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15秋季年末闘争の決着にあたって
2015年11月13日
東京都労働組合連合会
I 秋季年末闘争の経過
1.〜7.(略)
8.労務担当部長要請の実施後、断続的に窓口折衝を行い、膠着状態を打開して提案の撤回と要求の解決に向け、交渉で示せと迫ったが、都側が検討中と繰り返したため、11月12日朝の段階で、都労連から、時間がない、事態の打開と要求の決断を総務局長に要請すると迫り、単組委員長による局長要請を設定した。
11月12日10時から単組代表者会議を開催し、状況を報告するとともに意思一致を図り、11時から総務局長要請行動を展開した。各単組委員長から、職場実態を踏まえ厳しく要請し、都側の交渉姿勢を糾すとともに、提案の撤回と要求の決断を求めた。これに対し総務局長は、各単組の委員長から厳しい要請を受けた、労使協議で解決することに変わりはなく、早急に交渉責任者である副知事に相談し、最終的な考えをまとめたい、もう少し時間をいただきたい旨回答を行い、都労連はこれを確認し、早急に検討し解決案を示すことを求め要請を終えた。
15時30分から開催した第6波総決起集会は、多くの組合員の結集により、翌日のストライキ体制を万全に確立して、最後まで都側の不当提案を押し返し、要求の決断を迫る決意を固めて集会を成功させ、都庁包囲デモとシュプレヒコールによって組合員の怒りを都側に叩きつけた。
集会後、18時25分からの窓口折衝で、副知事が委員長に会いたいとの申入れがあり、直ちに戦術委員会を開催し、トップ会談に臨むことを確認し、19時15分から単組代表者会議を再開し、トップ会談に臨むとした判断を諮り、単組の了解を得た。
その後、19時45分から委員長と副知事の間で会談が持たれ、副知事から最終的な判断と回答が示された。トップ会談の報告を受けて、22時20分単組代表者会議を再開し、議論の上、22時54分に妥結することを確認し、ストライキの中止を判断した。
II 都側最終回答と都労連の見解と態度
1.都側最終回答の主な課題について
(略)
2.都労連の判断について
今次確定闘争は、きわめて困難な情勢のもとで闘い抜いてきた。
都労連は、組合員の要求の実現に全力をあげて交渉に臨み、労使交渉による自主決着という都労連の闘いの基調を堅持して闘争を進めてきた。しかし、臨時国会が召集されず、国の給与改定が来年にずれ込む情勢や、総務省の地方に対する圧力の高まり、国を上回る特別給の引き上げ勧告の中、都側が、都民の目線がますます厳しくなるとして、交渉態度を硬直化させ、交渉は困難を極めた。最終の小委員会及び団体交渉で都側が示した最終回答は、きわめて厳しい内容であったといわざるを得ない。
人事委員会勧告事項については、勧告通りとする最終回答であり、行政職給料表(一)の1・2級をはじめ各給料表で多くの職員が据置となり、また再任用職員の給与水準改善を見送った勧告を打破することができなかった。
成績率見直しについては、修正案の一律7%を引き下げ、また全職層同率とする提案・修正案について、課長代理・一般職層など職層に応じた率として、拠出額の増加割合の圧縮を図り、さらに定年前と再任用の一般職層については、来年度については3%とする経過措置を設けたが、加算原資の月数から率への変更と拡大を阻止することはできず、厳しい結果となった。なお、最終回答で、今回の制度見直し実施以降3年目に、改めてその実施状況を労使で検証することを確認したが、今後、人事考課制度に関する労使で議論を行い、制度改善を実現する糸口としなければならない。
級格付者の給料の取扱については、実施時期について改正地公法の施行日以降の2018年4月1日へと2年先送りとし、また、最高号給に切り替えられる職員について、現給保障を2年に限るとした修正案を押し返して、将来にわたる現給保障を確保したが、
元の級に戻すことは阻止することができず、厳しく重い回答となった。なお、交通局における人事給与制度見直しの労使合意を踏まえ、段階的な級切替後に対応する措置をとることとした。
勤務時間制度見直しについては、当初提案を押し返すことができず、業務への支障や超過勤務の増大など、懸念を残す結果となった。今後、詳細の対応は単組協議に委ねられるが、それぞれの職場実態を踏まえた対応が求められる。
元気回復行事に係る職務専念義務免除見直しについては、当初提案を押し返すことができない結果となった。
学校職員の給料の調整額見直しについては、修正案を踏まえて、確定交渉の回答指定日に拘らず、単組と任命権者の継続協議を確認した。引き続き、単組協議の状況を踏まえて、必要な対応をとることとする。
業務職給料表については、作成方針は維持する結果となったが、行政系と異なる現業系の任用制度の実態を踏まえて、行(一)1・2級の一定号給以降を据え置く勧告の影響を緩和する1級の給与改定を実現することができた。また、初任給については、行政系等と同様に増額1,600円とし、再任用職員については、都の行(一)再任用職員の平均改定率0.1%で各級について改定する最終回答となった。
都労連の要求事項については、人事制度改善要求に関しては、改正地方公務員法の施行に向けて、整理すべき標準的な職及び標準職務遂行能力の設定、転任・昇任、退職管理等について、今年度中の意見交換を実施することとさせた。また、来年4月に実施される課長代理級職の昇給に関して、来年度、3号給以下の付与状況に関する労使の検証にあたり、所属課長による本人通知の状況を把握し分析するとしており、来年度、労使交渉で昇給と業績評価制度等、人事制度改善要求実現に向けて、足掛かりとしなければならない。
教員系人事制度については、専修実習教員及び主任寄宿舎指導員の3級への根本的な任用制度改善は実現できなかったが、専修実習教員選考(長期)と主任寄宿舎指導員選考についても、歴及び下限年齢の基準を1歳早める改善を図ることができた。
しかし、人事考課制度をはじめとする人事制度改善要求、現業賃金・給与制度改善要求、再任用職員の給与水準改善や定年延長の実現を中心とする高齢期雇用制度、その他、職場環境改善要求、福祉関連要求、臨時・非常勤職員の処遇改善要求など、数多くの要求事項が未解決となる厳しい結果であり、今後の要求実現に向けて取組の強化が課題となった。
今次確定闘争の到達点は、都労連要求との関係で、組合員の期待からして厳しい内容となっている。都側提案事項、特に成績率と級格付者に関する見直しについては、厳しい内容であるが、提案と修正案を一定押し返すことができたのは、撤回を求めて闘った重要な到達点である。
厳しい最終回答の状況であるが、短期決戦となった今確定交渉期に、毎木曜日に連続5回にわたる総決起集会を開催し、最終局面では都庁包囲デモによって都庁舎をシュプレヒコールで包み込み、また早朝宣伝行動及び職場一斉宣伝、単組における所属長・局長・任命権者要請の実施、地区協による都民宣伝・議員要請など、各単組と組合員が闘い抜いた力によって得られた到達点として、妥結を判断する。
大都市協の仲間は、多くの政令市で昨年阻止した「給与制度の総合的見直し」勧告を強いられている状況にあり、さらに、国の給与改定が来年となる見込みが濃厚となる中で、都道府県をはじめ各自治体に対する総務省の圧力は、今後一層強まる状況と見ておかなければならない。こうした情勢に対しては警戒を強めながら、都労連は、今次確定闘争の総括を速やかに行い、方針を確立して、引き続く闘いに立ち上がる。
このことを前提として、賃金・労働条件はあらゆる介入を許さず、労使交渉で自主決着する都労連運動の闘いを強める決意を明らかにして、今期確定闘争の収拾を図り、一時金の判断も含め、各単組に批准を求めるものである。
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