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伊ヶ谷地区海上より見る三宅島
伊ヶ谷地区海上より見る三宅島 撮影2003年4月10日三宅支庁提供
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都庁職新聞
  職場はいま 検証〈6〉

養育院の歴史的な役割を継承し地域と一体になって再生する!
                  養育院支部 東京都健康長寿医療センター

河原崎さんと山本さん
河原崎さんと山本さん
新病院建築現場
新病院建築現場
 2年前に地方独立行政法人となった東京都健康長寿医療センターを訪ねました。
 都健康長寿医療センターは、130年以上の歴史をもつ東京都養育院を母体として1972年に開設された東京都老人医療センター及び東京都老人総合研究所が2009年4月に統合され地方独立行政法人となったものです。1872年に設立された養育院の役割は、明治維新後に急増した生活困窮者、とくに病人、老人、幼児を救済することでした。1960年代半ば頃には、養育院の病院利用者は高齢者が80%を超え、美濃部都政において、都内の老人医療状況の調査を行い、養育院構内に研究所を付設した1000床規模の老人専門病院を建設することを決定しました。老人医療について、診療・研究・教育という3つの機能を果たすべき施設という理念で日本のみならず世界的にも注目され、老年医学、高齢者の総合的機能評価等の研究・診療に大きく貢献する施設となりました。また、養育院内に養護老人ホーム、ナーシングホーム、看護学校が設立され、高齢者の総合施設として大きな役割を果たしてきました。

医療・福祉の質を低下させない!

  養育院の敷地内では、健康長寿医療センターの新築工事が行われていました。組合事務所で、養育院支部河原崎書記長と病院分会山本書記長から、独法化されてからの状況についてお話を伺いました。医師と研究者は原則固有職員とし、看護師、事務職員、コメディカル職員は東京都からの派遣職員となりました。現在は、看護師の4割が固有職員、事務とコメディカルの5割から6割が固有職員になっています。この3年で激変したということはないが、地方独立行政法人の「中期目標」(4年)の期間が終了し、事業の継続性の必要性や組織のあり方が検討されることもあり、新センターが完成する2013年度から激変していくのではないかと懸念していました。採算を重視し、個室料金や駐車場料金等利用者負担の増が見込まれます。また、看護師については都の派遣職員が病院全体の体制をフォローしているが、固有職員が拡大されれば、今でも慢性的な看護師不足が加速されるのではないか、研究シフトについても短期的に結果を求められることで、研究者が定着していけるかなど、直営と大きく異なる問題として、経営効率優先の業務運営になることで、医療スタッフの不足、患者本位の医療ができなくなることが心配されています。
 都は一律的な運営交付金の削減は行わないとしていたにも関わらず、2011年度では減らされています。
 山本書記長は、独法化されたが中身はこれまでの医療体制を継続していること、医師や看護師をはじめ全職員が養育院の歴史と果たしてきた役割を誇りに思い、「福祉・医療・研究」の三位一体の質を低下させない決意でがんばっていると熱く語りました。中身を維持させていくためには手を緩めない、患者と家族、地域住民と組合が「守る会」を結成し、現在も活動している、定年後の医師達も「語り継ぐ会」を作っている、養育院の歴史を守り、医療と福祉が一体となった「新しい病院」をつくろうと気概を持って牽引していくのが組合の役割だと思うと、力強く話してくださいました。
 石原都政12年間は、都の福祉・医療施設を潰してきた歴史といっても過言ではありません。地域の福祉と医療を守ってきた歴史を絶やさず、再生させていくことが私たちの任務であり、都民の理解と支持を得ることが必ずできると思いながら帰路につきました。
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