「総合的見直し」による賃金抑制を許すな!
人事委員会は、国・人事院に追従せず要求に応えろ
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人事委員会に要請書を手交 |
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人事委員会への要請行動 |
8月7日、人事院は、国家公務員の月例給を1090円(0・27%)、特別給を0・15月引き上げる勧告を行いました。同時に、「給与制度の総合的見直し」を強行し、俸給表の平均2%(0%〜4%)の引下げ、高年齢層職員賃金引下げと併せて地域手当の再編を行いました。都庁職は、都労連各単組と共に、8月18日、東京都人事委員会要請行動を実施し、国・人事院に追従することなく、日夜勤務に精励する都職員の期待に応えることを求めました。
要請行動の冒頭、関根副委員長より「労働基本権制約の代償機能を果たし、あらゆる介入や外圧に屈することなく、例月給、特別給共に東京の民間企業の実態を反映した増額を行うこと」、「給与制度の総合的見直しは、地域間格差を拡大し、職務給の原則を逸脱するものであり、特に矛盾が拡大している島しょ・都外公署については、早急に不利益を解消し、抜本的改善を図ること」「高齢期雇用制度については、定年制延長を基本に、少なくても現行制度での給与水準の改善を行うこと」などの基本的考えを表明しました。
職員の生活実態を踏まえた勧告を行え!
具体的事項としては、
1.人事院に追随することなく、都における民間企業の賃金水準及び都職員の生計費を精確に反映した、月例給、特別給の増額勧告を行うこと。
2.地域手当は、都職員の勤務実態になじまない制度であり直ちに本給に繰り入れること。同時に、島しょ・都外公署については職員の不利益を解消し、抜本的改善を図ること。
3.雇用と年金の確実な接続は、雇用者の責務であり、定年延長を基本とする制度とすること。また、支給開始年齢の引上げによる無年金期間の拡大を踏まえた給与水準の改善勧告を行うこと。
4.長時間労働の解消や超過勤務縮減に向けた具体的な方策を示すこと。
5.職場から、あらゆるハラスメントを根絶させるための方策を検討し、提言を行うこと。
6.通勤用具使用者の通勤手当を改善すること。とりわけ下肢障害等での自動車通勤者については、大幅に引き上げること。
7.現在労使交渉中の事項への介入はしないこと。
8.「身体障害者を対象とする東京都職員3類採用選考案内」2受験資格 (1)「ア自力により通勤ができ、かつ介助者なしで職務の遂行が可能な人」を削除すること。
との要請を行いました。
人事委員会側からは、「勧告の基礎となる職員給与及び民間給与の集計・分析を進めるとともに、公民較差、特別給、民間企業における給与改定の状況について、鋭意、集計作業を行っている」「給与制度の総合的見直しをはじめとする個別の課題については、国や民間の動向等も考慮し、主体的に検討する」との回答が行われました。
雇用と年金の確実な接続
接続交通用具利用者の通勤手当の改善を
人事院の月例給・特別給の引き上げ勧告は、2007年以来7年ぶりのプラス勧告となりました。私たち職員の生活実感からは、今回の人事院勧告の水準は不満が残るものの、その多くを俸給表の改善に配分したことは、運動の成果です。
東京都の人事委員会勧告も、昨年まで9年連続のマイナス勧告であり、その間の平均年収が約百万円のダウンとなっています。とりわけ高年齢期の職員にとっては、「賃金構造改革」による給与カーブのフラット化がすすめられ、年収の減少が続いています。
都の人事委員会が労働基本権制約の代償措置としての中立性、公正性の下で、職員の期待に応える勧告を行うことを強く求めます。
本年の人事院勧告では、交通用具利用者の通勤手当の改正が勧告されました。
都庁職は、とりわけ下肢障害等での自動車通勤を余儀なくされている職員に対し、燃料費の高騰に対応する手立てを強く求めます。
障害者の採用から退職までの「合理的配慮」は使用者義務
障害者雇用については、2006年に国連総会において採択された障害者権利条約の批准による国内法の整備が進められ、2016年4月施行予定の「改正障害者雇用促進法」における法定雇用率の引き上げや、障害者への「合理的配慮の提供義務」や障害者差別解消法の制定など障害者の「自立と権利擁護」が、社会的責任であることが提唱されています。
しかし、東京都職員採用選考における「自力により通勤ができ、かつ介助者なしで職務の遂行が可能な人」との「欠格条項」は、障害者の働く権利を「入り口で閉ざすもの」であり、人事委員会に対しその撤廃を求めました。
今後、秋の確定闘争に向け、障害者雇用も含め、都庁職要求実現闘争を職場から進め、10年ぶりの大幅賃上げを勝ち取りましょう。
2014人事院勧告のポイント
■給与勧告
〈月例給〉
(1)平均0.3%引き上げ
(2)一級職の初任給を2,000円引上げ
〈一時金〉
(1)3.95月⇒4.10月分(引上げ分は、勤勉手当に配分)
〈諸手当〉
(1)通勤手当の使用距離に応じ、100円から7,100円までの幅で引き上げ
(2)初任給調整手当の所要の改定
(3)寒冷地手当の支給地域改定(除外の所要の経過措置2015年4月〜)
■「給与制度の総合的見直し」と都内勤務者への影響
◯「給与制度の総合的見直し」⇒地域間・世代間の給与配分の見直しが中心
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賃金水準を民間賃金の低い地域の官民給与差を踏まえ、平均2%を引き下げる。
ただし、50歳台後半層については、最大で4%の引下げとなる。 |
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地域手当の支給割合の見直しに伴い、東京23区の場合は1級地として2%上がり「20%」(2016年度以降段階的に引き上げ)となり、島しょや三多摩各市については、0%から16%の幅で改定されます。支給割合が引き下がる地域もあり、そうでなくても退職手当などに影響が出てしまします。 |
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