東京オリ・パラ成功と都民生活の質の向上は現場力がカギになる!
「東京都長期ビジョン」を具体化した大型予算を発表
東京都は、2014年12月25日に「世界一の都市・東京」の実現を目指した「東京都長期ビジョン」(以下「長期ビジョン」という。)を明らかにしました。
長期ビジョンでは、2つの基本目標を設定し、東京が目指す将来像を実現するために8つの都市戦略と25の政策指針を定めています。その中で、2020年オリンピック・パラリンピックを一つの通過点とし、その成功と「レガシーの継承」を強調しています。また、2015年度から2017年度の三カ年の総事業費は、3兆7400億円に上る巨大プロジェクトであり、2015年度東京都予算の中で、長期ビジョンで示した事業は100%予算化され、1兆3198億円が計上されています。
執行体制の確保が重要な課題に
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組合員の声を掲載したビラを配布 |
長期ビジョンは、都政課題全般に対して、概ね向こう10年にわたる基本的施策の方向性と達成目標を数値化し示しています。
この間、都庁職・支部が予算要求等で求めてきた事項が予算化・事業計画化されている部分も多く含まれています。そのため、個別の事業ごとの評価と検証を行う必要があります。
総じて、オリンピック・パラリンピック開催準備を除き、福祉・雇用・環境は、その事業の基本方向を評価し、実現に向けた着実な執行を求めます。
福祉サービスの充実は、永年の課題となっている保育サービスの量的拡大による待機児童解消に向けた具体的数値目標が示された点は一定の前進です。また、高齢者の多様な住まいの確保の数値目標も示されています。
この様な事業を担う人材の確保では、新たな人材バンクの構築と、処遇改善経費の予算化が図られています。保育・介護人材の確保・定着のために、労働者の処遇改善に繋がっているかの確認を行う仕組みも必要です。
子どもの貧困対策や生活保護制度の改善など、権利としての社会福祉の確立を求めます。
雇用政策では、「都自らの対策による正規雇用化」として3か年で1万5千人の正規雇用化が示されました。しかし、都庁内の非正規労働の問題に言及していない点は、極めて不十分で、企業・事業主への助成の前に「まず隗より始めよ」と言わざるを得ません。
都庁職は、都内最低賃金の引上げや、委託業務労働者の労働条件改善の為に、公契約条例の制定などの課題を引き続き追求します。
格差拡大と労働者の権利後退は許さない
環境施策では、「水素社会の実現」を強調していますが、10年後の燃料電池車10万台、水素ステーション80か所の実現に向け、具体的に普及促進を図ることが重要です。
一方、「世界の富を呼び込むとともに、新しい富を生み出す」とした経済対策の強化は、国家戦略特区の活用や国際金融センターとしての一極集中など極めて危うい方向性であることを指摘せざるを得ません。
これまで、規制緩和や国際競争力の強化は、消費者・労働者保護行政を委縮させ、結果として格差拡大と無権利労働の温床となったことを忘れてはなりません。
都庁職は、地域経済の活性化と中小地場産業の再生による個人消費の拡大が経済対策の基本であり、そのために、誰もが安全・安心に暮らし、働くことを軸とした公平・公正な社会の実現を求めます。
都政の将来は都庁労働者の双肩に
長期ビジョンは、10年に渡る「都政の羅針盤」と言われています。この計画を現場で支えるのは、都庁職組合員であり、全ての東京都職員です。
「史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現」も、「課題を解決し、将来にわたる東京の持続的発展の実現」も、都庁労働者の双肩に掛かっています。
都庁職は、全ての都庁労働者の働く意欲を削ぐことなく、その努力に報いる処遇を確立し、安心して働ける勤務条件の整備を求めていきます。
そのため、今後確定する2015年度東京都予算に対しての、都庁職の見解を明らかにするとともに、それぞれの支部で、各事業の分析と検証を行い、その執行体制の確立を求めます。
同時に、2016年度予算への意見反映を含め、2015年都庁職要求実現闘争の取組を強化します。
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