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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
  自治体の役割果たせる執行体制の確立を

 東京都では、東日本大震災を踏まえて、9月に「東日本大震災における東京都の対応と教訓」を、11月に「東京都防災対応指針」をまとめました。
 被災地派遣や、被災者の受入れ等の支援は、現在も継続して行われています。津波対策、耐震、防火、道路保全に関する問題点や、避難所開設、避難者受入、広域火葬受入など、今回の震災への対応について、5支部より寄稿していただきました。今後の、都庁職の取り組みにもつなげて行きます。

建設中の応急仮設住宅(4月) 公立志津川病院(7月)
建設中の応急仮設住宅(4月) 公立志津川病院(7月)
震災直後の代々木公園 南三陸町志津川地区
震災直後の代々木公園 南三陸町志津川地区


建設支部
緊急対応できる体制の構築を

都立瑞江葬儀所
都立瑞江葬儀所
 3・11巨大地震では東京でも震度5強を記録し、多くの方々が広域避難場所である都立公園に避難してきた。代々木公園1千人、木場公園6千人等、特に日比谷公園では予想を上回る13万人の帰宅困難者が集合してきている。
 これだけ多数の帰宅困難者への対応は都立公園では想定されておらず、毛布や食料等の備蓄はないに等しく、区市が用意する緊急避難者受入先を案内するしかなかった。公園での夜間滞在を希望する方も多数おり、公園職員は想定外の対応を迫られた。
 瑞江葬儀所は他の火葬場に先駆けて広域火葬受け入れを表明し、3月末から5月2日にかけて165体の火葬を執行し、ご遺族または地元市町にご遺骨をお返しした。
 瑞江葬儀所の組合員は「被災地から喜ばれ広域火葬に協力した意義を感じた」と述べている。だが、バーナー不点火が多発する老朽化した火葬炉をフル稼働させることへの不安を抱え、前日の午後7時まで翌日の受入数やご遺体がどういう状態で搬送されるか分からない等、困難を極めた。

施設管理は直営で

 被災地支援で気になるニュースとして、「仕事を失った人もいる中で超勤手当を申請できない」という現地公務員の声を載せた新聞記事があった。震災は天災であり、復興支援に汗をかく労働者はタダ働きする必要は全くないと訴えたい。
 震災発生後、建設支部は、都庁職を通じて被災地へ帰郷する組合員の休暇や被災地支援のボランティア休暇等を当局に申し入れるなど支部ニュースで組合員へ周知を図った。しかし、それ以外に十分な対応は出来なかった。
 さらに、都立公園等への避難者受け入れのあり方の検討、瑞江葬儀所の緊急時の遺体受け入れなど直営堅持の必要性を引き続き訴えていきたい。
 千年に一度の大震災対応で、労組は一体何をなすべきか。
 こうした反省に立ち、今後の教訓として運動づくりに生かしていくことを建設支部として新年の誓いとしたい。


都市整備環境局
派遣の中心はベテラン職員 安心して送れる体制を

宮城県災害対策本部(3月)
宮城県災害対策本部(3月)
 都市整備局の東日本大震災への対応ですが、震災発生直後には、被災した宅地や建築物の二次災害を未然に防ぐため、被災宅地危険度判定士や被災建築物応急危険度判定支援のために現地への職員派遣が実施されました。
 その後、道路・河川等の災害復旧支援、震災復興マニュアル技術支援のために、業務に精通した職員の派遣が継続して行われています。
 派遣される職員は、知識や経験が豊富なベテラン職員が中心であり、送り出した職場では、アルバイトの雇用、兼務発令、あるいは係内での職務分担の工夫で対応しています。この間当局が進めてきた「少数精鋭」の組織運営の結果、係の縮小や担当係長といった業務の専門・分業化により、業務引継ぎの混乱があるなど、派遣された職員の業務をカバーすることは困難で、残された職員への負担が増大している実態にあります。
 また、災害復旧支援で現地に派遣された職員の多くは、深夜に及ぶ超勤や休日出勤で対応せざるを得ず、健康を害することが心配されます。
 環境局でも、現地への職員派遣が行われているとともに、廃棄物埋立管理事務所では被災地のガレキの受け入れ業務も行われています。
 支部では、両局に対して、来年度以降も被災地への職員の派遣が継続することが見込まれることから、派遣される職員を職場が快く送り出せる人員配置を求めています。

防災対策は人員増で

 次に、都市整備局における防災対策の取組ですが、首都東京を高度な防災都市としていくため、「木造住宅密集地域の解消に向けたまちづくりの推進」などの取組を進めているところですが、ここでは、「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の促進」の取組を簡単に紹介させてもらいます。
 地震による沿道建築物の倒壊を未然に防ぎ、震災時における避難、救急消火活動、緊急物資の輸送及び復旧復興活動を支える緊急輸送道路の機能を確保することを目的とした「緊急輸送道路沿道建築物耐震化推進条例」を制定しましたが、執行体制を充実するための職員配置が重要です。


港湾支部
津波・高潮から都民を守るために

閉鎖中の辰巳水門
閉鎖中の辰巳水門
閉鎖途中の陸こう
閉鎖途中の陸こう
 東日本大震災は、東京港においても少なくない被害をもたらしました。そして、自然災害に対する備えについて、さまざまな教訓と課題を与えたと思います。
 港湾局の高潮防災事業に絞って述べます。

陸こうが閉まらない!

 第一に、水門・陸こう閉鎖業務等施設管理の見直しと体制強化が挙げられます。港湾局は、津波・高潮から都民の生命財産を守るための海岸保全施設【水門、陸こう(陸上防潮扉)、防潮堤等】を保守管理しています。
 3.11の大地震で、東京港でも1.5mの津波が観測され、水門等も閉鎖しました。しかし、陸こうの一部が津波の第1波到達までに閉鎖できないという事態がありました。大潮、満潮時と重ならず、津波も小さかったため被害はありませんでしたが重大問題です。
 陸こうの閉鎖業務は10年程前から、業務を担っていた設備管理職の定数10名を削減し、民間委託しています。陸こうの一部が閉鎖できなかったのは、受託業者が、地震の影響による交通渋滞で、現地に到達できなかったのが原因です。
 港湾支部は、高潮防災の民間委託は断固反対であり、公共の責任で直営体制を堅持するよう一貫して要求してきました。しかし港湾局は、平成24年度も設備管理職1名削減を要求しています。
 港湾局は、震災後、「24時間出動可能な」新たな委託(3ヶ月で1億3千万円)を行いましたが、受託業者がいつでも熟練した職員を配置できるのか疑問です。

直営で万全の体制を

 第二に施設の液状化対策、耐震性の検証と整備、施設の老朽化対策があります。既に着手しているものもありますが、これらを進めるには大幅な人員増が必要です。支部も職場も毎年増員要求しても、削減され続けています。
 港湾支部は、都民の安全・安心は職員が直接担うべきであり、そのために予算だけでなく必要な人員を配置することを重ねて要求します。


経済支部
今こそ検査・研究の充実を

新しい(独法)産業技術研究センター
新しい(独法)産業技術研究センター
 今回の震災で、経済支部関係職場である、江東区青海に新築中の(独法)産業技術研究センターが被害を受けました。当該地は埋立地のため地盤が弱く、地震の影響で外構や配管が破損し年度当初に予定されていた移転が10月に延期されることになりました。
 地震による液状化などの問題点は、計画当初から指摘されていましたが、図らずもその懸念が現実となり、今後の対策が改めて求められています。駒沢庁舎では、新庁舎への移転ができず西が丘庁舎に仮移転を余儀なくされました。こうした大混乱の中でも、原発事故直後の24時間体制での大気中の放射性物質の調査、その後の工業製品や農林水産物の検査、都民からの問合せへの対応など、職員は全力をあげて都民の安全確保のために奮闘しています。

昼夜問わず奮闘

 避難者対応では、避難所開設・被災地派遣で、昼夜あわせて延べ1千人が対応してきました。年度末・年度始めの忙しい時期でしたが、職場の支援の中整然と取り組んできました。改めて職員の自治体労働者としての気概と誇りを体現するものだったと思います。しかし、避難施設は決して十分なものではありませんでした。産業労働局の施設である東京ビッグサイトでは、展示室が避難所となったため、天井が高く冬の寒さが身に染み、区画もローパーテーションで区切られていることからプライバシーが確保されず、子供が夜泣きをすると抱えて避難所の外に出るなど、昼も夜も気が休まらなかったと思います。
 避難生活が長期化する中で、避難者の精神的なケアが極めて重要なことを再確認しました。
 首都圏直下型地震も予測される中で、都民のいのちとくらし、財産を守り、被害を最小限にするための防災対策が求められています。


住宅支部
住まいは人権 人が生きていくための土台

都営住宅被災者受付け
都営住宅被災者受付け
 終戦直後の絶対的な住宅不足の中で、計画的な都営住宅の供給が開始された。
 昭和40年代前半、年間一万戸を超える都営住宅が大量建設された。昭和45年には15万戸を超えた。平成23年3月31日現在、都営住宅等のストック(管理戸数)は、262、534戸である。
 平成23年8月募集は、5月募集が震災対応のため遅れ、いつも1500戸ほどの募集があるのが、世帯向(一般募集住宅)850戸の空き家募集に3万人が応募した。

震災対策の充実・強化を

 「住まいは人間が生きていくための土台」である。住宅支部は、安全・安心な住まいの確保と温かい人々がふれあう地域コミュニティの確立こそ、健全な街として都市が形成されるために必要な条件だと主張してきた。東日本大震災では、都営住宅のストックを活かして、震災や原発事故による応急仮設住宅として被災者の生活再建に役立った。組合員は避難所の設営や都営住宅等への受け入れに尽力し、都営住宅や住宅行政が果たした役割に大いに確信を深めている。都営住宅の耐震対策とともに、民間マンションの耐震化や建替などの震災対策の充実も重要である。

27万戸のストック活かせ

 支部開催の「住宅行政研究集会」(昨年は、震災当日、都庁職会議室で開催中に震災に遭遇、やむを得ず中止)などで積み上げてきた到達点をもとに、建替戸数を抑制している「再編整備計画」を抜本的に見直す必要がある。多様な年代・世帯構成の入居者を増やし、コミュニティの復活、活気ある団地を再生することや若年単身者向け入居の制度化、大災害時即対応できる被災者向け緊急入居制度の創設など、27万戸の都営住宅ストックを活かし住宅行政を充実させ、職場や都民各層との協働を発展させたい。
 また、こうした課題を実現するには、定数増とともに職場に技術を継承するためのマンパワーの構築が求められている。
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