第38回都庁職障害をもつ組合員懇談会
障害者の課題は社会全体の課題
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各職場から約50名が参加 |
都庁職は、7月21日、弁護士の大胡田誠さんを講師に招き、学習会を行いました。障害当事者や支部役員など、約50名の参加がありました。大胡田さんの講演の概要を報告します。
国内には、身体障害者約392万人、知的障害者約74万人、精神障害者約320万人、計788万人の障害者が暮らしている。人口比16人〜17人に1人の割合だが、世界的には10人に1人の割合で障害者がいると言われているので、日本には障害を持つ人が潜在的にいると思われる。
日本では、障害者は、労働、教育、交通、サービス等様々な生活の場面において物理的なバリアや心のバリアに阻まれて、地域の中で自立した生活を営むことが困難になっている。
1980年頃、障害とは、その人の心身の機能障害と捉え、障害は訓練やリハビリによって克服されるべきものと考えられていた。しかし、2001年頃からは、障害を多様な人が生活していることを想定せずに作られた社会の不備と捉え、問題があるのは社会の側であり、社会を変えることでバリアを取り除かなければならないという考えに変更され、現在に至っている。
障害者差別解消法に基づく基本方針のポイント
基本方針のポイントは、第1に障害を理由とする差別の解消、第2に障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止にある。例えば、全盲の視覚障害者がアパートを借りる場合「火が出たら」とか「危ない」などの理由で部屋を貸さないことは差別にあたる。
第3に、合理的配慮の提供義務である。例えば、車いすで2階にある店に行きたい場合、店側は客の意思を尊重して合理的配慮の提供をしなければならない。
また、雇用促進法に関っては、第1に差別解消法との比較、第2に公務員関係と雇用促進法、第3に差別禁止の3つがポイントとなる。基本的な考え方は、全ての事業主は、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。
多くの公務員試験の障害者採用枠の募集条件に「活字文書に対応できる者」などの条件が付され、重度の視覚障害者は公務員になれない。これも差別だ。
課題として、ガイドラインにも人的サポートについての記載がない、中途障害についての合理的配慮の規定がない、通勤支援についての定めがない等だ。
制度ができても、個々人の差別的な意識が変わらなければ、社会全体も変わらない。差別意識を変える方法は、対話を通じてお互いを知り合うこと、サポートがあれば相当なことができるのだということを個々の障害者が示し続けることであると考える。
長年の闘いで、障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が法制化された。
改正障害者雇用促進法及びガイドラインのポイント
懇談会は、障害者差別と障害者の労働について深く考える機会となりました。障害者の課題は、障害当事者だけの課題ではなく、社会全体の課題であることが確認できました。
都庁職は、働き続けている障害当事者とともに、差別のない職場作りのために取り組んでいきます。
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