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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職で学習会を開催「私たちの求める働き方改革」

 

 2017年7月6日、都庁職は東京法律事務所の笹山尚人弁護士に講師としてお越し頂き、学習会「私たちの求める働き方改革」を開催しました。
 学習会では最初に関根都庁職委員長が挨拶。続いて、東京都の「働き方改革」について、山下書記長が報告し、小池都知事就任後の当局のワーク・ライフ・バランスの動きや解決すべき課題、特区制度との関連などについての現状が報告されました。

労働時間の弾力化には弊害の発生も

 講師の笹山弁護士からは「柔軟で多様な働き方」の問題点について、約1時間のお話を受けました。
 1点目に東京都のテレワークやフレックスタイム制の試行理由は「ライフ・ワーク・バランス」であるが実は労働強化に繋がるのではないか?との疑念が提起されました。
 2点目に実態論として、日立やNECの成果主義賃金制度や裁量労働制、変形労働時間制度の弊害として都庁職病院支部の職場や東京都済生会中央病院事件の事例を紹介。労働時間の弾力化の問題点として、残業代を気にせず、配置人数や能力に関わらず業務を課し、できなくても「君の仕事の仕方が悪い」として責任転嫁することを指摘。長時間労働が構造的に発生することを明らかにしました。
 3点目に労働時間の法規制、労働時間弾力化の制度として変形労働時間制度とフレックスタイム制度について説明。「テレワーク」は法的定義や規制はないことも明らかにされました。


東京都の「働き方改革」をどう見るか

 4点目に東京都の「働き方改革」をどう見るかです。
 ワーク・ライフ・バランスは8時間労働制とセットの考え方が起源であること。米国で第三次産業に女性が進出する中で、仕事と「家事や育児とのバランス」で考える風潮として広まり始め、1980年代に女性差別撤廃条約の影響を強く受けて、欧米諸国の労働基準に仕事と家庭における責任の両立が盛り込まれるようになったこと。シングルや子どもを持たない男女労働者を含めた生活をトータルにとらえた営みの保障という考え方が発達したことが紹介されました。
 そして、安倍政権の「働き方改革」はこれに沿うものかの考察がされました。
 安倍政権は労働法制の規制緩和、正規の雇用維持放棄の流れを推進する政権で、安倍政権の労働法制改悪は(1)「無期転換請求権」の例外拡大、(2)派遣法改悪、(3)特区で「雇用指針」を作り「雇用労働相談センター」を創設などです。アベノミクスの結果、富裕層の資産増、自民党への企業・団体献金増などがもたらされました。一方で正規労働者は36万人減少、労働分配率は5%強低下、実質賃金低下、ワーキングプアは40万人強増、家計消費支出低下、貯蓄ゼロ世帯増、心の病による労災請求率増、過労死・過労自殺の認定件数増などの弊害が出ました。また労働法制の見直し構想で、裁量労働制の拡大による労働時間規制緩和、解雇の金銭解決制度の創設などが上げられていることが明らかにされました。
 東京都の「働き方改革」には、必要な人員の投入と労働時間管理の視点と対策が欠けており、変形労働時間制度などの弾力化は、労働力が不足している下で導入すると業務増と残業代の不払いが起こること。労働時間の実態をどう把握するかということ抜きに、労働者の健康や生活を確保するための施策は打ち出せないことが明らかにされました。


主役である都庁職員の要求に基づいた制度を

 笹山弁護士は、労働時間は、社会的に規定される部分もあって、自分と業務の都合だけで決められるものではないこと。人間の生活リズムの観点もあることを指摘。主役である都庁職員の実態に基づいて制度設計されなければならず、組合との協議や実態に対する声を踏まえた制度設計であるべきだと指摘されました。
 東京都の「働き方改革」の法的問題点として、労働法はナショナルミニマムで全国どこであっても法に定める基準は一律の必要があり、都庁だけが変形労働時間制度を導入することは特区法の下では許されず、地公法改正が必要になることが指摘されました。
 また、試行されている都庁の「フレックスタイム制度」は、民間の変形労働時間制度に近い制度ではないかとの指摘がありました。
 最後に(1)ワーク・ライフ・バランスの原点を忘れない制度設計か(2)いわゆる「サービス残業」などの実態を是正するものか(3)現場の意見と組合との協議をとりいれた制度設計になっているかという視点から、労働組合の要求を構築して欲しいと期待を込めてお話を終えられました。
 学習会には、約60名が参加しました。

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