都庁職(東京都庁職員労働組合公式サイト)

伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
HOME 都庁職へようこそ 見解 都庁職新聞 ギャラリー リンク
HOME > 都庁職新聞 > 2013年4月号
都庁職新聞
 
都民の生活を守る公共施策の拡充を
―業務遂行できる執行体制の確保を―

 猪瀬都知事による初の予算編成となった2013年度東京都予算は、第1回都議会定例会最終日に可決されました。04年度に5兆7080億円まで落ち込んだ都予算は、06年度から6兆円台に復活し、その後今年度まで6兆円台を維持、投資的経費は9年連続で増加し続けています。一方で事業全般にわたる民営化、業務委託が進み、職員定数は限界まで削減されています。石原都政の無批判な継承ではなく、行政本来の役割をどう果たしていくのかが問われています。
民間給与実態統計調査結果(国税庁)

 「平成25年度予算の執行について(依命通達)」が4月1日に出され、「時流を先取りし、首都として国を動かし支えていく原動力となるとともに、将来に向けて財政基盤を一層強化し、東京の輝きを高めていく予算」との位置付けが改めて示されました。そのうえで歳出についての1項目目に「『2020年の東京』へのアクションプログラム2013に選定された事業や都政が直面する課題など、予算計上された事業についてスピード感を持って取り組み、目的が確実に達成できるよう着実な執行を図ること」とされています。
 「スピード感」と「着実な執行」に不可欠なのは、安定的執行体制の確保であることは言うまでもありません。
 「最小の経費で最大の効果」「経済性、効率性の確保」を一概に否定するものではありませんが、これまで実施されてきた「民間活用」推進による業務の民間委託や、「少数精鋭」方針の下での定数査定方針によって、都政を支える執行体制がどのような状態になっているのか、真摯に検証し問い直す必要があります。
 東日本大震災の発生で、都民の安全を守る危機管理体制の重要性が改めて明らかになりました。
 「都市基盤の高度防災化」をはじめ、直面する課題の着実な執行は、職員が日常不断に業務を遂行しているからこそ実現できるものであり、仕事に必要な定数措置と労働環境の整備が前提となります。

真に都民の安全と安心を守る施策の重視を

 当初予算編成方針では、「都民の安全・安心を守る取組に財源を重点的に配分する。『2020年の東京』へのアクションプログラム2013として選定された事業の平成25年度事業費については、確実に計上する」とされています。首都直下型地震への備えとして老朽化したインフラの整備や公共施設等の耐震強化、災害医療対策等の防災対策、少子高齢化社会の進行に対する対策、新たなエネルギー対策など、東京の抱える課題は多岐に亘り、都民の安全と安心を守るために何に重点を置いて都政運営を行うのかは都民の生活に大きく影響します。
 猪瀬都知事は「2020年オリンピック招致」に関する都議会での質問に対して「人々の心のデフレを解消していく」として、東京の将来像についても「心のデフレ状態を打破するのは東京をおいて他にない」としています。
 東日本大震災からの復興を「東京から牽引する」として都の政策の中長期ビジョンが見直され、「2020年の東京」が策定され、オリンピック招致も中軸に据えられています。しかし、90年代初頭のバブル崩壊から今日に至るまで、大企業の内部留保は着実に増える一方で、労働者の平均年収は約50万円減収となり、非正規雇用は全体の3割を超え、貧困と格差は拡大しています。「心のデフレ」が生じているとするならば、企業利益の優先に追随し、労働者の生活を顧みなかった国の政策こそが問われるべきです。企業が有している社会的責任を応分に果たさせるとともに、行政においては格差拡大や少子高齢化社会における都民の暮らしを守るセーフティネット機能を高める施策が重要です。
 オリンピック招致は一時的に雇用や需要の増加をもたらすかもしれませんが、都民の求める安全と安心にどのように寄与するのかは疑問と言わざるを得ません。

事業遂行できる安定的執行体制の確保を

 都政を担う現場の状況はギリギリの執行体制となっています。2010年度から数値目標こそ示さないものの2013年度までの4年間で知事部局の職員271人が定数削減され、1999年の石原都政発足時から本年4月までの定数は44、709人から24、980人となり、19、729人(清掃区移管7、994人含む)が削減されています。また、都立病院の公社化や福祉施設の民営化、PFI手法による施設管理、指定管理者制度の導入等事務事業の民間委託が推進されてきました。
 当局の査定方針は、新規事業はスクラップアンドビルドで定数措置を行い、さらに事務の集中化や業務委託を実施、現業職員の退職を補充せず委託を拡大、「多様な雇用形態の活用」や「民間活用」の名目で職員を削減し続けています。
 しかし、団塊の世代の大量退職期を迎え、人員を減らし続けた結果としての「少数精鋭」方針の下で、人材育成が重点課題となりながらも、培われてきた知識と経験の継承は人員が不足している職場では困難な状況になっています。また、人員不足に対して、非常勤職員をはじめとする非正規雇用が拡大しています。知事部局では2012年度8月時点で1、456名の専務的非常勤職員の職が設定されています。
 新年度から欠員が生じている部署が多々あります。都庁職は、執行体制や非常勤職員の配置を含め、早期に職場状況の実態調査を行い、定数削減に歯止めをかける闘いを各支部と一体となって取り組む決意です。
ページのトップへ戻るページのトップへ戻る
 

Copyright (C) Tokyo metropolitangovernment laborunion.