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高齢期雇用 職場からの要求と運動を
雇用制度、退職手当、年金、昇給、成績率
希望者全員の雇用と賃金水準の確保
都庁職の基本的な考え方
夏季一時金の妥結を受けて、人事制度の構造的見直し問題は、「3提案」に加え、公務員に対する退職給付(共済年金の職域加算部分と退職手当)や高齢期雇用のあり方などの動向も加わっています。公務員労働者の人生設計に重大な影響を与える問題が付加される状況となっており、都労連賃金確定闘争における重要課題となっています。
高齢期雇用制度
(定年制延長→再任用の義務化)
2013(平成25)年から年金支給開始年齢が3年に1歳ずつ引き上げられることに伴い、定年退職と年金支給開始年齢との間に空白期間が生じます。
2011年9月に人事院は「定年制延長の意見の申出」を行いました。しかし、民間との均衡や公務員優遇の攻撃も加わり、政府は、「再任用の義務化」の方向性を示した「国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針」を明らかにしました。今後、地方公務員に対しても同様の方向性が示される情勢下にあります。
東京都の現行フルタイム再任用制度では、その給付水準が60歳時の賃金の6割以下の水準にあり、人事院(意見)の7割程度の水準を下まわっています。
また、再任用の義務化である以上、希望者全員の雇用を確保する義務が当局にはありますが、「標準職務遂行能力及び当該官職についての適性を有しない場合は、義務を課さない」という但し書きがあり問題を有しています。
さらに、加齢に伴う就労が困難な職場の対応などいくつかの問題点があり、「再任用の義務化」の制度化にあたっては多方面にわたる検討が必要です。
旺盛な議論で要求の形成を
都庁職は、5月31日の執行委員会で「高齢期雇用に関する状況と当面の対応及び都庁職の基本的な考え方について」を決定し、各支部に機関オルグを実施し、職場討議を開始しています。
「基本的な考え方」は、(1)原則として定年制延長を求める、(2)定年延長が年金支給年齢の引き上げに間に合わない場合、当面の対応として「新たな再任用制度(フルタイム・短時間)」の制度化を図り、希望者全員の雇用を確保する、(3)「フルタイム」から「短時間」の移行については本人の意向を尊重することを可能とする、(4)給与水準は1級職をはじめ大幅に引き上げ「フルタイム」の賃金を60歳時の年間給与約8割確保をめざし、退職時の職に任用する、(5)加齢に伴って就労が困難な職員への工夫をし、多様なメニューを整備する、(6)年金支給開始年度の高齢期雇用については、専務的非常勤職員制度も選択可能とする、(7)現行定数の関係では定数削減に連動させない、(8)制度運用にあたっての職場環境・労働条件を整備する、などとなっています(表1)。
各職場から率直な意見をお寄せください。
【表1】高齢期雇用に関する都庁職の基本的な考え方(討議案)
共済・厚生年金の統合
退職手当削減反対
2012(平成24)年3月7日に、人事院は「民間の企業年金及び退職金の調査結果と見解」を公表し、その調査結果は、「退職給付総額(企業年金〈使用者拠出分〉+退職一時金)の官民較差は、4百2万6千円(13・65%)公務が上回っており、所要の経過措置による較差の是正を求めています(表2)。
また、4月3日、政府は「被用者年金一元化法案」(被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定し、共済年金の厚生年金への統合と共済年金の職域加算部分の廃止《2015(平成27)年10月から》などが主な内容となっています。
このような状況を受けて、「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議」が設置され、官民較差約4百万円の退職手当引下げ(経過措置を講ずるか、一括処理か)と公務員版企業年金の創設などの議論が行われています。
都庁の場合は、退職手当への業績反映の強化・拡大などの攻撃も加わり、年金や退職手当の全面的な改悪の動きが強まっており、私たちの人生(老後)と生活設計全般に大きな変更をもたらす重大な課題となっています。
政治情勢や国の動向に振り回されることなく、一方的な退職手当の見直しを阻止していかなければなりません。
【表2】退職給付水準の官民較差(人事院)
高齢期雇用要求
全力で闘おう
5月30日の都労連夏季一時金妥結時に、今交渉期における「労使の主張整理」が確認されました。人事制度の「見直し」3提案に高齢期雇用制度、共済年金の統合、退職給付、住宅手当などの課題も加わり、人事給与制度の重要な根幹部分の協議が今後の協議の課題(項目)となっています。
政治情勢や国家公務員の状況などの動向に左右される部分もありますが、主体的な闘争体制の構築が必要となっています。都労連・都庁職に結集し、職場から要求を構築し、高齢期雇用をはじめとする要求実現に向けた闘争体制を確立していきましょう。 |