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職場はいま 検証〈9〉
良質な都立施設を建設できる体制を
財務局建築保全部・本庁支部
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営繕工事部の皆さん |
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大規模改修後の東京都美術館 |
早春の3月上旬、営繕工事分会の皆さんに、本部までご足労願い、職場について伺いました。
都庁第一本庁舎18階にある建築保全部は、03年4月営繕部と庁舎管理部が統合して発足しました。各局からの執行委任により、都立施設の設計・施工監理、全庁的な基準の策定、新宿都庁舎の維持管理を行っています。
都内外に点在する施設を担当
分会出身の中澤支部執行委員と畑山分会執行委員、鈴木分会執行委員に、現在の執行体制の問題点を伺いました。
「建築保全部では、東京都美術館の大規模改修など、主要施設10ヶ年維持更新計画の都立施設を担当しています。その他にも多くの施設を担当しています。しかし、人員は、バブル崩壊後に削減されたままで、工事量が大幅に増加した後もほとんど増えていません。
そのため、職員は一人で工事現場に出張するケースが、日常茶飯事となっています。局の服務規程では『利害関係者との対応は複数職員で』となっていますが、遵守できる体制ではありません。事故防止からも、人員を増やすべきです。」とのことです。
「都立施設は、千葉や静岡にもあり、都内だけではありません。また、島しょも担当しています。そのため、担当者によっては、区部や多摩の現場を持ちながら、小笠原等の島しょにも頻繁に出張しなければなりません。
更に都庁舎の大規模改修や、被災地派遣もあります。今の人員では、限界を超えています。」と話してくれました。
幅広い施設の知識が必要
技術継承の現状についても伺いました。
「営繕工事分会の営繕とは、大宝律令の時代からの古い言葉で、過去には設計・施工監理を直営で行っていましたが、現在ではほとんどが委託です。しかし、最終的な判断は、東京都が行います。
建物も病院や学校等幅が広く、良質な施設建設の上でも、職員には広く深い知識が求められています。しかし、覚える前に職員が異動することや、時間的余裕がなく、現場では工事請負者と打ち合わせるだけ場合も多くなっています。これでは、知識は身につきません。」とのことです。
急がれる技術と伝統の継承
「ベテラン職員が、再任用として残って頂いているが、それもあと僅かです。しかし、日々の職務をこなすのに精一杯で、とても人材育成に手が廻りません。ほとんどの都立施設の建設に携わっており、技術の蓄積と伝統を継承した人材育成のためにも、急ぎ計画的に人員を増やすべきです。」と強調されました。
都民の財産である都立施設を建設することや、これまで培ってきた技術的知識と経験を、ベテランから若手へとしっかりと継承するためには、職場の執行体制が重要だと感じさせられました。 |