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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
 
東京都人事委員会勧告(10月17日)
9年連続 削減ありきの不当勧告

●△827円(△0.20%)、一時金は据置(年3.95月)
●再任用の成績率、分限処分における降給に言及


 10月17日、東京都人事委員会は、都議会と都知事に対し今年度の勧告を行いました。国(人事院)が「報告」に留まる中で、特別区(△588円・△0・14%)を上回る9年連続の賃下げとなっています。一時金は据え置きとしました。加えて、再任用職員への成績率の導入や分限処分における降給の導入に言及しています。一方で「再任用の給与のあり方」については、「国の動向を注視し検討」などとしています。これらは、この間の都労連交渉における、当局の主張そのものであり極めて不当な勧告です。都労連は本日(10月21日)団交と第三波決起集会を開催します。


2013年東京都人事委員会勧告に対する都庁職の見解と態度

【1】

 10月17日、東京都人事委員会は、都知事及び都議会議長に対して、「職員の給与に関する勧告」と「人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)」を行った。勧告の内容は、例月給の公民較差△827円とし、平均0・20%の引き下げ、特別給は、民間の支給割合(3・97月)とおおむね均衡しており、改定なしとした。平均して年収14、000円の減となる。
 8月8日に出された人事院の「報告」では、国家公務員の月例給について、減額支給措置前と比較し、民間との較差が平均76円(0・02%)と極めて小さく、改定が困難であること、加えて特例減額措置が講じられていることから、改定を行わないとした。他の自治体においても、月例給の据え置き、または若干のプラスの調査結果を示している。このような状況にもかかわらず、2000年以降、14年間プラス改定はなく、9年連続のマイナス勧告となっている。
 都における公民比較については、2013春闘の結果などと比較しても、精確に反映されたものとは認めがたい。勧告によれば、東京都の民間賃金水準は、全国平均を100とすると、122・3ポイントである。国の平均が0・02%に対し、都が△0・20%というのは、どこから導き出されるのか。大都市東京という地域の特殊性や生活実態からもかけ離れ、矛盾を抱えた勧告であり、到底、容認できるものではない。
 また特別給の民間大手企業(1、000人以上規模)の支給月数は、人事委員会自らの調査でも、年間4・24月となっている。都労連・都庁職の人事委員会への要請の中で、再三、公民比較対象企業規模を100人以上に戻すよう、要請してきたにもかかわらず、「50人以上」としたことや「宿泊、飲食サービス業」等の産業の追加により、意図的に抑えられたといえる。
 こうした結果からも今回の勧告が、意図的かつ政治的な勧告であることは明らかであり、人事委員会が中立の第三者機関としての責任を放棄し、政府・財界の公務員総人件費削減方針に追随し、公務員の賃金削減機関と成り果てたことを証明するものである。


【2】

 給料表については、昨年に続き、T類B、U類及びV類の初任給については据え置き、1級の初任給付近は、改定しないとしている。
 行(一)給料表は、各級において公民較差に応じた給料月額の引下げ改定を行うが、1級及び2級は、上位級の昇給額とのバランスや昇任・在職実態などを考慮し、昇給カーブを是正するとして、一部において強めの引下げ改定(最大△0・4%)を行っている。
 0・4%の引下げは、1級のみで30歳代後半からである。0・3%の引下げは、1級の30歳代、2級の40歳代後半からである。3級以上は全て0・2%の引下げにとどめており、人材育成や仕事の中心を担っている職員の努力に報いない不当なものである。


【3】

 今回もこれまで同様、改定に伴う遡及はしないとしながら、本年4月からこの改定の実施の日の前日までの公民較差相当分を解消するため、「所要の調整」を実施するとしている。所要の調整を行うことは、「不利益不遡及の原則」に反し、断じて許すことはできない。


【4】

 「給与構造・制度の改革の実施と今後の取組」について、「都の給与制度が平成17年から取り組んできた一連の給与構造・制度の改革の着実な実施により、相当程度適正化」してきたとし、「給料表構造の見直しやメリハリをつけた給料表改定などによる、職責・能力・業績の給与への反映強化や昨年実施した管理職の給与制度の改革、生活関連手当の見直し、特別給における勤勉手当の割合の拡大などにより、これまでの都の給与構造・制度の改革の取組は、ここ数年で大きく進展した」とことさら評価する一方、「引き続き、給与制度の不断の検証に努めるよう」勧告している。
 特に今年の取組として、引き続き、給与制度の見直しを進めるとして(1)「再任用職員への成績率の導入」、(2)給与制度等の整備及び見直しとして、(1)「分限処分における降給の導入」、(2)「懲戒処分の際の給与上の取扱い(昇給見直し)」などに言及した。都労連交渉の中で、当局が主張してきた事項に踏み込んで、さらに後押しする不当な内容となっている。都労連・都庁職(労働者側)の再三の要請を一顧だにせず、当局(使用者側)の主張を代弁するなど言語道断である。
 分限処分、懲戒処分の見直しは、厳罰主義を強化し、本来、職員の育成に努力すべき管理・監督者の責任を免罪し、職員の管理強化の道具にするものであり、断じて認められない。


【5】

 現在交渉中である「年金と雇用の確実な接続」に関わる再任用職員の給与については、人事院が2014年4月の実態を踏まえて検討するとして、具体的な方策を打ち出さなかったことを受けて、「都としても、引き続き、国の動向を注視するとともに、民間における対応状況、都における実情等も十分考慮して、給与水準、給与制度等について検討」するとして、具体的な給与のあり方について、人事院と同様、言及していない。そして都労連との交渉において、当局が「(再任用職員の)給料表につきましては、人事委員会の勧告事項であり、本年の人事委員会勧告を踏まえて、対応すべきものと考えております」と表明しているにもかかわらず、今回の勧告で具体的な方策を講じなかったことは、いたずらに解決を遅らせるだけでなく、国の動向に追随して第三者機関としての主体的役割を放棄するものであり、機能不全に陥っている。
 いずれにしても高齢期職員の雇用と年金の確実な接続の制度、給与水準は労使協議において早期に決着を図るべきである。人事委員会が行うべきは、当局の主張のみを繰り返すのではなく、労使対等の立場で十分な協議を行うことを求めるべきである。


【6】

 「人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)」では、人事制度の抜本的改革の推進として、「新たな長期ビジョン(仮称)」を踏まえた、今後の人事制度のあり方について述べている。
 特筆すべきは、新規採用のあり方や今後の都職員の年齢構成の変化などに触れるとともに、都庁職が要求してきた「複線型の人事制度への転換」について言及していることである。これは、現場における専門性の確保・人材育成・技能継承について、人事委員会もまた危機感を持っていることを示している。
 非常勤職員等の処遇改善については、都労連・都庁職の要請にもかかわらず、「特別職」であることを理由に、都人事委員会の権限外であるとして、一切言及していない。
 しかし、「意見」においては、「あらゆる雇用形態の職員を柔軟に活用していくことも必要」であるとし、「いわゆる正式任用以外の職員についても、職のあり方や活用について改めて検証した上で、各々の立場で能力を最大限発揮できる環境を整備することが必要である」と述べている。
 一方で、非常勤職員の活用と環境整備について述べながら、処遇については一切言及しない姿勢は大変問題であると言わざるを得ない。


【7】

 高齢期雇用の再構築に向けた取組として、「意見」の中で、国の閣議決定の内容を引用しているが、「フルタイム勤務によって、再任用の活用を図ることが原則」だけを取り上げ、「個別の事情を踏まえて、短時間勤務に再任用することができる」ことには触れていない。また、人事院「報告」でさえ、「再任用を円滑に行うためには、勤務形態、勤務地、勤務内容等について、職員の希望や職員の意欲、能力、健康状態等を適切に把握することが重要」としているが、その内容にも触れていない。「フルタイム勤務(のみ)を基本とする」当局の主張そのままである。
 さらに、職責・能力・業績主義の深化に向けた取組として、再任用職員の成績率の適用や分限処分における「降給」の導入等も求めている。これは、これまで当局が交渉で繰り返してきた主張と全く同様の内容であり、労使協議への不当な介入である。


【8】

 「職員の勤務環境の整備」について、都政を支えるすべての職員が、高い意欲と志をもって、職務を遂行するためには、人事制度の抜本的改革の推進と併せ、進めていくことが重要であるとしている。
 しかし「仕事と生活の両立支援」、「超過勤務の縮減」は、重要であるとしながらも、具体的な方策については言及していない。また「少数精鋭」といいながら、人員不足による厳しい職場環境の下で、パワーハラスメントやメンタルヘルス対策は喫緊の課題でありながら、具体的な対策を示していない。


【9】

 今次賃金確定闘争は、高齢期雇用(雇用と年金の確実な接続)など、喫緊の課題、早急に解決すべき課題が山積し、これまでにない厳しい闘いである。現在、都労連が交渉中である「高齢期雇用制度」の確立にむけて、「希望者全員の雇用保障」、「安心して生活できる給与水準」、「選択可能な勤務形態」といった都労連要求の決断を迫る闘いが必要である。
 東京都人事委員会が、ここ10数年間、賃金が減額されてきた下での都職員の生活実態を踏まえず、労働基本権制約の代償機関としての立場や機能も放棄し、当局の考え方に沿った勧告を行ったことに対し、都庁職は満身の怒りをもって糾弾する。今次賃金確定闘争では、国家公務員の給与削減特例法やそれに準じた地方公務員の給与削減の強要を断ち切り、都庁職は都労連に結集し、団結してすべての組合員による統一行動を背景に、公務員バッシングなど厳しい情勢を打破し、労使自主決着による諸要求実現をめざして闘い抜くものである。


2013年10月17日
東京都職員労働組合

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