職場はいま 各支部リレー〈11〉
誰もが働き続けられる都立・公社病院に
病院支部
今回は、看護職場を取り上げます。病院支部の看護職場は多種多様で、病棟だけではないのですが、都立・公社病院での病棟看護に共通する問題と病院支部の取組を紹介します。
退職による欠員で年休がとれない
病棟看護を巡る労働問題は、複雑多岐です。
WHOの調査でも明らかなように、夜勤には、ある種の抗がん剤と同程度の発がんリスクがあります。ですから、夜勤回数は厳しく制限されなければいけません。また、夜勤を行う看護師は、常日勤者も同じ週休2日です。当たり前と思われるかもしれませんが、身体に負担がある夜勤を行う看護師の週労働時間が、常日勤者と同じで良いわけがありません。
ですから、看護師が健康に働き続けるためには、年休の計画的な消化が必要になります。ところが実際には、ほとんどの看護師が3交代で一ヵ月に10回以上、2交代では、一ヵ月に5回以上の夜勤を行っているのに、年休は10日間も消化できていない状況です。
そのため、退職が後を絶たず、欠員が発生し、さらに年休が取れない。それで、また夜勤が増えるという悪循環になっています。
超勤の深刻な実態が明らかに
労働環境を更に過酷にしているのが、労働時間管理の不徹底の問題です。都立・公社病院の病棟では、いわゆる「サービス残業」が常態化しています。
病院支部では、昨年36協定更新にむけて労働時間の調査を行いました。A病院では、210人の看護師が勤務時間前から働いており、その平均は34・4分で、勤務開始1時間前から働いていた職員が22人もいました。しかし、これらは超過勤務としては全く申請されていません。
勤務終了後の超過勤務も深刻な状況です。ここ数年の取組で改善された点もありますが、77人が超過勤務を行ったのに申請していませんでした。1時間以上超過勤務をしたにもかかわらず、全く超過勤務申請しなかった職員は11人、2時間以上は3人もいました。
問題の背景には、多くの看護師が労働者としての権利を知らないことがあります。支部では、笹山尚人弁護士による連載をニュースに掲載するなど教育・宣伝活動に力を入れています。
病院職場の異常な超過勤務の状態を解決し、誰もが働き続けられる職場をつくることが、安定して安全な医療サービスを提供する都立・公社病院の役割を果たすことに繋がるという確信をもって、今後の取組を強めます。
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