2015年賃金確定闘争の妥結にあたっての都庁職の見解と態度
2015年11月13日
都庁職執行委員会
1 主な妥結内容
(略)
2 都庁職の見解と態度
【1】人事院・都人事委員会勧告と賃金闘争を取り巻く諸情勢について
(略)
【2】人事・給与制度改悪をめぐる当局提案について
(略)
【3】1時間ストライキを背景にした最終局面の交渉について
都労連は、11月12日を回答指定日としたうえで、11月13日に1時間ストライキの戦術を配置しました。加えて大衆行動として、11月2日・9日の早朝宣伝行動、回答指定日の11月12日に都庁包囲デモの実施を指令し、最終局面の交渉に臨みました。
11月6日の要請行動を受け、当局は11月8日の専門委員会・小委員会交渉において、成績率・級格付に関する修正案を提示しました。成績率については、成績率原資一律8%を一律7%にする、級格付については、切替日の給料月額が現給に達しない職員は2年間に限り現給を保障するとし、提案の趣旨を損なわず、都民への説明責任も果たせるギリギリの踏み込んだ案を示したとして理解を求めました。一方、都労連が解明要求を行っていた勤務時間制度見直し提案については、育児・介護を理由とする職員に対する配慮、業務への影響抑制などの回答を示しました。
さらに都労連要求についてはゼロ回答のままで、国家公務員の給与改定の動向や、国からの「助言」による事実上の圧力、税制改正の動きなど、情勢論を持ち出し合意を迫りました。
都労連は、現場からの要請行動を踏まえた交渉の場であるにも関わらず、小手先の修正でお茶を濁す交渉姿勢は断じて許せないとして、当局に対して厳しく抗議しました。特に級格付修正案に対しては、事実上の降格・降給を変えず2年間現給保障で糊塗することは、都政のベテランである格付者の貢献と誇りに泥を塗り生活破壊するもので、断じて認めないと反論しました。
その後、11月9日、11月10日の専門委員会や断続的に行われた窓口折衝交渉においても、当局は修正案をギリギリのものとして正当性について主張するものの、都労連要求に対しては「苦慮している」との発言に留まるなど、硬直的な態度を変えず、11月11日の専門委員会交渉においては交渉が事実上決裂する事態となりました。
この状況を打開するため、11月11日16時30分から単組書記長による労務担当部長要請行動が実施されました。労務担当部長は、労使による話し合いによる解決を図るため、「上司に伝えたうえで何ができるか踏み込んで検討を進めたい」として持ち帰りました。
回答指定日である11月12日8時30分の窓口折衝においては、最終日であるにも関わらず、依然として当局から具体的な検討結果が示されないため、11時から、単組代表者による総務局長要請が行われました。総務局長は、「交渉責任者である副知事と相談するので、もう少し時間をいただきたい」と回答しました。
15時30分には都労連第6波総決起集会、引き続き都庁包囲デモが実施され、多くの組合員が都庁舎に向けて最後の訴えを行いました。
11月12日18時35分、窓口折衝において当局から、「副知事が都労連委員長とお話したいと言っている」と連絡があり、19時45分からトップ会談が行われました。副知事から、当局の最終的な判断と回答が示され、これを受け22時54分に都労連単組代表者会議において妥結を確認、ストライキ中止の判断を行いました。
都庁職では、これを受け、都庁職執行委員会、拡大闘争委員会で都労連の単組代表者会議の確認を了承しました。また、11月13日0時03分、拡大闘争委員会において、ストライキを中止し「職場報告を実施していくこと」を確認しました。
【4】都庁職の取り組みについて
都庁職は、都労連2015賃金確定闘争を担う6単組の一員として、他単組と共に、対人事委員会署名、早朝宣伝行動、ステッカー闘争、対都要請行動、秋以降5波にわたる総決起集会、都庁包囲デモ等に積極的に取り組みました。ストライキ批准投票においては昨年以上の高率批准を勝ち取り、組織の総力を挙げて闘い抜く闘争体制を構築してきました。
また、都庁職独自の対当局要請行動については、11月5日に「2015賃金確定に関する都庁職要請」を実施しました。
【5】2015確定闘争の到達点について
(1)国家公務員給与の状況や地方財政問題を背景とした人事・給与制度改悪提案との闘い
15確定闘争は、通常秋に開会される臨時国会の開催が不可能となり給与法改正法案が可決されないなかで、多くの地方自治体が総務省の圧力を受ける異常な状況と、それを背景として、職責・能力・業績主義の一層の徹底を図りたい都当局の硬直的な交渉姿勢が特徴だと言えます。
当局は、「都庁 組織・人事改革ポリシー」の職責・能力・業績主義の一層の強化を目論み、国より高い一時金勧告にも言及しつつ、級格付者の取扱いと成績率の拠出拡大について、極めて硬直的な交渉態度に終始しました。
しかし、都庁職を含む都労連6単組は、職場における取り組みを土台に、局長・任命権者要請、2回の早朝宣伝行動、ステッカー闘争、確定期のみで5波におよぶ都庁前決起集会、都庁包囲デモ、ストライキ体制の構築を整然と実施してきました。
その結果、最大の争点となった級格付者の給料の取扱いについては、実施時期を2018年4月1日へ2年遅らせ、また現給保障については修正案の2年から制限なしとさせましたが、完全撤回には至りませんでした。一方、交通局における人事給与制度見直しの労使合意に対しては、段階的な級切替後に対応する見直し実施とさせることが出来ました。
成績率見直しについては、修正案の一律7%を引き下げ、課長代理層と主任・主事層のそれぞれについて拠出の拡大を圧縮させ、加えて1年間の経過措置をつけさせましたが、原資の拡大等を阻止することはできませんでした。
また、大変問題のある人事委員会勧告事項については、プラス勧告に基づきできる限り速やかな追給を約束させましたが、内容的には勧告通りの実施となるため、多くのベテラン職員が月例給が据置となり、再任用職員の給与水準の抜本改善も実現しませんでした。一方、業務職給料表については、作成方針は維持する結果となりましたが、人事院勧告の影響を若干緩和する改定となりました。
元気回復行事の職務専念義務免除見直しなど、当初提案通りとなってしまった内容もありますが、一方では、専修実習教員選考(長期)と主任寄宿舎指導員選考など、改善が一定進んだ部分もあります。
2015確定闘争の到達点は、焦点となった成績率と級格付者に関する見直しなど、厳しい内容もありますが、当局提案を一定押し返すことができたのは、職場から闘った重要な到達点であるといえます。
(2)高齢期雇用制度や人事制度・勤務時間制度の改善などの課題解決に全力で取り組む
最終団交において都労連委員長は、高齢期雇用制度の充実や人事制度の改善について言及しました。
都労連要求の実現が進まなかった「雇用と年金の確実な接続」については、無年金期間が2年間となるため、労使双方の喫緊の課題として解決することが急務となります。
人事制度改善要求に関しては、改正地方公務員法の施行に向けて、整理すべき標準的な職及び標準職務遂行能力の設定、転任・昇任、退職管理等について、労使の意見交換が実施されます。来年4月の昇給にあたっても、課長代理級職の3号給以下の付与状況について労使で検証することになりました。
都労連は、人事評価制度そのものを労使交渉で抜本的に改善することを求めていますが、我々の求める複線型人事制度をはじめとした人事制度全般の改善については、今回の到達点を足掛かりに、さらに前進させる必要があります。
勤務時間制度については、今回の時差勤務拡大の合意を受け、今後詳細について都庁職として単組協議を行うことになりますが、職場実態を踏まえて労使で議論し、都民サービスの低下や超過勤務の増大を招かないよう、丁寧な対応が求められています。また、都庁職として、今後の単組協議を足掛かりに、実効性のある超勤縮減を進める必要があります。
(3)都労連の「妥結合意」判断受け入れについて
今確定闘争の到達点については職場組合員にとって大変厳しい内容も含んでいます。
しかし、国の給与改定や地方財政をめぐる議論など、我々を取り巻く状況や、労使交渉による自主決着を図る立場から、都庁職としても、都労連の「ストライキ中止」・「妥結合意」の判断を受け入れるものです。
以 上
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