都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
HOME 都庁職へようこそ 見解 都庁職新聞 ギャラリー リンク
HOME > 都庁職新聞 > 2017年11月号
都庁職新聞
 
2017年秋季年末闘争の決着にあたって

 

2017年11月22日
東京都労働組合連合会

 

 11月14日の団体交渉で、回答指定日を越えて交渉を継続することとなった2017年賃金確定闘争は、都労連が都側に通告した回答期日21日まで1週間という短期間での闘いとなりました。都労連と各単組は、この短期間の間に、闘争態勢を整え、早朝宣伝行動や総決起集会と都庁包囲デモを実施し、大衆行動の力で、労使交渉を押しあげる取組を行いました。
 都労連は、異例な交渉継続を都労連と各単組に判断させた責任を都側に自覚させ、不当提案の撤回と都労連要求の実現を求め続けましたが、15日以降、17日と20日の2回の交渉しか行わないという都側の不当で不誠実な交渉姿勢のもと、単組書記長による労務担当部長要請や単組委員長による総務局長要請を実施し、事態打開を図りながら闘ってきました。
 2017年賃金確定闘争について、以下のとおり、ごく短期間となった闘いの経過とその到達点である都側最終回答を踏まえ、都側と労使合意を図り妥結することとし、各単組の批准を求めることとします。

 

1 交渉継続となった団体交渉

(略)

 

2 継続した闘いの主な経過

(略)

 

3 回答期日11月21日の動き

(略)

 

4 都側最終回答と都労連の判断

(1)都側最終回答

 委員長・副知事会談並びに最終団体交渉及び小委員会交渉で都側から示された最終回答は次のとおりです。
(1)人事委員会勧告の取扱い
○特別給
 勧告どおり0.1月引上げ(4.4月→4.5月)
※第4回都議会定例会で関係条例を議決後、できる限り速やかに支給
(2)都側提案について
〇退職手当の見直し
 退職手当の支給水準を平均3.08%引下げ(当初提案▲3.27%)
・最高支給率:45月→43月(当初提案どおり)
・調整額単価:1,075円→1,100円(当初提案1,090円)
 実施時期:平成30年1月1日以降の退職者に適用(当初提案どおり)
〇昇給制度の見直し
 勤務成績に基づく昇給決定について、下位区分の適用を見直し
・総合評定「D」の職員:3号昇給→2号昇給(当初提案どおり)
・総合評定2年連続「D」の職員:2号昇給→1号昇給(当初提案どおり)行政職給料表(二)、医療職給料表(一)及び教育職給料表が適用される監督職層並びに全ての一般職層の職員を対象(修正案どおり)
 実施時期:平成31年4月1日(当初提案平成30年4月1日)
〇扶養手当の認定要件の見直し
 扶養親族の収入限度額を年間140万円未満から130万円未満に引下げ
 実施時期:平成30年4月1日(修正案どおり)
平成30年3月31日に年間収入額130万円以上140万円未満で認定されている扶養親族について、平成30年度においても年間収入額が130万円以上140万円未満と見込まれる場合、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間、経過措置として手当額の2分の1を支給
〇フレックスタイム制の導入(当初提案どおり)
 本庁職場にフレックスタイム制を導入
・4週間を単位期間とし、1単位155時間の範囲内で、1日当たり7時間45分よりも長い又は短い正規の勤務時間の割振りを行うことが可能
 対象:本庁職場のうち、時差勤務を導入している職場の職員
 ただし、再任用短時間勤務職員、育児短時間勤務職員、非常勤職員を除く
 実施時期:平成30年4月1日
〇一般職非常勤職員制度の見直し(当初提案どおり)
 一般職非常勤職員の対象範囲を拡大
・勤務日数:概ね月16日→概ね月11日から16日まで兼業許可の更なる弾力化を実施
 実施時期:平成30年4月1日
(3)都労連要求について
〇時間休の上限見直し
 現行5日としている時間単位の年次有給休暇の上限撤廃を可能に
 対象:全職員
 実施時期:平成30年4月1日
〇一般職非常勤職員の時間休の上限見直し常勤職員に準じ、現行5日としている時間単位の年次有給休暇の上限撤廃を可能に
 実施時期:平成30年4月1日
〇子どもの看護休暇の要件の見直し予防接種若しくは健康診断を受けさせる場合の承認について、「小学校就学前」と限定した要件を撤廃
 実施時期:平成30年1月1日
〇一般職非常勤職員の子どもの看護休暇の要件の見直し常勤職員に準じ、予防接種若しくは健康診断を受けさせる場合の承認について、「小学校就学前」と限定した要件を撤廃
 実施時期:平成30年1月1日
〇育児参加休暇の対象の見直し(11月20日提案)出産予定日前の育児参加休暇取得の対象となる「養育の必要がある子」の対象年齢を「小学校就学前」から「中学校就学前」に拡大
 実施時期:平成30年1月1日
〇時差勤務の見直し(11月12日提案)
出先事業所において、育児・介護及び通院などの場合に、日を単位とした勤務時間の設定が可能本庁職場における日単位設定の取得事由についても、育児・介護などに加えて、通院を追加
 実施時期:平成30年4月1日
〇退職手当における除算制度の見直し
退職手当における基本額の勤続期間、及び調整額期間について、育児短時間勤務を取得した期間に係る除算割合を見直し
・3分の1除算→除算なし
 実施時期:平成30年1月1日以降の退職者に適用
〇一般職非常勤職員への育児欠勤の導入(11月20日提案)育児欠勤を導入し、公募によらない再度任用における取扱いを緩和
・欠勤1日につき換算後3日(私事欠勤)→欠勤
 1日につき換算後1日(育児欠勤)
 実施時期:平成30年4月1日
〇認定技能職員制度の見直し
 局ごとの認定数算出方法について、当年度末の定年退職予定者分を前倒しで認定
・実施時期:平成29年度認定から実施(追加認定を実施)
 各局における認定上限数を算定する設定基準について、現員の5%程度から6%程度に拡大
・実施時期:平成30年度認定から実施
〇担任技能長職昇任選考の資格基準見直し
 資格基準の下限年齢を引下げ
・年齢要件:55歳以上60歳未満→54歳以上60歳未満
 実施時期:平成29年度選考から実施
〇フレックスタイム制及び時差勤務関連
 フレックスタイム制や時差勤務の実施状況について、来年度労使での検証を実施
〇昇給制度関連
 見直し後の昇給制度における下位区分の運用状況等について、平成31年度に労使での検証を実施
〇東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プラン関連
東京都職員ライフ・ワーク・バランス推進プランの進捗状況や今後の方向性について、今年度労使での意見交換を実施
〇定年引上げ関連定年引上げに係る論点整理について、来年度労使での意見交換を実施
〇マネジメント・レビュー関連
平成29年度から導入したマネジメント・レビューの実施状況について、来年度労使での意見交換を実施
〇パワー・ハラスメント関連
 パワー・ハラスメントの発生しない職場づくりに向けて、来年度労使での意見交換を実施
(2)都労連の判断
(1)回答指定日14日の団体交渉を受けて、都労連は、副知事の交渉継続の申し入れを拒否しないことによって、都側に強硬な姿勢に転じる口実を与えず、限られた短い時間であっても労使交渉により課題を解決するため、回答指定日を越えて賃金確定闘争の闘いを継続することを判断しました。労使が築き上げてきた交渉ルールからすれば、異常で異例な事態ですが、次の5点を継続した闘いで勝ち取ることを目指しました。
・勧告の取扱い、都労連要求への回答、都側提案と退職手当見直しを一体的に解決を図ろうとする都側の態度を打ち破り、課題ごとに判断を迫る
・都側に速やかに都労連要求の回答を示させ、労使交渉で要求実現を図る
・自らの提案に固執する都側の交渉姿勢を改めさせ、撤回を含めた都労連の主張を受け止め判断させる
・退職手当の見直しについて、国と同様の支給水準の見直しを図ろうとする都側に対し、あくまでも都の職員の実情を踏まえた判断をさせ、支給水準引き下げを阻止する
・不満な勧告ではあるが一時金0.10月引上げについては、最低限確保することとし、年内精算を勝ち取る
 しかし、再開した労使交渉は、誠意を持って協議を行っていきたいとする団体交渉での副知事発言とは異なり、都側の強硬な姿勢によって、労使交渉がほとんど行われない事実上の膠着状態といえる事態が続きました。
 単組書記長による労務担当部長要請や単組委員長による総務局長要請により事態の打開を図りながら闘いを進め、早朝宣伝行動、第7波総決起集会と都庁包囲デモを実施し職場から結集した組合員の怒りのシュプレヒコールを力に闘いを進めましたが、重い判断を行った各単組と組合員の期待からすれば、都側最終回答は厳しい内容となりました。
(2)勧告の取扱いと都側提案については、次のような結果となりました。
○勧告の取扱い
ボーナス(特別給)については、勧告どおり0.10月の勤勉手当引き上げを判断させましたが、全額を期末手当とすることはできませんでした。
〇退職手当の見直し
 支給水準については、国と同程度の3.27%を都独自の3.08%とさせ、大幅ではありませんが一定押し込むことができました。しかし、最高支給率については、当初提案どおりの43月を変えることができず、調整額単価の引き上げにより基本額による削減額の圧縮を図っていますが、職責差の縮小はできませんでした。都労連はポイント数による調整を求めましたが、5年前の大幅見直しを縮減するために設定した現行制度の枠組みのままとなっています。
〇昇給制度の見直し
 下位区分の付与率5%の医(一)・教育職への拡大を阻止しましたが、総合評定Dの職員の区分については、当初提案どおりとなり、実施時期を1年間先送りとすることにとどまりました。
〇扶養手当の認定要件の見直し昨年度からの引き続き協議事項でしたが、都側に実施を断念させることはできず、経過措置を設けさせ、激変緩和を行うこととなりました。
〇フレックスタイム制の導入
 超勤の縮減や長時間労働の是正につながらず、8時間労働制を破壊するものとして各単組からも要請行動で導入に反対する厳しい意見がありましたが、制度導入を何としても行いたいという都側の意思を変えさせることはできませんでした。時差勤務とともに実施状況を労使で検証することとしており、十分な検証と本人希望に限り実施するということを都側に厳守させる取組が必要です。
〇一般職非常勤職員制度の見直し
 当初提案どおりの実施となりますが、今回の見直しは、改正法の施行に先立って特別職の一部を一般職へ移行させることを目的としていますので、今後の制度改正の本格見直しに際して、臨時
・非常勤職員の処遇改善要求の実現とあわせて、都側との労使交渉を進める必要があります。
(3)都側提案については、厳しい結果となりましたが、都労連要求の実現に関しては、現業系任用制度の改善では、認定技能職員制度と担任技能長選考の見直しという貴重な前進を勝ち取ることができました。現業職員の3級への道を拡大することにつながる今回の結果を突破口として、今後、技能主任への昇任枠の拡大を更に追求し、現業賃金・任用制度改善の取組強化、要求実現に向けて闘う必要があります。
 時間休の上限の見直しも、知事部局や学校職場の行政系職員、現業職員の強い要求でしたが、全職員の上限撤廃を可能とすることができ、要求が実現しました。
 再任用職員の賃金水準の改善や島しょ職員の賃金・労働条件改善など、前進を図ることができなかった要求が多く残されています。現業の任用制度など粘り強い闘いで要求を実現したことを力に、改めて都労連要求を単組・職場から練り上げて、来年の確定闘争での前進を勝ち取るための準備を進めることが重要です。
 以上のように、回答指定日を越えて交渉を継続という重い判断を行い、都側に大幅な譲歩を迫って闘った結果としては、大変厳しく、不満なものとなりました。しかし、各単組が最後まで集中を切らすことなく闘争に結集し、総決起集会などの大衆行動を背景に、あくまでも労使交渉により労使自主決着を図るため粘り強く闘った都労連と各単組の闘いの到達点として、妥結する判断を行い、単組に批准を求め、2017年秋季年末闘争の決着を図ることとします。

 

団 体 交 渉 発 言 骨 子

 

都側

 それでは、私から申し上げます。
 はじめに、人事委員会勧告の取扱いについて申し上げます。
 特別給については、勤勉手当の年間支給月数を〇・一月分引き上げて一・九月分とし、再任用職員についても〇・〇五月分引き上げて、〇・九月分といたします。そのため、各期に支給する勤勉手当の月数は、六月期、十二月期ともに〇・九五月分、再任用職員についても、〇・四五月分とします。
 したがって、皆さんからの要求のありました本年の年末一時金については、勧告の内容どおり、期末手当を一・三七五月、勤勉手当を一・〇月、合計二・三七五月分を、再任用職員については、期末手当を〇・八月、勤勉手当を〇・四七五月、合計一・二七五月分を支給することといたします。
 また、例月給については勧告どおり据置きといたします。
 その他、退職手当などの取扱いについては、小委員会においてお示ししたとおりです。
 以上の内容で、必要な議案を第四回都議会定例会に提案する準備をいたします。
 なお、年末一時金の支給日は、十二月八日といたしますが、今回の引上げに伴う増額分については、議決後、できる限り速やかに支給できるよう、手続を進めてまいります。
 公営企業の職員につきましては、以上の内容をもって各管理者とよく協議していただきたいと思います。
 今期の交渉は、回答指定日当日においても国家公務員の給与及び退職手当の取扱いが確定しない中、皆さんにも重い判断をお願いして、協議を継続するという異例のものとなりました。
 全ての課題を一体として解決することが不可欠とする私どもの姿勢に対し、現場の声を踏まえ見解を求めるよう、皆さんから再三強いご指摘を頂くなど、労使の考え方が鋭く対立する、大変厳しい交渉となりました。
 しかし、皆さんには、解決困難な課題に対しても真摯に協議に応じていただき、労使双方が、これまで築きあげてきた信頼関係をもとに、労使協議により解決するという姿勢を最後まで貫き通した結果、この難局を乗り切ることができたものと考えております。
 皆さんにも、極めて重い決断をしていただいたと考えています。
 現在、景気は穏やかな回復基調が続いているものの、その先行きは楽観できる状況にはなく、さらに、国において、都財政に多大な影響を及ぼしかねない、地方消費税に関する議論が進められるなど、都政を取り巻く情勢は予断を許さない状況にあります。
 こうした中にあっても、給与をはじめとする職員の勤務条件については、都民の理解が得られるよう、今後も、皆さんと労使協議を尽くし、課題を解決してまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いします。私からは以上です。

 

都労連

 ただいま、勧告の取扱いをはじめ、最終回答が示されました。本年の賃金確定交渉は、都側の退職手当の見直しも含めて、全てを一体として解決を図るとする強硬姿勢によって、回答指定日に一切回答が示されないという極めて遺憾な事態となり、異例の継続交渉となりました。
 都労連は、労使の信頼関係に基づき、労使交渉を尽くす立場から、都側の継続交渉の申し入れを受け、大変重い決断を行いました。しかし、再開した労使交渉は、誠意を持って協議を行っていきたいとする、団体交渉での副知事発言とは異なり、都側の強硬姿勢によって、労使交渉はおろか、事実上の膠着状態とも言える事態が続いたと言わざるを得ません。都側は、労使双方が、これまで築き上げてきた信頼関係をもとに、労使協議により解決するという姿勢を最後まで貫き通したとしていますが、その姿勢と道義性を最後まで貫き通したのは、都労連であると明言いたします。今期交渉は、異例であったとは言え、今後の、労使関係や労使交渉のあり方について、大きな禍根を残したと言わざるを得ません。
 回答は、都労連が求めた最大限の努力とは言い難く、重い決断を行った全ての組合員の期待と心情を察すれば、程遠い厳しい内容であります。
 しかし、これ以上対立を深めることは、都民に責任ある立場からも、避けなければなりません。
 したがって、今期闘争の収束を図ることといたします。そのうえで、回答は持ち帰り、各単組で審議した後に返答いたします。私からは以上です。

ページのトップへ戻るページのトップへ戻る
 

Copyright (C) Tokyo metropolitangovernment laborunion.