2017勧告の解説と問題点
到底納得できない2年連続例月給の据置き
例月給は、職員の賃金が都内民間労働者の賃金を74円、0・02%下回っているが、おおむね均衡している状況にあり、較差が、給料表の最低単位である100円に満たない極めて小さいものであるとして、給料表や諸手当への配分が困難として改定を見送った。
人事院勧告の631円、0・15%という官民較差を昨年に続き大幅に下回っている。
人事委員会は、職員と都内民間労働者の給与比較は単純な平均値による比較ではなく、ラスパイレス方式により行っており、行(一)適用職員と同種の民間労働者の役職・学歴・年齢を同じくする者同士の4月分の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて給与水準を比較しているとの説明だが、それぞれのデータは公表されておらず、比較結果が示されているだけである。民間労働者の賃上げ状況や人事院の勧告と比べて一桁少ない東京都人事委員会が示した公民較差は、到底納得できるものではない。
人事委員会が資料で示した民間賃金の全国と東京の地域差は、全国を100として東京は122・8となっていることからも、昨年に引き続き、東京都職員の賃上げは行わないとする政治的な勧告と言わざるを得ない。
初任給については、今回、一切の改善を行わない勧告となっている。
4年連続特別給増は勤勉手当に配分
特別給(ボーナス)については、都内民間労働者の支給割合が年間4・51月分であり、職員の期末・勤勉手当の年間支給月数4・40月分を0・11月分上回っており、職員の支給月数を0・10月分(再任用職員0・05月分)引き上げて4・50月分(再任用職員2・35月分)とし、この間の支給月数増と同様に全てを勤勉手当に配分すると勧告した。
都内の1、000人以上規模の事業所ではボーナスの年間支給月数は4・89月となっており、東京都の職員数を考慮すれば、本来は、この支給月数で比較すべきである。
人事委員会は、「支給月数の引上げは、民間従業員の特別給における考課査定分の割合及び国の勧告内容を考慮し、勤勉手当で行うことが適当である」としているが、支給月数増が全職員に反映されないことは大きな問題である。
退職手当制度に言及
退職手当制度について、都においては、国の退職手当の見直しの動向を注視し、適切に対処していく必要がある、と言及している。
行(一)1・2級の給与水準見直し等について
2年前から人事委員会が勧告意見で言及している、行(一)1・2級の給与水準については、上位級とのバランスを考慮した昇給幅への是正の観点から、引き続き見直しを検討する考えを表明した。
高齢期雇用制度については、国が定年の引上げについて検討を始めたことについて触れつつも、東京都職員の定年延長について人事委員会が検討したという記述は認められない。定年退職後の雇用について、全ての職層にわたって、定年前に培ってきた専門的知識や経験を再任用により積極的に活用していくことが重要であると述べるにとどまっている。
臨時・非常勤職員については、2020年4月の改正地方公務員法及び改正地方自治法の施行に向け、都における臨時・非常勤職員制度のあり方について速やかに検討を進め、法改正への対応を図ることが必要としただけで、賃金・労働条件の改善に関わる言及はなかった。
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