都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
HOME 都庁職へようこそ 見解 都庁職新聞 ギャラリー リンク
HOME > 都庁職新聞 > 2019年10月号
都庁職新聞
 
事実上4年連続の給料表据置き
中堅・ベテラン層は5年連続据置
特別給は6年連続増(0.05月分)

 

2019年東京都人事委員会勧告に対する都庁職の見解と態度

 

【1】はじめに

 

 10月16日、東京都人事委員会は、都議会議長及び都知事に対し「職員の給与に関する報告と勧告」と「人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)」を行いました。
 勧告のポイントでは、例月給は、公民較差(47円、0・01%)は極めて小さいため、改定を見送り、特別給は年間支給月数を0・05月分引上げ、全て勤勉手当に配分しています。
 特別給は、6年連続で引上げたものの、例月給は事実上4年連続で据置きという私たちの期待を裏切る不当な勧告であり、到底容認できません。

 

【2】2019年人事院勧告及び他団体の状況

 

(省略)

 

【3】東京都人事委員会勧告の内容と問題点

 

 都庁職は、8月7日に出された人事院勧告を受け、8月20日、東京都人事委員会に対して、大都市東京に暮らす職員の生活実態を踏まえた勧告を行うことを重点に24項目の要請を実施しました。
 都労連指令に基づく全職員を対象とした人事委員会要請署名の取組は都労連全体で2万8千筆を超えました。また、ステッカー闘争などに職場・支部をあげて取組んできました。
 しかし都人事委員会は、能力・業績を反映した給与制度の更なる進展の重要性を強調し、都側と同じ課題認識を繰り返す不誠実な態度に終始してきました。

 

1.例月給の較差と給料の改定

 

 勧告では、本年4月における都職員の平均給与が401、164円であるのに対し、民間給与実態調査による民間従業員の平均賃金が401、211円であったとして、例月給の公民較差を47円(0・01%)としました。
 しかし、都人事委員会が算出した民間賃金の地域差は、全国を100として東京都は124・5としており、都職員と国家公務員との給与水準比較では国家公務員の指数が100に対し、都職員の指数は101・4となっています。
 また、今春闘の民間企業の賃上げ結果は、連合加盟全組合の平均で2・07%(5、997円)、春闘共闘の平均で2・05%(5、918円)でした。また、日本経団連加盟の中小企業でも1・89%(4、815円)の賃上げとなっています。
 都人事委員会勧告が低額になった要因は、2006年以降に比較対象の企業規模などが50人以上に改悪されたことと、比較するデータを公表しないラスパイレス方式によって行っていることにあることは明らかです。現在の比較方法では、東京の民間賃金水準を精確に都職員の給与に反映することはできません。
 例月給については「本年の公民較差は現行の給料表の最低単位(100円)に満たない極めて小さいものであり、職員の給与が民間従業員の給与を下回っているものの、公民の給与はほぼ均衡している状況にある」として、例月給の増額改定を見送りとしています。
 東京都職員の給料表全体は事実上4年連続で増額改定が見送られ、給与の公民較差は是正されていません。特に、1級・2級の中堅・ベテラン職員は5年連続で増額改定が見送られました。
 全ての職員の大幅な賃上げを求めてきた都労連・都庁職の要請を拒否し、中堅・ベテラン職員の働く意欲を挫く不当な勧告です。

 

2.初任給

 

 初任給の改善は勧告されませんでした。東京都職員の初任給は、昨年の勧告に基づき今年の4月から1、000円の引上げが行われました。しかし、今年の人事院勧告では、大卒程度の初任給は1、500円・高卒程度は2、000円の引上げが勧告されました。そのため、勧告後の初任給を比較すると、大卒初任給は3、000円、高卒は5、000円も都の方が国家公務員を下回ることになります。また、高卒V類の初任給の給与月額は、地域手当を含めずに1時間単価に換算すると947円となり、今年10月からの東京都の最低賃金1、013円を下回ります。最低賃金の引上げを考慮しない高卒初任給の据置きは重大な問題です。

 

3.特別給

 

 勧告では、特別給は民間支給割合が4・63月であり、都の現行4・60月を0・03月分上回っていることから、年間支給月数を0・05月分引上げて4・65月としています。また、再任用職員については、0・05月分引上げて2・45月分としています。特別給の引上げは、民間従業員の特別給における考課査定分の割合及び国の勧告内容を考慮し、勤勉手当で行うことが適当であるとしています。
 特別給は、6年連続の引上げ勧告となります。
 しかし、都人事委員会の資料では、特別給の支給割合は、1、000人以上の企業で年間4・99月であり、私たちの要求からすれば、特別給のこの引上げ幅では到底納得できる内容ではありません。また、私たちは、特別給を全て期末手当での支給することを要求していますが、勧告を実施すれば年間の期末手当は2・60月、勤勉手当は2・05月となり、勤勉手当の割合が43・5%から44・1%に拡大するという、不満な内容となっています。

 

4.諸手当

 

 諸手当に関する改善は勧告されませんでした。

 

5.高齢層職員の給与

 

 勧告では、再任用職員の特別給は、0・05月分の引上げをすべて勤勉手当へ配分しています。年間の期末手当は1・45月、勤勉手当は1・00月となり、一時金に占める勤勉手当の割合は、再任用職員についても38・3%から39・6%に増大しています。人事院は再任用職員の支給月数引上げを勧告しませんでしたが、都人事委員会が、都労連・都庁職の要請を勧告に反映し、再任用職員にも0・05月分の引上げを勧告したことは評価できます。
 しかし、再任用職員の給料月額の引上げや定年前職員同様の生活関連手当の支給などについては言及しておらず、都労連・都庁職が継続して求めてきた高齢層職員の給与水準の改善は全く行われていません。

 

6.定年引上げ

 

 定年引上げについては、「役職定年制や定年前の再任用短時間勤務制等の在り方など、都の実情に合った制度の検討を進めることが必要」と述べるに止めています。定年引上げについては、労使交渉事項であり、労使への介入とならないよう対応するよう求めた都労連・都庁職の要請を受け止めたものと考えます。

 

7.職務級の更なる進展等

 

 都人事委員会は、職務給の更なる進展等に言及し、昨年と同様に行政職給料表(一)1級・2級について、「上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の視点から、引き続き適切な対応を検討」していくことを強調しています。
 これは、都側の主張を後押しする意見であり、中立・公正な第三者機関としての役割と責任を放棄したものと言わざるを得ません。また、都庁職はこの間、給料表の構造については、都職員の生計費保障を基本に改善を図り、この間の昇給カーブのフラット化を是正することや、行政職給料表(一)1級・2級の引下げを行わないことを都人事委員会に要請してきました。この要請に完全に背を向けるものであり、絶対に容認することはできません。

 

8.人事制度及び勤務環境等に関する報告

 

 「人材の確保と活用」における「多様な人材の活躍推進」の中で「行政専門職の更なる拡充など複線型任用体系の一掃の強化を図る」としています。
 障害者雇用については、法改正を踏まえ、職場のサポート体制の強化が必要としています。また、新たな常勤職の設置に向け、職種などの人事制度について検討を進めることが必要としています。これは、都庁職の要求を一定反映したものです。
 「会計年度任用職員制度への円滑な移行を図るため、任用根拠を適切に整理するとともに、任用手続きや報酬等の支給方法などの制度運用について十分な検討が必要」と述べるに止めています。会計年度任用職員制度導入に関わる制度改正等の大枠合意後、引き続き労使交渉中であることを踏まえた対応を求めた都労連・都庁職の要請を踏まえたものであると言えます。

 

9.働き方改革と職員の勤務環境の整備

 

 働き方改革と職員の勤務環境の整備では、ライフ・ワーク・バランスの推進、職員の勤務環境の整備、公務員倫理の徹底などについて報告しています。
 報告では、長時間労働の是正、勤務間インターバル及び連続勤務の禁止についての検証と必要な措置の検討、議会対応業務の見直し、「学校における働き方改革推進プラン」等に基づく取組の継続的推進、時差勤務及びフレックスタイム制やテレワーク等の利用の効果検証等と制度導入職場の拡大を含めた検討、男性職員の育児休業取得促進、パワハラのない職場作り、セク・ハラやマタ・ハラ防止の取組推進、メンタルヘルス対策などについて言及していますが、考え方を示すに止まっており、具体的な対応策は示されていません。

 

【4】都庁職の態度

 

 本年の東京都人事委員会勧告は、特別給こそ6年連続で引上げとなりましたが、全体として私達の期待を裏切り、大都市東京の民間賃金実態を精確に反映しない、極めて不当な勧告です。
 重大なことは、例月給の公民較差47円(0・01%)を是正するための給料表改定を行わず、事実上4年連続で給与が据え置かれたことです。特に1級・2級のベテラン職員は5年連続の給与の据置きになります。
 また、初任給は今年4月から1、000円引上げられましたが、今年、都人勧が初任給の引上げ勧告を行わなかったために、国家公務員との格差は一段と広がることになります。さらに、都内民間労働者の初任給とも較差が広がっており、高卒V類初任給の例月給は、東京都の最低賃金1、013円を下回るという重大な事態になっています。
 特別給の引上げ分を全て勤勉手当に配分したことは、職員の能力・業績を給与へ反映させることを狙いとしており、都人事委員会が「職責・能力・業績主義」の徹底を図る都側に加担する不当な内容です。
 今年の人事委員会勧告は、全体として、都労連・都庁職の要求に応えておらず、都側の主張を後押しするなど、中立・公正な第三者機関の役割と責任を放棄した不当な内容です。
 都労連は、不当勧告の押し付けを許さず、労使交渉による例月給・特別給の改善と、都労連諸要求の実現に向け全力で闘うとしています。また、勧告制度の限界を踏まえ、労使交渉で自主決着を図り、賃金・労働条件の改善を目指すことを表明しています。
 都庁職は、365日、24時間、都政の現場で働く全ての組合員が生活を維持し、誇りをもって働ける処遇改善を実現するために、職場・支部・分会からの運動を基軸にして取組を進めていきます。
 2019秋季闘争において、都労連六単組の統一と団結を固め、要求実現まで都庁職の組織の総力を上げて闘う決意です。

以上

 

2019年10月16日
東京都庁職員労働組合

ページのトップへ戻るページのトップへ戻る
 

Copyright (C) Tokyo metropolitangovernment laborunion.