公務員採用試験における現状
〜障害者欠格条項撤廃を求めて〜
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参加者からも様々な発言が |
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講師の臼井久美子さん |
7月24日、「障害者欠格条項をなくす会」事務局長の臼井久美子さんを講師にお招きし、学習会を行いました。障害当事者や各支部担当役員など、約50名の参加がありました。臼井さんの講演の内容を中心に報告します。
障害者対象の職員採用試験の受験資格の現状
「障害者欠格条項をなくす会」では、障害者を対象とする地方公共団体の職員採用試験(別枠採用試験)の受験資格にみられる制限や合理的配慮の想定について、全ての都道府県(47)・指定都市(20)・中核市(42)の調査を行い、国に対し、実態に基づいた改善要求を行っています。
2013年度は、那覇市を除く108の地方公共団体で障害者を対象とした職員採用試験(別枠採用試験)が実施されました。
その実態は、89%が「介助者なしに職務の遂行が可能な人」を、71%が「自力(単独)で通勤できること」を、51%が「活字印刷文による出題に対応できる人」を、13%が「口頭(音声)による面接に対応できる人」であることを受験資格にしていました。
合理的配慮の想定として、受験に要する補助や支援の提供は、車椅子86%、手話通訳49%、点字試験44%、拡大文字試験42%、音声パソコン6%、筆記通訳1%でした。更に「自動車(自家用車)での来場を想定した対応」が44%、半数以下との結果から、採用対象の狭さがうかがえます。
2013年から3県1市が年齢上限を引き上げ、1市が身体検査を廃止しました。2県が点字試験を開始、そのうち1県は音声パソコンによる試験も開始しています。2009年に「障害者欠格条項をなくす会」で実施した都道府県と指定都市の調査を比較すると、制限的な受験資格を新たに追加したところはみられませんでした。8県が新たに点字試験を導入して受験資格も変更しています。3県が受験資格から「自力通勤」を、1県が「介護なし職務遂行」を削除しています。
また、明石市は2014年2月実施の試験で、「自力通勤の可否は問わず、勤務にあたっては、適宜必要な支援を行うこととします」と募集案内にも明記しています。
欠格条項は障害者の働く権利を入口で閉ざすもの
一方、東京都の採用試験の受験案内には、「視覚に障害のある人」の拡大文字の試験問題、「上肢障害等で文字を書くことが困難な人」のパソコン又はワープロの使用が可能であるとされていますが、「自力により通勤ができ、かつ介助者なしに職務の遂行が可能な人」、「活字印刷文による出題に対応できる人」という制限があります。
障害者を巡る動向では、2006年の国連総会において採択された障害者権利条約の批准による国内法の整備が進められ、障害者の「自立と権利擁護」が社会的責任であることが提唱され、徐々に理解が深まっています。
「欠格条項」は、障害者の働く権利を「入口で閉ざすもの」であり、早期に撤廃させると同時に「合理的配慮」の提供を受け、共に働くことのできる仕組みを作ることが必要です。都庁職は、当事者主体の運動を支えるとともに、重点課題として取組を強化していきます。
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