について、主任栄養教諭への昇任を可能とするとともに、主幹教諭(栄養)及び教育管理職への昇任を可能とする見直しを実施
○実施時期:2020年4月1日
○栄養教諭の主任教諭選考は、2020年度から実施

A不妊症・不育症に係る休暇の整備

○不妊症・不育症の各種検査、治療及び療養を病気休暇の対象に追加
○実施時期:2020年1月1日

B一般職非常勤職員の不妊症・不育症に係る傷病欠勤の見直し

○不妊症・不育症の各種検査、治療及び療養を傷病欠勤の対象に追加
○実施時期:2020年1月1日

C会計年度任用職員の不妊症・不育症に係る傷病欠勤の見直し

○不妊症・不育症の各種検査、治療及び療養を傷病欠勤の対象に追加
○実施時期:2020年4月1日

D臨時的任用教職員に係る勤勉手当の成績率の見直し

○臨時的任用教職員については、成績率対象外
○実施時期:2020年6月に支給する勤勉手当から適用

E育児休業中等の職員に係る主任級職選考の取扱い

○主任級職選考において、育児休業又は配偶者同行休業を取得している職員も、論文等の受験が可能となるよう人事委員会と調整

F総務局支庁職員住宅へのエアコン設置検討

○島しょ地域の実態を踏まえ、職員住宅の維持管理経費削減と長寿命化を図る観点から、総務局所管の支庁職員住宅への段階的なエアコン設置を検討

G「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」関連

○「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」の進捗状況や今後の方向性について、今年度労使での意見交換を実施

Hパワー・ハラスメント関連
○パワー・ハラスメントの発生しない職場づくりに向けて、来年度労使での意見交換を実施

(4)夏季一時金交渉の取扱い

○2020年度の夏季一時金交渉については、小委員会で実施

(5)在宅勤務型テレワークの上限日数の取扱い

○育児、介護及び妊娠中の職員並びに負傷、疾病及び障害により通勤の負担が大きい職員における在宅勤務型テレワークの上限日数の取扱いを柔軟化
 ・「週2日分」→「月10日分」
○実施時期:2020年1月1日

 

2 闘いの到達点と都労連の判断

 

(1)闘いの到達点

@勧告の取扱い、業務職給料表について

〇勧告の取扱い
 全ての職員の生活改善につながる大幅賃上げを要求しましたが、実現することができず、事実上4年連続の給料表改定なし・据置勧告の壁を打ち破ることはできませんでした。初任給の改善についても、大卒・高卒とも国家公務員を下回り、高卒V類の初任給では、地域手当を含まない給料表月額を時間単価に換算すると東京都の最低賃金を下回ることから、改善を求めましたが実現できませんでした。
 国や他団体を大きく上回るとして、都側が最後まで慎重に検討するとしたボーナス(勤勉手当)については、勧告どおりの引上げを確保することができました。引上げに伴う増額分の支給については、年内精算を図ることができました。
〇業務職給料表
 業務職給料表の作成方針を見直し、賃金水準を改善することを求めましたが、現行の方針を変えさせることはできませんでした。行(一)給料表が改定されなかったことに伴い、業務職給料表についても改定なしとなり、初任給の改善も実現することができませんでした。

A都側提案「勤務時間の振分け割合の見直し」について

 職場実態から乖離し、職場のチームワークを阻害する可能性のあるA・B班の振分け割合を廃止し、振分け割合の設定を所属長に一任する提案については、取り下げを求めてきましたが、当初提案どおりとなりました。交渉での都労連の指摘や要請行動での単組代表・職場代表の意見を踏まえて、公務の運営に支障が出ないよう丁寧に進めるとの回答を引き出しましたので、職場段階での労使協議により一方的な割合の設定をさせない取組が必要です。

B 都労連要求について

〇栄養教諭制度の見直し
 2級止まりとなっていた栄養教諭について、都労連要求どおり3級昇任の道を確保することができました。内容の詳細に関する任命権者と関係単組との協議も調い、要求を実現することができました。
○不妊症・不育症に係る休暇の整備
 切実な要求として要請行動でも発言があった要求事項でしたが、病気休暇として不妊症・不育症の各種検査、治療・療養について、有給で最大90日まで休暇を取得することが可能となりました。現行制度では、他の傷病の場合対象外である事前検査も対象となり、男女ともに制度利用できることも大きな前進です。時間単位の取得については、今後の課題です。
〇一般職非常勤職員の不妊症・不育症に係る傷病欠勤の見直し
〇会計年度任用職員の不妊症・不育症に係る傷病欠勤の見直し
 常勤職員への制度導入に伴い、不妊症・不育症の各種検査、治療・療養を対象としており、要求の前進ですが、報酬額が減給される無給扱いの傷病欠勤であり、今後は、有給化を求め、常勤職員との均等待遇を図る必要があります。
〇臨時的任用教職員に係る勤勉手当の成績率の見直し
 昨年の確定交渉で不満ながら妥結した成績率の見直しで「中位」とされる臨時的任用教職員について、その任用の実態から、任用毎に新規採用扱いとなり、常に成績率原資を拠出するだけとなってしまう不合理を是正させることができ、成績率の対象外として、条例月数分の勤勉手当を確保することができました。
○育児休業中等の職員に係る主任級職選考の取扱い
 都側が都労連要求の検討状況を示そうとしない中で、実現に向けた検討の方向性について交渉で示した事項です。都労連要求の直接的な実現ではありませんが、主任選考の受験負担の軽減や、男女の均等な機会確保につながるものです。
○総務局支庁職員住宅へのエアコン設置検討
 島しょ職員の賃金・労働条件改善要求については、この間、実現を図ることができませんでしたが、総務局所管の支庁職員の住宅が対象となりますが、段階的なエアコンの設置に向けた検討が進められることとなりました。今後は、予算を確保することを引き続き求めるとともに、教育庁所管の教職員住宅や各局所管の職務住宅でも同様の措置がとられるよう単組による取組が必要です。
○「東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン」関連
 昨年の確定交渉と同様に、労使の意見交換にとどまっていますが、必要な意見交換を行うとともに、労使交渉により議論を深めることができるよう都側に求める必要があります。
○パワー・ハラスメント関連
 ハラスメント防止対策に関わっては、5月に職場のパワー・ハラスメントの防止を企業に義務付ける改正労働施策総合推進法が成立し、6月のILO総会で職場における暴力とハラスメントを禁止する条約が採択されたという国内外の情勢の進展のもとで、実効あるパワー・ハラスメント防止指針の策定を要求しましたが、実現することができませんでした。今後も、労政審の審議や人事院の公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会の審議内容も踏まえながら、東京都として速やかに防止指針を策定するよう要求する必要があります。

C夏季一時金交渉の取扱い

 都側から、唐突に見直しの検討の必要があるとの認識が示された夏季一時金交渉の持ち方については、交渉自体の必要性にまで踏み込もうとする都側を押しとどめ、賃金・労働条件の全てを労使交渉で決着するという原則を貫き、東京2020大会が開催される来年度に限り、小委員会交渉事項とすることで決着を図りました。

(2)都労連の判断
 今次確定闘争は、事実上4年連続の給料表の改定見送りと勤勉手当の引上げが6年連続となった不当勧告のもとでの闘いとなりました。
 都側は、職員の生活悪化をもたらす不当な人事委員会勧告の勤勉手当0.05月分の引上げについて、引き続き国や他団体と比較して突出して高い支給月数など強調して、ことさら問題視し、職員の勤務条件に注がれる都民からの視線は、これまで以上に厳しいものとなるのは必至とし、最後まで慎重に検討するという考えを示し続けました。
 また都側は、現行制度による昇給は、この4月に行われただけで、運用状況に関する労使の検証も議論も不十分なまま、より一層の職責・能力・業績の給与への反映に向けて検討を進めることに固執し、最後まで昇給制度の見直しを諦めませんでした。さらには、東京2020大会の準備に万全を期すことなどを理由に、唐突に夏季一時金交渉の持ち方の見直しを検討する必要があるとの認識を示し、限られた期間にも関わらず、都労連にとって受け入れがたい課題を労使交渉に持ち込みました。
 その一方で、早い時期から提出している都労連要求に対して、具体的な検討状況も示さないまま事実上のゼロ回答を示し、確定交渉の終盤では、要求について全力で検討しているとしながら、交渉設定になかなか応じようとしない不誠実で不当な交渉姿勢をとり続けました。
 都労連は、労使交渉を膠着状態に陥らせるこれまでの都側の態度を許さないため、労使の信頼関係のもと、労使交渉を尽くして解決を図るという原則的な交渉姿勢を貫き、要求の検討状況を交渉の場で示すよう粘り強く求めて、都側を交渉の場から逃がさない努力を続けながら、2回にわたる単組代表・職場代表による要請行動で、様々な職種や職場の組合員から、困難な職場実態と都労連要求の実現を求める切実な声を都側にぶつけ要求実現を迫ってきました。また、人事委員会勧告以降、4週間に5回の総決起集会を開催し、新宿本庁舎前の早朝宣伝行動を2回実施して、都労連要求に対して否定的な都側の姿勢を厳しく糾弾し、都労連要求の実現を求める各単組と職場組合員の強い意思を都側に示してきました。
 労使交渉を尽くし解決を図るという原則的な都労連の交渉姿勢と、職場組合員が結集した大衆的な行動の力によって、都側が最後まで諦めなかった昇給制度の見直しをこの確定期において断念させることができました。また同時に都側が目論んだ、昇給制度の見直し、夏季一時金交渉の持ち方の見直し、勧告の取扱いの一体的解決を阻止し、勤勉手当ではありますが、勧告どおりの一時金の支給月数増を都側に判断させるとともに、栄養教諭制度の見直しや不妊症・不育症治療のための制度の創設など、要求の前進を勝ち取ることができました。
 しかし一方で、ベースアップや初任給の改善を実現することができず、非常勤職員・会計年度任用職員の要求の前進を図ることや、任期満了が近づいている4条任期付職員の処遇改善と雇用の継続をこの確定期交渉で解決することができないなど、多くの課題を残しました。また、見直し提案を阻止した昇給制度については、能力・業績主義を強化し、より一層の職責・能力・業績の給与への反映を目指す都側の考えは依然として変わっておらず、定年年齢の延長に伴う人事制度全般の議論の中で再浮上することは必至です。
 今回実現できなかった課題については、今次確定闘争の総括を行うとともに、都労連要求を再構築し、春闘期の取組や夏季一時金闘争、そして来年度の賃金確定闘争で前進を勝ち取るため準備を進めることが必要です。
 以上のように、厳しく不満の残る結果となりましたが、職場宣伝行動、総決起集会、対都要請行動などの大衆行動と統一1時間ストライキを背景に、あくまでも労使交渉による自主決着を図るため、粘り強く闘い抜いた都労連と各単組の闘いの到達点として、都側最終回答をもって妥結する判断を行い、各単組に批准を求め、2019年秋季年末闘争の決着を図ることとします。

 

団体交渉発言骨子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、人事委員会勧告の取扱いについて申し上げます。
 特別給については、勧告の内容どおり、勤勉手当の年間支給月数を0.05月分引き上げて2.05月分とし、再任用職員についても0.05月分引き上げて、1.0月分といたします。そのため、各期に支給する勤勉手当の月数は、6月期、12月期ともに1.025月分、再任用職員についても、0.5月分とします。
 したがって、皆さんから要求のありました本年の年末一時金については、期末手当を1.3月、勤勉手当を1.05月、合計2.35月分を、再任用職員については、期末手当を0.725月、勤勉手当を0.525月、合計1.25月分を支給いたします。
 また、例月給については勧告どおり据置きといたします。
 その他、勤務時間制度などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 皆さんから強い要求があった不妊治療等に係る休暇につきましては、知事から特に指示があったことから整備いたします。
 以上の内容で、必要な議案を第4回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 なお、年末一時金の支給日は、12月10日といたしますが、今回の引上げに伴う増額分については、議決後、できる限り速やかに支給できるよう、手続を進めてまいります。
 また、来年に迫った東京2020大会の成功に向けて、改めて皆さんの協力をお願い申し上げるとともに、来年6月期の夏季一時金に係る交渉については、小委員会において実施することといたします。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 今期の交渉は、勧告の取扱いや、多様で柔軟な働き方への見直しなどを中心に、労使の考え方が鋭く対立する厳しい交渉となりました。職責・能力・業績に基づく処遇の徹底が不可欠とする私どもの姿勢に対し、現場の声を踏まえ見解を改めるよう、皆さんから再三強いご指摘もいただきました。
 しかし、皆さんには、解決困難な課題に対しても真摯に協議に応じていただき、大変重い決断をしていただいたことで、こうした難局を乗り切ることができたものと考えています。
 都政を取り巻く環境が大きく変わる中、様々な課題に対応していくためには、都政改革を推進していく必要があります。
 こうした中にあっても、日々都政を支えている職員の勤務条件については、都民の理解と納得が得られるよう、今後も引き続き、皆さんと協議を尽くし、課題を解決してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 私からは以上です。

 

都労連

 ただいま、勧告の取扱いをはじめ、最終回答が示されました。
 労使交渉が難航した原因は、昇給制度見直しに拘る、都側の頑なな姿勢にあります。最終回答は、組合員にとって不満な内容もありますが、都民生活に責任を持つ立場から、これ以上、対立を深めることは避けなければなりません。
 都労連も、現下の厳しい情勢は認識しています。しかし、厳しい職場実態にあっても、職員は、日夜、公共サービス・公教育を支えています。
 そうした職員が、意欲を持って、職務に従事できる環境を整えることが、都側の責務です。職員の人事給与制度の改善について、引き続き、労使交渉を尽くして解決することを求めておきます。
 そのうえで、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。
 私からは以上です。

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