超勤削減は喫緊の課題
都庁職は、1日あたりの労働時間短縮とともに、超過勤務縮減を重要な課題として位置付けています。そのため、今年度も、36協定(「解説1」参照)の基本協定締結期に、「超過勤務縮減・賃金不払い残業解消の闘いの対応方針」を決定し、36協定超勤縮減委員会での労使交渉により36基本協定の締結、実効性のある超勤縮減に向けた取組みを進めていきます。
ワーク・ライフ・バランス推進の取組みを
厚生労働省は「労働時間等見直しガイドライン」(2010年一部改正)で、事業主は、「労働者の労働時間等の実態を適正に把握しなければならない」としています。また、労働時間等の設定の改善は、労使の自主的な話合いに基づいて行われるべきとしています。このため、労働時間について、事業主には、労使間の話合いの機会を整備することが求められています。
都庁では、2010年度から36協定の改定締結と超過勤務縮減を一体とし、通年の取組みとして「36協定超勤縮減委員会」を開催することとしています。
昨年度、都庁職は、36協定の基本協定に関しては、(1)超勤の上限時間及び休日労働日数の引下げ、(2)時間外労働と休日労働の事由の区分、(3)特例条項の超勤時間の引下げ、(4)協定期間の年度主義化、(5)特例協議の状況と回数の検証、(6)夜勤労働者の超勤制限、を求めました。
また、超勤縮減については、(1)支部・局での超勤縮減委員会の設置、(2)カードシステムによる超勤及び休日勤務時間の把握、(3)超勤実態の局・部・課別及び月毎の提示、(4)全職場に36協定職場と同様の超勤規制を拡大、(5)健康管理医面接の受診率向上の方策、を要求しました。
2013年度も超勤が増加
昨年度の6月4日に当局から回答を得て、36協定基本協定を妥結しました。
最終的には、
(1)36協定職場における特例協議の実施状況の開示
(2)「マイナス1運動」は強制しないこととする。
(3)妥結結果は、36協定を適用しない職場も含め、当局責任で周知する。
(4)夏季の超勤縮減取組実績を小委員会に報告する。
(5)次回(通年)の開催を確認した。
が到達点となりました。
2013年度の超勤縮減の取組みとしては、夏季期間と年末年始のノー超勤ウィーク、局別定時退庁日の設定、「マイナス1運動」(月毎の超勤を前年度より1時間以上縮減する)、定時退庁推進委員の巡回等が行われました。また、毎月の超過勤務実績の公表、業務遂行状況等の共有化の促進も行われました。
しかし、知事部局等での本庁職場では、夏以降の超勤時間が2012年度と比べて、急激に増加しています。
本来、使用者が定められた労働時間を超えて労働させることや、休日に労働させることは、労働基準法第32条の原則に反します。
超過勤務の縮減は、36協定を適用しない職場(旧16号職場(解説2参照))を含めて、全職場における喫緊の課題です。
超勤縮減のために実効性ある方策を
当局は、「平成26年度における超過勤務の縮減に向けた取組について(通知)」で、(1)夏季期間及び年末年始におけるノー超勤ウィーク等の実施、(2)マイ定時退庁日の設定、(3)年次有給休暇の一層の取得促進・奨励、(4)資料請求、調査依頼等の締切の部署間での配慮に取組んでいくとしています。
これに対して都庁職は、(1)36協定超勤縮減委員会の年間を通じた定期開催、(2)支部(分会)と局(事業所)間での「超勤縮減委員会」設置、(3)カードシステムなど活用した事前命令と事後確認の徹底等の厳格化、(4)超過勤務の局別、職場別実績及び月毎の実績の提示、(5)定時退庁の徹底、などの実効性ある超過勤務縮減の方策が必要だと主張しています。
都庁職は、36協定基本協定の上限時間(1日5時間、1週間30時間、1年360時間)の引下げを最大の課題として交渉を進めていきます。合わせて、特別条項付36協定(解説3参照)の上限時間引下げにも取組みます。
また、超勤手当の割増率改善、上限時間を超える職場の実態把握と対策、超過勤務の事由の明確化、特例協議の状況・回数の検証、健康管理医による面接指導の改善、夜勤労働は、別途基準を設け、1日の超勤時間を制限するなどの課題にも、取組んでいきます。
36協定超勤縮減委員会において、2013年夏季の超勤縮減取組み実績の報告を受け、その検証を行う必要もは、2014年3月13日開催の本部委員会での議論を経て、超勤縮減の取組みを始めています。
今後、「2014年度超過勤務縮減・不払い残業解消の闘いの対応方針(案)」、「2014年度36協定並びに超勤縮減に関する要求書(案)」について、各支部からの意見を集約し、決定していきます。
解説1「36協定」
労働基準法第36条に基づく労使協定は「さぶろくきょうてい」と呼ばれる。使用者は、法定労働時間を超える時間外労働を命じる場合、労組などと書面で協定を結び、行政官庁に届出ることが義務付けられている。公務員は、労働基準法別表第一に該当する事業場が対象とされている。知事部局等では、都立病院や建設事務所、試験研究機関などが該当し、都庁職が36協定の基本協定を当局と締結している。
解説2「旧16号事業所」
官公署のうち、労働基準法の別表第一に該当しない事業場。同法第33条を根拠として、公務のための臨時の必要があることを要件として36協定締結無しに、時間外勤務・休日勤務を命ずることができる、とされている。東京都の知事部局等の職場の多くは旧16号事業所に該当する。
解説3「特別条項付36協定」
「特別の事情」「手続き」「特別延長時間」「限度時間を超える期間の回数」について、あらかじめ定めた特別条項付き36協定を結ぶことにより、限度時間を超える時間を延長時間とすることができる。「特別の事情」は臨時的なものに限られている。 |
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